著者 : 関口英子
独伊のはざまでダム湖に沈んだ村。ファシズム、失われた母語、環境破壊…。母から娘へ、忘れてはいけない村の歴史。世界35ヵ国以上で翻訳。50万部超のベストセラー。ストレーガ賞最終候補/イーゾラ・デルバ賞/ドロミーティ・ユネスコ賞/ヴィアダーナ賞など受賞。
「不幸を呼ぶ子」と忌み嫌われる少女が、揺るがぬ友情を手にしたとき、いかなる力を発揮するのか。ファシズムが台頭するイタリアで、境遇も性格も正反対の二人の少女が出会い、社会の理不尽に立ち向かう様子を描いた傑作。
大学で政治学とグローバリゼーションを講じながら子育てをするイタリア系女性ブルーナは、自立心が強く進歩的だ。しかし医師である夫もその両親も保守的で差別と偏見に満ちている。両親に逆らえない夫、性同一性障害の幼い息子…。仕事と家庭の板挟みに苦しむブルーナの人生が教え子のムスリム青年の出現で覆る。そして彼の突然のISISへの出立。人種差別、性差別、移民問題…分断化が進む現代アメリカ社会で生きる彼女の人生が、今を生きる私たちすべての人生に重なり、訴えかけてくる。本書は著者のデビュー小説で、イタリアの著名なジャーナリスト、ロベルト・サヴィアーノ監修のフィクション&ソンフィクションのシリーズ「弾薬庫」叢書の第一弾として刊行された作品である。
南部の貧しい家庭の子供を北部の一般家庭が一時的に受け入れる、第二次世界大戦後のイタリアで実際に行われた社会活動「幸せの列車」。貧困問題、親子関係、新しい暮らし、揺らぐアイデンティティー7歳の少年の目を通し、ユーモアを交えた圧倒的な筆致で描き出す。イタリア版本屋大賞(Amo questo libro賞)など受賞、33言語で刊行のベストセラー!
わたしはなぜここに連れてこられたのだろう?中流家庭の一人娘として育った13歳の「わたし」は、それまで両親と思っていた人たちから突然手放され、理由も知らされぬまま、貧しい実の家族のもとに帰された。母親は冷たく、父親と兄たちの暴力が絶えない家のなかで、自我を覆された「戻ってきた娘」が唯一感情を分かちあえたのは、奔放な妹のアドリアーナだった。世界28か国で翻訳、2021年映画化。心を鷲掴みにする少女たちの成長の物語。カンピエッロ賞受賞。イタリアで30万部のベストセラー。
食べることはその土地と生きてゆくこと。舌を燃やし、思い出を焼くつくすほど辛い唐辛子、庶民のキャビアと呼ばれるサルデッラに腸詰めサラミのンドゥイヤ、近海で獲れた鰯の塩漬け、シーラ山地で生産されるチーズやじゃが芋、自家製オリーヴオイルにワイン、スイカや無花果など季節を彩る果物…。南イタリア、カラブリア州出身の作家が、固有の言語と食文化を守ってきた郷土の絶品料理と、人生の節目ごとに刻まれた家族の記憶とを綴る、自伝的短篇小説集。
老夫婦が夏のヴァカンスから自宅に戻ると、留守宅が何者かに荒らされていた。家具は倒され、あらゆるものが散乱し、猫が姿を消している。困惑する夫が目にしたのは、40年前、夫が家を出たことをなじる妻からの手紙の束。決して癒えることのなかった過去の傷跡が、次第に浮き彫りにされてゆく。家族はどこへ向かうのかー。ジュンパ・ラヒリによって英訳され、「ニューヨーク・タイムズ」2017年“注目の本”に選ばれた話題沸騰のイタリア小説。
現代イタリア文学と聞いて思い浮かべるのは、エーコ、タブッキ、カルヴィーノ、ブッツァーティ、モラヴィア…しかし彼らがおもに活躍していたのは前世紀のこと。では、イタリアの文学は衰退したのかといえば、とんでもない、なぜこれまで紹介されてこなかったのか不思議に思える作家たちが山ほどいるのだ。本書はいまを生きる新しいイタリアの作家によるヴァラエティ豊かな作品を厳選した、本邦初の21世紀イタリア短篇アンソロジーである。普通の人々の生活に降りかかる移民・格差・人種問題、新しいセクシャリティのかたち、めくるめく幻想の世界、そして甘くほろ苦い少年少女時代の記憶ー現在のイタリア文学シーンを代表する13人が繊細に大胆に鮮烈に描く多様性にみちた15の短篇を収録。巻末に各作家・作品を詳述する解説を附す。
別れた夫の思い出のみを胸に戦後を生きた女性。その遺品の手紙が語り出す、悲しい真実とは。イタリア人の目を通して描く、実話に基づいた「原爆と戦争」の傷跡。村上春樹作品のイタリア語版翻訳者が初めて綴った感動の小説。
森に現れた少年は射撃の腕をかわれてパルチザン部隊と行動をともにする。やがて、遭遇した敵の兵士に対して少年の銃が狙いを定めたのは…緊張感漂う表題作をはじめ、カルヴィーノ自身のパルチザン体験を元に描いたレジスタンスの物語、少年期をすごした故郷の風景を反映した農民や子供たちの生活スケッチ、戦後の都会を舞台にしたコミカルなピカレスクロマン、軽妙な語り口の風刺的寓話など全23篇を収録。現代イタリア文学を代表する“文学の魔術師”が、その若き日々にあふれでる創作意欲を自由かつ繊細に結晶化した、瑞々しい傑作揃いの初期短篇コレクション。
官能的な寓話「薔薇とハナムグリ」、眠り続けるモグラの怪物の夢に操られる島民の混乱を描く「夢に生きる島」。ほかに「ワニ」「疫病」「蛸の言い分」など、シュールで風刺のきいた世界が堪能できる20世紀を代表する作家モラヴィアの傑作短篇15作。「読まねば恥辱」級の面白さ!
イタリア半島最南端、赤い花の咲き乱れる丘に根を下ろして暮らすアルクーリ家の人々。ときに横暴な地主に、ファシズム政権に、悪質な開発業者に脅かされながらも、彼らは風の吹きすさぶ丘での暮らしを誇り高く守り続ける。その丘には、古代遺跡のロマンと一族の秘密が埋もれていたー。イタリアの権威ある文学賞、カンピエッロ賞受賞作
日本を蝕む危険ドラッグの「すぐ先の世界」がここにある!世界中ですでに起こっていること、そ凄まじい現実を描いた、『死都ゴモラ』の著者による待望のノンフィクション・ノヴェル!