著者 : 高田大介
襖の裏紙に書きつけられた、奇妙な「天狗のお告げ」。 町外れの古書店で見つけた、上下さかさまに記された一枚の紙切れ。 家族会議から始まった、解読不能の古文書「ヴォイニッチ写本」探訪の旅。 浮世離れのディレッタントにかかれば、 一葉の紙片は秘密を語る宝石箱になる。
待望のリブラリアン・ファンタジー、再始動。 マツリカが、キリヒトが、帰ってきた。 囚われた魔女を救うべく、仲間たちは雷鳴轟く山峡の砦を目指す。 風が唸り、雷が轟く「霆ける塔」に囚われた図書館の魔女・マツリカ。宿敵ミツクビの罠にかかり、閉ざされた山城で彼女を待つのは、夜毎降り注ぐ稲妻と奇妙な因縁を背負う砦の主。脱出の糸口を探るマツリカを、新たな謎と出会いが待ち受ける。一方遠く離れた故郷では、ハルカゼ、キリン、そしてキリヒトたちが、マツリカ救出のため立ち上がる。 彼らは、わずかな手がかりと研ぎ澄まされた知恵を武器に、雪深い山脈を越え、未踏の隠し砦を追う! 強靭な意志と絆が試される極限状況の中、マツリカは、そして仲間たちは、この絶望的な状況を打ち破ることができるのか? メフィスト賞が生んだ弩級のファンタジー「図書館の魔女」。シリーズ最新作がついにそのベールを脱ぐ。
祖父が遺したのは大量の古書と、 二十あまりの黒檀の小箱 対独協力者として弾劾された教師が 晩年探し求めたものとはーー 祖国、信仰、そして音楽の記憶を辿るべく 青年は歴史の迷宮に足を踏み入れる 〈図書館の魔女〉シリーズの俊英が贈る 知的探求の喜びに満ちた最新長編ミステリ 二〇一七年、フランス中部に位置する都市リモージュの新聞社に勤める事件記者ジャンゴ・レノールトは、亡き祖父マルセルの遺品整理のため、彼が晩年を暮らした寒村を訪れる。戦後、対独協力者として断罪された祖父は、一族から距離を置いてこの地に隠れ住んでいた。生前会うことがなかった祖父が遺したのは古書の山と、二十あまりの黒檀の小箱──そこに隠された意味とは何か? ジャンゴは西洋古典学を研究する大学院生ゾエ・ブノワの協力のもと、祖父が希求した真実を求め歴史の迷宮へと足を踏み入れる。〈図書館の魔女〉シリーズの俊英が満を持して贈る、知的探究の喜びに満ちた長編ミステリ。
多様な都市国家の思惑が交差する海峡地域。その盟主、一ノ谷には「高い塔の魔法使い」と呼ばれる老人タイキがいた。歳のころ六、七である孫娘マツリカは、早くに両親をなくし祖父のもとに身を寄せている。 ある日、タイキを中心に密談が開かれた。海を隔てた潜在的敵国・ニザマとの海戦に備えてのものだった。一方、マツリカは好物の海老饅頭の味が落ちたことを疑問に思い、その理由を解き明かそうとする。 国家の大計と幼女の我が儘が並行し、交錯していく……。
【特集】今こそ見逃せない! 大注目の翻訳ミステリ 印象的な男 ピーター・スワンソン 務台夏子 訳 アマポーラ ルイス・アルベルト・ウレア 門野 集 訳 2022年東京創元社の翻訳ミステリ刊行リスト 2022年上半期翻訳ミステリの動向 若林 踏 ジャナ・デリオン 〈ワニ町〉シリーズ応援イラスト 松島由林 名作ミステリ新訳プロジェクト・パーフェクトガイド 祝 翻訳ミステリー大賞および読者賞決定! 【特集】慄(ふる)える・惑(まど)う・憑(つ)かれる 真夏のホラー 古池町綺譚 小田雅久仁 紹興庵(しょうこうあん) 幻想文学会の思い出 南條竹則 赤虫村の怪談 大島清昭 芦花公園『とらすの子』刊行記念鼎談! 多彩な恐怖の探求者たちーー新鋭ホラー作家ガイド 朝宮運河 創元ホラー長編賞 応募規定 【新連載】 記憶の対位法 第1回 高田大介 【小説】 夫の罪と妻の罪 犯罪相談員〈2〉 石持浅海 きみのかたち 第3回 坂木 司 間の悪いスフレ 近藤史恵 わたしたちの怪獣 久永実木彦 ホロウ・ダンス 雛倉さりえ 刑事何森 逃女 丸山正樹 ※澤村伊智「特撮なんて見ない」は休載です 【ESSAY】 装幀の森 第2回 アルビレオ ぼくたちが選んだ 第4回 有栖川有栖・北村 薫・宮部みゆき 翻訳のはなし 第4回 スウェーデン語─英語─スウェーデン語 柳沢由実子 ※若島 正「乱視読者の読んだり見たり」は休載です 【COLUMN】 ひみつのおやつ*ラムネ 八目 迷 私の必需品*オフの環境 阿泉来堂 【INTERVIEW 期待の新人】 藤 つかさ 五十嵐律人 【INTERVIEW 注目の新刊】 『汝、星のごとく』 凪良ゆう 『夜の道標(どうひょう)』 芦沢 央 【BOOKREVIEW】 [文芸全般] 瀧井朝世 [国内ミステリ] 宇田川拓也 [翻訳ミステリ] 村上貴史 [SF] 渡邊利道 [ファンタジイ] 三村美衣
4年の沈黙を破り、『図書館の魔女』の著者が描く驚天動地のミステリ 「まほり」とは何か? 蛇の目紋に秘められた忌まわしき因習 膨大な史料から浮かび上がる恐るべき真実 大学院で社会学研究科を目指して研究を続けている大学四年生の勝山裕。卒研グループの飲み会に誘われた彼は、その際に出た都市伝説に興味をひかれる。上州の村では、二重丸が書かれた紙がいたるところに貼られているというのだ。この蛇の目紋は何を意味するのか? ちょうどその村に出身地が近かった裕は、夏休みの帰郷のついでに調査を始めた。偶然、図書館で司書のバイトをしていた昔なじみの飯山香織とともにフィールドワークを始めるが、調査の過程で出会った少年から不穏な噂を聞く。その村では少女が監禁されているというのだ……。代々伝わる、恐るべき因習とは? そして「まほり」の意味とは? 『図書館の魔女』の著者が放つ、初の長篇民俗学ミステリ!
道案内の剛力たちに導かれ、山の尾根を行く逃避行の果てに、目指す港町に辿り着いたニザマ高級官僚の姫君と近衛兵の一行。しかし、休息の地と頼ったそこは、陰謀渦巻き、売国奴の跋扈する裏切り者の街と化していた。姫は廓に囚われ、兵士たちの多くは命を落とす……。喝采を浴びた前作に比肩する稀なる続篇。 1 烏と馬鹿 2 廃虚と唐臼 3 姫御前、娼館 4 飯場、暗渠 5 鼠と鈴 6 掟と弁え 7 薬師の目覚め 8 蛍火
姫を救出せんとする近衛兵と剛力たち。地下に張り巡らされた暗渠に棲む孤児集団の力を借り、廓筋との全面抗争に突入する。一方、剛力衆の中に、まともに喋れない鳥飼の男がいた。男は一行から離れ、カラスを供に単独行動を始めが……。果たして姫君の奪還はなるか? 裏切りの売国奴は誰なのか? 傑作再臨! 9 奪還 10 伝言二信 11 嘘の賭金 12 狐と鼠 13 院 14 識字 15 牛目 16 杣道 17 港
深刻な麦の不作に苦しむアルデシュは、背後に接するニザマに嗾けられ、今まさに一ノ谷に戦端を開こうとしていた。高い塔のマツリカは、アルデシュの穀倉を回復する奇策を見出し、戦争を回避せんとする。しかし、彼女の誤算は、雄弁に言葉を紡ぐ自身の利き腕、左手を狙った敵の罠を見過ごしていたことにあった。 第三部 一ノ谷、ニザマ 文献学講義と糸繰る者達 30 どうらんのきせつはまぢかにせまり 31 まつりかがぐりもわーるのかずかずを 32 ぎしょをめぐるぶんけんがくこうぎ 33 きりんのふざいはすうしゅうかんにおよぶ 34 しゅくさいのちまたをとおくはなれ 35 にざまへむかうしせつだんがそしきされた 36 しゅっこうのあさはみぞれまじりのゆき 37 にざまていはみずからのあしでひのおましに
手を汚さずして海峡に覇権を及ぼす、ニザマの宦官宰相ミツクビの策謀に対し、マツリカは三国和睦会議の実現に動く。列座したのは、宦官宰相の専横に甘んじてきたニザマ帝、アルデシュ、一ノ谷の代表団。和議は成るのか。そして、マツリカの左手を縛めた傀儡師の行方は?超大作完結編。第45回メフィスト賞受賞作。 第四部 ニザマ、アルデシュ 円卓会議と双子座の館の対決 38 わぼくのえんたくはにざまにしのりきゅうに 39 まつりかさまはにざまていのいしをごぞんじ 40 このがくではたしてなにがあがなえる 41 しんせつのやまみちにこっきょうをこえ 42 みとぅなのきょじょうにつくまえから 43 さいじょうかいにはあかりはなく 44 はながさけばあらし
鍛冶の里に生まれ育った少年キリヒトは、王宮の命により、史上最古の図書館に暮らす「高い塔の魔女(ソルシエール)」マツリカに仕えることになる。古今の書物を繙き、数多の言語を操って策を巡らせるがゆえ、「魔女」と恐れられる彼女は、自分の声を持たないうら若き少女だった。超弩級異世界ファンタジー全四巻、ここに始まる! 第一部 山賤ノ里、一ノ谷 図書館の魔女と手の中の言葉 1 やまざとでのさいごのいちにち 2 しゅったつのときはちかづく 3 ここからさきはひとりでいきなさい 4 ほんをよんでいるときにはなしかけては 5 わたしのいっていることがわかっているか 6 それにきがついていたのはまじょのほう 7 とけいまわりにおりていくこと 8 かすかなそけいのかおり 9 うえにみつくびがまっています 10 みつくびはめをほそめてねめつけていた 11 まじょのすまいはまるでろうごくかとりでか 12 まじょがてがみをかいているところをみる 13 きりひとのてならいがはじまった 14 あたらしいしゅわをつくる 15 あらゆることがぶんけんにのっている 16 すーくにおりるみちじゅんがちがう 17 なかにわのいどにはいらせてもらう
図書館のある一ノ谷は、海を挟んで接する大国ニザマの剥き出しの覇権意識により、重大な危機に晒されていた。マツリカ率いる図書館は、軍縮を提案するも、ニザマ側は一ノ谷政界を混乱させるべく、重鎮政治家に刺客を放つ。マツリカはその智慧と機転で暗殺計画を蹉跌に追い込むが、次の凶刃は自身に及ぶ! 第二部 一ノ谷 地下の覊旅と暗殺者の所在 18 ほんとうにひみつをまもるのは 19 はなれのなかにわのいどから 20 まつりかはきりひとのみちびきで 21 まつりかがきりひとをたよりにしすぎる 22 はるかぜはかくごをきめたという 23 かしらのなまえはおしえてもらえなかった 24 しゅくえんのさなか、かくれるように 25 たったひとことのせりふから 26 へきえんにけぶりたつのびのごとく 27 われにかえってしんそこしまったとおもった 28 てにもっているのはなに? 29 むしろこんごのことをはなしあっておこう
霧深いなか、道案内の剛力たちに守られながら、ニザマの地方官僚の姫君ユシャッバとその近衛兵の一行が尾根を渡っていた。陰謀渦巻く当地で追われた一行は、山を下った先にある港町を目指していた。剛力集団の中には、鳥飼のエゴンがいた。顔に大きな傷を持つエゴンは言葉をうまく使えないが、鳥たちとは、障害なく意思疎通がとれているようだ。そんな彼の様子を興味深く見ていたのは、他ならぬユシャッバだったーー。 霧深いなか、道案内の剛力たちに守られながら、ニザマの地方官僚の姫君ユシャッバとその近衛兵の一行が尾根を渡っていた。陰謀渦巻く当地で追われた一行は、山を下った先にある港町を目指していた。 剛力集団の中には、鳥飼のエゴンがいた。顔に大きな傷を持つエゴンは言葉をうまく使えないが、鳥たちとは、障害なく意思疎通がとれているようだ。そんな彼の様子を興味深く見ていたのは、他ならぬユシャッバだったーー。
鍛治の里に暮らす少年キリヒトは、師の命により、大陸最古の図書館を統べるマツリカに仕えることになる。古今の書物を繙き、数多の言語を操って策を巡らせるがゆえ、「魔女」と恐れられる彼女は、自分の声をもたないうら若き少女だった。本を愛し、言葉の力を信じるすべての人に!
鍛治の里に暮らす少年キリヒトは、師の命により、大陸最古の図書館を統べるマツリカに仕えることになる。古今の書物を繙き、数多の言語を操って策を巡らせるがゆえ、「魔女」と恐れられる彼女は、自分の声をもたないうら若き少女だった。本を愛し、言葉の力を信じるすべての人に!