著者 : 百田尚樹
突如としてネット上に現れた、謎の「誘拐サイト」。“私たちが誘拐したのは以下の人物です”という文言とともにサイトで公開されたのは、6人のみすぼらしい男たちの名前と顔写真だった。果たしてこれは事件なのかイタズラなのか。そして写真の男たちは何者なのか。半信半疑の警察、メディア、ネット住民たちを尻目に、「誘拐サイト」は“驚くべき相手”に身代金を要求するー。日本全体を巻き込む、かつてない「劇場型犯罪」が幕を開ける!
あの夏、ぼくは「勇気」を手に入れた。稀代のストーリーテラーによる約3年ぶり、渾身の長編小説。人生で最も大切なもの。それは、勇気だ。ぼくが今もどうにか人生の荒波を渡っていけるのは、31年前の出来事のおかげかもしれないー。昭和最後の夏、ぼくは仲の良い友人2人と騎士団を結成する。待ち受けていたのは、謎をめぐる冒険、友情、そして小さな恋。新たなる感動を呼び起こす百田版「スタンド・バイ・ミー」、遂に刊行。
国を追われた二匹のアマガエルは、辛い放浪の末に夢の楽園にたどり着く。その国は「三戒」と呼ばれる戒律と、「謝りソング」という奇妙な歌によって守られていた。だが、南の沼に棲む凶暴なウシガエルの魔の手が迫り、楽園の本当の姿が明らかになる…。単行本刊行後、物語の内容を思わせる出来事が現実に起こり、一部では「予言書」とも言われた現代の寓話にして、国家の意味を問う警世の書。
安住の地を求めて旅に出たアマガエルのソクラテスとロベルトは、平和で豊かな国「ナパージュ」にたどり着く。そこでは心優しいツチガエルたちが、奇妙な戒律を守り穏やかに暮らしていた。ある事件が起こるまではー。平和とは何か。愚かなのは誰か。大衆社会の本質を衝いた、寓話的「警世の書」。
幼い頃に家族を火事で失い天涯孤独の身となった木山慎一郎は友人も恋人もなく、自動車塗装工として黙々と働くだけの日々を送っていた。だが突然「他人の死の運命」を視る力を手に入れ、生活は一変する。はじめて女性と愛し合うことを知った慎一郎の「死の迫る人を救いたい」という思いは、無情にも彼を窮地へと追いやり…。生死を賭けた衝撃のラストに心震える、愛と運命の物語。
その男には、見たくないものが視えた。他人の「死」が。「運命」がー。幼い頃に両親と妹を亡くした木山慎一郎には、友人も恋人もいない。一日中働き、夜眠るだけの日々。夢も自信も持てない孤独な人生だった。その日まではー。
一九四五年八月十五日、敗戦で全てを失った日本で一人の男が立ち上がる。男の名は国岡鐡造。出勤簿もなく、定年もない、異端の石油会社「国岡商店」の店主だ。一代かけて築き上げた会社資産の殆どを失い、借金を負いつつも、店員の一人も馘首せず、再起を図る。石油を武器に世界との新たな戦いが始まる。
敵は七人の魔女、待ち構えるのは英国海軍。ホルムズ海峡を突破せよ!戦後、国際石油カルテル「セブン・シスターズ」に蹂躙される日本。内外の敵に包囲され窮地に陥った鐡造は乾坤一擲の勝負に出る。それは大英帝国に経済封鎖されたイランにタンカーを派遣すること。世界が驚倒した「日章丸事件」の真実。
「ご主人の欠点は浮気性」帰宅すると不倫相手が妻と談笑していた。こんな夜遅くに、なぜ彼女が俺の家に?二人の関係はバレたのか?動揺する俺に彼女の行動はエスカレートする。妻の目を盗みキスを迫る。そしてボディタッチ。彼女の目的は何か?平穏な結婚生活を脅かす危機。俺は切り抜ける手だてを必死に考えるが…(「夜の訪問者」より)。愛する人の“秘密”を描く傑作集!
天才的なボクシングセンス、だけどお調子者の鏑矢義平と、勉強は得意、だけど運動は苦手な木樽優紀。真逆な性格の幼なじみ二人が恵美寿高校ボクシング部に入部した。一年生ながら圧倒的な強さで勝ち続ける鏑矢の目標は「高校3年間で八冠を獲ること」。だが彼の前に高校ボクシング界最強の男、稲村が現れる。
稲村に勝つため、階級転向を希望する鏑矢。しかし監督はそれを認めない。一方、優紀は「いつかカブちゃんと戦いたい」その一心でデビュー戦に向けた練習を重ねていた。選抜予選大会3日目、ついに鏑矢と稲村の対戦が始まる。そして幼なじみ二人がグローブを重ねる瞬間がやってくる。圧倒的青春小説決定版。
作田又三、二十四歳、すべてをなげうち、大阪を飛び出した。何の目的もあてもない。「どこかへ行きたかっただけだ。行く先などどこでもよかったのだ」昭和五十年代の東京を漂流した又三は、ついに北海道根室に立つ。緊迫する北方領土の海に跋扈する特攻船。又三の航海に暴風が吹き荒れる。はたして錨を下ろす「終着の港」にたどりつけるのか?16世紀の悪漢小説を現代の日本を舞台に甦らせた、途方もないエネルギーに満ちた物語。感動の最終章。
「女だけの帝国」が誇る最強のハンター。その名はマリア。彼女の身体はそのすべてが戦いのために作られた。堅固な鎧をまとい、疾風のように飛ぶ。無尽蔵のスタミナを誇り、鋭い牙であらゆる虫を噛み砕く。恋もせず、母となる喜びにも背を向け、妹たちのためにひたすら狩りを続ける自然界最強のハタラキバチ。切ないまでに短く激しい命が尽きるとき、マリアはなにを見るのか。