著者 : 西村京太郎
桜島行きのフェリーの上で、鹿児島選出の代議士秘書が刺殺された。十津川警部の部下・西本の見合い相手・木下ゆかりに容疑がかかる。ゆかりは見合いの翌日に「全部嘘です」というメモを残したまま、失踪していた。そして西本に「ゆかりに欺されるな」と忠告した男が、指宿で殺害される。西本の報告を受け捜査に乗り出す十津川だが、まもなく東京でも殺人が!南九州と東京を結ぶ、恐るべき陰謀の正体とは。
警視庁OBの岡田は、山陰への旅の途中で宝石店に勤める北野という青年に出会う。翌日、北野の死体が城崎で発見された。事情聴取を受ける岡田の元へかつての後輩、十津川が現れる。東京で殺された女性の部屋に、北野の名刺が残っていたのだ。岡田が北野の足跡を辿ると、彼から宝石を買おうとしていた地元の名士が連続して不審死していたという事実が分かり…。山陰の温泉町での連続殺人に秘められた、哀しき愛の形とは。
美人プロテニス選手・中野美代子の死体が伊豆下賀茂で発見された。十津川警部が下賀茂に急行するも、間もなく彼女のコーチ、大会スポンサーの社長が連続して惨殺されてしまう。その死体の傍には下賀茂の名物「メロン最中」がなぜか残されていた。捜査本部が翻弄されるなか、第四の犠牲者が発見され…。犯人の目的は一体何なのか?十津川と怜悧な連続殺人犯との熾烈極まる攻防戦!傑作長編ミステリー。
事件が起きたのは、五能線沿いの海辺にある不老不死温泉だった。一人で温泉旅行を楽しんでいた警視庁の刑事は、ふとしたきっかけで知り合った女性に誘われて、一緒に露天風呂に入った。しかし、その女性が翌朝、露天風呂で死体となって発見された。容疑をかけられたのは、警視庁の刑事だった。知らせを受けた十津川警部はすぐに部下の刑事が拘置されている弘前署に向かった。もちろん、その刑事は殺害を否定している…。
青森から大阪まで。日本海沿いをひた走る寝台特急で専務車掌が絞殺された。事件の謎を握るのは五年前に車中で出産した若い女性。その足跡を辿ると、男女が続けて不審な死を遂げていることが判明。おまけに当人らしき女性は越前岬から投身自殺したという。強烈な謎とサスペンス、十津川の推理が冴えわたる。
都内で起きる連続強盗事件。東北の雪に閉ざされたホテルに無料で招待された6人の若い男女。強盗事件は双子の犯行とわかっていながら、兄弟どちらが実行犯か、警察は立証できない。一方、陸の孤島と化したホテルでは密室殺人事件が起きる。そして再び…。あざなえる縄のごとくに並行する二つの物語は、どこでどう結びつくのか。
冬休み、夜行列車の旅に出た少年が巻き込まれる誘拐事件(『その石を消せ!』)。幼なじみの少女の行方を追って西伊豆へ向った少年の冒険行(『まぼろしの遺産』)。窮地の兄を救う弟の活躍(『白い時間を追え』)。西村ミステリーの原点がここにある。
JRと道路公団に届いた脅迫状。それは四億円を支払わなければ、クリスマスに大清水、関越両トンネルを爆破するという犯行予告だった。折しも同一犯の手によって、天城峠と湯沢で爆破事件が起きたばかりであった。一連の事件解明のため、十津川警部が越後湯沢に駆け付ける。巧妙な手口で捜査陣を翻弄する犯人たち。果たして十津川は、怜悧狡猾な犯人を捕らえることができるのか?雪の越後を舞台に繰り広げられる、傑作長編ミステリー。
ゴールデンウィーク間近の京都の旅館で、ギャンブル好きの中年女性が殺された!殺害現場のふすまには墨字で大きく「陰陽」の文字が書かれていた。さらに彼女の博打仲間の三人のうちの一人が東京の自宅で同じ凶器らしきもので殺され、寝室の壁にはまたもや「陰陽」の文字がー。十津川はその寝室にあった写真パネルに注目する。そこにはラスベガスで笑う博打仲間四人が写っていた。犯人はこの四人に恨みを抱いている、と推理した十津川は、捜査を進めるうちに、鎌倉・流鏑馬神事と四人の関連に気づく。やがて浮かびあがる容疑者。しかし彼には鉄壁のアリバイがあった!全国の祭りを舞台にして十津川が大活躍する「十津川警部・祭りシリーズ」待望の第4弾。
「君は、自分で思っている以上に、人がいいんだ」十津川警部は、かつての部下で今は私立探偵である橋本豊の身を案じて、そう伝えた。彼は越後湯沢で川端康成の名作『雪国』のヒロインに名ぞらえて選ばれた“ミス駒子”こと芸者菊乃の身元調査を請け負い、事件に巻き込まれていった。十年ぶりに故郷・湯沢に舞い戻った菊乃の実父が殺された…。揺れ動く菊乃の心中を察し思いを募らせていく橋本は「あなたは優柔不断よ。私と一緒に死ぬこともできないくせに」となじられながらも、愛憎が渦巻く事件の糸にからめとられていく…。
定年退職した警視庁の名物刑事川島が、八か月後函館本線の経路際で死体となって発見された。首に絞められた痕があり函館警察署は殺人事件として捜査を開始した。十津川の調べで川島は自分が在職中に手掛けた殺人事件の再調査をしていた事が判明した。川島が逮捕した殺人犯は獄死していたが、生前川島に冤罪を訴えた手紙を出していた。その事件の真犯人が川島を殺したに間違いない。十津川は重要容疑者を捜し出したが、彼には強固なアリバイが-。
ダムの底から発見されたカメラマンとミス・郡上八幡の死体。男性の衣服からは覚醒剤が見つかり、しかも彼は現・警視総監の息子だった。十津川警部の必死の捜査により、事件は4年前の血塗られた連続女性殺人事件へと繋がってゆく。真相究明を目指す十津川と、スキャンダルを恐れる警視庁上層部の確執を描くサスペンス長篇。
警視庁捜査一課へ次々と送られてきた謎の白骨、誰が?何のために?十津川の推理が冴え渡る表題作「ある女への挽歌」。さらに、西村京太郎ワールドのもう一人の「名探偵」アメリカ帰りの“自称ハードボイルド探偵”左文字進の活躍を描く「三人目の女」「依頼人は死者」を所収。
私立探偵・橋本が受けたある依頼ー。それは、2年前に突然引退した女優・白石由加里を捜すこと。簡単に居場所を見つけ出した橋本は、由加里の部屋で話をするうちに意識を失う。病院で目覚めた橋本は驚愕の事実を知らされた。由加里は死んでいたのだ。無理心中の疑いをかけられた探偵を助けるため、十津川警部が立ち上がる。
東京駅で射殺されたミス岡山の女子大生、楠ゆかり。彼女は半年前、竹久夢二が描いたと思われる幻のスケッチブックを発見、公表し、注目を集めたことがあった。この発見と事件にはどんな関係が?狂おしいまでに夢二を愛する人たちによって綾なされる複雑な人間模様。ラストには、全ての人への永遠の問が待つ。
天然記念物のビャクシンの巨木で有名な伊豆半島・大瀬岬で映画の撮影中に監督が殺害される事件が起きた。事件は未解決のまま数年が経過した。助監督をしていた私は、その映画でヒロインを演じていた女優の自伝を書くために、当時の関係者に話を聞いてまわった。そこから事件の真相も浮かんできた。
地獄谷温泉のそばの森で、ひとりの男と一匹の猿が、射殺された。使用された弾丸の旋条痕は、半月前に東京で射殺された若いOLにつかわれたものと一致する。ふたつの事件のつながりは?犯人はなぜ、ものいわぬ猿まで殺さねばならなかったのか…。表題作ほか、十津川警部の推理が冴えるトラベル・ミステリー傑作集。
十津川警部の自宅に深夜かかってきた大学時代の友人・永田からの電話は、突然の二発の銃声とともに途切れた。銃声はロシア製のトカレフのものだった。「トカレフを持った殺人鬼」は永田なのか?旧友の安否を気づかう十津川は、北海道、そしてフィリピンへと追跡を続ける。第一人者による長篇トラベル・ミステリー。