著者 : 芳川泰久
画家になることの断念から「新しい小説」を書く作家へとみずからを変貌させた小説家クロード・シモンーー作家自身の自画像を描いた〈私小説〉を想起させる自伝的小説にして、文学の前衛運動をいち早く先取りしていた、世界文学最初の〈ヌーヴォー・ロマン〉作品。本邦初訳。
『フランドルへの道』『ファルサロスの戦い』『農耕詩』など、前衛的、実験的小説作品を発表した〈ヌーヴォー・ロマン〉の代表作家であり、ノーベル文学賞作家である、クロード・シモンーーシモン独自の書法で紡がれた、第二次大戦末期の、とある日曜日の出来事の〈居場所のなさ〉をめぐる初期の長編小説。本邦初訳。
西郷の暗黒面を支えたあの男を追え。“二度目の明治維新”は、なぜ歴史の闇に消えたのか?中江兆民とあの男が、勝海舟と図り、西郷を動かした!明治政府転覆計画が実行直前で消えた謎に迫る、傑作歴史小説。
ご存じ、松山で大暴れして教師を辞め、東京に帰った坊っちゃんは、それから、街鉄の運転手になった!清は念願かなって坊っちゃんと二人暮らし、山嵐は幸徳秋水に出会い、大逆事件に巻き込まれ…激動の明治を駆け抜ける大ロマン、続「坊っちゃん」。
角田光代╳プルースト世界文学最大・最強の長篇小説の画期的〈縮約版〉刊行! 作家志望の「ぼく」が味わう苛烈な恋、そして「時」の不思議ーー。あまりの長大さと複雑な文体ゆえに、名声ほどには読破する者の少なかった二十世紀小説の代表作が、いま蘇える。現代を代表する小説家と仏文学者のコラボレーションによって、プルーストのエッセンスはそのままに、贅美きわまる日本語でついに読める、読み通せる驚異の縮約版一千枚!
「黒衣の女」とは誰か? プルーストが込めた芸術的野心と個人的な思慕とは? 『源氏物語』にも比せられ、『ユリシーズ』と並ぶ二十世紀最大・最強の長篇小説。しかし一万枚を超す長さと、文章の複雑さゆえに読み通すのが容易でない本。その真の魅力と、作家が隠蔽しつつも書き残した謎を、ヌーヴェル・クリティックの第一人者が初めて説き明かす。プルーストの姿を追って旅したヴェネツィアで見たものとは?
娘時代に恋愛小説を読み耽った美しいエンマは、田舎医者シャルルとの退屈な新婚生活に倦んでいた。やがてエンマは夫の目を盗んで、色男のロドルフや公証人書記レオンとの情事にのめりこみ莫大な借金を残して服毒自殺を遂げる。一地方のありふれた姦通事件を、芸術に昇華させたフランス近代小説の金字塔を、精妙な客観描写を駆使した原文の息づかいそのままに日本語に再現する。
マンションの14階から語り手は、開発によって次第に変化する遠景の中にこんもりとした丘を見つけ、それが地名の由来となった馬加(まくわり)氏の首塚と知る。以来テーマはひたすら首塚の探索となり、新田義貞の首塚から、さらに『太平記』『平家物語』のすさまじい首級合戦へとアミダクジ式につながり、時空を越えて展開する。 〈第40回芸術選奨文部大臣賞受賞作〉
《わたしはFをどのように愛しているのか?》との脅えを、透明な日常風景の中に乾いた感覚的な文体で描いて、太宰治賞次席となった19歳時の初の小説「愛の生活」。幻想的な究極の愛というべき「森のメリュジーヌ」。書くことの自意識を書く「プラトン的恋愛」(泉鏡花文学賞受賞作)。今日の人間存在の不安と表現することの困難を逆転させて、細やかで多彩な空間を織り成す、金井美恵子の秀作10篇。