著者 : 澤村伊智
『ぼぎわんが、来る』(『来る』とタイトルを変えて映画化)で衝撃のデビューをした澤村伊智さん。 次々とホラー、ミステリーの力作を発表し続ける澤村さんの、新たな代表作が誕生しました。 舞台はどこにでもある平凡なニュータウン。そこにカルト教団の信者の家族が引っ越してきます。その家族は明らかにご近所から浮き上がっていて、しかも娘の茜はどうやら虐待を受けているらしい。主人公の慧斗は、茜の現状を見かねて救出に乗り出すが……こう書くと悪の組織から「お姫様」を救い出す子どもたちの冒険物語が展開されるのかと思いきや、そこが一筋縄でいかないのが澤村伊智さんの魅力です。 どんな風に「一筋縄でいかない」のかは是非ご自身の目で確かめてみてください。
民話ーー昔話、伝説、世間話といった語り伝えられる物語は、いまも私たちの暮らしの中に息づいている。 明治から昭和にかけて、柳田國男をはじめとする民俗学者たちによって聴き集められた「話」は、一九七〇年代に興った民話ブームで大きな広がりを見せた。 全国の民衆から採集された「話」は、当時の記憶を残す一級資料として、その地に生活する人々の営みを真空保存している。 誰もが知る昔話「桃太郎」にも、様々なヴァージョンの類話が各地域に存在しており、そこには確実に語り手の体温が遺されている。 そして、ネット社会の現代でも「話」は、つねに変化を遂げながら脈を打ち、産声をあげ続けているのだ。 お化け好きをとりこにし続ける、愛おしき化け物のふるさと・民話の魅力を再発見しよう! 強力な連載陣もお見逃しなく! シリーズ最終編「了巷説百物語」が、ついに始動!! ●特集 LOVE 民話 【対談】京極夏彦×黒史郎 【寄稿】飯倉義之、伊藤慎吾、徳田和夫、花部英雄、廣田龍平、間宮史子 【インタビュー】板倉俊之(インパルス) 【再録】ざんねんな民話の世界 ●小説 京極夏彦、有栖川有栖、山白朝子、恒川光太郎、澤村伊智 ●漫画 諸星大二郎、高橋葉介、押切蓮介、波津彬子 ●インタビュー/エッセイ 小松和彦、東雅夫、加門七海、村上健司&多田克己、荒俣宏 ●グラビア 嘉村ギミ、芳賀日出男、佐藤健寿、新作能「アマビエ」、怪食巡礼 ●怪談実話 我妻俊樹、中山市朗、春南灯 ●お化け友の会ひろば 大倉流小鼓方・上田敦史、志村真幸、弘前乃怪、北陸怪談研究会、妖怪朗読家ゆうか、化け通『モンスターハンターライズ』 etc……
駆け出しの貧乏ライター湾沢陸男。この男の行くところに、奇っ怪な事件あり。癖の強すぎるスタッフが集うウェブマガジン『アウターQ』。エンタメサイトのはずなのに引き寄せてしまう、ホンモノを…。ホラー界の俊英が描く、あなたのヨミを必ず裏切る新感覚ミステリー!
夫の転勤先の東京で、幼馴染の平岩と再会した果歩。しかし招かれた平岩家は不気味な砂が散る家だった。怪異の存在を訴える果歩に異常はないと断言する平岩。おかしいのはこの家か、それとも、わたしかーー?
ホラー小説大賞&日本推理作家協会賞受賞作家が、令和元年にお届けする最も恐いSF小説集。スマートデバイスで嫁を監視する姑、高級ブランド化する金髪碧眼のデザイナーズチャイルドと育児ハザード、次世代型婚活サイトとビジネス婚に待ち受ける陥穽、自律型看護ロボットを溺愛する娘と母親の対決…。ホラーとミステリ、両ジャンルの若き旗手たる著者が克明に描く、明るい未来を待ち望むすべての家族に捧げる、素晴らしき悪夢。
恐怖、また来る。デビュー作(日本ホラー小説大賞『ぼぎわんが、来る』)、戦慄の舞台裏。ああ最愛の妻までも…… 大きな文学賞を総ナメにしている錚々たる作家たちが選考委員を務める新人文学賞を獲得した「僕」。隣には最愛の妻・キリカ。作家デビューは順風満帆かと思われたが、友人が作品を曲解して、「作家とは人格破綻者である」「作家は不幸であるべき」と一方的な妄想を僕に押し付け、執拗な嫌がらせをはじめる。しかしその結果、僕は妻のとんでもない秘密を隠し切れなくなり……これぞ最恐のサイコ・ホラー!
ホラー作家・澤村伊智の、本格ミステリへの本気の挑戦。 読めば語りたくなること必至の、悪魔的な問題作である。 ーー綾辻行人氏 【初読はミステリ、二度目はホラー。この謎に、あなたもきっと囚われる。】 「わたしは死ぬよ。言葉で。呪いで」 瀬戸内海に浮かぶ霧久井島は、かつて一世を風靡した霊能者・宇津木幽子が生涯最後の予言を遺した場所だ。彼女の死から二十年後、《霊魂六つが冥府へ堕つる》というーー。 天宮淳は幼馴染たちと興味本位から島へ向かうが、宿泊予定の旅館は、怨霊が下りてくるという意味不明な理由でキャンセルされていた。 そして翌朝、幼馴染みのひとりが遺体となって発見される。しかし、これは予言に基づく悲劇のはじまりに過ぎなかった。 不思議な風習、怨霊の言い伝え、「偶然」現れた霊能者の孫娘。祖母の死の真相を突き止めに来たという、彼女の本当の目的とは……。 あなたは、真実に気づくことができるかーー。島の秘密が暴かれたとき、惨劇の幕が開く。
官能小説の依頼に難航していた女性ホラー作家は、女性同士のカップルの後をつけ漫画喫茶へ。隣の壁に耳を澄ませ聞こえてきたのは、衣擦れ、溜息、潤みの音で……(「壁の向こうで誰かが」)。医師の寺沢は急患の老女の足に驚く。爪先に向かって細く、指は折り畳まれ、足裏は窪んでいた。纏足だ。それは、性具だった──(「Lotus」)。歪んだ欲望が導く絶頂、また絶頂。五人の作家の官能アンソロジー。
本誌『幽』も、2004年の創刊から、今回で30号を数えることになりました。 思い返せば30年前の平成元年(1989)前後は、日本の怪談文芸やホラーにとって、大きな節目の時期でありました。 昭和63年(1988)には、本格的な国産モダンホラー/怪談文芸にいち早く先鞭をつけた小池真理子の長篇『墓地を見おろす家』が、平成元年(1989)には80年代伝奇バイオレンス興隆の双璧となった両雄の大作──菊地秀行『夜叉姫伝』と夢枕獏『上弦の月を喰べる獅子』が、平成2年(1990)には、稲川淳二『稲川淳二のここがコワインですよ』、木原浩勝&中山市朗『新・耳・袋』、常光徹『学校の怪談』という90年代以降の怪談実話シーンの方向性を決定づけることになる3冊が、そして平成3年(1991)には、90年代の日本ホラー興隆の呼び水となった鈴木光司『リング』、史上はじめてホラーで直木賞を受賞した高橋克彦『緋い記憶』、学術書でありながらその後の怪談文芸やホラー小説にも大きな影響を与えた高田衛『江戸の悪霊祓い師』……まさに、現代日本の怪談文芸は平成とともに始まった! と申しあげても過言ではないでしょう。 あれから30年──平成16年(2004)には史上初の怪談専門誌となった本誌が呱々の声をあげるなど、日本の怪談シーンは右肩上がりに、多様な展開を示して現在に至ります。 いま、平成が終わりを告げ、新たな時代が幕を開けようとするこの時期に、平成という時代に生まれた怪談小説・怪談実話・怪談漫画の全貌を展望する特集を企画した次第です。 『幽』編集顧問 東 雅夫
【第72回推理作家協会賞短編部門受賞「学校は死の匂い」収録!】 雨の日にだけ、体育館に幽霊が出るーー。 小学六年生の美晴は、学校に伝わる心霊めいた噂通りに体育館のキャットウォークから飛び降りる白い少女を目撃する。白い少女の正体は何か、何故彼女は飛び降りるのか。姉・琴子に対抗するため、美晴は真相究明に挑むが!?(受賞作「学校は死の匂い」) 「などらきさんに首取られんぞ」祖父母の住む地域に伝わる“などらき”という化け物。刎ね落とされたその首は洞窟の底に封印され、胴体は首を求めて未だに彷徨っているという。しかし不可能な状況で、首は忽然と消えた。僕は高校の同級生の野崎とともに首消失の謎に挑むが……。 (表題作「などらきの首」)
オカルト雑誌で働く藤間が受け取った、とある原稿。読み進めていくと、作中に登場する人形が現実にも現れるようになり……。迫りくる死を防ぐために、呪いの原稿の謎を解け。新鋭が放つ最恐ミステリ!
中島哲也監督による映画化決定! 空前絶後のノンストップ・ホラー、待望の文庫化! 映画タイトル:「来る」 公開:2018年12月 配給:東宝 出演:岡田准一 黒木華 小松菜奈/松たか子/妻夫木聡 幸せな新婚生活を営んでいた田原秀樹の会社に、とある来訪者があった。取り次いだ後輩の伝言に戦慄する。 それは生誕を目前にした娘・知紗の名前であった。原因不明の怪我を負った後輩は、入院先で憔悴してゆく。 その後も秀樹の周囲に不審な電話やメールが届く。一連の怪異は、今は亡き祖父が恐れていた“ぼぎわん”という化け物の仕業なのか? 愛する家族を守るため秀樹は伝手をたどり、比嘉真琴という女性霊媒師に出会う。 真琴は田原家に通いはじめるが、迫り来る存在が極めて凶暴なものだと知る。はたして“ぼぎわん”の魔の手から、逃れることはできるのか……。 “あれ”からは決して逃れられないーー。綾辻行人・貴志祐介・宮部みゆきら絶賛の第22回日本ホラー小説大賞〈大賞〉受賞作!
テーマは「館」、ただひとつ。今をときめくミステリ作家たちが提示する「新本格の精神」がここにある。奇怪な館、発生する殺人、生まれいづる謎、変幻自在のロジックーー! 収録作品:東川篤哉『陽奇館(仮)の密室』、一肇『銀とクスノキ 〜青髭館殺人事件〜』、古野まほろ『文化会館の殺人 --Dのディスパリシオン』、青崎有吾『噤ヶ森の硝子屋敷』、周木 律『煙突館の実験的殺人』、澤村伊智『わたしのミステリーパレス』 テーマは「館」、ただひとつ。 今をときめくミステリ作家たちが提示する「新本格の精神」がここにある。 奇怪な館、発生する殺人、生まれいづる謎、変幻自在のロジックーー! 読めば鳥肌間違いなし。謎は、ここにある。新本格30周年記念アンソロジー第二弾。 収録作品: 東川篤哉『陽奇館(仮)の密室』 一肇『銀とクスノキ 〜青髭館殺人事件〜』 古野まほろ『文化会館の殺人 --Dのディスパリシオン』 青崎有吾『噤ヶ森の硝子屋敷』 周木 律『煙突館の実験的殺人』 澤村伊智『わたしのミステリーパレス』 東川篤哉 『陽奇館(仮)の密室』 一肇 『銀とクスノキ 〜青髭館殺人事件〜』 古野まほろ 『文化会館の殺人──Dのディスパリシオン』 青崎有吾 『噤ヶ森の硝子屋敷』 周木 律 『煙突館の実験的殺人』 澤村伊智 『わたしのミステリーパレス』
夫の転勤先の東京で幼馴染の平岩と再会した果歩。しかし招かれた平岩家は、不気味な砂が散る家だった。怪異の存在を訴える果歩に異常はないと断言する平岩。はたして本当に、この家に「怪異」は存在するのかーー。
人間が一番怖いー。あなたの日常を侵食する究極のサイコ・サスペンス!ホラー小説の新人賞を獲得し、僕は出版に向けて準備をはじめた。隣にはいつも支えてくれる最愛の妻・キリカ。順風満帆な日々が続くと思われたが、友人の一人が「作家とは人格破綻者である」「作家は不幸であるべき」と一方的な妄想を僕に押し付け、嫌がらせをはじめる。ストーカー行為、誹謗中傷の手紙、最悪の贈り物。やがて不幸は、僕とキリカのとある「秘密」を暴き出すがー。
不審死を遂げたライターが遺した原稿。オカルト雑誌で働く藤間は、作中に登場する「ずうのめ人形」という都市伝説に惹かれていく。読み進めるごとに現実に現れる喪服の人形。迫り来る怪異を防ぐため、藤間は先輩である野崎に助けを求めるがーはたしてこの物語は「ホンモノ」か。