著者 : 鈴木光司
日本で一、二を争う最新治療が望める総合医療センターで臨床心理士として働く秋川茉優。そこに記憶を失った少女が運び込まれた。茉優の弟の和真は動画配信で伸び悩む再生回数を増やそうと、最近放火事件で多くの死者を出した団地に潜入し心霊動画の撮影を試みるのだが…。鳥の啼く夜に次々と死んでいく人たち。20年以上も前の貞子の呪いが復活か。映画で語られなかった背景や登場人物たちのエピソード満載のノベライズ。
樹海ーそれは社会の底辺で生きることに疲れた人びとの終焉の場。虐待、借金、失業、薬物中毒…悲惨で救いようのない人間たちは、生きる苦しさから解放されるため、次々と樹海へ足を踏み入れる。弱者を生みだし、死へと導いたものとは何か。親と子の恐ろしい因縁が引き起こす、不幸の連鎖を描いた連作短編集。
高山竜司、二見馨という二人の男の人生を生きた記憶を持つ、予備校講師の柏田誠二は疑問を抱えていた。おれは何のためにこの世界にいるのか…。謎の病に伏した少女を介し受け取った暗号に導かれ、伊豆大島に渡った柏田は、『リング』という本に記された竜司の行動を追うことで、山村貞子の怨念の起源を知る。自らの使命を自覚する柏田だったが、時を越え転生した貞子の呪いに身体を蝕まれ…。新「リング」シリーズ第2章!
和歌山県串本町のダイビングショップでガイドとして働く女性ダイバー高畑水輝。そのもとを偶然訪れたトルコ人青年ギュスカン。彼の目的はいまから125年前、祖先ムスタファを乗せた軍艦「エルトゥールル号」の遭難現場に潜り、「あるもの」を捜すことにあった。バディとして潜る水輝が一瞬目を離した隙に突然視界から消えたギュスカン…。1世紀の時を経て、日本とトルコの時空を超えて、絡み合う宿命。それは偶然なのか、必然なのか。海の脅威を知り尽くした作家が「知の腕力」で描いた息を呑む渾身の海洋小説!
世の中にはまだ科学では説明できない現象が存在するー旧友との再会で呼び覚まされる、過去の悪夢(「鍵穴」)。ホテルの窓辺にあられもない姿でくくられた美女(「クライ・アイズ」)。マンションの表札に残される不気味な落書き(「しるし」)。ゴルフ場に横たわる、何かに背中を刺し貫かれた死体(「杭打ち」)。川べりのアパートで起こる数数の怪奇現象(「櫓」)など、日常と非日常の狭間に潜む恐怖を描く、著者真骨頂の傑作ホラー短編集。
圧倒的価値観の支配する中、個として抗う勇気とはー1945年、太平洋戦争末期、海軍中尉の峰岸は特攻のために飛び発ったゼロ戦の中で、任務に背き生き延びることを決意する。刻をへだてた1994年、バブル崩壊後に生きる雪島は、ある特異な人生を歩んだ男の行方と真意を追う。違う時代を生きる2人の男の人生が交錯するとき、日本人を呪縛する闇の本質が明らかに。迷走する現代日本を強烈に鼓舞する、乾坤一擲の長編大作。
安藤孝則と茜の間に、ひとりの娘が生まれた。それから5年…妻を失って別人のようになった孝則を気遣いながら、大学院生の安藤楓子は幼い姪・凪の面倒をみていた。再び世に蔓延する「呪いの動画」。時を同じくして凪の周囲では、不審な死が連続して起こり始める。それら全てが凪の描く不気味な絵とリンクしていることに気づいた楓子は、悪い予感に震えるが…。貞子の恐怖から、もう誰も逃げられない。ホラー映画を完全ノベライズ!
映像制作会社に勤める安藤孝則は、ネット上で生中継されたある動画の解析を依頼される。それは、中年男の首吊り自殺の模様を収めた不気味な映像だった。孝則はその真偽を確かめるため分析を始めるが、やがて動画の中の男が、画面の中で少しずつ不気味に変化していることに気づく。同じ頃、恋人で高校教師の丸山茜は、孝則の家で何かに導かれるようにその動画を観てしまうのだった。今“リング”にまつわる新たな恐怖が始まる。
続発する失踪事件は、その規模を急激に拡大しつつあった。その謎を追う冴子は、ついに失踪前の父が南米ボリビアで書き残した手記にたどり着く。その中に、冴子は世界の仕組みを解き明かす鍵を見つけるのだった。恋人、霊能者、物理学者の力を借り、すべての答えに迫る冴子だったが…!?父はなぜ、どうやって姿を消したのか!?そして人々の消失の真の意味とは!?壮大なスケールで描く傑作サスペンス・ホラー、完結巻。
人が消えてゆくー長野、新潟、カリフォルニアで、人々が突如“消失”する怪現象が起こった。そんな中、フリーライターの栗山冴子は、ある一家が忽然と姿を消した“一家失踪事件”の謎を追い始める。18年前に父が、やはり消失ともいえる突然の失踪で行方不明となっている冴子は、一連の事件の中に、人類が経験したことのない未曾有の世界的異変を嗅ぎとるが…!?世界の基盤を揺るがす恐怖を描く、サスペンス・ホラーの傑作。
精神科医の望月が勤務する病院に1人の女性患者が収容された。入水自殺を図り救助されたその女性は、記憶と言葉を失っていた。望月は素性を探るうち、彼女のもとを去った恋人の存在を知る。病院での彼女の不安定な行動は、恋人との過去に原因があるようだが…。偶発的に誕生した遺伝子により決定付けられた運命。それを知ってしまった人間の選択と希望とは?生きる事の真の意味と価値を問う感動のヒューマン・ミステリー。
太古のゴビ砂漠。部族の若者ボグドは、美しき少女ファヤウを自らの力で迎え入れ、夫婦となるが、他部族の襲撃により引き裂かれてしまう。ボグドは、遙か彼方に連れ去られた妻の姿を求め、一人旅立つが…!?そして、舞台は18世紀南太平洋、現代アメリカの地底湖へ。時空を超えた愛の邂逅と、戦うがゆえに手にできる“楽園”の意味を壮大に描く、日本ファンタジーノベル大賞優秀賞受賞作にしてデビュー作。
夜のバーで恋人を待ちながら、子どものころ近所の空き地で、インドの人混みをかき分けながら、あいつらから逃げ隠れた小さな部屋で、占い師が予言した運命の人を探しながらーそれぞれが迎える、午前零時。13人の豪華競演による、夜の底から始まった、誰も知らない物語たち。P.S.昨日の私へ今夜、人生は一瞬で変わってしまうと知りました。でも運命の夜は、まだ始まったばかり。13人の豪華競演による、真夜中の物語。
誰かが私の「過去」を覗いている!いや違う、「過去」が私を覗いているのかー。新築アパートで毎夜起こる怪現象、抱いた女の湿っぽい匂いの秘密、ドアにマーキングされる謎の文字、運転中の携帯電話から聞こえた何かが衝突する音…。過去の因縁が現実に繋がり、震え上がるような恐怖を体験させる超・恐怖小説。
10歳で死んだ妹が人生を幸福に全うする過程を、兄はCGを駆使して映像にし、悲嘆に沈む父に見せた…「枝の折れた小さな樹」。両親を失った女子高生と、生後まもない娘を遺して妻に死なれた塾講師。二人の前にあるシーンが立ち現れる…「サイレントリー」。打ちひしがれた心が、輝いた瞬間の記憶を頼りに再生していく。人生をいとおしむ静かな7つの物語。