著者 : 笹沢左保
つにい十番目の勇士望月六郎もそろい、十勇士の大活躍が始まった。密命を帯びて薩摩へ向かう猿飛佐助の行く手をさえぎる甲賀流忍者群。一方、家康は方広寺の鐘銘を種に、豊臣方に圧力をかける。物語白熱。
「お前の母親は、実は殺されたのだ…」十九歳の美津子が、今はの際の祖父の口から聞いた思いもよらぬその言葉…。だが、事実関係を質す間もなく、彼女は父と継母、それに夫の手によって強引に室外へと連れ出されていた。この時を境に、十六年前の真相を求める美津子と大手観光会社を経営する一族との間に激しい不信の渦が巻き起こり、そして新たな惨劇が…。長編サスペンスミテスリー。
猿飛佐助と穴山小助、由利鎌之助たちは、駿府へ向かう家康を東海道で襲撃しようと計画を練る。いざ、と身構えたとき、思わぬ邪魔が入った。三好清海入道、伊三入道の二人が、行列に殴り込みをかけたのだ。
戦乱の世も遠く去った3代将軍家光の世、徳川の天下取りに尽くした旗本たちは、いまや時代遅れの無骨者として軽んぜられている。その現状を断固として認めない者がいた。旗本奴水野十郎左衛門は、彼らの壊滅を企てる老中松平信綱の野望を砕くため、町奴幡随院長兵衛と密かに連帯する。滅びゆくおのれの運命を知りつつ侍の意地を通した男の生涯を描く長編。
一流企業大正重電の社員小木曽は、「白昼の囚人」にも等しいサラリーマン生活に焦りと不満を感じていた。そんなある日、タクシーの中で偶然拾った3200万の大金が、彼を現実からの離脱と野望へと駆りたてた。銀座の夜の世界で、愛人の夏子らと華やかな事業をおこした彼は、だが、色と欲にまみれた人間どものエゴと裏切りの前に、やがて…。長篇サスペンスロマン。
バーのマダム殺しの犯人は8年前の作曲家殺しの犯人と同一人物なのか?幾重にも仕組まれた鉄壁のアリバイを、刑事が崩したとき、容疑者は鉄道自殺。事件はこれで解決したかに見えたが、それは新たな、より大きな謎の始まりだった。真犯人は全く別の所で成功者となっていた。都会派ミステリー長編傑作。
小比木至と本郷美津子は、東京・九段のホテルにチェックインした。二人ともそれぞれ別の相手との結婚を控え、これが最後の愛の交歓である。だが、小比木の愛撫はいつもと違った。美津子が助手兼愛人をつとめていた天才画家・千波宗太郎の性の技巧そっくりなのだ。その千波は一年前、妻とともに絞殺されている。小比木は、美津子を心理的に追いつめ、真相を探り出そうとする。長篇サスペンス・ロマン。