著者 : 藤井邦夫
浅草鳥越明神の参道にある古い茶店に、ある晩、何者かが忍び込み、床下に大きな穴を掘っていった。何も盗まず、ただ穴を掘っただけで茶店を後にした者の目的とは一体何なのか!?報せを受けた北町奉行所臨時廻り同心の白縫半兵衛は、この奇妙な事件の探索に乗り出す。「世の中には知らん顔をした方が良いこともあるさ」と嘯く半兵衛の人情裁きを描く、書き下ろし人気シリーズ第九弾。
四年前に起きた賭場荒しの一件で、江戸から逃げた主犯の浪人がどうやら戻ってきているらしい。南町奉行所吟味方与力の秋山久蔵は、急ぎ探索を命じるが、浪人への恨みを晴らそうとするある男の存在が浮かびあがるー。浪人は何故、江戸へ舞い戻ってきたのか?意趣討ちの為に全てを捨てた男の行く末は?大好評シリーズ第六弾。
公事宿「巴屋」に、常陸の百姓が年季証文を持ち込んだ。百姓の女房が料理屋「松葉屋」での奉公を終えているはずだが、まだ明けていないといわれたのだという。「巴屋」出入物吟味人の日暮左近が「松葉屋」の周りを調べ始めると、次々に不審な点が見つかり、背後にある藩の影が浮かんできたー。左近の無明斬刃剣が、弱き者を狙う悪を斬る!迫力と充実のシリーズ第七弾。
汐見橋の袂に佇み、茶道具屋を眺める旅の渡世人を不審に思った閻魔堂赤鬼こと、戯作者の青山麟太郎。男は、沼津藩に家臣を殺して手配中の凶状持、平七だった。早速、店の番頭に聞き込みをした麟太郎は、その態度に違和感を覚える。幼馴染を想うがゆえの執念に、六年前の殺しの真相は覆るのか?
旗本御家人の監察役である目付が何者かに闇討ちされた!御庭番の倉沢家に婿入りした凄腕隠密の喬四郎は、8代将軍・吉宗の直命を受け探索に乗り出す。だが下手人らしき侍を追い辿り着いた先は、意外にも吉宗が以前藩主を務めた紀伊藩の江戸中屋敷だった。見え隠れする甲賀の忍びの影と、徒目付の遺体に残された富札の謎。庶民の娯楽に潜む巧妙な企みとは。忍びに関わる者たちの悲哀と息詰まる攻防を描く人気シリーズ第4弾!
旗本の黒崎を訪ねた柳河藩士が帰りに斬殺された。物盗りの仕業ではないが、なぜか藩ではこの件を隠そうとしているようだった。一方、黒崎は書画骨董好きで有名だが悪い噂もあった。そして黒崎家には、若く相当な剣の遣い手の武士がいた。はたして闇討ちの下手人は誰か、そして柳河藩が事件を闇に葬ろうとした理由とはー。
公事宿「巴屋」の出入物吟味人となった、もと秩父忍びの日暮左近。ある日、左近が手裏剣で襲われた。出入物吟味人として狙われたのか、それとも秩父忍びの過去に関わりがあるのか。探ると、かつて秩父忍びの仲間で許嫁でもあった陽炎たちも襲われていた。怒る左近を、権力亡者と凋落した忍びたちの暗闘が待ち受けていた。大好評を博したシリーズ待望の続編、第六弾。
北町奉行所・臨時廻り同心の白縫半兵衛は、申し付けられて旗本の次男・真山真之丞を尾行ていた。すると真之丞は、博奕打ちの仲間と一緒に、昼日中から飲み屋や女郎屋に入り、さらには賭場を荒らして金を奪うという、大した「戯け者」ぶりであった。これでは親が心配するのも当然…だが、半兵衛には何かが引っかかっていた。「世の中には町奉行所の者が知らん顔をした方が良いこともあるさ」。大人気の痛快裁き、待望の第8弾!
若き戯作者閻魔堂赤鬼こと青山麟太郎は今日もひょうひょうと事件を追う。直参旗本の悪事を暴いて人気の柳亭馬風。地本問屋「蔦屋」の二代目お蔦に、書き掛けの原稿を預けたあと、馬風は和泉橋の袂で血塗れで見つかった。秘密を暴かれたくないのは誰か?そして人気戯作者の隠された顔とは!?
武家の妻女風の女が、何の記憶もない状態で寺に保護されながら、直後に姿を消した。女は記憶がない“ふり”をしていたらしいー。一方、仇討免許状を届け出た若い侍が女を捜していた。侍は兄を朋輩に斬られて仇討を決意し、その兄の妻こそが例の女のようだ。女の目的は何なのか、そして真相は?緊迫の展開の好評第4弾!
小石川傳通院の裏で五人の沼津藩藩士が斬殺された。背後に、妖刀村正に似た無銘刀を遣う凄腕の剣客の存在が浮かび上がる。汐崎藩御刀番頭の左京之介は、度重なる襲撃に怯える沼津藩藩主・水野忠成の懐刀で、これまで対立していた土方縫殿助から助けを求められる。土方の求めに京之介が下した判断とはー。霞左文字が権力者たちの謀略を斬る!感動のシリーズ最終巻。
北町奉行所臨時廻り同心・白縫半兵衛は、吟味方与力の大久保忠左衛門から、旧友・村上左兵衛を探るよう頼まれる。左兵衛の倅の懸念どおり、六十二歳の左兵衛が年甲斐もなく女子に懸想していたら、やめさせねばならぬと。半兵衛らが後を追うと、左兵衛は茶之湯の師匠をしている後家と連れ立って遠方の薬種問屋に行き、毒薬(石見銀山)について訊いた。二人は何をしようとしているのかー。酸いも甘いも噛み分けた半兵衛の人情裁きが冴える、人気書き下ろしシリーズ第七弾!
元浜町の閻魔長屋に住む青山麟太郎は、閻魔堂赤鬼を名乗る若い戯作者である。蔦屋重三郎亡き「蔦屋」の二代目、お蔦から絵草紙の催促を受けるほかは、いたって気楽な日々。そのお蔦から、東洲斎写楽らしい大首絵が持ち込まれたと相談を受ける。絵は本物なのか、麟太郎は調べ始めるのだが!?
公事宿「巴屋」の出入物吟味人日暮左近は、かつて秩父忍びの仲間で許嫁だった陽炎から助けを求められる。陽炎のいる下野国宇都宮藩江戸下屋敷に向かった左近だったが、陽炎は戸田家藩主の養子の御守をするなかで怪我を負っていた。陽炎の願いを受けた左近と幼き後継ぎを襲う刺客たち。激闘が始まるー。迫力の剣戟に手に汗握る藤井邦夫の代表シリーズ第五巻。
公事宿「巴屋」の主・彦兵衛は、大身旗本の屋敷の前で、秩父忍びの陽炎に似た女に会う。陽炎とは、出入物吟味人として巴屋で働く日暮左近の元恋人だった。彦兵衛から知らされる左近が調べ始めると、はたして女は陽炎であり、幼な子を警固していた。その背後に、御三卿の当主の座を巡る大きな権力争いがー。大仕掛けの展開にハマる藤井邦夫の代表シリーズ第四巻。
大工の良吉と夫婦約束をしていた仲居が姿を消した。しかも己の痕跡を消そうとするかのように、塵一つ残していなかった。秋山家の奉公人の太市は良吉とともに行方を追い、ようやく見つけたかに思えたが、彼女は見向きもしない。裏切られたと良吉は自棄になるが、久蔵はある可能性に気づき、網を張ることに…。シリーズ第3弾!
御庭番の倉沢家に婿入りした凄腕隠密・喬四郎。義父と義母のやり合いを受け流しつつ隠密御用につとめていた折、風魔の老忍び、喜平と出会う。喜平は、金で雇われて働く忍びが集う忍び宿を塒としていた。ある日、茶道具屋から二千両が奪われる。吉宗の命を受け、喬四郎が喜平の伝手を使って賊を追うと、裏柳生の忍びの影が。さらに背後には、大胆不敵な野望が潜んでいた。忍者同士の非情と友情が交錯する、人気シリーズ第3弾!
出入物吟味人として日暮左近が働く公事宿巴屋に、亡き父の借金を返せと迫られているという男が訪れた。巴屋では仕事を引き受けたが、借金の返済を迫っていた男は殺され、依頼人の男は町奉行所に捕まってしまう。男の背景を探る左近の前に現れる謎の刺客。最も強い青い眼の遣い手との死闘の末に左近の運命はー。衝撃の結末が待つ藤井邦夫の代表シリーズ第三巻。
一年前に甲府へ買い付けに行ったまま、行方知れずになっていた薬種問屋の若旦那がひょっこり帰ってきた。しかも助けてくれたのが縁で夫婦になったという嫁・おゆりを連れて。そのおゆりが、とある旗本屋敷を窺うなど不審な動きを見せる。北町奉行所臨時廻り同心・白縫半兵衛が追った先には、意外や落魄した一人の武士の、無念と悲壮な決意とが横たわっていたー。「知らん顔の旦那」の機転が江戸の悶着に見事に決まる、痛快書き下ろしシリーズ第六弾!