著者 : 瀬野莉子
NYの語学教師リアーンは、母や姉妹と今季最大のパーティへ。名うてのイタリア大富豪アレッサンドロ・ロッシが主催者だという。美しい漆黒の髪に彫りの深い顔立ちの男性に足を踏まれたリアーンは、それがアレッサンドロであることに気づいて心臓が早鐘を打った。だが彼の興味を引いたのは、明るく社交的な妹のほうで…。壁の花となったリアーンが独りテラスにいたとき、真夜中の鐘が鳴った。ふと、会場から駆け出していく妹を見つけて外へ捜しに行くと、階段のところにアレッサンドロがガラスの靴を持って立っていた。その靴は妹が落としていったもの。切なさをこらえるリアーンに、アレッサンドロが言った。「彼女を見つけるのを手伝ってもらいたい」
目が覚めると、彼女は記憶をなくしていた。列車事故が起き、偶然現場にいた医師スチュアートに命を救われたが、彼女は意識を失う前、赤ん坊を大事に抱えていたという。その子は彼の姪で、彼女は亡き兄の妻デザレイだと聞かされる。彼は兄と長く疎遠だったため、その妻である彼女とは初対面らしい。わたしに夫がいたなんて、まったく身に覚えがないけれど…。これまでの人生を失った不安に押しつぶされそうななか、親身に支えてくれるスチュアートに、いつしか心を許していた。そこから、彼女のデザレイとしての人生が始まるかに見えたーだが、やがて驚きの真実が判明する。彼女はデザレイではなかった!
美しい海辺の小さな町の病院で働くアビーは、救急科に駆けこんできた医師を見て呆然とした。ルーク…!二人は学生時代に知り合い、深く愛し合っていた。けれど5年前、ルークは病気の後遺症で子供を作れないことを理由に、アビーに別れを迫った。彼とはもう違う人生を歩み始めたはずなのに。まさかまた会うなんて、夢にも思わなかった。聞けばルークは、身重の患者が旅先のこの町で突然破水したので、しばらく滞在して付き添うことになったという。彼は驚くだろうーわたしの家に、淡いブルーの瞳とプラチナブロンドの髪をした、彼にそっくりな4歳の男の子がいると知ったら…。
「起きろ!ぼくの別荘でいったい何をしている?」リーズが驚いて顔をあげると、目の前に初恋の人がいた。12年前より背が高く、たくましくて魅惑的なケイドー彼はいまや成功した実業家で、わたしとは別世界の住人だ。その証拠に、フロリダのこの高級リゾート一帯は彼のものだという。たがいに戸惑いながら言葉を交わすうち、ケイドの父親によって引き合わされたのだと気づいたときには、ふたりは嵐のせいで彼の別荘から出られなくなっていた。1週間の間だけーそう自分に言い聞かせ、リーズは夢見ることにした。美しく静かなこの場所で、かなうことのない愛の続きを。-すべてを忘れて、昼夜を問わず自由奔放に愛し合うふたり。やがてケイドが愛を告げ、リーズはかつて彼のもとを去った理由と秘密をついに告白せざるを得なくなり…。救いのない世界で生き延びた乙女の、切なくも美しい恋物語。『孤高の富豪を愛したら』関連作。
小学校教師のアメリアはギリシア富豪サントスに雇われ、夏のあいだ、ギリシアにある彼の邸宅で働くことになった。サントスは淡い青の瞳がすてきなハンサムな男性だが、女性関係が派手で、野暮ったいわたしの手が届く人じゃない。しかし彼女には、富豪の申し出を断れなかった理由があった。サントスの6歳になる息子、キャメロンの存在だ。あの子は突然現れた父親になじめず、不安でいっぱいなはず。せめてわたしがそばにいて、あの子を守ってあげなくては。彼に熱く誘惑された夜を、いまだに忘れられずにいても…。
ベッツィは1歳を過ぎたばかりの息子を抱き、ため息をついた。大雨で仕事に行けないばかりか、浸水した家を直すお金もない。こんなとき脳裏をよぎるのは、カルロスのことー家政婦をしていた屋敷に宿泊した、ハンサムな大富豪だ。あの夜、彼に求められて純潔を捧げ、息子を身ごもったが、すでにスペインに帰国していた彼に知られるすべはなかった。ああ、せめてもう一度、情熱的で優しかった彼に会えたら…。そこへ、信じられないことに、カルロスその人が現れた。怒りの形相で、“隠し子発覚!”と見出しの躍る新聞を抱えて。
海辺の村に育った素朴な娘コーデリアは、嵐で転覆したボートから落ちて溺れた男性を助け、彼が意識を取り戻すまでの数日間、懸命に看病をした。目覚めた彼はルカと名乗り、イタリアから休暇で来たと言う。褐色の肌と逞しい体、セクシーな瞳。コーデリアは恋に落ち、彼にすべてを捧げた。やがて去っていく人と知りながら…。ところが、ルカがイタリアへ帰ったあと、妊娠が判明する。意を決して彼を訪ねるが、待っていたのは残酷な仕打ちだった。実はルカは億万長者で、ずっと前から婚約者もいるというのだ!
冬のバルセロナで、パーティの企画を手掛けるステイシーは、兄の親友で、十代の頃片想いしていたルーカスと、5年ぶりに鉢合わせした。恐ろしくハンサムなIT業界の寵児、黒髪のスペイン人億万長者の彼にいまだに子供扱いされ、ステイシーは動揺する。もう今は生意気な女学生じゃないのに。イベントは大成功し、ルーカスにダンスに誘われた彼女は、セクシーなシルクのドレスに身を包み、願った。今夜こそ彼に純潔を捧げたい、と。そんな彼女を、なぜか頑なにルーカスを拒絶して…。
ヨーロッパ有数の富豪マシューは出席していたパーティで、白いレースのドレスをまとった女性を見かけ、無性に惹かれた。だが、世間から“獣”と噂されている自分が、あれほど無垢な輝きを放っている女性に近づいてはだめだ!ところが気づけばマシューは彼女のそばに行き、話しかけていた。初恋を失ったマリアは絶望の淵に沈んでいた。そんな折、力強い体と官能的な唇を持つ男性がそばに現れ、われ知らず尋ねてしまう。「キスをするのってどんな気分?」3カ月後、彼のオフィスで妊娠を報告することになるとも知らず。マシューはマリアの妊娠を知るやいなや結婚を申し出る。でも、それは子どものためだけの愛のない結婚で…。リン・グレアムの愛弟子の便宜結婚物語。『幻の乙女と仮面の花婿』の関連作。
学生時代から、ジョージアとウィルはいちばんの親友同士だった。当時、彼女はウィルにほのかな恋心を抱いていたけれど、あと一歩が踏み出せず、そのうち彼は別の女性と結婚してしまった。だが2年後、億万長者となったウィルが突然ジョージアを訪ねてくる。なんと、別れた妻が内緒で出産していたわが子を引き取りたいから、協力してくれないかというのだ。あまりに唐突な頼みに、ジョージアは開いた口がふさがらなかった。ずっと連絡すらよこさなかったのに、いまになってなぜわたしに?でもどんなに離れていても、わたしは愛するウィルを忘れられなかった。今度も願いを叶えれば、彼がまた去っていくとわかっていても。
盲目だったが故に人間離れした五感を持つケンドラは、一流犯罪コンサルタントのアダムと組み、事件を解決してきた。4カ月前には長年の宿敵であった殺人鬼コルビーを処刑場へ送り込むが、平穏を取り戻した世界で、彼女だけがその死を信じられずにいた。猟奇的な事件が起きるたび、コルビーの痕跡を血眼で探すケンドラは嘲笑の的となってしまう。そんな中、ケンドラを揶揄する記事を書いた記者が殺される。その手口は紛れもなくコルビーのものだった。そしてついに、邪悪な求愛者が帰還を果たす。アダムの不在を狙ったかのように。
山間の小さな町で育ったセレニティは、町の助けとなる事業を立ち上げるべく、敏腕コンサルタントとして名高いケイレブのもとを訪れる。容赦ない手腕で大金を動かす彼は生きる世界も価値観もセレニティのそれとはまったく違うーそれなのに、彼女は男らしくハンサムなケイレブに一瞬で心を奪われた。そしてセレニティを見つめる彼の目にも、隠しきれない情熱の炎が揺らめいていた。だがある日、セレニティに届いた一通の脅迫状が二人の関係を一変させる。ケイレブは人が変わったような眼差しで彼女を見やると、冷たく突き放したのだ。
誕生時に母を失ったダニーは、亡き母の親友に引き取られ、その家の息子ジョシュとは兄妹も同然に育った。だが十代になると、優しくてハンサムな彼を異性として意識し始め、18歳の誕生日に、思い余って彼にキスをしてしまう。ああ、私はなんてことをしてしまったの?ダニーは悔やんだ。なぜなら、その日を境にジョシュが彼女を遠ざけるようになったからだ。9年後、ふたりは指導医と研修医という立場で再会した。いまだ“小さな妹”扱いされつつも、ダニーは彼に恋心を募らせる。ある日、家が水難に見舞われてジョシュ宅で暮らすことを余儀なくされ、ダニーはどきどきするあまり、まんじりともせず夜を過ごすが…。
パーティ会場で、シャンパンのグラスを手に近づいてくる長身の男性からデジは目が離せなかった。なんてゴージャスな人なのかしら。たくましく広い肩、魅力的な笑みをたたえたセクシーな口もと。危険な光を放つエメラルド色の瞳に見つめられ、心臓が激しく打ちだす。ニックと名乗った彼にダンスに誘われ、気づくとデジは唇を奪われていた。そして抗い難い衝動に突き動かされるまま、ニックと一夜を共にするが、情熱のあまりの激しさに怖くなり、翌朝早く彼の屋敷を逃げ出した。もう二度とニックとは会わず、思い出だけを胸に生きていくつもりで。やがて妊娠に気づいたデジは彼が億万長者のニック・デュランドだと知る。彼に知られてはならない。あの夜、赤ちゃんを授かったことは…。
生まれつき目が見えず、手術の末に20歳で初めて視力を獲得したケンドラ。盲目の日々のなかで驚異的な洞察力を培い、FBIに協力して数々の難事件を解決してきたが、1年前の事件で元恋人を亡くして心に傷を負った後は、捜査から離れた日常を送っている。そんなある日、1年前にケンドラを事件に巻きこんだ張本人、その冷徹さで恐れられる敏腕犯罪コンサルタントのアダムが再び現れ、連続殺人の捜査に協力するよう迫る。事件の共通点はただひとつーどの殺人のやり口にも、ケンドラが捕らえた殺人鬼の手口が模倣されていて…。話題沸騰の“ケンドラ・マイケルズ”シリーズ最新作ー何者かのおぞましき執着愛が、ケンドラを追い詰めていく…!
サマンサはハンサムで優しい恋人クライヴに夢中だ。父親は「君はあの男の本性をわかっていない」と反対するが、サマンサは、そんな子ども扱いにはうんざりだった。だがある夜、彼女は婚前交渉を迫るクライヴと喧嘩してしまう。彼のもとを逃げ出し、迷い込んだ美しい邸宅の庭で出会ったのは、傲慢で謎めいた実業家、ブレット・キャリントン。驚いたことに彼とクライヴは古くから因縁の関係にあるようで、翌日からブレットはサマンサを毎日のように誘いだすようになった。クライヴを愛しているからと拒んでも、軽くいなされてしまう。あげくブレットは、サマンサを自家用ジェットで別荘に連れ去りー。
1年前、スペイン人の夫サヴの運転する車が衝突され、アイラは4歳の息子ケーシーを失った。その後、サヴは罪悪感から心を閉ざし、彼女に冷たい態度をとるようになっていった。背中を向け合って眠りにつく日々が続き、やがてアイラは離婚しかないと考えるようになる。そのために仕事への復帰を決める彼女だったが、皮肉にも、サヴと同じ職場を選ばざるをえなかった。仕事場では気さくで、魅力的で、部下からの信頼も厚い彼。妻の自分には見せてくれない顔、アイラの心はさらに沈み…。