ジャンル : ノンフィクション > 文庫(ノンフィクション)
両親を亡くし家の財産も奪われた大納言の娘・沙羅。縁談もなかったことにされ路頭に迷いかけるが、女房として内裏に入り、今は幸せだった頃をときおり思い出しながら静かな日々を過ごしている。ある日の夜、ひとり庭をながめていた沙羅の前に宿直装束姿の男が現れる。親しげな様子で話しかけてくる男は藤原朝蔭と名乗るが、それは忘れたくても忘れられない、かつての許婚の名前だった。運命に翻弄され裏切られ、すべてを諦めて生きてきた沙羅だが、ゆっくりと朝蔭に心を開くように。だが、右大臣家の姫君と朝蔭の縁談が調ったという噂を耳にしてー。
名和涼真は、ごく普通の大学生。だが彼の兄弟は、それぞれが特殊な事情を抱えていて…。まず、ある事件に巻き込まれた長兄の一真は現在、人としての存在があやふやだ。美貌の次兄・祥真は、祖父の跡を継ぐべく「水神社」の守り手候補となっている。末っ子の秀真は、長く別の世界に飛ばされていた幼馴染みを、最近、取り戻したところだ。実は涼真にも、普通とはいえない事情がある。子犬かと思えば少年のようで、実際にはそのどれでもない…変幻自在の友人・サクラのこと。世界はシンプルで、かつ混沌としている。新感覚パラレル・ストーリー第二弾!
東京駅に到着した「ひかり」号の洗面所で忘れ物が発見された。その持ち主が自宅近くで殺害され、捜査が始まった。調べを進めるなか、被害者の関係者である女性の死体が阿武隈川で発見された。容疑者とみられる男には、二つの事件のどちらにもアリバイがあって…(「ゆうづる5号殺人事件」)。このほか、同僚の亀井刑事が容疑者で捕まったり、妻の直子が事件現場に居合わせたり、といった事件が。容疑者による鉄壁のアリバイを、十津川警部はどう崩すのか!?東北地方を舞台にした、珠玉のトラベルミステリー五編を収録。
わたしたちの新たな旅立ちを祝っていただきたいと思う方々をご招待した、ささやかな宴ですー。小さな創作料理のレストランを始めるという泰樹と萌恵の披露宴が始まった。式の前に「大切なものを捨てる結婚はしません」「泰樹とは積み上げていける。捨てるんじゃなくて育てていける」と語った萌恵には、産みの母と育ての母がいた。二人の母の間で揺れ、環境に振り回される自分の存在に苛立ちながら成長した彼女が目指す、本物の夫婦像とは。居合わせた人々が、家族の形や生き方に真摯に向き合おうとする姿を描く、感涙の結婚式小説。
奈子は、大学の通学路ですれ違う男性がとても素敵で、ずっと気になっていた。話しかけることもできず親友・葵に相談するのが精一杯。時は過ぎ、いつのまにか彼と会えなくなる。彼との再会を夢見る奈子だが、葵とともに彼の行方を捜すも、いつもあと一歩のところですれ違ってしまう。果たして彼と奈子は再会できるのか?驚愕のラストとは?WEBで期間限定全文公開をするとたちまち大反響。戦慄の展開が待ち受ける衝撃の恋愛ミステリー。短編「四谷三丁目の幽霊」、蘇部健一氏による笑って泣ける「ぬぁがーいあとがき」を収録。
碓井ヒカルは歌舞伎町「アリア」のナンバー1ホスト。ある日、店の太客から「鬼の腕」なる謎の干物をネットオークションに代理出品するよう持ちかけられたヒカルは、半信半疑でそれに応じる。すると「鬼の腕」は、なんと一千万円で落札されてしまった。ときを同じくして、ヒカルは道ばたでカイという不思議な少女に呼び止められる。指示されるままに古書店で一冊の仕掛け絵本を購入すると、それは例の「鬼の腕」にまつわる平安時代の「渡辺綱の鬼退治」の物語でー。カイに連れられ、本の中へダイブしたヒカルの運命は?元気がでるおとぎ話、爆誕!
貧乏御家人の品川柳次郎が幼馴染みのお有と祝言を迎えるまでの表題作をはじめ、南町奉行所の名物与力・笹塚孫一がまだ十七歳のときに謀略で父を失った経緯を描く「不思議井戸」、刀剣の研ぎ師・鵜飼百助が半日、用心棒として坂崎磐音を雇う「半日弟子」など、磐音をめぐる人々の在りし日を取り上げた五編、待望の書き下ろし。
索条痕のない窒息死体が連続で見つかった。この殺人事件に、あの男は関与しているのか。雑誌記者が、あとを追う。特殊能力を持つ者たちが覇権を争う「途鎖国」でやがて犯罪者の王として君臨する神山が、闇に目覚める瞬間を描く(表題作)。傑作ダーク・ファンタジー『夜の底は柔らかな幻』へと続く鮮烈な作品集。
一時期消息を絶っていた盗賊「桐山の藤兵衛一味」。松戸の百姓が惨殺された事件の一味が再び動き始めたのか。十兵衛の前に現れる謎の美女、さる大名のお家騒動までかかわって、事件は思わぬ方向へ。悪は必ずしも悪ならず。時代に翻弄される人々への、十兵衛の深い眼差しが胸を打つ。人気シリーズ最新作にして、最後の作品!
マレーバク舎を新設する事となり、飼育方法などを学ぶ為に、山西市動物園へ「研修」に来た桃本ら楓ヶ丘動物園のメンバーたち。そこでは、桃本の従弟である誠一郎が働いていて、邂逅を喜ぶ二人だったが、園内ではある異変がー。なんと飼育している象が脱走してしまったのだ。象はどうして逃げたのか?待望のシリーズ第5弾!!
定年退職し帰郷した男の静謐な日々を描く川端康成文学賞受賞作(「給水塔と亀」)。「物語消費しすぎ地獄」に落ちた女性小説家を待ち受ける試練(「地獄」)。初の海外旅行を前に急逝した私は幽霊となり旅人たちに憑いて念願の地を目指す(「浮遊霊ブラジル」)。自由で豊かな小説世界を堪能できる七篇を収録。
コンサルティング会社を営む男、富澤允。彼には、650万円の料金で人殺しを請け負う「殺し屋」という裏の顔があった。ビジネスライクに「殺し」を請け負い、危なげなく仕事をこなす富澤だが、標的の奇妙な行動がなぜか気になり、仕事の度にその謎を推理してしまうー。殺し屋が解く日常の謎シリーズ、開幕!!
米国に住む日系三世、38歳の女性プログラマー・玲。小学校で「豚」と苛められた凄絶な記憶、二世の母との関係に苦しみ、PTSD治療を受けている。祖父母のいたマンザナー強制収容所の跡を訪れた玲は問うー「わたしたちの世代の最良の精神」はどこにある?三島由紀夫賞受賞の鮮烈な感動作。「半地下」併録。
深雪は婚約者の俊亜貴を連れ故郷の雪之島を訪れる。結婚をしてありふれた幸せを手にいれるはずだった。ところが祝宴の席で深雪は思いもよらないことを島民たちから知らされ、状況は一変する。やがて俊亜貴は行方不明に…。この島、何かがおかしいー。人間の奥底にある執着心と狂気を描いた傑作サスペンス。
原子力発電所が爆発し臨界状態となった国で、ウマソーは生れた。成長しても生殖器が大きくならない「小便小僧」として。やがて警備保障会社に就職するが、市長の娘に恋をした罰として「流刑地」へ飛ばされてしまう。次々と降りかかる不運。絶望の中で見出した光とは?壮大で豊饒で、無類に面白い傑作小説。
ある日、サンドウィッチ屋を営む妻が末期がんと診断された。夫は仕事をしながら、看護のため病院へ通い詰めている。病室を訪れるのは、妻の両親、仕事仲間、医療従事者たち。医者が用意した人生ではなく、妻自身の人生をまっとうしてほしいーがん患者が最期まで社会人でいられるのかを問う、新しい病院小説。
大日生命社長を務める父の強引な招きで、商社から取締役待遇で転職した広岡厳太郎。「世襲人事」との批判をものともせず、外務の“生保のおばちゃん”に学び、保険の国際化、法人営業部の創設など革新的な新機軸を打ち立てるのだが…。英姿颯爽の快男児を描き、働き方や同族経営の問題に切り込む長編経済小説。
豊後関前藩を後に、商人箱崎屋次郎平の招きで博多を訪れた坂崎磐音とおこん。玄界灘に臨む荒戸の浜を見物した際、武芸者に囲まれた若侍と武家の娘を助ける。二人は人には言えない秘密を抱えている様子で…。一方、江戸・本所の品川柳次郎は、放蕩に耽る父と兄の責で、お家廃絶の危機に悩んでいる最中、思わぬ人と再会する。
坂崎磐音とおこんの帰りを待つ江戸。南町奉行所の年番与力・笹塚孫一は、六年前に苦い思いを味わわされることになった男が、島抜けしたとの報せを受ける。ある予感を胸に、笹塚は男と因縁をもつ女性が営むだんご屋をたずねるのだが…。磐音不在の窮地を笹塚は乗り越えることができるのか?一体いつ、磐音達は帰着するのか!?