著者 : 田中昌太郎
ソ連の宇宙戦略に不可欠の存在で、世界的に有名なロシア人科学者シャライェズ。妻の不貞が原因で窮地に陥った彼は、西側への亡命を考え始める。折りしも恋仲になった美しいイギリス娘ルシンダとの暮らしを夢見たせいもあった。しかも、幸運なことに彼はスウェーデンの学会に招聘される。が、すべては英国の謀略だった。KGBに監視された彼を亡命させるべく、特殊部隊SASに密命が下った!
英国、スウェーデン、アメリカ、ソ連など、各国の思惑が複雑にからみ合う中、シャライェズ亡命工作は崩壊の危機に瀕していた。ついに英国情報部は最後の賭けに出る。その結果、SASはスウェーデンとノルウェーの国境の峨々たる山岳地帯に派遣された。待ち受けるのはソ連特殊部隊スペツナズの精鋭。猛吹雪の中でプロ同士の死闘が開始された!英国で人気沸騰の俊英が放つ冒険アクション。
ソ連のイスラム系共和国の各地で反体制民族運動が激化しつつあった。このまま闘争が広がれば、ソ連は崩壊する。危機感をつのらせた保守派のKGB議長フョードロフは、独断で反体制の波を鎮める策略をめぐらし始める。そんな折、CIAが進める超能力研究の関係者が何者かに殺害されるという事件が起きた。研究の責任者ベニントンは即座に事件の調査を開始する。-やがて、世界を揺るがす陰謀に巻き込まれるとも知らずに…。
フョードロフの計画は恐るべきものだった。まず、過激なイスラム教徒の犯行に見せかけた対米テロ事件を引き起こす。次いで米大統領の感情を操り、テロ事件に対して過剰反応を取らせる。そして、ソ連国内のイスラム系住民の鉾先をアメリカに向けさせようというのだ。計画はついに実行に移された。一方、ソ連の陰謀を知ったベニントンは、危機回避に全力を注ぐが…。『第五の騎手』の共著者が放つ戦慄のサスペンス巨篇。
イギリス情報部を退職したホランドは、目下、クラシック音楽のエージェントとして活躍している。ある日、何者かが彼を毒殺しようと図った。その後、彼は行く先々で命を狙われる。誰が?いったい何の目的で?謎を解く鍵は、六年前、任務を帯びて赴いたプラスにあるらしい。絢爛たる歌劇場やコンサート・ホールを背景に、凄愴なエスピオナージュを描く傑作シリーズ第二弾。
アメリカの軍人と家族を乗せた旅客機がアラブ・ゲリラにハイジャックされた。旅客機はリビアの航空基地に着陸、人質となった乗員と乗客は管制ビルの中に閉じ込められた。やがてゲリラたちは、イタリアとクウェートで拘留されているリーダーと仲間の釈放を要求。だが、イタリアは応じたものの、クウェートは釈放を拒否、ゲリラたちは乗客の処刑を開始した。この事態にアメリカ政府は急遽強硬策を採り、人質を救出するため、ついにファイア・アロー作戦を発動する。かくて、海軍特殊部隊SEALが人質の確保に赴き、つづいて基地を防衛するリビア軍を抑えるため、陸海空軍と海兵隊の部隊が出動した。だが、その時、背後でソ連が不隠な動きを見せていた…。
死んだ父親が愛用していた航海用具の六分儀。それが息子のジョナサンの前に突然現われた。警察から渡された六分儀を見て、彼はわが目を疑った。貨物船の船長だった父は第二次大戦中Uボートの魚雷を受け、船もろとも嵐の海に沈んだ。そのとき六分儀も一諸に沈んだはずなのだ。乗組員は全員死亡している。では、なぜ?警察の話では、六分儀はスコットランドの村で盗まれたものだという。不可解な謎を解くため、ジョナサンは恋人と調査を始めたが…やがて明かされる父と乗組員の驚くべき運命とは?海洋冒険小説とミステリを結合させた力作。
元イギリス情報部員マーク・ホランド。彼は過去を清算し、クラッシク音楽のエージェントとして活躍している。しかし、東西間の熾烈な諜報戦は、彼を否応なくその渦中に投げ入れた。からくも死地を脱したホランドが見出した恐るべき事実とは?元レコード・プロデューサーの作者が音楽界とエスピオナージュを巧妙にないまぜた新シリーズ第1弾。
対戦車ミサイルの権威をソ連から亡命させるため、ある男が英国情報局に招聘された。輝かしい軍歴を誇りながら、アイルランドの暴動鎮圧作戦で、少女を誤射し、すべてを剥奪され放逐された男ジョニー・ドノヒュー。アウトバーンを利用する周到な亡命計画が情報局の威信を賭けて立案され、ついに発令された。しかし再起を期して東側に潜入した彼をあまりに非情な事態が見舞う!
幼い頃に別れた父親から突然届いた一通の手紙。それがロンドンで平凡に暮らす息子ジャックの生活を一変させた。手紙によると、父は死刑囚として南アフリカ共和国の刑務所にいるという。いったい何が起きたのか?調査を開始したジャックは、やがて意外な事実を知る。父はSISの工作員で、南アフリカの反政府組織内で情報収集中、爆弾事件に関わり公安警察に逮捕されたのだった。SISが見殺しにすることを知ったジャックは、手製爆弾を使って独力で父を救う決意をするが…。反アパルトヘイト運動に揺れる南アフリカを舞台に描く冒険サスペンス。
イギリスが開発した戦闘攻撃機ブラックホークがテスト飛行中に墜落し、パイロットの空軍少佐が死亡した。三重のフェイルセーフ・システムを備えた最新鋭機がなぜ?墜落の原因をめぐって謎が深まる中、ブラックホークの配備をめざす政府側と、イギリス版SDI“スペース・ストライク計画”の推進派との対立が激化し始めた。そんな折り、死亡した少佐の恋人でイギリス空軍の女性パイロットのエリカは、通信社の記者である少佐の兄と墜落事件の調査に乗り出す。だが、やがて彼らにも不気味な死の影が!緊迫した筆致で描き出す航空サスペンス。
大統領の様子が近ごろおかしい。いつも快活な人柄が孤独で粗暴な性格に変わってしまった。家族にも、友人にも、国民にも猜疑心を抱き、ついにソ連の全面核攻撃を妄想するに至った。何が彼をかくも狂わせたのか?それは主治医サッチャー博士だけが知る秘密であった。追真のストーリーに実在の大統領医務官も絶讃したポリティカル・スリラー。
ベルファストの朝のしじまを破って、1発に砲声が轟いた。IRAのマクナリーがロケット砲で治安判事ら3名を殺害したのだ。全ては計画通り運んだかに思えたが、英軍のフェリス中尉が逃走を目撃、その証言でマクナリーは治安当局に逮捕された。起訴されれば終身刑は必至。際限なきテロに倦み渡れた彼は、同情的なフェリス中尉に支えられ、全てを終らせる決意をする。IRA幹部の名を明かし、法廷で証言するのだ。だがIRAが裏切り者を見逃すわけはなかった!硝煙の街を舞台に、テロリストの孤独な戦いと、英軍将校との友情を描く力作サスペンス。
ホワイトハウスに恐るべき脅迫電話がかかってきた。自分達は核爆弾を盗み出した、指定の時間内に合衆国がヨーロッパから核兵器を引き揚げねば、その爆弾でヨーロッパの一都市を破壊するというのだ。大統領はこの危機打開の総責任者に元CIA局員のゴードンを指名、ゴードンは犯人を追ってヨーロッパへ飛ぶ。また、事態を知ったソ連は異例の協力を申し出、KGBの情報員を派遣した。刻々と迫る爆破時刻ー果たして破局は回避なるか?