ジャンル : ノンフィクション > 文庫(ノンフィクション)
自意識過剰で独りよがり。刑事になったのは警察小説を書くためー難ありの言動が災いし、窓際部署「よろず係」に飛ばされた真々田幸介は、高級老人ホームから失踪した寺尾いづみの捜索を命じられる。愚痴りながらも駆け回るうち、探り当てたのは、戦後の闇を生きたいづみの過去と贖罪、連綿と続く卑劣な犯罪の構図だった…。人間の深い業と情を抉り出す、渾身の警察小説。
時は昭和20年。場所は東京亀戸で。相も変わらず奇怪な事件に巻き込まれる、浮世を離れた不死の呪いと機械仕掛けの二人の話でございます。さて、今宵のお相手は、東京湾に潜む闇、月の光に紛れる者、今日も二人の往く路には、怪奇怪異の百貨店。
安倍晴明と源博雅のコンビが平安の闇を祓い続けて夢枕作品は百を越えた。映画、歌舞伎、ドラマ、音楽、漫画と越境を繰り返し「陰陽師もの」という一大ジャンルを築く元となった小説・陰陽師シリーズの磁力の源と謎に、インタビュー、対談、座談会、エッセイ、登場人物紹介、全話解説等あらゆる角度から迫ったファン必携の一冊。
モテない24歳の貧乏青年、磯野は公園で出会った紳士にスカウトされ、鳩が恋文を運ぶサービスに関わり始める。次第にやり甲斐を感じる磯野だったが、ある日、伝書鳩が「クラウジウス団」を名乗る集団に捕らえられてしまう。彼らの目的は「この世のあらゆる恋愛を妨害すること」。かくして、鳩を巡るナンセンスな闘いが幕を上げたー。コミカルな語り口で現代男子のリアルを描く。第1回野性時代フロンティア文学賞受賞作。
かつて高級リゾートだった“ホテルモーリス”に、今は毎日ギャングがやってくる。迎え撃つのは、伝説のホテルマンの妻でオーナーのるり子、元殺し屋のコンシェルジュ日野、そして立て直しを命じられた新人支配人の准。アガサ・クリスティー賞作家がもてなす、劇場型ミステリー。
東京近郊にある中古マンション〈アーバンハイツ歌川〉に住む住人たちには、後ろめたい秘密がある。ある日、ペットの蜥蜴が失踪する事件が起きて……。マイペースなおばあちゃん探偵が、鋭く日常の謎を解き明かす。
卯ノ花家に住まわせてもらうことになった若葉を、同じ施設で育った愛美が訪ねてきた。だが愛美は産んだばかりの赤ん坊を置いていなくなって…!? せつなくて、あたたかい、いろんな家族の物語。
18歳で私を身ごもった母。「お前は醜い」と私に言い続けた母。育児を放棄し不倫に走る母……。そんな母に認められたくて子役の仕事を始めた私は、やがて女優「遠野なぎこ」になった。思春期を迎え、増える体重に悩む私に悪魔がささやく。「吐けばいいのよ」。悪魔は、母の顔をしていたーー。摂食障害に苦しみ、愛情を求めてさまよった壮絶な体験を綴る。圧倒的共感を呼んだ自伝的小説。
「この世には、罪を犯しながらも裁きを免れて、大手を振って生きておる連中がおる。そうした悪党に天罰を下すのだ」闇奉行と名乗る者の手で、罪を免れた悪党たちの打ち首が辻々に晒されつづける。北町奉行所の元筆頭同心・蔵間源之助は、今は居眠り番と揶揄される閑職だが、闇奉行を喝采する江戸中の熱狂に、恐るべき危うさを感知しはじめていた…。
十年前、世界を救うため人知れず犠牲になった月白カノ。 死んだはずの彼女がある日、英雄の一人・黒羽園の前に現れる。 彼は知る、今の世界が“真っ黒な英雄譚”の上にあるということを。 かつての恋人、月白カノが自ら望んで犠牲になったのではない、ということを。 そして彼は、復讐者と、化すーー。
刑事だった父は、本当に冤罪を生んだのかー。京都府警捜査一課の川上祐介は、妻を殺したと自白しながら、黙秘に転じた被疑者に手を焼いていた。そこへ、京都地検から「不起訴」の連絡が届く。それを決めた担当検事は、父が違法捜査を疑われて失職した際に別の家の養子となった弟の真佐人だった。不起訴に怒る祐介に、真佐人は意外な一言を返す。刑事と検事の信念がぶつかる連作ミステリー。文庫書き下ろし。
「お父さんの子どもの頃って、どんな時代だったの?」15歳の娘の問いを機に、父は自分が育ってきた時代の「歴史」を振り返ることに。あの頃、テレビが家庭の中心だった。親たちは「勉強すれば幸せになれる」と教えていた。宇宙や科学に憧れ、明るい未来を信じて全力疾走していた…。そして、父が出した答えとは。明日へ歩み出す子どもたちへ、切なる願いが込められた希望の物語。
嶺藤がクリムゾンに拉致された!レインボーテレビに監禁された嶺藤救出のため潜伏中の奥多摩から向かう日向に、最凶最悪の敵・クリムゾンが真っ向から立ちはだかる。ついに明らかになる全貌。果たして日向は、全世界を相手取った強大な陰謀を企む敵を倒し、家族を、そして世界を救うことができるのか!?高速ハード・アクション三部作。書き下ろし、堂々完結!
幼い頃から、誰よりも非情なことを平然とやってしまう近藤房子。小学校六年の時、唯一の理解者であった最愛の姉が自ら命を絶ってしまう。その理由を知った房子は、実の父に殺意の目を向けるのだったー。SROを翻弄し続けるあの最凶の殺人鬼が、驚愕の半生を語る。その過去はあまりにも衝撃的!大人気警察小説、待望のシリーズ最新刊。
小猿から太閤へと上り詰めた秀吉、そして天下を統一した家康。二人は忍者だったー。秀吉は長年仕えた信長暗殺を決意し、竹中半兵衛・石川五右衛門・蜂須賀小六らの精鋭とともに本能寺を急襲した。主君を裏切る苦悩の決断だったが、彼ら“山の民”にとって信長の天下獲りを阻止することは、今や使命となっていたのだ…。長編伝奇時代小説。
愛する人を救えなければ、強制的に過去に戻され、その度に親友や家族が一人ずつ消えていく。自らがタイムリーパーであることを自覚した綜士は、失敗が許されない過酷なルールの下、『時計部』の先輩・草薙千歳と、不思議な同級生・鈴鹿雛美と共に、理不尽なこの現象を止めるため奔走を始める。三人が辿り着いた哀しい結末とは!? 新時代のタイムリープ・ミステリ、待望の第二幕! 第六話 いつか誰かにこの声が 第七話 生まれた意味を知るような 第八話 君に赦されたいと願えずに 第九話 今はもういない友達を 第十話 この雨さえ痛くもないなら あとがき
横浜みなとみらいに新規オープンしたホテル、ハーヴェイ・インターナショナル横浜で立て篭もり事件が発生した。犯人は謎の多国籍グループ。周辺の携帯基地局も爆破され、異常な事件の連続に大混乱に陥る警察。非番でホテルに居合わせた警視庁蒲田署の刑事・武本は、新人ホテルマンの西島とともに館内を逃げ回りながらも、かつての上司で神奈川県警に所属する潮崎警視と連絡をとりつつ、孤独な戦いを開始するー。人気シリーズ第3弾。
実体がないような男との、演技めいた快楽。結婚を控え“変化”を恐れる私に、男が遺したもの(「ほむら」)。傷だらけの女友達が僕の家に住みついた。僕は他の男とは違う。彼女とは絶対に体の関係は持たない(「うろこ」)。死んだ男を近くに感じる。彼はどれほどの孤独に蝕まれていたのだろう。そして、わたしは(「ねいろ」)。昏(くら)い影の欠片が温かな光を放つ、島清恋愛文学賞受賞の恋愛連作短編集。