ジャンル : ノンフィクション > 文庫(ノンフィクション)
「あんたは山を降りなさい」。薬草のお茶で身体の悪い人を癒してきた祖母の言葉が、十八歳になった雫石の人生を動かす。自給自足の山の生活を離れ、慣れぬ都会で待っていたのは、目の不自由な占い師の男・楓との運命的な出会い。そしてサボテンが縁を結んだ野林真一郎との、不倫の恋だった。大きな愛情の輪に包まれた、特別な力を受け継ぐ女の子の物語。ライフワーク長編の幕が開く。
真一郎の亡き友が遺した見事な庭園で、友の美しい義母が妖しく微笑む。恋の行き末にたちこめる暗雲。そんなとき、祖母から届いた翡翠の蛇は、嘆く雫石に新しい時の到来を告げる。孤独の底で未来を見つめる楓、そして身を捨てて楓を支える片岡さん。雫石がふたりと結んだ絆の強さと、自分の運命に気付くとき、眠っていた力が再び輝く。ライフワーク長編はいま深遠なるクライマックスへ。
あなたたちがいたから、家族になれた。 学校でいじめにあっている長男・翔(11歳、小学五年生)は、家では不機嫌。自分が欲しがって飼った犬の散歩にも行かない始末だ。息子を心配するママ・小絵(38歳、専業主婦)は、家庭の事情にまったく関心をしめさないパパ・真太郎(45歳、会社員)にあきれ果て、テニスコーチと不倫に走る。思春期の長女・穣(17歳、高校二年生)も同じ高校に通う問題児とつき合いだした。 今にも崩壊しそうな中山家。 一家の一大事に、ペットの三毛猫ミケ(2歳・メス)とコーギーのタロウ(1歳・オス)が立ち上がる。果たして一家の命運は? 『万寿子さんの庭』の注目作家が描く、愛と絆の物語。
長年の旅と探求がこの作家にもたらした、深沈たる一滴、また一滴ー。酒、食、阿片、釣魚などをテーマに、その豊饒から悲惨までを、精緻玲瓏の文体で描きつくした名短篇小説集は、作家の没後20年を超えて、なお輝きを失わない。川端康成文学賞を受賞した「玉、砕ける」他、全六篇を収める。
法律事務所長・北見貴秋は、ドラッグ依存症による二ヵ月の入院療養から戻ったその日、幼馴染みの作家・今川が謎の死を遂げたことを知る。自殺か、事故か、それとも…。死の真相を探ろうとする北見の前に、ドラッグによって失われた記憶の壁が立ちはだかる。
江戸は白金村に戻り、手習所を再開した興津重兵衛。家主の娘おそのを妻に迎えるはずだったのが、重兵衛を仇と思いこんだ正体不明の女と同居する羽目に…。一方、村では半月ほど前から住み着いた謎の女が、男たちの好奇の的になっていた。
多摩川土手に放置された車両から、血塗れの左手首が発見された! 近くの工務店のガレージが血の海になっており、手首は工務店の主人のものと判明。死体なき殺人事件として捜査が開始された。遺体はどこに? なぜ手首だけが残されていたのか? 姫川玲子ら捜査一課の刑事たちが 捜査を進める中、驚くべき事実が次々と浮かび上がるーー。大ヒットシリーズ第二弾!
無医村状態が続いていた鷲尻村に待望の医師がやってきた。だが着任以降村では謎の変死が立て続けに起こり……因習が忌わしい過去を甦らせる。21世紀の横溝と絶賛された第27回横溝正史ミステリ大賞受賞作
とある理由から警察を退職し、探偵業で糊口をしのぐ日々を送っていた元刑事・徳永のもとに、かつての上司で今や警視監の井口から、失踪した愛娘の捜索依頼が舞い込む。捜索を続ける徳永の前に、優雅なセレブ夫人たちの秘密の集まりが垣間見えてきたー。官能と狂気渦巻く、馳ノワール新たなる傑作長篇。
失踪した井口警視監の娘の捜索を進めるうちに「ブルー・ローズ」の秘密を知った元刑事の徳永。上級警察官僚、大物政治家をも巻き込む巨大な暗闘、徳永を嘲笑うかのように立ちはだかる公安警察の巨大な壁ー。際限なく膨張し続ける人々の欲望を前に、ついに徳永のモラルが吹き飛ぶ!人間の性と暴力衝動が炸裂する、馴ノワール新たなる傑作長篇。
武田を滅ぼした若統領は本当に凡将愚将なのか? 青年武将勝頼は偉大な父武田信玄の後を継いだ。ところが武田の御親類衆や信玄が育てた家臣団は信玄の遺言をたてに、なかなか勝頼に実権を与えなかった。しかし世継ぎの式を経て若統領と認められた勝頼は、ついに織田軍と一戦を交えるべく号令をかけた。ときに凡将愚将とも評価される勝頼の実相に迫る歴史大作。
結城頼子の夫は政治家がらみの情報ブローカーで、R省を舞台にした汚職事件に深く関わっていた。特捜部の担当検事として捜査をし、喬夫は初めて頼子の真の姿を知る。悩んだ末に新たな道に踏み出そうとする喬夫だが…。新任検事と被疑者の妻の悲恋を、彼に憧れる若い女性の思慕と対比して描いた異色の恋愛小説。
大学理事長が失踪したと捜索願が出された。しかし捜査を始めると母親の態度は一変、非協力的に。大学関係者も言を左右し、状況は遅々として掴めない。一方、女性の遺体が仙台で見つかり、法月の担当していた大学職員の失踪者だと判明した。胸に爆弾を抱えながら、自分を苛めるように捜査する法月を気遣う高城だが…。
太平洋戦争中、どんなに激しい海戦でも必ず生き残って帰投し、“奇跡の駆逐艦”と謳われた「雪風」。▼緒戦のスラバヤ沖海戦から第三次ソロモン海戦、ガダルカナル撤収作戦、レイテ沖海戦と数々の修羅場を潜り抜け、戦艦「大和」の沖縄特攻作戦からも生還した“不沈の航跡”は名高い。▼その強運から“神宿る”と呼ばれた「雪風」を舞台に、二百余名の乗員たちの激闘のドラマを描く!▼文庫書き下ろし。
日中台の係争地・尖閣諸島の魚釣島が過激な中国系武装集団に占拠された。海上保安庁や中国大使館による説得も徒労に終わり、陸上自衛隊の特殊部隊「サイレント・コア」が派遣される。岩礁とジャングルに覆われた無人島で、両者の決死の戦闘が始まった。
N女子学園にやってきた、時期はずれの編入生、棚原弥生を見て、担任の竜野は激しい衝撃を受けた。その仕草や表情が、20年前の彼女に似ていたから…。弥生に両親はいない。母は5年前に他界し、そして父は4ヶ月前、あの片山刑事を狙った銃弾で不慮の死を遂げていたー。N女子学園での不穏な情報を得た片山は、弥生と再会する。弥生の周辺で次々と起こる事件に、三毛猫ホームズの面々が立ち向かう!シリーズ第32弾。
中原制覇を目論む諸侯のなかで、一歩先んじたのは、後漢の天子・献帝を本拠地・許都に迎えた曹操だった。これに対抗する袁術は皇帝を僭称。さらに実力者の袁紹や劉備・呂布らの諸将が加わり、権謀術数をめぐらす。群雄割拠の時代の帰趨はいかに。
複雑な生い立ちへの負い目、政財界の鬼として一族に君臨する父との軋轢。反逆と挫折を繰り返しながら自らの生きる道を追い求める甫の青春を描く。作家・辻井喬の誕生を世に知らしめた自伝的デビュー作。