著者 : 藤野千夜
小泉今日子、小林聡美ダブル主演でテレビドラマ化した原作の待望の続編! 生家の団地に暮らす、なっちゃん(桜井奈津子)とノエチ(太田野枝)。 イラストレーターのなっちゃんはフリマアプリで「不用品」を売買し、大学非常勤講師のノエチとおしゃべりをしては、近所のおばちゃんたちを手助けし、ちょっとした贅沢を楽しむ。共同菜園でイチゴを摘んだり、フリマイベントに出店したり、健康診断の結果を気にしつつも台湾料理をつまみに台湾映画を楽しんだり…。 50代(前半)、独身、幼なじみ、変わらない二人の生活。 幸せのひとつの形を描く、理想的な「二拠点生活」物語。 目次 第一話 バターをやめた(い)日 第二話 収穫びより 第三話 ちょっと出ようよ 第四話 思い出の食器たち 第五話 いる? いらない? わからない
前作からさらに歳を重ね、夫婦あわせて180歳を超えた新平と英子。3人の独身中年息子たちは相変わらずの呑気さで、自宅介護が必要になった母親の面倒を見る気配もない。まさに老老介護の生活が始まった新平にとって束の間の息抜きは、趣味の散歩や食べ歩き。もちろん、留守番している妻への土産は忘れない。果たして、老夫婦が辿る道のりは?そして、妻の「反乱」とは!?身につまされながらもどこか可笑しくて元気をもらえる、必携(!)家族小説。
イラストレーターなのに現在はフリマアプリで生計を立てる奈津子と非常勤講師の仕事で日々ストレスを抱えているノエチ。生家の団地に戻ってきた二人の、暑苦しくない、さらりとした友情を、ユーモラスに温かく描く。
明石家の主、新平は散歩が趣味の健啖家。妻は、散歩先での夫の浮気をしつこく疑っている。長男は高校中退後、ずっと引きこもり。次男はしっかり者の、自称・長女。末っ子は事業に失敗して借金まみれ。…いろいろあるけど、「家族」である日々は続いてゆく。飄々としたユーモアと温かさがじんわりと胸に沁みる、現代家族小説の白眉。
都心の有名男子校・あおい学園の漫画研究部の夏合宿は、D菩薩峠のバンガローに持ち込んだ漫画本を一週間ひたすら読む、だけ。副産物として、合宿中にお熱いカップルがいくつも出来上がるらしい。高一の「わたし」は、出発前に「おにいさま」からのメモを見つけ、胸を高鳴らせていた。メモは、本気なのか冗談なのか、予告なのか悪戯なのか。「おにいさま」はいったい誰なのか。テレビもラジオもない漫画漬けの日々、熱愛カップルの復活、お耽美なOB達の乱入、肝だめしの夜、消えたパンツ、意外な告白、夜更けの甘いあえぎ声…。ずっと誰からも愛されないかもしれないと怯えていた15歳の「わたし」の物語。
柴崎家のアイドル、マルチーズのトビ丸が食卓をぐるりとまわれば、自然と笑みがこぼれだす。祖母、母、姉、トビ丸、そして時々おじさんと、下町に暮らす柴崎章太の、何でもないけどかけがえのない日々。朝日新聞好評連載の書籍化。
小さなつまずきに大泣きしたり、急にいろいろ嫌になったり。かと思えば突然前向きな気持ちになったり-。ゆるやかに過ぎていく日々が、たまらなく愛しい青春の物語。実家を離れてはじめてのひとり暮らし-ベジタブルハイツ物語2。
夫といても、なぜか淋しいー夫婦の間に流れる何気ない思いやりや、ちょっとした不満&物足りなさーそして偶然めばえてしまった夫以外の男性への恋ごころを、繊細で、しかも優しく笑える暖かさで描きました。
34歳フリーター、「タマシイのない仕事はしたくない」と、年下の同棲相手は失業中。エアコンは壊れ、生活費の負担は増えていく。どんづまりの生活を変えたのは、はたちの男からかかってきた「テキ電」-私はちゃちな恋をした。生き迷う世代を描き、フリーター文学とも呼ばれた著者の転換点となった傑作。
八年前に死んだ父親が、ある日突然帰ってきた。家族の喜びと幸せを、切なく描いた「父の帰宅」、友人宛に送られてくるストーカーの手紙を引き取った・ゆりえ。その手紙を見に集まった友だちは、手紙に記された住所をたよりに“彼”の家を探す。ストーカーの手紙からはじまる物語「愛の手紙」、さほど仲のよくない女友だち・北原さんの強引な誘いを断れず、彼女のマンションへと招待された恭子。彼女がそこで見たものは!?「彼女の部屋」ほか3編を収録。女と女、女と男。そこにあなたがいる。芥川賞作家が描く、6つの透明な物語。
ゲイのカップルの会社員マルオと編集者ヒカル。ヒカルと幼なじみの売れない小説家菊江。男から女になったトランスセクシャルな美容師たま代…少しハズれた彼らの日常を温かい視線で描き、芥川賞を受賞した表題作に、交番に婦人警官がいない謎を追う「主婦と交番」を収録した、コミカルで心にしみる作品集。