著者 : 牧野信一
私小説的悲愴と空想的跳躍の錬金術的混合物! 大正時代から昭和初期にかけて、「マイナーポエット(小作家)」と称された牧野が生み出した結晶のような詩文は、ある種の人の心に深く残り、人生を歪めもすれば救いもした。 悲しみと羞恥を引きずりながらも、精いっぱい夢想の中に遊んだ作品群に、耽溺したい! === 【収録作品】 月下のマラソン 蘭丸の絵 ランプの明滅 嘆きの孔雀 初夏 凸面鏡 心配な写真 スプリングコート センチメンタル・ドライヴ 黄昏の堤 ビルヂングと月 ガール・シャイ挿話 街上スケッチ 風媒結婚 ゼーロン 緑の軍港 るい 《解説》 変幻する牧野的主体の居場所 【収録作品】 月下のマラソン 蘭丸の絵 ランプの明滅 嘆きの孔雀 初夏 凸面鏡 心配な写真 スプリングコート センチメンタル・ドライヴ 黄昏の堤 ビルヂングと月 ガール・シャイ挿話 街上スケッチ 風媒結婚 ゼーロン 緑の軍港 るい 《解説》 変幻する牧野的主体の居場所
ノスタルジーと夢魔を宿す遙かなるメルヘン群。ある日一郎君のところに届いたふしぎな手紙「どんぐりと山猫」。金色の輪の少年が導く死の世界「金の輪」。不条理なリンチの慣わしがある奇妙奇天烈な村の物語「鬼涙村」。憎むべき論敵・蛸博士への復讐がたくらまれるナンセンス物語「風博士」。他全59編。
「父を売る子」他、肉親を仮借なく批判した〈私小説〉を執筆、一族の血の宿命からの脱却をギリシャ的神話世界に求めた異色の作家牧野信一。処女作「爪」を島崎藤村に激賞され、空想と現実の狭間で苦悩し自死した先駆的夭折作家の、12篇を収録。
故郷小田原の風土に古代ギリシアやヨーロッパ中世のイメージを重ね合わせ、夢と現実を交錯させた牧野信一の幻想的作品群。表題作の他に「鬼涙村」「天狗洞食客記」等の短篇8篇と「文学的自叙伝」等のエッセイ3篇を収める。
昭和初期の時代のうねりなかで、知的幻想趣味徹底した快楽主義的生活との交錯によって、特自のボヘミヤニズムを生みだし、夭折した作家牧野信一。その真骨頂をなす「吊篭と月光と」「ゼーロン」「バラルダ物語」など傑作短篇小説9篇を収録。