ジャンル : ミステリー・サスペンス
シティ選出の下院議員が死体となって発見されたのは七月深夜のこと。事故死であることは明らかと見えたため、検視解剖の手続きは省略されたが、葬儀当日、担当検視官のもとに一通の書簡箋が届くー。“われらが下院議員殿。あれはほんとうに事故だったのだろうか?”様々な思惑入り乱れる中、密命をうけ調査を開始した市警察のブラッグ部長刑事とモートン巡査。時代ミステリ第二弾。
海辺の小さな町に、あのカーニヴァルがやってきた。十二年ごとにめぐりくる〈夏至〉のはじまりだ。巨人の靴が流れ着き、人魚のような生き物が釣りあげられ、ネズミの仮面をつけた小人が走り去る。それは〈夢の国〉が立ち現われる時間、そして少年たちの冒険の季節。過去と現在と未来がひとつになるとき、彼らは…。世界幻想文学大賞作家が贈る。現代マジカル・ファンタジィ。
至高神ゼルディンの血をひく一族が統治する黄金の国ガルキス。その磐石の治政が今ゆるぎつつあった。このとき大司教イゼドンは古来の予言に則り、まだ若き第三王子ケリシュに密命を授ける。太古にゼルディンと契約を交わし、不死を手に入れた七人の魔人から七つの鍵を手に入れよ、と。異母兄の従者フォロルキンと共に一路故国を後にした彼の行手には?ファンタジイ四部作開幕。
核活動を停止させる〈核の毛布〉の発明は、人類に苛酷なエネルギー危機をもたらした。全世界が疲弊し、人々が科学よりも糧を求めた結果、科学者たちは社会から追放された。だがそんな時代にも、星空に耳を傾けることを忘れない一人の天文学者がいた。そしてある日、彼ができあいの個人天文台で受信した天空からの信号は、人類をふたたび宇宙へ船出させる切符となったのである。
人類は極秘裡に、全地球的組織〈パンゲア・コンソーシアム〉を結成していた。彼らは、刻々と太陽系に接近してくる〈送信者〉を出迎えるため、地球軌道上でまったく新しい駆動システムのコンタクト用宇宙船の建造にとりかかる。大宇宙を、ふたたび人間の手に取り戻すのだ。やがて、人類の誇りを賭けた一大プロジェクトは、人類初の恒星間宇宙船を発進させた。迫真の近未来SF。
マンハッタンにその年最初の雪が舞った夜、ウェルズは一人の著名な海外通信員に出会った。何やら奇妙な連帯感を覚えたあげく、ホテルまでつきあい、つぶれるまで呑んだが、翌朝、相手は謎の闖入者の手で殺されてしまう。酩酊して耳にしたエレノアという名を手がかりに、通信員の過去に分け入る敏腕記者ウェルズー。彼が見た、愛と裏切りの記憶とは?傑作ハードボイルド第二弾!
今なお読者を魅了してやまない名探偵シャーロック・ホームズ。彼こそ名探偵の代名詞でありミステリ史上最大のヒーローである。本書は気鋭の英国女流がこの不世出の天才を甦らせたファン必読の傑作集。傘をとりに戻ったきり一切の消息を絶った給仕の秘密から、厳重な監視下ドイツに国家機密を流さんとする天才科学者の奇策まで、胸躍る七つの冒険を収めた贋作ホームズの決定版。
その都市の名はスリン。巨大な〈壁〉を周囲に巡らせて自らを封じこめ、住民たちは幾世代にもわたり外の世界に出ることがなかった。そしていま、腐敗と堕落に蝕まれたスリンは崩壊の瀬戸際にある。ついにある日、二人の青年貴族が〈壁〉を越えた。はるか彼方に聳える聖なる山で、救世主が神の帰還を待ち受けている、そんな伝説の真偽を確かめるために。ハイ・ファンタジィ巨編。
無頼の宇宙船乗りヨアヒム・ボアズは、哲学者コロネーダーたちの手で身体改造された一種の超人だった。彼と機能的にリンクされた「船」とともに宇宙を渡るポアズの目的はただひとつ…。この宇宙は、定められた輪をたどるように、幾度も同じ時を繰り返してきた。その円環構造に楔を打ち込むこと。横溢するアイデアで読者を自在に翻弄する、鬼才のワイドスクリーン・バロック。
その朝わたしは、テレビのVTRで旧友クィンプが己れの死を予言しているのに出くわした。世界に冠たる天才のピエロにして、エンターテインメント界の名物男。彼が死ぬ?慌てて駆けつけたわたしのまえに、鍵のかかった金庫のなかかから扮装したクィンプの死体が転がりだすが…。廃業寸前のホテルに展開する難事件。失業奇術師コルダーウッドの推理の行方を軽妙に綴った第2弾。
1890年晩秋。霧深いロンドンの高架下で、その夜一人の男が殺害された。状況から追いはぎによる犯行の線は消えたが、ではなぜ、平凡な一市民がこのような最期を遂げたのか?未亡人の窮状に接した市警察のブラッグ部長刑事は、真相究明を心に誓うが…。世紀末ロンドンに殺人犯を追う、たたきあげの硬骨漢ブラッグと貴族出身の新米巡査モートン。時代ミステリの新シリーズ登場。
息抜きがてらビターソーンと二人きりの時を過ごそうと、セーラはアイアソン埠頭の家を訪れた。だが、例によって事はうまく運ばない。高価な骨董品、ビルバオ鏡が留守宅に置き去りにされていたのを皮切りに、遂には殺人事件までが大発生。しかも、あろうことか第一容疑者と目されたのは…。北部の自然を背景に展開するシリーズ第4弾。
わたしの名はディライラ。職業、私立探偵。その日わたしは、見知らぬホテルの一室で目をさました。ベッドには男の刺殺体が転がっている。なぜこんな羽目に陥ったのだろう?パニックをこらえつつ、わたしはその日の行動に思いを馳せた…。六か月前、眼前で殺されていった夫の記憶に悩まされながら、ひとり窮地に立ちむかう女探偵。カリフォルニアに展開する新シリーズ第一弾。
おれはウェーバー・グレグストン。映画監督はもうしてない。でも親友のフィルはホラー映画のシリーズをあてて、監督としちゃ絶好調。その男が、新作の完成直前にライフル自殺しちまった。やつはおれにビデオ・テープを残してた。なかには、小さい頃に亡くしたおれの母親の、飛行機事故で死ぬ最後の数分間が映ってて…。『月の骨』『炎の眠り』を超える、キャロルの到達点。
わたしは河口のただ中に立ちつくし、猛烈な罪悪感に襲われていた。落ち着きがなく、何やら相談ありげだった昨夜のスヴェン。その不安を、自分は受けとめてやることができなかった。結果、老人は死体となって、今、目の前にいる。事故か自殺として処理されそうな雲行きに、わたしはひとり捜査を開始したが…。開発に揺れるカリフォーニアの町。そこに展開する哀しい人間ドラマ。
銀河系を股にかけた賞金稼ぎたちの間で、30年来囁き交わされている幻の名があった。“サンティアゴ”。悪業の限りを尽くし巨額の懸賞金をかけられたこの男は、数多の追撃をかわし、今も正体を謎に包んだままだった。今日もまた一人の男がサンティアゴを追って〈辺境〉へ流れてくる。彼の名はカイン。元革命家の、名うての賞金稼きだ。ヒューゴー賞作家が贈る、遥かなる未来叙事詩。
幻の男サンティアゴを追ういくつもの人間の足跡が、いまひとつに交わろうとしていた。そこには様々な思惑が入り乱れていた。ある者は自らの名声のために、ある者は彼にかけられた巨額の懸賞金のために、そしてある者は…。最後にサンティアゴと雌雄を決するのははたして誰か?悪にまみれた彼の経歴に隠された真実とは?遥かなる大銀河の追跡行は、いかなる結末を迎えるのか。
熱狂的なサルサのリズムに身を任かせようと、私は恋人とマディスン・スクエアに出かけた。嫌な予感がしはじめたのは、いとこのアイクと出会ってから。ダイヤ売買を生業とする彼の様子は、ただごとではなかった。案の定、一緒にいた男は銃殺され、アイクも失走。その妻までが惨殺されるに及んで、私は否応なく事件の渦中へ…。生粋のニューヨーカーが贈る本格ハードボイルド第二弾。