著者 : 諸田玲子
江戸時代初期の実相に迫る、歴史ミステリーの傑作! 時は四代将軍・家綱の世。天下をゆるがした島原の乱の余燼がくすぶり、幕藩体制が盤石ではなかった時代。公儀の執拗な締め付けに苦しむ豊後・岡藩の第三代藩主となった中川久清が、山中で不思議な娘と出逢う。行方をくらませた娘を探し求めるうちに「中川の誇りを貫いてくれ」と言い残して逝った先代が秘してきた切支丹庇護の痕跡が次々と露わになり、祈りの場に娘の姿を見つけた時、久清の運命は大きく変わり始める。やがて自らの出生にまつわる壮大な秘密も明らかになっていきーーなぜ大名はくじゅうの山に登ったのか? 見えない敵と戦ってきた大名が目指した理想郷とは? 第一章 娘狩り 第二章 津久丸 第三章 一雲 第四章 遺言 第五章 空井戸 第六章 女傑
江戸時代初期の実相に迫る、歴史ミステリーの傑作! 時は四代将軍・家綱の世。天下をゆるがした島原の乱の余燼がくすぶり、幕藩体制が盤石ではなかった時代。公儀の執拗な締め付けに苦しむ豊後・岡藩の第三代藩主となった中川久清が、山中で不思議な娘と出逢う。行方をくらませた娘を探し求めるうちに「中川の誇りを貫いてくれ」と言い残して逝った先代が秘してきた切支丹庇護の痕跡が次々と露わになり、祈りの場に娘の姿を見つけた時、久清の運命は大きく変わり始める。やがて自らの出生にまつわる壮大な秘密も明らかになっていきーーなぜ大名はくじゅうの山に登ったのか? 見えない敵と戦ってきた大名が目指した理想郷とは? 第七章 踏み絵 第八章 罠 第九章 大船山 第十章 目黒抱屋敷 第十一章 戦砦 第十二章 天英宗五 第十三章 入山公
〈「一度でいいから、金沢へ帰りたい」--江戸時代初期、加賀前田家から八条宮家へ嫁いだ富姫の秘めた恋、その悲願。〉 〈加賀前田家・八条宮家の存続のためーー政略結婚の後、陰謀や災難を乗り越えていく富姫“おふうさま”の、知られざる恋。〉 江戸時代初期、加賀前田家利常公四女・富姫(おふうさま)が、京・桂離宮を造営したことで有名な八条宮家へ嫁ぐことに。それは徳川将軍家の顔色をうかがいつつも、朝廷と良好な関係を築くための政略結婚。入輿に際して「おふうさま」付きの侍女となった小蝶は、女主人を守っていくことを決心し奔走します。加賀前田家を快く思わない公家衆の陰謀や予期せぬ災難を乗り越えながらも、「おふうさま」は妃としての使命と秘めた恋に揺れ動いていましたーー侍女だけが知る「おふうさま」の心の内、その悲願とは。
織田信長に仕え、千利休に師事した古田織部。武人であり茶人としても名を遺した彼にはたったひとりの妻がいた。戦国武将・中川清秀の妹、仙。幼い頃に戦の混乱で家族と離れ離れになってしまった彼女は、叔父の城で少年高山右近と出会ったことをきっかけに、キリストの教えを心の支えとする。古田織部との政略結婚を通じて、二人は信長、秀吉、家康とめまぐるしく変遷する戦国の世を駆け抜けながら、共通する志を抱く夫婦となってゆく。二人が命と引き換えにしても守りたかったものとは──。
平賀源内の隠しものを奪え! 密命が下ったのは『解体新書』の絵師だった。鉱山の指導で秋田を訪れた平賀源内にその画才を見出され、『解体新書』の絵師に大抜擢された下級武士の小田野直武。故郷に戻って安穏と暮らしていたが、江戸出仕の密命が下る。源内は老中・田沼意次と秋田の佐竹家を強請ろうとしていた。講釈の発禁本、銀札の改定、蘭画、相次ぐ変死など、史実に基づく歴史ミステリの佳品。
2022年の大河ドラマで描かれた、いくつもの野望と愛が交差する鎌倉時代。そんな武士の世への転換点を駆け抜けた人々--源頼朝、北条政子、後鳥羽上皇、和田義盛、そして北条義時。歴史小説の名手たちが彼らの面影を丹念に描き上げた珠玉の小説集! 義時の恋が、政子の激情が、鎌倉の光景をありありと蘇らせる。 朝井まかて 「恋ぞ荒ぶる」 謀略と戦乱の時代に咲いた、北条義時の恋。 諸田玲子 「人も愛し」 若き日の後鳥羽上皇が出会った、悲恋の姫の行く末。 澤田瞳子 「さくり姫」 一幅の仏画に託された、源頼朝の妹・有子の切なる願い。 武川佑 「誰が悪」 猛将・和田義盛が突き止めた、討つべき「真の悪」とは。 葉室麟 「女人入眼」 尼将軍・北条政子が作り上げた、鎌倉という時代の実像。
時は戦国。加賀一帯を支配する大名・前田利家の娘であったが故に、波瀾の人生を歩むことになった麻阿と豪ーー。 麻阿は、柴田勝家の猶子に嫁ぐため、北ノ庄城にいたのだが、豊臣秀吉に攻められ、城から命からがら逃げ出す。そんな麻阿に待っていたのは、前田家のため、秀吉の妻になるという運命だった。 一方、妹の豪は、秀吉の養女として蝶よ花よと育てられた後、秀吉子飼いの大名・宇喜多秀家に嫁ぐ。絵に描いたような幸せな人生を送っていたのだが、関ヶ原の合戦を機に運命が暗転する。 姉妹は、時に反目しながらも、助け合い、前田家生き残りのため、子供たちのため、様々な苦難を乗り越えていく。 時代に翻弄されつつも、生き延びていった姫たちの目から乱世を描いた傑作歴史長編。ベテラン作家が紡ぎ出す、姫ふたりのバディ小説。
十返舎一九、一世一代の野辺送り。「煙と共に灰左様なら」。お江戸の大火で、命からがら焼け出され、無一文のすっからかん。一九と娘の舞一家、涙と笑いの大騒動の巻。
安藤広重「目黒太鼓橋夕日の岡」、歌川国政「五代目市川團十郎の暫」、歌川国貞「集女八景 粛湘夜雨」、鈴木春信「縁先物語」、葛飾北斎「百物語 さらやしき」、喜多川歌麿「深く忍恋」、東洲斎写楽「二世市川高麗蔵の亀屋忠兵衛と中山富三郎の梅川」。男と女。出会いと別れー。喜怒哀楽の表情を濃密に描いた感動作。浮世絵から生まれた七篇の物語。
文政11年、漢詩人・原古処の娘であるみちは、若侍に姿を変えた。昨年、秋月黒田家の嫡子が急死し、福岡の黒田本家の専横に対抗できる人物を立てるべく、京、そして江戸へと向かう密命をおびたためだ。女であることをひた隠しにしながら任務に邁進するみちに、兄の友人・石上玖左衛門という心強い旅の道連れができる。だが酒を酌みかわし、心を通わせていく一方で、みちは、彼にも秘密があるのではないかと疑心暗鬼に囚われる。不気味な追っ手の影、錯綜する思惑、巨大な陰謀ー聡明なみちは得意の変装術と機転で、危機を切り抜けていくが…。実在した漢詩人・原采蘋の数奇な半生と、秋月黒田家お家騒動の驚きの内幕をスリリングに描いた、圧巻の歴史ミステリー。
今、結寿は岐路に立たされていた。墓参するたび、亡き夫に相談事をもちかけている。自分と幼い娘の行く末についての相談である。「いかにすべきか、どうぞ、どうぞ道をお示しください」もとより波風はしょっちゅうだった。これまでも人並みの浮き沈みは経験してきたが、夫の死という過酷な現実は結寿を苦悶の淵へ突き落とした。(「幕間」より)。麻布狸穴町に出戻った結寿。押し込み騒動や辻斬り、子攫い…界隈で起こる事件の謎と罪に苦しむ人々の心を解きほぐすうちに、結寿自身の心にも変化の時が訪れてー。
可愛らしくもときに怖ろしい、江戸の猫が勢揃い! 守り神としての猫、事件を目撃する猫……いま読んでおきたい女性時代作家が描く珠玉のアンソロジー お店の守り神である木彫りの猫がなくなり、その行方を捜す「猫神さま」(西條奈加)、長屋で一番偉い猫の“サバ”が、夫婦の揉め事を解決する「包丁騒動」(田牧大和)、臆病な火消しの男へ按摩が与えた猫頭巾に込められた恐るべき謎「だるま猫」(宮部みゆき)など、愛らしくも摩訶不思議な存在である江戸の猫にまつわる短編六作を収録。 令和を代表する女性時代作家の共演による珠玉のアンソロジー。
大人気シリーズ『お鳥見女房』ふたたび。黒船来航に大地震で世情騒然。でも、あの人の待つ家さえあれば、何も怖れることはない。次男二女も独立し、孫にも恵まれ、幸多い日々を過ごしていた珠世。が、浦賀に黒船が来航し、雑司ヶ谷の居宅にも激震が。またかつて居候していた石塚源太夫の郷里、小田原は大地震に見舞われた。珠世は思い知る、時の流れは出会いとともに、別れを連れてくることを。不穏な時代を生き抜く人の知恵と日々の歓びを描く連作短篇集。
津山森家の改易後、備中国西江原森家の当主となった長直に、弟・式部衆利から文が届く。そこには、吉良邸に討ち入った赤穂四十七士に、森家に縁のある三人の浪士がいると記されていた。彼らはかつて式部のもとで、御犬小屋の築造に従事していた。信念を貫き気高く生きた男女の姿が胸を打つ、新たな忠臣蔵の傑作。
平安朝、大江家の娘式部は、宮中で太后に仕え、美貌と歌の才を高く評価される。和泉守と結ばれ幸せな日々に、太后危篤の報が届く。急ぎ京へ戻った式部を親王が待っていた。高貴な腕に抱きすくめられ、運命は式部を翻弄していく。愛する人たちを失いながらも、歌に想いを綴っていくが…。浮かれ女と噂を立てられながらも、生涯の愛を探し続けた式部。冥き道をゆく謎多き女性を大胆に描く親鸞賞受賞作。
関ヶ原の戦いで徳川勢力に敗北した父を持ち、のちに家康の側室となり、寵臣に下賜されたお梅の方。数奇な運命に翻弄されながらも、戦国時代をしなやかに生きぬいた実在の女性の知られざる人生を描く感動作。