著者 : 風野真知雄
珠子の知り合いの元芸者・おふじが、長屋に引っ越してきた。いまは「あまのじゃく」という飲み屋の女将をしているという。その店の常連客に「枯芒」という力士がいたが、なんと取り組みの最中にまわしが切れて負けになる、という珍事に見舞われてしまった。しかも、まわしが切れたのは二度目だという。八百長ではないかと睨んだ桃太郎は、さっそく事件の真相を探り始める。大人気シリーズ第九弾!
札差「佐野屋」から「珠子には商才がある」と熱烈に口説かれて、心がぐらりと揺れる芸者の珠子。その様子を見かけた愛坂桃太郎は、孫の桃子に会えなくなる日が近づいてきたかと思うと、気が滅入ってしまう。そんな桃太郎の心をよそに、桃子はすくすく成長し、桃太郎と「あっぷっぷ遊び」に夢中になる。懸命に真似する桃子に心癒される桃太郎だったが、あっぷっぷのせいで思わぬ危機が訪れる。大人気シリーズ第八弾!
僧侶となって正体を隠す、伝説の大悪党・河内山宗俊に強引に連れて来られた超高級料亭・百川。そこで魚之進は、兄が遺言に残した「この世のものとは思えないほどおいしいもの」-ケイクをついに口にする。ケイクを作らせた主はいったい誰なのか。“美味の傍にいる悪”は、もうすぐそこにいる!?
愛坂桃太郎と芸者の珠子・桃子母娘が住む「かわうそ長屋」に、またもや妙な住人が入ってきた。いつも旅人の恰好をして近隣の宿屋へ出かけていくのだが、そこには泊まらずに、夜になると長屋へ帰ってくるのだ。薬の行商でもしているのか?どうにも気になった桃太郎が身辺を探ると、宿屋で商売をしている気配すらないという。いったい、そいつは何者なのか。大人気シリーズ第七弾!
上さまをもっともお慕いしているのは、この光秀であるー天正十年(一五八二)六月一日。織田信長は茶会を催すため、わずか三十人の警護を伴って京の本能寺に入った。そこに集まったのは信長に恨みを持つ公家や豪商ばかり。警護の増員を求める森蘭丸の進言を、「防備は城塞のごとくで、寝所は密室。誰も入れぬ」と聞き入れない信長。一方、明智光秀は、此度の京入りは状況を過信したしくじりと憂えていた。そして、信長が誰かに殺されるのをみすみす許すくらいならばわが手で、と挙兵を決意する。だが翌日、本能寺を取り囲んだ光秀は、信長がすでに殺害されたことを知る。いったい誰が?どうやって?恋敵ではあるが、切れ者の蘭丸は何をしていた?憤怒に包まれた光秀の犯人捜しが始まった!
魚之進を襲った同心・丸川重三郎は謎の自死を遂げる。重三郎自害の裏事情を知っているかの如く、南町奉行・筒井和泉守は抜け荷捜査の強化を部下たちに速やかに指示した。兄の死の真相に近づく魚之進の行く手を、珍料理を巡る難事件が阻む。大人気の食捕物帖、美味しさ垂涎面白さ最高潮!
越後屋の向かいに妙な店が出現した。なんと家の屋根から壁まで、すべて真っ黄色に塗りたくられているのだ。いったい誰が、どういう目的でこんなことをしたのか。しかも、いつまで経っても、店を開ける気配するない。不審に思った愛坂桃太郎が調べを進めていくと、これまで越後屋に数々の嫌がらせを仕掛けてきた張本人の存在が浮かび上がってきた。大人気シリーズ第六弾!
一人の伊賀忍びに大御所・徳川吉宗が殺害されて二年。その忍びは、長屋で平穏な暮らしをしていた。しかし、富士講に出た長屋の者が皆殺しにされる。仇を討たんと、「コノハズク」とあだ名されていた伊賀忍び「竹次」は、長屋の人々の死の真相を探り始める。そして、辿り着いた驚愕の真相とはー。富士山と尾張藩を舞台とした、著者ならではの大スペクタクル活劇!
信長が安土城に安置していた「盆山」の真の役割を知る織田信雄。六十余度の戦いで不敗を誇る肥後の智将・甲斐宗運。関ヶ原合戦直前、伏見城で西軍に寡兵で臨んだ徳川の猛将・鳥居元忠。家康の懐刀として暗躍した、武人にして豪商の茶屋四郎次郎。今川、武田・上杉の圧力に智恵と胆力で対抗する北条氏康。賎ヶ岳七本槍の一人として大名となった片桐且元…。大注目の作家陣が知られざる戦国史を描く豪華アンソロジー!
猫の尻尾や人の目玉も入っていたことがあるという、蘭方医学塾のゲテモノ闇鍋会で殺しが発生。下手人は真っ暗な中で鍋を囲んでいた塾生の中にいるはずと、魚之進は鍋に残った得体の知れない肉を嫌々毒味するはめに。真相に近づく魚之進の命を正体不明の悪党が狙い、江戸の食と悪を巡る謎はますます深まる!
久留米藩主・虎之助がついに江戸の町に戻ってきた。まずはやくざの若親分として最大勢力の万五郎一家を潰したいところだが、相手は千二百人もの大軍勢。そこで虎之助が一発逆転を狙って挑んだのは、なんと相手の得意な舟いくさだった。その一方、将軍・綱吉に疑念を抱かれた虎之助はとうとうこの国の首領とも戦うことに…!?ド迫力の最終巻!
「夫が髷に白粉をつけてきたり、隠れて踊りの稽古をしているんです」易者姿の鬼堂民斎は旗本の奥方を観ていた。芸者絡みの浮気とにらんだ民斎は、画数占いで仰天した。夫とは南町奉行矢部駿河守定謙だったのだ。真面目一徹の駿河守がなぜ?夕刻、白塗りの若衆の割腹死体が発見された。脇差には“やべ様命”とあり…(お奉行を占う)。人情てんこ盛りの時代推理。
目の見えない板前が作りやくざが食べる、危険なフグ鍋の噂がある。度胸試しで無事に食えたら親分として認められるというのだ。食い物関係は味見方の範畴だとして、人一倍気弱な魚之進は意地悪な先輩同心に、やくざ連中の捜査を押しつけられてしまう。珍味満載の人気シリーズ、ますます“舌”好調!
茶店の主人が首を吊った。南町奉行・根岸肥前守は事件のカギは目黒にありと察知、家臣である宮尾玄四郎を派遣する。不動尊の参詣客でにぎわう町で遭遇する怪事件。優れた耳を持つ岡っ引き・音無の六蔵と、松平定信が建てる屋敷の謎。そして大悪党・暁星右衛門の正体とはー。名推理と恋模様が絡み合う人気シリーズ第19弾!
三井清左衛門たっての頼みで“越後屋”への嫌がらせの解決に協力することになってしまった元目付の愛坂桃太郎。調べを進めていくうちに、「かわうそ長屋」の住人が関わっていることがわかってきた。芸者の珠子母娘を守るため、桃太郎は今日も孫の桃子を背中におんぶしたまま、奇妙な事件の謎解きに奔走する。大人気シリーズ第三弾!
参勤交代をさんざん先送りしてきた藩主・虎之助。さすがにもう国入りしないとまずいが、やくざの抗争が一触即発の今、実家の丑蔵一家から離れることもできない。そんな折、虎之助はある偶然の出会いからこの難題を解く妙案を思いつく。一方国許では、“陰の藩主”が虎之助を早く殺したくて、うずうずしながら待っていた…。痛快シリーズ第六弾!
兄が生前に言い残した「この世のものとは思えないほど美味しい料理」は、いちばんあの世に近い「精進料理」ではないか。魚之進が探りを入れた精進料理屋で得た情報は、幕府禁制の食材絡みの料理だった。それは兄の死とどう関係があるのか。「恐ろしくうまい」という評判の珍料理の正体とは?
諸国を巡り、多くの伝説を生んだ塚原卜伝。数百戦で、刀傷ひとつ負わなかった男が剣の道を極めた先に見たものとは…頂きへと運ぶ一陣の風のごとくさらなる高みを目指す老境の姿を『妻は、くノ一』『耳袋秘帖』の著者が、数々の伝承から着想を得て、軽やかに描いた等身大の人間・卜伝。
易者として何千人もの顔相を観てきた隠密同心鬼堂民斎には、最近、大いに気になる男がいた。男は往来にただ立っているのである。それも十日も。誰かを待っているらしいが、誰を待っているのか本人も知らないらしい。立派な悪党面で近くの店は気味悪がるばかりだ。そんなある日、大店が賊に襲われー(待ち人来たるか)。浮世の珍妙は心の妙薬。抱腹と感涙の第三弾!