著者 : 高橋克彦
時は平安。都では、応天門の変で罪を被せられた伴大納言が鬼の姿で現れ、疫病の種を撒き散らすと予言していた。陰陽師の弓削是雄は大納言の鬼と相まみえるが、その背後にさらに強大で邪悪な鬼が存在することに気づく。朝廷で実権を握る藤原氏に恨みを抱くというその鬼の正体は、やんごとなき方なのかー。是雄は鬼の正体を突き止め封じるために、仲間とともに蝦夷の地へと赴く。
少女の淡い恋心と、突然訪れる別れを描いた痛切なお話。別れるときの女性と男性それぞれの心理を、鮮やかに切り取った大人の恋愛物語。生き別れた父への複雑な感情と、忘れがたい思い出が綴られた作品…。「別れ」にまつわる味わい深い短編を精選したアンソロジー。別れはつらいもの。けれど別れを経験してこそ、出会いの喜びを強く感じられる。心が揺さぶられる作品に、きっと出会える13編。
鬼九郎は己を狙う“敵”と対決するため、柳生十兵衛、荒木又右衛門、幡随院長兵衛ら仲間とともに京に向けて出立する。だが一行の行く手に、敵の命を受けた風魔衆が次々と立ちふさがるー。高貴な出自であるからこそ、政争の具とならざるを得なかった鬼九郎の運命は!?絶好調の時代活劇シリーズ完結編。
宝亀九年(七七八)、三十四歳となった伊治鮮麻呂は、蝦夷でありながら国府多賀城の役人として蝦夷の反乱を鎮める役目を担っていた。陸奥を守るため、朝廷と蝦夷が戦にならぬよう苦心してきた鮮麻呂だったが、陸奥守の横暴、蝦夷を獣とみなす帝の勅に、ついに決起する!著者会心の大河ロマン、堂々の完結篇。
神護景雲四年(七七〇)四月、称徳女帝が病に倒れ、道鏡の権勢にも翳りが見え始めた。この機に乗じて藤原一族が動き出し、物部天鈴もまた道鏡を一気に倒すべく画策する。一方、陸奥では、朝廷が派遣した陸奥守と蝦夷との軋轢が抑えきれないほど増大し、一触即発の状態に。風雲急を告げる、シリーズ第四幕!
恵美押勝が討伐されて一年近くー。内裏では、女帝の寵愛を受ける弓削道鏡が、権力を一手に握りつつあった。討伐の功により、破格の昇進を果たした牡鹿嶋足だが、しかし、道鏡の謀により、最愛の女を失う。迸る憤り。帝位をも狙いはじめた破戒僧の飽くなき欲望を、嶋足らは阻止できるか?シリーズ第三幕!
橘奈良麻呂を葬った藤原仲麻呂は、恵美押勝と名を変え、帝を操り強大な権勢をふるっていた。黄金が眠る陸奥支配を狙う押勝。これに対抗すべく、蝦夷の牡鹿嶋足と策士・物部天鈴は、怪憎・弓削道鏡を利用、さらには、大宰府にいる吉備真備を都に呼び戻そうと画策する。若き蝦夷たちが躍動するシリーズ第二幕!
天平二十一(七四九)年の春、奈良の都からはるか遠い陸奥の地で黄金が発見された。これにより、陸奥に暮らす蝦夷の丸子嶋足と物部一族の天鈴は、都を揺るがす橘奈良麻呂の乱に自ら身を投じ、知略をめぐらして、朝廷の野心を未然に防ごうとするが。シリーズ開幕篇!
根来傀儡衆の頭領・左甚五郎がまたも動き出した。狙いは御家騒動が収束したばかりの会津藩。舫九郎は幡随院長兵衛、天竺徳兵衛、高尾太夫らと会津に乗り込むが、そこには売り出し中の軍学者・由比正雪や柳生十兵衛、天海大僧正までが集結していた。いずれが敵か味方か!?激闘の果てに明かされる真相は?
吉原近くの親父橋のたもとで見つかった女の死体は首を切り落とされ、背中の皮が剥ぎ取られていた。事件をさぐる幡随院長兵衛の前に現れる恐るべき男たち。天竺徳兵衛、柳生十兵衛、そして十兵衛と互角の勝負を演じる若き美剣士・舫鬼九郎。謎が謎呼ぶ展開と壮絶な剣戟シーンで読者を魅了する、極め付きの長篇時代活劇!
東北人の荒ぶる魂、ここにあり。中央政権の容赦ない仕打ち。窮する民を見かねて、東北の英雄・アテルイの血をひく若者が決起する。朝廷を相手に熱き闘いを繰り広げる蝦夷たちを描く歴史長編。東北の大河小説ついに完成!
「私は必ず戻る。あいつの居場所を教えに」。聖夜の死から十日、盛岡市の喫茶店・ドールズには未だ悲しみが満ちていた。しかし、葬儀に参列した陰陽師・土御門ライの出現で、最大の宿敵である箱神との因縁がよみがえる。箱神を追って消えた聖夜はどこにいるのか。何故、江戸の名人形師・目吉は現代に転生し、月岡怜の身体に宿ったのか。シリーズ最大の謎が今、明かされる。あらゆるエンタメを超越した筆者渾身の超大作ついに完結!
殺し屋・月影を追う北町奉行所筆頭与力・仙波一之進・仙波は平賀源内に依頼して、事件のカギを握る記憶喪失の娘をエレキテルで治療するが、娘が思いだしたのはただひとつ、「おとっつぁんは歌麿」!?表題作などテレビドラマ「だましゑ歌麿」シリーズの原作2篇を含む中篇集。巻末座談会・水谷豊、岸部一徳、中村橋之助。
ある新人賞に驚異的な小説が応募されたことから物語は始まる。書評家の私は、旧知の編集者から頼まれて、連絡のとれない作者・風森大樹を捜すことに。だが、本籍地の青森で調査しても、その行方は杳として知れない。風森には超能力があったと、小学校の同級生の政夫は驚くべき話をした。その後、調査を手伝った政夫が突然、死亡。これはただ事ではないー次々襲い来る緊急事態に、ページを繰る手が止まらない傑作サスペンス!
風森の一族は人知を超えた能力を隠し、ひっそりと暮らしてきた。その力を奪取しようと目論む組織と風森との間で、激しい戦闘が勃発する。金絡みのゴタゴタでヤクザ・輝田組も参戦。私と地元の若者・広司、組織から寝返ったという謎の美女・名美の三人は風森と行動をともにし、危地からの脱出を目指す。すると恐るべき名美の能力が明らかになりー。そして物語は胸を熱くする壮麗フィナーレへ。あなたは衝撃シーンの目撃者となる!
明治九年、廃刀令が発布され、銀座では牛鍋屋が大流行。『仮名読新聞』の仮名垣魯文の所に、朝鮮から完四郎が帰ってきた。警視庁の抜刀隊の指導者となった完四郎。そこに平将門首塚の祟り、銀座の辻斬り事件、煉瓦街の幽霊騒動が起きる。動機は新政府に対する士族の不平不満らしい。遠く九州では不穏な決起の気配が。完四郎は熊本鎮台襲撃阻止のため、元新撰組・斎藤一と共に乗り込む。怒涛の第5弾。
光仁天皇の御世になって八年。物語の舞台は陸奥に移る。都で働く道嶋嶋足に対し、伊治鮮麻呂は蝦夷でありながら国府多賀城の役人として蝦夷の乱の鎮圧にあたっていた。陸奥を守るため、朝廷と蝦夷の共存を目指し腐心してきた鮮麻呂だが、陸奥守の横暴、蝦夷を人と思わない帝の勅に、ついに決起を覚悟する。狙うは陸奥守の首ひとつ。北辺の部族の誇りをかけた闘いを描く著者渾身の歴史ロマン、堂々完結。
盛岡市にある喫茶店・ドールズ。経営者の月岡真司の一人娘・怜の身体の中には、過去の事故をきっかけに江戸の天才人形師・目吉が棲んでいる。このドールズのアルバイトに聖夜という女性が加わった。明朗快活、警察学校で剣道を教えるほどの腕前という彼女の胸のうちに密やかに渦巻くのは悲壮な決意だった。彼女との出逢いが目吉たち一行を恐るべき魔物「箱神」との対決へ導く。稀代の名キャラクター・目吉を襲う最大の危機。