著者 : 逢坂剛
御茶の水署・生活安全課保安二係の斉木係長とヒラ刑事の梢田は、飲食店視察の名目でタダ酒にありつくような、お調子者コンビ。そんな二人のもとに、堅物刑事・五本松小百合が配属される。女で、しかも階級が上の後輩に頭が上がらない梢田。一方、斉木は町で見かけた、派手な厚化粧の女に恋心を募らせていくがー。お茶の水界隈で繰り広げられる、恋と事件の大迷走。人気ミステリシリーズ第二弾。
1936年、フランコ将軍らが蜂起して勃発したスペイン内戦。その最中に、ギジェルモ・サトウと名乗る日本人義勇兵がいた。通信社特報部の記者・龍門二郎は、男の足跡を取材するためスペインに飛ぶが、その裏には大いなる秘密が隠されていたー。スペインの過去と現代を舞台に描かれた、壮大な冒険ミステリー。
独ソ開戦以降、混迷の度合いを深める第二次大戦下のヨーロッパ。フランコ政権下のスペインは、枢軸側と連合国側の間を揺れ動く。焦点は連合国の北アフリカ上陸作戦。時期は、そして場所は?裏の裏、そのまた裏をかくスパイたちの死闘は白熱する!日米開戦。敵同士となった北都昭平とヴァジニアの前に一人の日系女性が現れる。幻惑される北都。嫉妬に狂うヴァジニア。二人の絶望的な愛のゆくえは。著者渾身のライフワーク巨編第三弾。
精神科医・南川藍子の前にあらわれた三人の男たちは、それぞれが脳に「傷」を持っていた。試合中、突然マスコットガールに襲いかかり、殺人未遂で起訴されたプロ野球選手。制服姿の女性ばかりを次々に惨殺していく連続殺人犯。そして、事件捜査時の負傷がもとで、大脳に障害を負った刑事。やがて、藍子のもとに黒い影が迫り始めるー。人間の脳にひそむ闇を大胆に抉り出す、傑作長編ミステリ。
信じるものは拳とカネ。史上最悪の刑事・禿富鷹秋ー通称ハゲタカは神宮署の放し飼い。ヤクザにたかる。弱きはくじく。しかし、恋人を奪った南米マフィアだけは許せない。痛快無比!血も涙もひとかけらの正義もない非情の刑事を描いて、読書界を震撼させた問題作。本邦初の警察暗黒小説の登場。
黒い水中眼鏡をかけた女が、精神科医の前にあらわれた。ある朝、突然目が開かなくなってしまったという。自宅で発生した火事によって夫を失ったことが原因かと思われたがー。治療が進むにつれ、驚愕の真実が浮かび上がっていく表題作ほか、難病の妻の介護人として雇われた女性が、歪んだ夫婦関係に巻き込まれていく「ペンテジレアの叫び」など。サイコサスペンスの傑作全三篇を収録。
総統暗殺!?一九四〇年。内戦の痛手いまだ癒えぬスペインでは、フランコ殺害を企む一派が活動を続けていた。ジブラルタルを巡り、日英独の諜報戦が熾烈を極めるマドリードに現れた日系ペルー人の宝石商・北都昭平は、やがて激動する歴史の渦へと巻き込まれていく。苛烈な闘いを緻密に描くエスピオナージ。
時は1875(明治8)年。稀代の早撃ちガンマンとハコダテから流れついた謎のサムライ、そして、したたかな小娘が追うのは、賞金つきのお尋ね者。荒くれカウボーイや酒場の女、ポーカーに興じる成金どもをかわしつつ、赤茶けた岩山を抜け、駅馬車にのり、町から町へ大西部をゆく!痛快なストーリーにスピーディな会話。巧くて、楽しくて、一気に読める。エンターテインメントの一級品。
こいつが全ヨーロッパを破滅させるキーなのか。核起爆装置の電子パーツをスペイン人名工から託されたギタリスト古城邦秋は天を仰いだ。謎あり。たぎる恋あり。壮絶な陰謀あり。フルコースの饗宴のあとに茫然自失の大終局と驚天動地のカタストロフィが待っている。虚実とりまぜた、これぞミステリ。
御茶ノ水署・生活安全課保安二係は斉木斉と梢田威だけの小世帯だった。小学校の同級生が御茶ノ水署で再会する。がき大将だった梢田が斉木をいじめた過去があった。それがいまでは斉木警部補と梢田平刑事。復讐に燃える斉木は、ことごとく梢田の出世を妨害し、日常業務に文句をつける。口論しながら推理も続け、神田お茶の水界隈の難事件迷事件を解決していく。ユーモア・ポリス・ストーリー。
慢性腎不全を患うみずえに不審な生体腎移植の話が持ちあがった。時を同じくして起きた、みずえの実家、神田の古書店に対する地上げ攻勢、婦女暴行魔の脱獄、そして何者かの影に怯える美しいスペイン研究者・理絵…。神田界隈を背景に私立探偵・岡坂神策が錯綜する謎に挑む。大人のミステリー。ハードボイルド長編。
ゲームの最中、突然マスコットガールに襲いかかったプロ野球選手・追分知之。元歌手を名乗り、制服姿の女性を次々と狙う連続殺人犯。そして大脳に障害を負った刑事・海藤兼作。精神科医・南川藍子は、深層心理や大脳に傷を持つ3人の男と関わり始める。さらに、藍子を付け狙う謎の人物の影が見え隠れしてー。最先端の精神医学の研究成果を大胆に取り入れた、長編異色ミステリー。
スペイン内戦で外人部隊に身を投じた日本人義勇兵ギジェルモ・サトウ。その足跡を追う特報部記者龍門二郎に仕組まれた戦慄の罠とペンダントの謎…非情の運命に翻弄される男と女の愛の相剋を描いて感動を呼ぶ冒険ミステリの巨編。
ソ連大使館員殺害の容疑で逮捕された大学教授・荻野が、突如聞き慣れぬロシア人名を口走り、精神鑑定に持ち込まれた。自分は元ロシア赤軍情報部スパイ、クリヴィツキー将軍の生まれかわりだと言うのだ。彼の心神喪失状態なのか、それともなにか他の可能性が?謎は深まるばかりー。スペイン現代史が趣味という私立探偵・岡崎神策が活躍する、表題作など五編の連作ミステリー。