著者 : 諸田玲子
次郎長の死を境に世情は様変わり。戦争が始まり、けん自身にも驚天動地の出来事が襲いかかり、希望にあふれた日々は暗転。明治から大正へと激しく動く。忍苦を強いられる市井の人々、苦界の女たちや子供たちをけんは放っておけない。二十年前に姿を消した西洋医がなぜ清水に戻ったのか?次郎長の娘の恋の行方は。
平安の中頃、物売りのナツメ、物乞いのナマス爺さん、女房づとめをしていたシコン、貴族の子息コオニ、太宰府がえりの勇将・ニシタカの五人がひょんなことから、ある有力貴族の依頼で疑似家族として町屋で暮らし始め、最近、都に起きた、鬼に纏わる難事件を解決しようと、それぞれ密かに探索を開始するが。
元禄十五年十二月十四日(一七〇三年一月三十日)。粉雪舞う夜更け、四十七人の浪人が、一人の老人の首を落とし、勝鬨を上げた。死を賭して立てる、武士の一分ー。三百有余年、日本人が愛し続けた物語。決死の義挙に涙せよ。「決戦!」が新たな忠臣蔵に挑む!
式部とわたしは、もしかしたら、前世からの縁で結ばれているのかもしれないー。童女御覧の日、怯えた自分を御簾の間から抱きとめてくれた女性、それが和泉式部だったー。式部の養父母である大江匡衡と赤染衛門の娘・江侍従は式部に魅せられ、「和泉式部物語」からあえて省かれてしまった真実を探ろうと奔走する。そして辿りついた、恐ろしくも哀しい結末とは…。
小町娘と評判の舞は『東海道中膝栗毛』の作者・十返舎一九の娘。酒びたりで奇行ばかりの父、押しかけ弟子の今井尚武、葛飾北斎の娘・お栄など、いつも奇人変人たちが巻き起こす騒動の後始末ばかり。恋を邪魔され縁談は壊され、二十歳になった舞は焦り気味。だが、居候の今井尚武ともいい感じになってきて…。ユーモアと人情たっぷりに描く時代連作集、第二弾!
文化人を弾圧し悪名高い「天保の改革」。瓢六は弥左衛門やお奈緒らと陰に陽に立ち向かうが、やがて圧政者たちも決して一枚岩ではないことに気付く。「妖怪」こと鳥居耀蔵の裏切り、それによる水野越前守の失脚と復活。一方瓢六は勝家の若き当主・麟太郎と親交を深める。時代はうねり、活劇シリーズいよいよ佳境へ。
天保の大火でお袖を失い自堕落な生活をおくる色男・瓢六。しかし老中・水野忠邦と“妖怪”鳥居耀蔵の陰謀に苦しむ人々を見ていられず、また謎の武家女性・お奈緒の魅力に導かれるように、相棒の堅物同心・篠崎弥左衛門と幕政の理不尽に立ち向かう。大切な人を喪った者のみが知る優しさが漂うシリーズ第四弾。
火盗改方与力の娘結寿は、八丁堀同心の妻木道三郎への思いを胸に秘め、御先手組の小山田家へ嫁いだ。夫・万之助とのほのぼのと穏やかな日々に慣れた頃、お婆さまのもとへ親戚を名乗る大男が転がり込んで…。狸穴界隈で起こる数々の不思議な事件を道三郎と解決してきたが、この度は婚家に思わぬ災難が振りかかる。小山田家を襲った一大事に結寿の選ぶ道は!?切なくも心温まる連作時代小説。
“美濃のマムシ”斎藤道三の娘で、美濃衆の期待を一身に集めて織田信長に嫁いだ帰蝶。天下人へと近づくにつれて残虐さをあらわにしていく夫におびえながらも、織田家の奥を取り仕切り、戦乱の世をたくましく生きていくがー。女の目線から、信長の天下布武と本能寺の変を描き切った力作長編。
将軍の鷹狩りの下準備を担うお鳥見役の矢島家。あるじの伴之助と妻・珠世の周りには嬉しい知らせが続いていた。次女の初産、嫁の懐妊、幼い頃から親しくしてきた石塚家長女の結婚ー。幾多の苦難と辛い別れを乗り越え、やっと訪れた穏やかな日々。だが「来る者は拒まず」が信条の珠世のもとには、またも次々と難題が降りかかり…。新しい命が絆を強める、大好評シリーズ第七弾。
赤穂浅野家に仕えるきよは浅草小町と謳われる美女。当主内匠頭の寵臣礒貝十郎佐衛門と、夫婦の約束をしている。だが、内匠頭が吉良上野介を殿中で斬り付け、お家は断絶。礒貝は、家老大石らとあだ討ちを画策する。きよは恋と忠義のはざまで、討ち入りの日を迎える。本懐後も忠義を貫き、遺族の赦免と浅野家再興を目指し将軍家へ近づいていく…。歴史に名を残した実在の女性を描く全く新しい忠臣蔵誕生!
火盗改方与力の娘結寿と八丁堀同心の妻木道三郎は、狸穴界隈で起こる事件の謎を解くうち、思いあう仲になる。だが、旗本と町方では身分違いの上、妻木は子持ちの寡夫。ままならない恋に悩む結寿に縁談が持ち上がる。妻木に話すことが出来ず思いつめるころ、旗本の火事が付け火だったと噂を聞き…。不思議な事件を解決するため奔走するふたりの活躍と恋の行方は!?ほのぼのと心温まる連作時代小説。
万寿二年(一〇二五年)、人喰い鬼の出没する京の都。出世抗争に明け暮れ贅沢にも飽いた宮廷をしりめに、物売女、博学爺さん、貴族の元女房、不良少年、貧民窟の用心棒が結束した。時代小説の名手がおくる根無し草たちのサバイバル譚。縁もゆかりもない老若男女に白羽の矢!?千年前に繰り広げられた闘いと愛の物語。
小町娘と評判の舞は十返舎一九の娘。なぜか父や葛飾北斎の娘、お栄ら、奇人変人たちの大騒動の後始末ばかり。恋を邪魔され、縁談は壊され、いつも唱えるまじないは、「奇人気まぐれ、きりきり舞い!」。
武士、庶民の区別なく、季節はめぐり、夏の陽光が江戸にふりそそぐ。『御宿かわせみ』より、俳諧師の死の謎を追う「二十六夜待の殺人」(平岩弓枝)。『隅田川御用帳』より、因業な質屋の隠居を改心させた真相に迫る「ひぐらし」(藤原緋沙子)。夏の記憶と武士の生き様を描く「似非侍」(諸田玲子)。『人形佐七捕物帳』より、永代橋崩落に端を発した転落の物語「夢の浮橋」(横溝正史)。因果はめぐる「怪談累ケ淵」(柴田錬三郎)。江戸の夏、5編を厳選。
時は幕末、老中・水野越前守忠邦が“天保の改革”に乗り出し、戯作者、洋学者、不良御家人への締め付けが厳しくなってくる。衝撃的な災難に遭っていらい自堕落な生活を送っていた瓢六のもとに、昔の相棒・堅物同心の篠崎弥左衛門がたずねてくる。青春時代は過ぎ去り、老いに足をかけた男達の決死の闘いが始まったー。
矢島家はおめでたつづきだった。お鳥見役の務めで遠国の密偵に出た嫡男は命からがら戻り、嫁は懐妊、長女も初子に恵まれた。が、来る者は拒まずで誰でも受け容れる珠世のもとには、難題が持ち込まれる…。めぐりあえた喜び、好評シリーズ第七弾。
期限は初冬、楠の実が熟すまで。21歳の利津は、御徒目付を務める伯父に命じられ、潜入捜査のため京の下級公家・高屋家に嫁いだ。安永年間、禁裏での出費増大に頭を悩ませた幕府は、公家たちの不正を疑うが、探索のため送り込んだ者たちは次々に謎の死を遂げていた。最後の切り札として単身乗り込んだ女隠密・利津は、高屋家に夫の弟・右近が幽閉されているのを知る。証拠はどこに…?著者の新境地を拓く、長編時代ミステリー。
売れっ子芸者のお袖との仲も円満、親友に恋の指南もするとびきりの色男・瓢六。智恵と愛嬌を買われかりだされたある事件の聞き込みで、致命的なミスを犯してしまう。自分には何かが欠けているーお袖とも離れ、重い心を抱えた瓢六は、事件の陰にいる謎の美女を追い詰められるのか。人気シリーズ新展開。