ジャンル : ノンフィクション > 文庫(ノンフィクション)
運命の人はかつての許婚?平安後宮ロマン! 大納言だった父と母を続けて亡くし、他人に騙されて家の財産も失ってしまった沙羅。親が決めていた縁談もあっさりとなかったことにされ路頭に迷いかけた沙羅だったが、入内した従姉妹の女房として内裏に入り、今は幸せだった頃をときおり思い出しながら、梅壺で静かな日々を過ごしている。 そんなある日の夜。主が飼う猫の散歩につきあい、月明かりの中で一人ぼんやりと庭をながめていた沙羅の前に、宿直装束姿の男が現れる。親しげな様子で話しかけてくるその男は、右近少将藤原朝蔭と名乗った。その名を聞いて衝撃を受ける沙羅。それは忘れたくても忘れられなかった、かつての許婚(いいなずけ)の名前だったーー。 運命に翻弄され、裏切られ、過去の悲しみの中ですべてを諦めるかのように生きてきた沙羅だったが、強引なほど沙羅との距離を詰めようとする朝蔭の態度に、いまさらと思いながらも、ゆっくりと心を開きはじめる。だが、右大臣家の姫君と朝蔭の縁談が調ったという噂を、沙羅は耳にしてしまい……。 運命の恋を描く、平安後宮ロマン!
名和涼真は、ごく普通の大学生。だが彼の兄弟は、それぞれが特殊な事情を抱えていて…。まず、ある事件に巻き込まれた長兄の一真は現在、人としての存在があやふやだ。美貌の次兄・祥真は、祖父の跡を継ぐべく「水神社」の守り手候補となっている。末っ子の秀真は、長く別の世界に飛ばされていた幼馴染みを、最近、取り戻したところだ。実は涼真にも、普通とはいえない事情がある。子犬かと思えば少年のようで、実際にはそのどれでもない…変幻自在の友人・サクラのこと。世界はシンプルで、かつ混沌としている。新感覚パラレル・ストーリー第二弾!
東京駅に到着した「ひかり」号の洗面所で忘れ物が発見された。その持ち主が自宅近くで殺害され、捜査が始まった。調べを進めるなか、被害者の関係者である女性の死体が阿武隈川で発見された。容疑者とみられる男には、二つの事件のどちらにもアリバイがあって…(「ゆうづる5号殺人事件」)。このほか、同僚の亀井刑事が容疑者で捕まったり、妻の直子が事件現場に居合わせたり、といった事件が。容疑者による鉄壁のアリバイを、十津川警部はどう崩すのか!?東北地方を舞台にした、珠玉のトラベルミステリー五編を収録。
わたしたちの新たな旅立ちを祝っていただきたいと思う方々をご招待した、ささやかな宴ですー。小さな創作料理のレストランを始めるという泰樹と萌恵の披露宴が始まった。式の前に「大切なものを捨てる結婚はしません」「泰樹とは積み上げていける。捨てるんじゃなくて育てていける」と語った萌恵には、産みの母と育ての母がいた。二人の母の間で揺れ、環境に振り回される自分の存在に苛立ちながら成長した彼女が目指す、本物の夫婦像とは。居合わせた人々が、家族の形や生き方に真摯に向き合おうとする姿を描く、感涙の結婚式小説。
奈子は、大学の通学路ですれ違う男性がとても素敵で、ずっと気になっていた。話しかけることもできず親友・葵に相談するのが精一杯。時は過ぎ、いつのまにか彼と会えなくなる。彼との再会を夢見る奈子だが、葵とともに彼の行方を捜すも、いつもあと一歩のところですれ違ってしまう。果たして彼と奈子は再会できるのか?驚愕のラストとは?WEBで期間限定全文公開をするとたちまち大反響。戦慄の展開が待ち受ける衝撃の恋愛ミステリー。短編「四谷三丁目の幽霊」、蘇部健一氏による笑って泣ける「ぬぁがーいあとがき」を収録。
碓井ヒカルは歌舞伎町「アリア」のナンバー1ホスト。ある日、店の太客から「鬼の腕」なる謎の干物をネットオークションに代理出品するよう持ちかけられたヒカルは、半信半疑でそれに応じる。すると「鬼の腕」は、なんと一千万円で落札されてしまった。ときを同じくして、ヒカルは道ばたでカイという不思議な少女に呼び止められる。指示されるままに古書店で一冊の仕掛け絵本を購入すると、それは例の「鬼の腕」にまつわる平安時代の「渡辺綱の鬼退治」の物語でー。カイに連れられ、本の中へダイブしたヒカルの運命は?元気がでるおとぎ話、爆誕!
磐音の友、品川柳次郎がお有との祝言を迎える表題作をはじめ、 南町奉行所の名物与力・笹塚孫一がまだ十七歳で謀略により 父親の命を奪われる「不思議井戸」、刀剣の研ぎ師・鵜飼百助が 用心棒として半日だけ磐音を雇う「半日弟子」など。 磐音をめぐる人々の運命の一日を描いた、5編からなる書き下ろし新作です。 『奈緒と磐音』『武士の賦』に続く「居眠り磐音」の新作書き下ろしは、 今回よりタイトルを「新・居眠り磐音」として装いも新たに登場!
索条痕のない窒息死体が連続で見つかった。この殺人事件に、あの男は関与しているのか。雑誌記者が、あとを追う。特殊能力を持つ者たちが覇権を争う「途鎖国」でやがて犯罪者の王として君臨する神山が、闇に目覚める瞬間を描く(表題作)。傑作ダーク・ファンタジー『夜の底は柔らかな幻』へと続く鮮烈な作品集。
一時期消息を絶っていた盗賊「桐山の藤兵衛一味」。松戸の百姓が惨殺された事件の一味が再び動き始めたのか。十兵衛の前に現れる謎の美女、さる大名のお家騒動までかかわって、事件は思わぬ方向へ。悪は必ずしも悪ならず。時代に翻弄される人々への、十兵衛の深い眼差しが胸を打つ。人気シリーズ最新作にして、最後の作品!
マレーバク舎を新設する事となり、飼育方法などを学ぶ為に、山西市動物園へ「研修」に来た桃本ら楓ヶ丘動物園のメンバーたち。そこでは、桃本の従弟である誠一郎が働いていて、邂逅を喜ぶ二人だったが、園内ではある異変がー。なんと飼育している象が脱走してしまったのだ。象はどうして逃げたのか?待望のシリーズ第5弾!!
川端康成文学賞受賞作「給水塔と亀」収録、紫式部文学賞受賞の短編集。 筆者の卓越したユーモアと、人間観察力がいかんなく発揮された数々の短編をおさめた本作は、物語を読む楽しみを存分に味わえる充実の一冊。 楽しみにしていた初の海外旅行を前に亡くなってしまった主人公は、人に憑くスキルを手に入れ、体を乗り換えて、様々な土地を旅していくが、なぜかブラジルにたどりつき……表題作「浮遊霊ブラジル」 ドラマは毎日三本、小説は月に十冊。サッカーやツール・ド・フランスから人生相談まで、生前、虚実の物語をさんざん食い散らした「私」が落ちたのは「物語消費しすぎ地獄」。そこで課せられる世にも恐ろしい試練とは?--「地獄」 どんな土地勘のない場所でも最悪のシチュエーションでも、必ず道を尋ねられてしまうのはなぜ?--「運命」 定年を迎え、海と製麺所のある故郷に帰った男。クロスバイクを手に入れ、亀を預かり、静謐で新しい人生が始まる。--「給水塔と亀」(2013年川端康成文学賞受賞作) 【収録作】 「給水塔と亀」(「文學界」2012年3月号) 「うどん屋のジェンダー、またはコルネさん」(「文學界」2010年2月号) 「アイトール・ベラスコの新しい妻」(「新潮」2013年1月号) 「地獄」(「文學界」2014年2月号) 「運命」(「新潮」2014年6月号) 「個性」(「すばる」2014年9月号) 「浮遊霊ブラジル」(「文學界」2016年6月号)
〈「日常の謎」の奥深さ。危険な魅力にあふれた殺し屋探偵〉 ひとりにつき650万円で承ります。 経営コンサルティング会社を経営する富澤允。普通に社会生活を送っているが、彼は一人 につき六百五十万円の料金で人を殺す、殺し屋だった。 依頼を受けたら引き受けられるかどうかを3日で判断。 引き受けた場合、原則2週間以内に実行する。 ビジネスライクに「仕事」をこなす富澤だが、 標的の奇妙な行動が、どうにも気になる。 なぜこの女性は、深夜に公園で水筒の中身を捨てるのか? 独身のはずの男性は、なぜ紙おむつを買って帰るのか? 任務遂行に支障はないが、その謎を放ってはおけない。 殺し屋が解く、日常の謎シリーズ、開幕です!
米国に住む日系三世、38歳の女性プログラマー・玲。小学校で「豚」と苛められた凄絶な記憶、二世の母との関係に苦しみ、PTSD治療を受けている。祖父母のいたマンザナー強制収容所の跡を訪れた玲は問うー「わたしたちの世代の最良の精神」はどこにある?三島由紀夫賞受賞の鮮烈な感動作。「半地下」併録。
《舞台は雪深い孤島。島の護り神である「しまたまさん」は願い事を叶え、護ってくれるという…》 島一番の美人で、かつてはアイドルを目指していた深雪。現在は夢を諦め東京の芸能プロダクションでマネージャーをしている。婚約者である俊亜貴と三年ぶりに故郷の島を訪れるが、彼には深雪に言えない秘密があった…。その秘密が明らかになった時、深雪の運命が狂い始める。 イヤミス界の新旗手による、一気読み必至のサスペンス小説。細かく散りばめられた伏線の意味に気づいたとき、思わず背筋が凍ります。
とてつもなく過激で痛快、そして悲惨ーーとにかく無類に面白い。 ページをめくる手が止まらない傑作長篇! 原子力発電所が爆発し、臨界事故が続発するようになった世界。そこでは、放射能汚染による精子の減少と劣悪化が深刻な問題となっていた。 優良精子保有者である「種馬」の精子は民間の精子バンクが高額で買い上げ、その一家には一生遊んで暮らせる大金が転がり込んでくる。一方で、第二次性徴期を迎えても、生殖器が大きくならず、セックスのできない不幸な子どもたちは「小便小僧」と呼ばれていた。 「小便小僧」として生まれたウマソーは高校を卒業後、警備保障会社に就職をするが、市長の娘に恋をした罰として、使用済みの核燃料や放射性廃棄物で溢れる、廃炉になった原発を警備することになる。やがてウマソーの性器は徐々に失われ……。 超格差社会の最底辺を生きるウマソーは、次々と襲いかかる悪夢にどう立ち向かっていくのか。 岩井俊二が全身全霊を込めて書ききった、壮大で豊饒なエンタテインメント。 解説・金原瑞人
芥川賞候補作 島清恋愛文学賞受賞作 死ぬなら、がんがいいな。 がん大国日本で、医者との付き合い方を考える病院小説! ある日、サンドウィッチ屋を営む妻が末期がんと診断された。 夫は仕事をしながら、看護のため病院へ通い詰めている。 病室を訪れるのは、妻の両親、仕事仲間、医療従事者たち。 医者が用意した人生ではなく、妻自身の人生をまっとうしてほしいーー がん患者が最期まで社会人でいられるのかを問う、新しい病院小説。 解説・豊崎由美
大日生命社長を務める父の強引な招きで、商社から取締役待遇で転職した広岡厳太郎。「世襲人事」との批判をものともせず、外務の“生保のおばちゃん”に学び、保険の国際化、法人営業部の創設など革新的な新機軸を打ち立てるのだが…。英姿颯爽の快男児を描き、働き方や同族経営の問題に切り込む長編経済小説。
豊後関前藩を後に、商人箱崎屋次郎平の招きで博多を訪れた坂崎磐音とおこん。玄界灘に臨む荒戸の浜を見物した際、武芸者に囲まれた若侍と武家の娘を助ける。二人は人には言えない秘密を抱えている様子で…。一方、江戸・本所の品川柳次郎は、放蕩に耽る父と兄の責で、お家廃絶の危機に悩んでいる最中、思わぬ人と再会する。
坂崎磐音とおこんの帰りを待つ江戸。南町奉行所の年番与力・笹塚孫一は、六年前に苦い思いを味わわされることになった男が、島抜けしたとの報せを受ける。ある予感を胸に、笹塚は男と因縁をもつ女性が営むだんご屋をたずねるのだが…。磐音不在の窮地を笹塚は乗り越えることができるのか?一体いつ、磐音達は帰着するのか!?