ジャンル : ノンフィクション > 文庫(ノンフィクション)
刑務所にぶちこんでやりたいー。人気プロ野球選手が膝の手術を担当した名医を刑事告発。故意に靱帯を切断されたというのだ。だが医師は失踪。世間をゆるがす大事件の真相を若手刑事と社会部の女性記者が追いかける。男たちの嫉妬と欲望うずまく球界を舞台にした、著者ならではのハイブリッド警察小説!
「ノボさん、ノボさん」「なんぞなもし?」 べーすぼーるに熱中し、文芸に命をかけたノボさんは、 人々に愛され、人々を愛してやまない希有な人。 明治維新によって生まれ変わったこの国で、夢の中を全速力で走り続けた子規の、人間的魅力を余すところなく伝える傑作長編! <内容紹介> 伊予・松山から上京した正岡常規(子規)は旧藩主久松家の給費生として東京大学予備門に進学すると、アメリカから伝わった「べーすぼーる」に熱中する。同時に文芸に専念するべく「七草集」の執筆に取り組んでいる頃、同級生で秀才の誉れ高い夏目金之助と落語で意気投合するが、間もなく血を吐いてしまう。 司馬遼太郎賞受賞作
子規は、今も私たち日本人の青空を疾走している。 小説家・伊集院静がデビュー前から温めてきた、正岡子規の青春。 俳句、短歌、小説、随筆……日本の新たなる文芸は、子規と漱石の奇跡の出逢いから始まった! 偉大な二人の熱い友情を描いた感動作! <内容紹介> 心血を注いだ小説の道を断念した子規は帝大も退学し、陸羯南が経営する日本新聞社に入社する。母と妹の献身的な世話を受け、カリエスの痛みをおして俳句をはじめとする文芸の革新に取り組む子規を多くの友が訪れ、「ホトヽギス」も創刊されるが、漱石はイギリスへと旅立っていく……。司馬遼太郎賞受賞作。 「子規が語られるとき、どうしても近代文学史に刻まれたおびただしい業績を中心にスーパーマンのような偉人として描かれがちだが、本書を読むと、等身大の人間正岡子規としての「ノボさん」がくっきりと立ち上がって、読者に向かって微笑んでくるのだ。ページを手繰るうちにわれわれも、「ノボさん」の友人の一人のようになり、飾らぬ伊予弁の口調になごみながら、誠実でひたむきな人柄にほだされていく。」 ーー清水良典「解説」より
【文学/日本文学小説】北関東のある県で中学2年生の男子生徒が転落死した。事故か? 自殺か? それとも──。その背景には陰湿ないじめがあった。町にひろがる波紋を描くことで、地方都市の精神風土に迫る。朝日新聞連載時から大きな反響を呼んだ大問題作の文庫化。
親友の正美に「青春共和国へ行こう」と誘われたが断った英子。夏休みが明けてみると、正美が亡くなっていると知る!しかも、若者たちの夢の島、あの共和国で崖から落ちたと…。え?正美は高所恐怖症だったはず。正美と知り合いだという青年からもらった奇妙な地図を手掛かりに、英子は彼氏の純夫と正美の事件をたどる。謎だらけの青春共和国をめぐって、冒険が始まろうとしていた。
厄介事を起こすのは、いつだってよそ者だ。七十歳の光太郎は憤慨していた。われわれが町を守らなくてはーー。そこで互助会の仲間たちと手を組み、トラブルを起こす危険人物を町から追い出し始める。その手段はなんと嫌がらせ!? 老人だからこそできる奇想天外な作戦はなかなか好調に思えたが……。大家と揉めていた男を次なるターゲットに決めたことから、事態は思わぬ方向へと動き始める。
あるとき、母が死んだ。そして父は、あなたに再婚を申し出た。あなたはコンタクトレンズで目に傷をつくり訪れた眼科で父と出会ったのだ。わたしはあなたの目をこじあけてーー三歳児の「わたし」が、父、喪った母、父の再婚相手をとりまく不穏な関係を語る。母はなぜ死に、継母はどういった運命を辿るのか……。独自の視点へのアプローチで、読み手を戦慄させる恐怖作(ホラー)。芥川賞受賞。
江戸の町、竹林に囲まれたしもた屋で、産んではいけない子どもを孕んだ女たちを受け入れ、子堕ろしを行ってきた「闇医者」のおゑん。彼女の元には、奉公先の若旦那と恋仲になった女中、あやかしの子を孕んだと訴える武家の奥方など、複雑な事情を持つ者たちがやってくる。時代小説の名手がおくる、祈りと再生の物語。
家族を失い、絶望していた元刑事の村越は、雪の山中で中国人の梨花と出会う。外国人研修生として来日した彼女は、派遣先の農家で過酷な労働と辱めを強いられ逃げてきたのだ。その背後に迫る残虐な刺客ーなぜ梨花は命を狙われるのか。研修制度に潜む闇とは?孤独な魂を持つ者たちの決死の逃避行が始まる!
大学時代は応援団に所属し、今は新米学芸員の今田弾吉、二十八歳。個性的な先輩らから振られる雑用をこなすことに精一杯の毎日で、いまだ自ら企画した美術展を実現させていない。だが、美術品専門運送会社の美人社員・サクラの存在と応援団OBから鑑定を依頼された一枚の絵が、彼の心に火を付けるー。特別書き下ろし短篇付き。
学問の家に生まれた父・菅原孝標と『蜻蛉日記』作者の妹にあたる母との女の手になる、平安中期の女流日記文学。物語への憧憬を育まれる少女時代。十三歳で父の任国上総から帰京。乳母や姉との死別。宮仕えや家庭生活で不如意な現実を生き、仏への信仰に傾倒、夫の急逝までの半生を回想する。晩年の諦観に至るまでの胸中の遍歴が鋭い感性で描かれる。
戦国時代終盤、対馬。海と船へのあこがれを抱いて育った少年・笛太郎は航海中に村上水軍の海賊衆に捕えられ、以後は水軍と行動をともにするようになる。そしていつしか笛太郎は比類なき「海の狼」へ成長していったー。海に生きる男たちの夢とロマンを描いた海洋冒険時代小説の最高傑作。第97回直木賞受賞作。
寒さ厳しい季節に、北海道の田舎町にとばされてしまったサラリーマンの勇太。失意の彼を救ったのは、喫茶店の美しき店主・留華だった。店の常連客である人妻や、元ソープ嬢といった魅力的な女性たちから誘惑されながらも、留華への熱い恋心を募らせていく勇太。やがて留華の哀しい秘密を知った彼は…。心と体があったまる、ほっこり癒し系官能。
五歳の葉月貴夫はその美貌ゆえ暴漢に襲われ、性器を切断された。性欲に支配される芸術に興味を持てなくなった彼は、若いころから美食を追い求めることになる。やがて自分が理想とするレストランを作るが、美女のスタッフが集まった店は「背徳の館」と化していく……。巨匠・筒井康隆が古今の日本語の贅を尽して現代を描き未来を予言する、文明批評小説にして数奇極まる「聖人伝」。
東京の下町・谷中を舞台に、真面目すぎてサエない落語家”のようなもの”である志ん田が、落語を捨て気楽に生きる兄弟子の志ん魚と出会い、自分らしい生き方を模索しながら答えを導き出していく。何者にもなりきれないものたちの、笑いと涙にあふれた物語。 故・森田芳光の伝説の監督デビュー作『の・ようなもの』(1981年公開)から35年の歳月を経て生まれた続編『の・ようなもの のようなもの』の、オリジナル小説が誕生! 主演・松山ケンイチ、ヒロイン・北川景子インタビュー、森田芳光フィルモグラフィなどを巻末に特別収録。
ベテラン放送作家の工藤正秋は、阪急神戸線の車内アナウンスに耳を奪われる。「次は…いつの日か来た道」。謎めいた言葉に導かれるように、彼は反射的に電車を降りた。小学生の頃、今は亡き父とともに西宮球場で初めてプロ野球観戦した日を思い出しつつ、街を歩く正秋。いつしか、かつての西宮球場跡地に建つショッピング・モールに足を踏み入れた彼の意識は、「いつの日か来た」過去へと飛んだー。単行本刊行時に数々のメディアで紹介された感動の人間ドラマ、満を持して文庫化!
鍵のかかった教室から消え失せた射殺犯、警察監視下の家で発見された男女の死体、誰もいない部屋から落下する女。名探偵・密室蒐集家の鮮やかな論理が密室の扉を開く。これぞ本格ミステリの醍醐味!物理トリック、心理トリック、二度読み必至の大技…あの手この手で読者をだます本格ミステリ大賞受賞作。