小説むすび | 著者 : 菊地秀行

著者 : 菊地秀行

七人怪談七人怪談

「これは、わたしが小学校の、高学年だった頃の話です」--少女が雑誌に投稿した、ある家族を襲った不気味な怪異の記録。悪化していく一方の父の怪我、何者かに乗っ取られ不気味な笑い声をあげる妹。そして親類たちの死。霊能者“マツシタサヤ”によって怪異は鎮められ、記録は締めくくられる。だが、この投稿を皮切りに、マツシタサヤを巡る不可解な記録が世に溢れはじめ……(澤村伊智「サヤさん」)。  同窓会をきっかけに、故郷の実家に泊まることになった「私」。すでに実家には誰も住んでおらず、何も無い家に過ぎないはずなのに、「私」以外の何者かの気配が段々と濃くなっていく。鳥籠の中で邪悪な笑みをたたえた阿弥陀如来像、座敷の蒲団の中で蠢くモノ、そしてーー。忌まわしい記憶とともに、何かが迫ってくる(三津田信三「何も無い家」)。 ホラー界の巨星、三津田信三が、屈指のホラー小説の名手六人それぞれに相応しいテーマで「自分が最も怖いと思う怪談を」と依頼して編まれた戦慄のアンソロジー。 澤村伊智「サヤさん」 加門七海「貝田川」 名梁和泉「燃頭のいた町」 菊地秀行「旅の武士」 霜島ケイ「魔々」 福澤徹三「会社奇譚」 三津田信三「何も無い家」

女王の日と雨鬼の国女王の日と雨鬼の国

出版社

創土社

発売日

2021年9月2日 発売

雨の中には鬼が棲んでいる。古代の賢者が書き遺した言葉は正しかった。 〈区外〉のあちこちで、小学生の子供たちが行方不明になったのは、全て雨降りしきる日であった。 そんな冬の午後、銀座通りを歩いていた通行人の前に、近くのビルから女が落ちて来た。 即死したはずの女は、手をかざした通行人に、上の子供を助けてと言い遺してこと切れる。 怯える少年の前に、雨の中から黒い影が近づき、連れ去ろうとしたとき、通行人が立ち塞がる。 六階分の壁を蛇のように這い登って来たのだ。 「うぬらは“雨鬼”か? ならば忘れはすまい、女王ミスティの名を」 奇怪なる死闘の果てに“雨鬼”たちは逃亡し、ミスティは姿を消した。 敵の正体はわかっていた。彼女の生きていた太古ーー“雨鬼”たちは人間を誘拐し、 気力を失った廃人にして帰還させたのだ。すべての子供たちを。 子供が明日への希望を失った世界は滅びるしかない。それこそが異世界の魔物たちの目的であった。 少年を庇ったミスティも〈区長〉との約束によってトラブルを起こせぬ“安らぎの日々”が続き、苦戦が連続する。 彼女に味方する〈区民〉は老妖術使いと彼が生み出した泥人間(ゴーレム)、そしてドクター・メフィストのみ。 だが、やがて、ミスティがその力を存分にふるえるただ一日ーー“女王の日”がやって来た!

このエントリーをはてなブックマークに追加
TOP