著者 : 高橋源一郎
ぼくにできるのはお話をすることだけ。ラジオから届く、あの時代のヴォイス。JRAK、こちらパラオ放送局……。中島敦、大久保康雄らが接点をもった熱帯生物研究所。そこに流れるラジオ番組は「オールナイト・パラオ!」。謎のDJのトークが昭和史と文学史と奇想を巧みにリミックスし、ヒロヒトと南方熊楠、森鷗外ら戦前・戦中期の文化人たちとの密かな絆を謳いあげる。6年ぶりの大長篇小説。
隠され続けたのは、私たちの「声」なんだーー。 「一億玉砕」から「民主主義」へーー。言葉は変われどその本質は変わらなかった戦後の日本。そんな中、それを言われると世間が困るような「声」を持つ人たちがいた。酒におぼれる小説家・上原、既婚者・上原を愛するかず子、麻薬とアルコール中毒で苦しむ弟・直治。1947年に発表され爆発的ブームを巻き起こした『斜陽』に描かれる、生きるのが下手な彼らの「声」に、太宰治が込めた思いとは何だったのか。彼らが追い求めた「自分の言葉で」「真に人間らしく」生きるとはどういうことなのか。太宰が「どうしても書きたかったこと」に作家・高橋源一郎が迫る。秀作『散華』に焦点をあてた書下ろし特別章「太宰治の十五年戦争」収載。
文学史そのものを小説にする「日本文学盛衰史」の次なるテーマは「戦後文学」。誰にも読まれなくなった難物を、ロックンロールやパンク、ラップにのせ、ブログやtwitter、YouTubeまで使って揉みほぐす。そんなある日、タカハシさんは「戦災」に遭う……。 「文学なんてもうありませんよ」 文学史そのものを小説にする「日本文学盛衰史」の次なるテーマは「戦後文学」。誰にも読まれなくなった難物を、ロックンロールやパンク、ラップにのせ、ブログやtwitter、YouTubeまで使って揉みほぐす。そんなある日、タカハシさんは「戦災」に遭う……。 オオオカ きみは死んだ。ぼくも死んだ。幸いなことに、ぼくもきみも全集は出版された。けれど、いまや、ぼくたちの読者も少ない。というか、文学そのものが風前の灯だ。 コバヤシ わかった。テレビに駆逐されたんだろう。待てよ、マンガかな。SF……ミステリー……あと、何があったっけ。 オオオカ 違うんだ、こばやし。パソコンと携帯電話だよ、文学を滅ぼそうとしているのは。 コバヤシ わけがわからん。ぱそこんに電話? それと文学にどんな関係があるの。 オオオカ アップルがマッキントッシュを発売したのが、きみが亡くなった翌年だものね。きみに理解できないのも無理はない。だが、そんな説明をする必要はあるまい。こばやし。 コバヤシ なに? オオオカ もう、本は売れんぞ。 ーー「twitter上にて・続」より
宇宙船から突如失踪したジョバンニの父。最後に残された謎の言葉……。果たしてジョバンニは父と再会できるのか。連載6年、高橋源一郎の新たな代表作、ついに文庫化!(巻末エッセイ/最果タヒ)
震災の被災者支援チャリティーのためにアダルト・ヴィデオの制作を企画した男たちのひどすぎる奮闘記。言葉を失う現実を前に、言葉を発する意味とはーカワカミヒロミ、ミヤザキハヤオ、イシムレミチコらを論じた「震災文学論」を挿入。東日本大震災及び福島第一原発事故直後に発表され、大きな議論を巻き起した問題作。
「この作品が自分は一番嫌いだ」(奥泉光選「道化の華」)、「不思議な明るさに包まれた怯えの百面相」(堀江敏幸選「富嶽百景」)、「『男性というものの秘密』を知っている作家」(松浦寿輝選「彼は昔の彼ならず」)--七人の男性作家がそれぞれの視点で選ぶ、他に類を見ない太宰短篇選集。 「この作品が自分は一番嫌いだ」(奥泉光選「道化の華」)、 「不思議な明るさに包まれた怯えの百面相」(堀江敏幸選「富嶽百景」)、 「『男性というものの秘密』を知っている作家」(松浦寿輝選「彼は昔の彼ならず」)-- 七人の男性作家がそれぞれの視点で選ぶ、他に類を見ない太宰短篇選集。 道化の華 奥泉 光・選 畜犬談 佐伯一麦・選 散華 高橋源一郎・選 渡り鳥 中村文則・選 富嶽百景 堀江敏幸・選 饗応夫人 町田 康・選 彼は昔の彼ならず 松浦寿輝・選 年譜 選者略歴
【著者紹介】 高橋源一郎 (たかはし・げんいちろう) 1951年生まれ。作家、明治学院大学国際学部教授。 81年『さようなら、ギャングたち』で群像新人長篇小説賞優秀作、 88年『優雅で感傷的な日本野球』で三島由紀夫賞、 2002年『日本文学盛衰史』で伊藤整文学賞を受賞。 最新刊は『「悪」と戦う』。
少年は旅立った。サヨウナラ、「世界」-ある夜、突如ランちゃんの前に現れた謎の少女・マホさん。彼女はランちゃんにある指令を出した。「“世界を守る鍵”である、あなたの弟・キイちゃんが『悪』の手先・ミアちゃんに連れ去られたわ。『悪』からキイちゃんを救い出すのよ!」「悪」とは、「世界」とは何なのか?単行本未収録小説「魔法学園のリリコ」併録。著者最高の話題作が待望の文庫化!
「注文の多い料理店」や「風の又三郎」など、誰もが知っている名作童話から生まれる、誰も見たことのない新しい“ミヤザワケンジ”の文学。世界の終わりとはじまり、夢と現実、生と死。すべてが曖昧になった場所で織り成される24篇が、あなたの感性にかつてないほどの衝撃を与える。異能の作家・高橋源一郎の手によって開かれる、賢治にも描けなかった賢治ワールド。最強トリビュートの決定盤。第16回宮沢賢治賞受賞。
ぼくは野球を知らなかった。ぼくの友だちもパパもママも先生さえも知らなかった。「野球を教わりたいんです」-“日本野球”創世の神髄が時空と国境を越えていま物語られる。一九八五年、阪神タイガースは本当に優勝したのだろうか?第一回三島由紀夫賞受賞の名作。
ーこの一切をはじめたのは、ほんとうは誰なんだよ!!-だからおれの夢の中に出てくる『虹の彼方に(オーヴァー・ザ・レインボウ)』だって言ってるじゃねえか。一九七三年夏、東京拘置所。『カール・マルクス』『ウルトラマン』等夢みる囚人達と所長『ハンプティ・D』の間で演じられる可笑しくも悲痛な思想劇。『さようなら、ギャングたち』『ジョン・レノン対火星人』と並び著者の原点を示す秀作。
小説がここまで辿り着けるのか!ポストモダンを突き抜けた過激さで危ないテーマを軽く、ポップにこなして、新しい小説世界の扉を開く問題作13篇。恋人はヨウコ、ラテックス製、ポルノ女優の母、死者(たぶん)が集うファミレス、「彼」と「彼女」がチェンジし続けて…。ファンキーでせつない超傑作知篇集。
もうひとつの「風の又三郎」や「注文の多い料理店」は、どんなお話?壊れた時間の往人たちがおくる、真夜中のヒットパレード!現代の“ミヤザワケンジ”が描く、24の物語。
「何をどう書けばいいのか?」近代日本文学の黎明期、使える文体や描くべきテーマを求めて苦悩する作家たち。そして……漱石は鴎外に「たまごっち」をねだり、啄木は伝言ダイヤルにはまり、花袋はアダルトビデオの監督になる!?近代文学史上のスーパースターが総登場する超絶長編小説。第13回伊藤整文学賞受賞作。 おもしろくてためになる、小説で読む新世紀超絶文学史!! 第13回伊藤整文学賞受賞作 「何をどう書けばいいのか?」近代日本文学の黎明期、使える文体や描くべきテーマを求めて苦悩する作家たち。そして……漱石は鴎外に「たまごっち」をねだり、啄木は伝言ダイヤルにはまり、花袋はアダルトビデオの監督になる!?近代文学史上のスーパースターが総登場する超絶長編小説。 <伊藤整文学賞受賞作> 死んだ男 ローマ字日記 ローマ字日記・続 若い詩人たちの肖像 若い詩人たちの肖像・続 若い詩人たちの肖像・続々 ALETTER FROM PRISON A LETTER FROM PRISON・続 硝子戸の中 平凡 HANA-BIみたいな散歩 『蒲団'98・女子大生の生本番』(1) 『蒲団'98・女子大生の生本番』(2) 『蒲団'98・女子大生の生本番』(3) 『蒲団'98・女子大生の生本番』(4) 我々はどこから来たのか、そして、どこへ行くのか(1) 我々はどこから来たのか、そして、どこへ行くのか(2) 我々はどこから来たのか、そして、どこへ行くのか(3) 我々はどこから来たのか、そして、どこへ行くのか(4) 原宿の大患(1) 原宿の大患(2) 原宿の大患(3) されどわれらが日々(1) されどわれらが日々(2) されどわれらが日々(3) されどわれらが日々(4) されどわれらが日々(5) 本当はもっと怖い『半日』 WHO IS K?(1) WHO IS K?(2) WHO IS K?(3) WHO IS K?(4) やみ夜(1) やみ夜(2) ラップで暮らした我らが先祖 三四郎 文学的な、あまりに文学的な そして、いつの日にか 歴史其儘と歴史離れ 帰りなん、いざ…… きみがむこうから…
住所はなく、消印は「葛飾」、そして差し出し人の名前は、「すばらしい日本の戦争」……名作『さようなら、ギャングたち』に先立つこと1年、闘争、拘置所体験、その後の失語した肉体労働の10年が沸騰点に達し、本書は生まれた。<言葉・革命・セックス>を描きフットワーク抜群、現代文学を牽引する高橋源一郎のラジカル&リリカルな原質がきらめく幻のデビュー作。 住所はなく、消印は「葛飾」、そして差し出し人の名前は、「すばらしい日本の戦争」………… 名作『さようなら、ギャングたち』に先立つこと1年、闘争、拘置所体験、その後の失語した肉体労働の10年が沸騰点に達し、本書は生まれた。<言葉・革命・セックス>を描きフットワーク抜群、現代文学を牽引する高橋源一郎のラジカル&リリカルな原質がきらめく幻のデビュー作。 序章 ポルノグラフィー 1章 「すばらしい日本の戦争」 2章 十九世紀市民小説 3章 リアルなものはあらずや? 4章 「気のせいですよ、きっと」 5章 同志T・O 6章 愛のレッスン 終章 追憶の一九六〇年代 エピローグ 著者から読者へ
詩人の「わたし」と恋人の「S・B(ソング・ブック)」と猫の「ヘンリー4世」が営む超現実的な愛の生活を独創的な文体で描く。発表時、吉本隆明が「現在までのところポップ文学の最高の作品だと思う。村上春樹があり糸井重里があり、村上龍があり、それ以前には筒井康隆があり栗本薫がありというような優れた達成が無意識に踏まえられてはじめて出てきたものだ」と絶賛した高橋源一郎のデビュー作。