著者 : 白石朗
死刑囚舎房の夏は、インディアン系囚人の処刑で始まった。その頃「グリーン・マイル」には不思議な鼠があらわれた。食べ物をやると神妙な態度で床にちょこんと座って食べ、糸巻きを相手にサーカスさながらの芸当をやる、驚くほど知性的な鼠だった。6人の人間を生きながら焼き殺した囚人ドラクロアが、この鼠の飼い主となったのだがー最悪の地獄がいま、始まろうとしていた…。
時は1932年、舞台はアメリカ南部のコールド・マウンテン刑務所の死刑囚舎房。この刑務所で死刑囚が電気椅子にたどりつくまでに歩く通路は、床が緑のリノリウムであることから、通称「グリーン・マイル」と呼ばれている。ここで起こった驚くべき出来事とは?そして電気椅子の真の恐ろしさとは?毎月1冊ずつ全6巻の分冊で刊行され、全米を熱狂させた超ベストセラー待望の第1巻。
ガス室での死刑執行が目前に迫った69歳の死刑囚サム。実の祖父の弁護に奔走する26歳の弁護士アダム。あらゆる法的手段を駆使して救命に努めるが、刻々と迫る処刑の瞬間まで残された時間はあとわずか。もはや死刑をまぬがれることはできないのか?死刑制度そのものの問題点を抉りだし、死の恐怖と向き合う人々の苦悩を浮き彫りにした著者渾身の長編。
弁護士資格を取得してわずか三カ月の青年に勝ち目はあるのか?難癖をつけて、法の名の下に骨髄移植への保険金支払いを拒否しつづける巨大企業。企業の論理に個人は敗北しなければならないのか。法は弱い者の味方では…企業側の強力弁護団を相手に無謀な戦いを挑む新人弁護士の勇気ある行動を通して法社会の現実に迫る。
少年の名はマーク、11歳。その日彼は弟のリッキーをつれてタバコを吸うために森へ行き、一人の男の自殺に遭遇してしまう。自殺した男は上院議員殺害の嫌疑がかけられているマフィアの弁護士で、死のまぎわ恐るべき秘密情報をマークに打ち明けた。秘密をしゃべったら自分も殺される。たった1ドルで弁護を引き受けてくれた女弁護士レジーと共に、彼は巨大な権力に追われ始めた…。
上院議員殺害事件の真相を知ってしまったマークは、マフィアに命を狙われている。その上、事件を解決して名をあげようとする野心家の連邦検事とFBIが何とか証言させようと追及する。マークが頼れるのは、女弁護士レジーだけ。黙秘し続けることはできない。でも証人保護プログラムも当てにはならない。この窮地を脱するにはー。熱い緊迫感をもって展開する感動のサスペンス。
完璧な美貌に抜群のプロポーション、そのうえ成績はトップクラス。ニューオーリンズのテューレーン大学ロースクールで、ダービー・ショウは男子学生の憧れの的。だが、FBIさえ解決できない難事件の答えを、クールな頭脳で推理して文書にまとめたその時から、彼女の悪夢が始まったー彼女を巻き込んだ巨大な国家的陰謀とは。その「ペリカン文書」で言い当てられた衝撃の事実とは。
ニューヨーク、ワシントンDCと場所を変え、生命の危険にさらされ続けたダービーが協力を求めたのは、新聞記者のグランサム。事件の背後に潜む組織が「ペリカン文書」をもみ消そうと動くなか、証人を探しだし、情報の裏づけをとらなければ、陰謀を暴くことはできない。殺されるか、それとも巨大権力を突き崩すかーアメリカの現実をリアルに織り込んだノンストップ・サスペンス。
プラチナ・ブロンドの髪が輝く天性の美貌と魅力の持ち主クリスタルがスペンサーと出会ったのはまだ14歳の時。二人は互いの目が会った瞬間から恋に落ちたのだが…。女優になる夢を抱き、度重なる逆境を乗りこえるクリスタル。彼女への思いを秘めながら、才気煥発なエリザベスにも心動かされるスペンサー。愛し合いながらもすれ違う男と女の真実の幸せの行方を描いた長編ロマンス。
ハーヴァードを優秀な成績で卒業した苦学生ミッチは、メンフィスの小さな法律事務所から高額の年俸、BMWの新車つき一軒家という破格の待遇で迎えられた。この事務所、新人弁護士にも苛酷な仕事を要求するが、10年もすれば億万長者であとはバラ色の人生が待っている。彼は愛妻アビーの不平にも耳を貸さず、一日20時間働いた。だが、こんなうまい話、この世の中にあるわけない…。
ミッチが勤めるこの事務所、過去に五人の死者をだしている。一切が盗聴され、常に監視されているようだし、何者かの指令で事務所が動いているらしい。接触してきたFBIの捜査官に真相を聞かされたミッチは、事務所を操る巨悪の組織とFBIの双方の裏をかくとんでもない策を練る。タダじゃ正義に加担しない、しっかりと取るべきものはとる。
いまなお人種差別の色濃く残るアメリカ南部の街クラントン。ある日この街で、二人の白人青年が十歳の黒人少女を強姦するという事件が起きた。少女は一命をとりとめ、犯人の二人もすぐに逮補されたが、強いショックを受けた少女の父親カール・リーは、裁判所で犯人たちを射殺してしまう。若いけれど凄腕のジェイクが彼の弁護を引受けたのだが…。全米ベストセラー作家の処女長編。
カール・リーの弁護を務めるジェイクの周辺では、庭先に燃える十字架を立てられるなどのいやがらせや脅迫が相次ぐ。才気煥発な女子学生エレンと共に準備を進めるが、確信犯ともいえる犯罪で無罪を勝ち取るのは不可能に近い。公判が始まり、黒人と白人の対立が頂点に達するなか、ついに評決のときを迎えたがー。アメリカの裁判の雰囲気をリアルに伝える、第一級の法廷サスペンス。
わずか2時間の間に1人は銃弾で、1人は絞殺とその殺害方法こそちがえ2人の最高裁判事が殺された。そのあざやかな手口からプロの殺し屋の仕業にまちがいない。だれがなんのために2人を標的に選んだのか?ロースクールの美人女子大生が書いた事件の摘要書〈ペリカン文書〉が見えない敵の存在をあぶりだす。彼女に危機が迫る…。
エメラルド色の瞳と炎のような赤毛をもつロシア伯爵家の令嬢ゾーヤは、18歳まで何ひとつ不自由なく暮らしていた。しかし革命ですべてを失い、パリへ脱出した時にゾーヤの波瀾の人生は始まった。バレエダンサーとして貧しい生活を送る彼女は、やがてアメリカ人の大尉と熱烈に愛しあうのだが、運命は彼女にさらなる試練を与えるのだったー。ロマンス小説の女王が贈る感動の愛の物語。
ある法律事務所から破格の待遇で迎えられた青年弁護士マクディーアは、5人の前任者がそれぞれ不審な最後を遂げていることを知る。自分の身辺も常に監視されているような気が…。マクディーアの疑惑は深まる。全米50週連続ベストセラーの新人作家のサスペンス。
ラオス国境沿いにあるヴェトナムのアメリカ軍基地に一人の兵士が転属されてきた。男の名前はトム・ライト。敵襲を何度も生きのびてきた優秀な狙撃兵であった。だが、ライトの配属された部隊は常に戦死者が続出するため、誰一人彼の回りに近づこうとする者はいなかった。通信兵ジャクソンは、ライトの面倒を見ることを命じられたことから彼と親しくなり、〈スターライト〉と呼ばれる狙撃用の夜間スコープに隠された驚くべき秘密を打ち明けられる。なんと、ライトの持つ夜間スコープには次に戦死する人間の姿が浮かび上がるというのだ。一方、前線基地はすでにイカレた兵士たちの吹きだまりと化していた。M-16ライフルをギターがわりにして、ジミ・ヘンドリックスの歌詞でしか会話をしないロック狂の兵士レナルズ。雷が同じところには落ちないという俗信から、わざと弾痕の開いた戦闘帽をかぶっている分隊長のリアンダー。ライトにまつわる伝説を利用して、怪しげな保険を始めて一儲けをたくらむイカサマ師のラボウフなどなど。死の恐怖におびえる兵士たちは、さまざまな狂態を繰り広げていた。やがて戦況は悪化して、ライトはスコープに映し出される奇妙な《死者の棲む街》の話をし始め、ジャクソンも彼も、やがてその街の住人となることを告げたのだった…。ジョーゼフ・ヘラーの「キャッチ22」や、ティム・オブライエンの「カツィアトを追跡して」の流れに続く、新進作家による異色の戦争小説。