ジャンル : ミステリー・サスペンス
妖怪に花見に誘われた弥助と千弥。ふたりの後をこっそり尾けていた久蔵は……「春の巻」。屋敷に閉じ込めたせいでふてくされた甥、津弓をなぐさめようとした月夜公だったが……「夏の巻」。玉雪が立派な栗山をもっている理由は? 「秋の巻」。千弥と月夜公の過去の因縁の物語「冬の巻」。〈妖怪オリジナル・キャラクター〉募集で選出された妖怪が登場する短編も収録。弥助と妖怪たちの心温まる交流を描く、人気シリーズ第3弾。
ジョナサン・ラデック、帝国近衛隊隊長。皇帝の勅命により任命された最優秀の帝国軍人だ。階級は中佐だが、皇帝以外の何者にも従う義務はない。彼は皇帝の座乗する帝国海軍第4艦隊旗艦“インペリアル・スター”で、最近、不穏な気配を感じていた。艦隊を指揮するハーコフ提督が裏で動いているらしい。そんな折、ラデックは首都惑星エデン・プライムにソフィア皇女を送り届ける任務を命じられるが…熱血戦争SF登場!
ソフィア皇女とエデン・プライムへと向かった旅から五年後…。わし座ゼータ星系にある宇宙ステーションーテラ・ノヴァを入手したラデックは、元帝国軍の兵士仲間と立ち上げた運輸会社ヴァンガード社の最高経営責任者として、多忙な日々を送っていた。辺境星域であるとはいえあまりに頻発する悪質な企業乗っ取りや海賊行為を憂慮したラデックは、暗躍するシンジケート殲滅のため調査を開始するが、やがてその背後に…!?
いつもの憂鬱な朝、急に「サイキック探偵になる」と言いだした姉・芙二子に振り回される三紅。行方不明の女性の調査をすることになった二人は、事故物件を扱う不動産屋の神凪怜と出会う。三紅の心酔する霊能力者に似たクールな印象の男性だが、どこか胡散臭い。しかし、偶然に三紅が神凪に触れた瞬間、聞こえないはずの右耳から、不思議な声が聞こえてくる。その一方、神凪も見えないはずのモノが見えているらしいーー。デビュー作『強欲な羊』で度肝を抜いた新鋭が、様々な恐怖症をテーマにした四つの不可思議な事件で、貴方の心を抉ります。
「ミステリーズ!新人賞」から、これまで幾編もの短編ミステリが、数多くの才能が見出されてきた。歴史ミステリの第一線に立つ高井忍、中華ミステリという分野で独自の地位を築く秋梨惟喬、ユーモア・ミステリの旗手として期待が高まる滝田務雄、非凡な発想と構成で読み巧者をも唸らせる沢村浩輔、大藪春彦賞受賞のほかデビュー以来破格の評価を受け続ける梓崎優。新鋭たちの輝かしい出発点となった受賞作五編を収める。
昼とは別の姿を見せる真夜中の東京“大都市T”。ある晩の殺人事件をきっかけに、数々の怪事件を解決すべく暗躍する“深夜の市長”の存在を知った僕。果たして彼の正体は?傑作都市ミステリ「深夜の市長」、人間の興奮を測定した“興奮曲線”をめぐる悲劇を描く「キド効果」など11編を収録。日本SFの先駆者の真髄を示す、唯一無二の奇想で彩られた珠玉のミステリ短編集を贈る。
紐結びの魔道師リクエンシス。紐を様々に結ぶことで、相手を言祝ぎ、幸運を祈るかと思えば、巧みに罠をしかけもする。あるときは腹に一物ある貴石占術師を煙に巻き、魔道師を目の敵にする銀戦士と戦い、あるときは炎と大地の化け物退治に加勢し、またあるときは相棒で書記のわがまま爺さんの命を救おうと奔走し、写本の国パドゥキア目指して砂漠を横断する。コンスル帝国動乱の時代、紐結びの魔道師の活躍を描く好評シリーズ最新作。
犬に似た奇妙な生き物を育てる三姉妹の人生をユーモラスに描き、第1回創元SF短編賞佳作となった表題作、郊外のぼろアパートの住人たちの可笑しな日々「シキ零レイ零 ミドリ荘」、十五人姉妹が暮らす孤島を見舞った異常事態「母のいる島」、ウェブ上に現れた子供の日記から始まるシュールな冒険「おやすみラジオ」、ねぶたの街・青森を舞台に時を超えて紡がれる幻想譚「巨きなものの還る場所」の全五編を収録。
アオヤマが理想のコーヒーを探し求めるきっかけとなった女性・眞子。11年ぶりに偶然の再会を果たした初恋の彼女は、なにか悩みを抱えているようだった。後ろめたさを覚えながらも、アオヤマは眞子とともに珈琲店“タレーラン”を訪れ、女性バリスタ・切間美星に引き合わせるが…。眞子に隠された秘密を解く鍵はー源氏物語。王朝物語ゆかりの地を舞台に、美星の推理が冴えわたる!
三世澤村田之助、江戸末期〜明治初期に一世を風靡した歌舞伎の名女形。舞台の最中の怪我から脱疽となり結果として四肢を切断せざるを得なかった悲劇の名優である。明治3年、異彩の画家・河鍋狂斎の描いた幽霊画を発端とした連続殺人事件が、猿若町を震撼とさせる。幽霊画には歌舞伎界を揺るがす秘密が隠されているらしいーー。滅び行く江戸風情とともに、その事件の顛末を戯作者見習いのお峯の目を通して丁寧に活写した、第6回鮎川哲也賞受賞作『狂乱廿四孝』。さらに、その後のお峯たちの姿を描いた未完の長編ミステリ『双蝶闇草子』を付す。
シャーロック・ホームズとアルセーヌ・ルパンーーミステリ界が誇る二大巨星の新たなる冒険譚から、大石内蔵助をはじめとする赤穂浪士たちの討ち入りのさなか雪の降り積もる吉良邸で起こった密室殺人、実はシャーロキアンだったアドルフ・ヒトラーが披露する推理、“怪談”を解き明かしていくラフカディオ・ハーン(小泉八雲)が日本に来た真の理由まで、在非在の偉人たちが名探偵となって競演する全五編。虚実いり乱れる奇想天外な本格ミステリ短編集。
ニーナはある早朝、ウクライナ語でわめきながらやってきた老婆にいきなり注射を打たれ、携帯電話を奪われそうになった。そのまま意識を失うが、携帯に録音されていたウクライナ語を手がかりに元FBIのアーロとともに事情を探ると、老婆は亡き母の親友の科学者で、ニーナが打たれた薬剤を巡って政界をも巻き込んだ争奪戦が起きていることを知る。そして、3日以内に解毒剤を打たなければ、自分の命が尽きることも…。解毒剤を探すニーナとアーロに刻一刻と時間は迫りー大好評官能サスペンス第9弾!
『マルドゥック・スクランブル』『天地明察』を経て、冲方丁がデビュー20年目にはじめて書く現代長編ミステリー! 廃業した病院にやってくる、十二人の子どもたち。建物に入り、金庫をあけると、中には1から12までの数字が並べられている。この場へ集う十二人は、一人ずつこの数字を手にとり、「集いの場」へおもむく決まりだった。 初対面同士の子どもたちの目的は、みなで安楽死をすること。十二人が集まり、すんなり「実行」できるはずだった。しかし、「集いの場」に用意されていたベッドには、すでに一人の少年が横たわっていたーー。 彼は一体誰なのか。自殺か、他殺か。このまま「実行」してもよいのか。この集いの原則「全員一致」にのっとり、子どもたちは多数決を取る。不測の事態を前に、議論し、互いを観察し、状況から謎を推理していく。彼らが辿り着く結論は。そして、この集いの本当の目的はーー。 性格も価値観も育った環境も違う十二人がぶつけ合う、それぞれの死にたい理由。俊英・冲方丁が描く、思春期の煌めきと切なさが詰まった傑作。