著者 : 綾崎隼
2018年1月11日。 新潟県三条市で、JR信越線が大雪で立ち往生するという事件が発生。 高校生男女たちも電車に閉じこめられ、 15時間”密室”となった車内で、熱い恋が動き出す……! 実際に起きた事件を基に、ラストの思いがけないどんでん返しまで鮮やかに描き切る、綾崎隼、待望の恋愛ミステリ。 センター試験2日前、歴史に残る最強寒波が新潟県全域を襲った。 放課後、受験勉強を終えた三条市の高校三年生、石神博人は大雪の中、最寄りの三条駅に着いたが大混雑で電車は全然来ない。自宅のある帯織駅までは2駅とはいえ約7キロあり、この天候で歩いて帰るのは難しい。 18時過ぎ、やっと来た電車に乗り込むと、大混雑の車内で偶然地元の友人、櫻井静時と遭遇する。久々の再会を喜んでいるとき、そのスマホに博人が想いを寄せる幼馴染み、三宅千春からメッセージが届いたのを見てしまう。しかも静時は気づいたはずなのにメッセージを開かず、通知は300を超えていた。密かに動揺する博人だったが、同じ電車に千春も乗っていて……? はからずも雪の密室に囚われた夜、高校生たちは誰かを強く想った。逃げ出すことさえ許されない電車内で、祈るように未来を思った。 ーーこれはそんな夜に起きた、たった一晩の、まだ愛には至らない恋の物語。 装画:orie ■著者プロフィール 綾崎 隼(あやさき・しゅん) 1981年新潟県生まれ。2009年、第16回電撃小説大賞<選考委員奨励賞>を受賞し、『蒼空時雨』(メディアワークス文庫)でデビュー。受賞作を含む「花鳥風月」シリーズ、「君と時計」シリーズ(講談社)、『盤上に君はもういない』『この銀盤を君と跳ぶ』(KADOKAWA)、『死にたがりの君に贈る物語』(ポプラ社)など著作多数。
二人なら、世界の頂点を目指せる。二ヵ月後にオリンピック開幕を控えた、全日本フィギュアスケート選手権。この大会には日本女子フィギュアの歴史を変える選手二人が揃った。卓越したセンスと表現力を持つ完璧主義者・京本瑠璃。圧倒的身体能力でジャンプの限界を超越する雛森ひばり。波乱続きの競技人生を送る彼女たちをこの舞台に導いたのは、それぞれのパートナーだった。片や、運命が出会わせた師弟。片や、幼馴染みの選手同士。強く結びついた女性二人×二組がひとつの五輪出場権をかけて対峙する。
記憶を失ったまま、薔薇の花畑で目覚めた少女。視界の先には白い小城ーそこは、物語に登場するキャラクターたちが暮らす、“物語管理局”。自分の正体を突き止めるため、少女は「王子」と呼ばれる少年と「マッチ売りの少女」「裸の王様」など物語の世界へと飛び込むが…?読者から募集した物語をカンザキイオリが楽曲化し、「それを世界と言うんだね」(歌・花譜)を綾崎隼が小説にした傑作!!
エリート棋士の父を持つ京介と、落ちこぼれ女流棋士の息子・千明。二人の“天才”少年は、またたく間に奨励会の階段を駆け上がる。期待を背負い、プロ棋士を目指す彼らに、出生時に取り違えられていたかもしれない疑惑が持ち上がり…運命と闘う勝負師たちの物語。
全国に熱狂的なファンを持つ、謎に包まれた小説家・ミマサカリオリ。しかし、人気シリーズの完結目前、インターネット上で訃報が告げられた。奇しくもミマサカの作品は厳しい批判にさらされ、更にはミマサカに心酔していた16歳の少女、純恋が後追い自殺をしてしまう。幸い、彼女の自殺は未遂に終わるものの、純恋は「完結編が読めないなら生きていても意味がない」と語った。やがて、とある山中の廃校に純恋を含む七人の男女が集まり、そこで絶対に起こるはずのない事件が起きて…。今の綾崎隼が自身に、読者に問い掛ける、痛切な青春ミステリ。
負けたくない敵がいる。誰よりも理解してくれる敵がいる。だから、二人は強くなれる。将棋のプロ棋士を目指す者たちにとっての最後の難関、奨励会三段リーグ。観戦記者の佐竹亜弓は、そこですべてを賭けて戦う二人の女性と出会う。永世飛王を祖父に持つ天才少女・諏訪飛鳥と、病弱ながら年齢制限間際で挑戦する千桜夕妃。歴史に残る激戦の末、リーグを勝ち抜き史上初の女性棋士となったのはどちらか?そして二人に導かれる、哀しき運命とは?今年最泣の青春純愛小説!
フリースクール“静鈴荘”に通う岩瀬知香は、中学校への復学を強要する母親との問題に悩んでいた。彼女が学校に行けない「本当の理由」を告げられた新米教師の佐伯道成は、先輩教師の舞原杏と救済の道を探す。そして明らかになる杏に隠された『世界で一番かわいそうな夫婦』の秘密。戦後最大の未解決事件が起きた十年前に時計の針は巻き戻され、すべての罪は白日の下にさらされる。
フリースクール“静鈴荘”で教師として働きはじめた佐伯道成は、一人の生徒を追い詰める深刻なトラブルー謂れのない罪の告発と嫌がらせに直面する。大人の悪意から子どもを守ろうと必死に奔走する佐伯だったが、先輩教師の舞原杏が選択した救済のカタチはあまりにも意外なものだった。一方、心を閉ざしていた“静鈴荘”の住人・三好詠葉にも変化が訪れ、残酷すぎる恋物語が動き出す!
戦後最大の未解決事件“瀬戸内バスジャック事件”に巻き込まれた十年前のあの夏から、声を失った三好詠葉、十七歳。彼女は舞原杏が教壇に立つフリースクールー靜鈴荘で、傷を抱える子どもたちと学び、穏やかに暮らしていた。佐伯道成が教師として働きはじめるまでは…。詠葉の揺れる心に気付かぬまま、生徒の不登校を解決しようと奮闘する佐伯。彼が辿り着いた正解とは?
瀧本灯子には絵しかなかった。小学一年生で美術教室に通い出してからは、寝食も忘れてアトリエで感情の赴くまま創作に打ち込む毎日。そんな彼女の世界に南條遙都という少年が現れた。自分にはない技術を持つ遙都を認め、次第に彼にだけは心を開きはじめる。しかし嵐の夜、二人のいるアトリエを土砂崩れが襲いー。妬む人、託す人、助ける人、ともに歩む人。二人の若き天才を取り巻く喜びと絶望を描いた、恋愛小説の名手による新時代の愛の物語。
「館」の謎は終わらないーー。館に魅せられた作家たちが書き下ろす、色とりどりのミステリの未来! 奇怪な館、発生する殺人、生まれいづる謎、変幻自在のロジックーー! 読めば鳥肌間違いなし。謎は、ここにある。新本格30周年記念アンソロジー第三弾。 収録作品: はやみねかおる『思い出の館のショウシツ』 恩田 陸『麦の海に浮かぶ檻』 高田崇史『QED〜ortus〜 -鬼神の社ー』 綾崎 隼『時の館のエトワール』 白井智之『首無館の殺人』 井上真偽『囚人館の惨劇』 はやみねかおる 『思い出の館のショウシツ』 恩田 陸 『麦の海に浮かぶ檻』 高田崇史 『QED 〜ortus〜 ──鬼神の社──』 綾崎 隼 『時の館のエトワール』 白井智之 『首無館の殺人』 井上真偽 『囚人館の惨劇』
織原芹愛の死を回避できなければ、杵城綜士は過去へと飛ばされる。その度に「親友や家族が世界から消失する」という大き過ぎる代償をともなってー。無慈悲に繰り返される時間遡行を断ち切るために、綜士と芹愛は『希望と言い切るには残酷に過ぎる、一つの選択肢』の前で苦悩する。鈴鹿雛美がつき続けた嘘と、隠された過去とは…。衝撃のラストが待ち受ける待望の完結篇!
大切な人の死を知る度に、時計の針は何度でも過去へと巻き戻る。「親友や家族が世界から消失する」というあまりにも大きな代償とともに。幼馴染の織原芹愛の死を回避したい杵城綜士と、想い人を救いたい鈴鹿雛美だったが、願いも虚しく残酷な時間遡行は繰り返される。雛美が頑なにつき通していた「嘘」、そしてもう一人のタイムリーパーの存在がループを断ち切る鍵となるのか!?
愛する人を救えなければ、強制的に過去に戻され、その度に親友や家族が一人ずつ消えていく。自らがタイムリーパーであることを自覚した綜士は、失敗が許されない過酷なルールの下、『時計部』の先輩・草薙千歳と、不思議な同級生・鈴鹿雛美と共に、理不尽なこの現象を止めるため奔走を始める。三人が辿り着いた哀しい結末とは!?新時代のタイムリープ・ミステリ、待望の第二幕!
大好きな女の子が死んでしまったーという悪夢を見た朝から、すべては始まった。高校の教室に入った綜士は、ある違和感を覚える。唯一の親友がこの世界から消え、その事実に誰ひとり気付いていなかったのだ。綜士の異変を察知したのは『時計部』なる部活を作り時空の歪みを追いかける先輩・草薙千歳と、破天荒な同級生・鈴鹿雛美。新時代の青春タイムリープ・ミステリ、開幕!
私立赤羽高等学校サッカー部『レッドスワン』。九度の全国大会出場経験を持つ新潟屈指の名門は、不運なアクシデントが続き崩壊の危機に瀕していた。試合中の負傷によって選手生命を断たれた少年、高槻優雅は、為す術なくその惨状を見届けるのみだった。しかし、チームが廃部寸前に追い込まれたその時、救世主が現れる。新しい指揮官として就任したのは、異例とも言える女性監督、舞原世怜奈。彼女は優雅をパートナーに選ぶと、古臭く凝り固まってしまった名門の意識を根底から変えていく。どんなチームよりも“知性”を使って勝利を目指す。新監督が掲げた方針を胸に。絶命の運命を覆すため、少年たちの最後の闘いが今、幕を開ける。
晴れて第一志望の教育学部に入学した榛名なずなだったが、大学生活は苦労の連続だった。それでも弱音を吐くことは出来ない。彼女には絶対に譲れない夢がある。何としてでも教師にならなければならない理由があるのだ。そんな日々の中、彼女はとある窮地を一人の男子学生に救われる。寡黙で童顔な、突き放すような優しさを持った使上の同級生。二つの夢が出会った時、一つの恋が生まれ、その未来が大きく揺れ動いていく。愛と死を告げる、新時代の恋愛ミステリー。