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練習場で橋口に声をかけられた江本美和子は、その強引な誘い方に驚くが、結局デートに応じる。一方、阿久津らの捜査から松川と橋口が同一人物であることが判明した。だが被害者の中にかつての恋人、美和子がいるのを知り、阿久津は愕然とする。あのしっかり者の彼女がなぜ…。橋口と被害女性、そして阿久津の心模様を丹念に追い、現代の結婚観を浮き彫りにした傑作サスペンス。
「タウは銀山也」タンガ王ゾラタスに届けられた知らせは、デルフィニアに強奪されたタウ東峰が宝の山だと告げていた。この密告こそ、タンガ挙兵を誘うべくウォルたちが仕掛けた罠であった。しかし、鬨の声はデルフィニア西方、パラストから挙げられる。微妙な均衡を保つ大華三国が、ついに動乱の時を迎えようとしていたー。
夢見がちな感性をもって描かれた平安時代の日記文学。作者13歳の時、上総介の任期を終えた父との上京に記事は始まる。東国に育った作者が京に上り、恋焦がれていた物語を読みふけった少女時代、晩おそい結婚、夫との死別、その後の侘しい生活と、ついに少女期の憧れを結実させることのなかった一生の回想録。平凡な人生の断片の輝きが、今なお、われわれを惹きつけてやまない。懇切な注と自然な現代語訳で手軽に読み解く。 凡例 一 物語に憧れる日々 二 京への旅立ち 三 昔の跡、くろとの浜 四 乳母を見舞って 五 竹芝の伝説 六 「すみだ川」と「もろこしが原」 七 足柄の遊女 八 「富士山」と「清見が関」 九 富士川の伝説 一〇 病、そして遠江へ 一一 三河、尾張へ 一二 美濃より近江へ 一三 旅の終わり 一四 物語を求めて 一五 継母との別れ 一六 乳母、侍従の大納言の御むすめの死 一七 『源氏物語』耽読 一八 花橘 一九 紅葉 二〇 夢告のことなど 二一 土忌の宿 二二 猫と夢と 二三 長恨歌の物語 二四 月夜の語らい 二五 火の事 二六 姉の死 二七 姉の乳母 二八 「司召」の失意 二九 東山へ 三〇 山里のほととぎす 三一 鹿の音 三二 有明の月 三三 帰京 三四 東山再訪 三五 旅なる所 三六 継母の名のり 三七 「浮舟の女君」夢想 三八 父の任官 三九 出立、別離 四〇 太秦参籠 四一 荻の枯葉 四二 子しのびの森 四三 清水の夢告 四四 初瀬の夢告 四五 天照御神 四六 修学院の尼へ 四七 父の帰京 四八 西山に住む 四九 母の出家、父の隠遁 五〇 初出仕 五一 十二月の出仕 五二 里の父母 五三 前世の夢 五四 宮の御仏名 五五 結婚、家庭へ 五六 物語の夢ついえる 五七 宮家に再出仕 五八 梅壺の女御 五九 冬の夜 六〇 水鳥の歌の贈答 六一 友との語らい 六二 時雨の夜の思い出 六三 石山詣で 六四 初瀬詣で 六五 鞍馬の春秋 六六 石山寺の夜 六七 初瀬詣で再び 六八 充足の日々 六九 越前の旧友 七〇 奥山の春 七一 太秦へ 七二 二人の友と 七三 筑前の友 七四 和泉往還 七五 夫の任官 七六 任国下向 七七 夫の死 七八 悔恨 七九 阿弥陀仏来迎の夢 八〇 姨捨 八一 涙の日々 八二 孤独の日々 補注 解説(付 更級日記関係地図・更級日記関係系図) 更級日記略年表 和歌初句索引 重要語句索引
リィとの一騎打ちに敗れたナジェック王子が敵軍の手に落ちたことで意気消沈するタンガの陣に、国王ゾラタス率いる援軍が到着した。迎え撃つデルフィニア国王ウォル・グリーク。両国の王を将とした大軍が国境の砦をはさみ対峙する。パラストを加えた大華三国は三つどもえの戦乱に突入してしまうのか。
ぼくたち夫婦は引っ越し運が悪い。今回の新居は完璧、だったはずなのに…ディンクスの夫婦は互いにぶつかりながら、隣家とまじわりながら、共に生きることを確かめあっていく。四季折々に紡がれた連作短篇『となりの花園』を縦糸に、いとおしい毎日のくらしを横糸に、カラフルに織りあげた12の物語集。
家賃12000円。早稲田の超ボロアパート野々村荘はケッタイな住人だらけ。三畳一間の私の部屋は探検部のタマリ場となり…。限りなく「おバカ」な青春を描いた書き下ろし傑作。(解説・吉田伸子)
平成の耽美派人気作家が描く、戦慄の美肌ホラー小説! げに恐ろしきは鱗の病ー美貌の娘・楼子(たかこ)を初潮とともに襲った「鱗病」。その忌まわしき病を伝える龍鳥(たつお)家の秘密とは? 自慢の肌を冒す病の恐怖に脅える楼子は、やがて凄惨な治療法を発見するが…。澁澤龍彦に顕現した「魔道継承にこころざす異端の魂が絶えることはないのだ、と実証するかのよう」(本書解説より)と評された、平成の耽美派・嶽本野ばらの異色の美肌ホラー、待望の文庫版。
国王の下には押しかけ愛妾が出現し、王女にはタンガの皇太子との縁談が持ち込まれた。暗殺の次は策略か!?日頃は剛胆なウォルも無敵のリィも、敵国の謀議に激怒した。この事態に抗すべく両者の婚姻がデルフィニアの国を挙げて敢行される。が、厳粛な式の最中、急を告げる使者の叫びが聖堂に響きわたる。
騎士バルロが出撃する。叔父マグダネル卿を討つためにー!サヴォア一族の内紛とは王家失脚を企む卿と、その陰謀を阻止せんとするバルロの対立だったのだ。卿の背後にはデルフィニアを狙う隣国タンガとパラストが蠢いていた。この国を揺るがす危機をウォルそしてリィはいかに乗りきるのか。
私はおとうさんにユウカイ(キッドナップ)された! 私の夏休みはどうなっちゃうの!? 五年生の夏休みの第一日目、私はユウカイ(=キッドナップ)された。犯人は二か月前から家にいなくなっていたおとうさん。だらしなくて、情けなくて、お金もない。そんなおとうさんに連れ出されて、私の夏休みは一体どうなっちゃうの? 海水浴に肝試し、キャンプに自転車泥棒。ちょっとクールな女の子ハルと、ろくでもない父親の、ひと夏のユウカイ旅行。私たちのための夏休み小説。
デルフィニアの内乱に勝利し、ウォルは再び玉座に即いた。黄金の戦女神とたたえられたリィもまた王女の称号をもって白亜の宮殿に迎えられた。それから三年ー平穏だった王都に暗雲が立ちこめる。リィをつけ狙う不気味な暗殺者。不可解な公爵家の挙兵。陰謀を察知したウォルの決断とは。
ときは鎌倉末期。幕府の命数すでに無く、乱世到来の兆しのなか、大志を胸にじっと身を伏せ力を蓄える男がひとり。その名は楠木正成ー。街道を抑え流通を掌握しつつ雌伏を続けた一介の悪党は、倒幕の機熟するにおよんで草莽のなかから立ち上がり、寡兵を率いて強大な六波羅軍に戦いを挑む。己が自由なる魂を守り抜くために!北方「南北朝」の集大成たる渾身の歴史巨篇。
流浪の国王ウォルとリィの率いる軍勢は王都コーラルの目前に迫った。だが、救出すべき父はすでに亡く、王座奪還の目算も潰えた。欲するは父の敵の首ひとつー!同胞相討つ内乱を避け、わずかな手勢で城に乗り込むウォルの運命、そしてデルフィニア争乱の行方は?第1部放浪の戦士篇完結。
緒戦の大勝利に沸く兵士たち。しかし国王の陣幕だけが重く沈んでいた。軍を解散せよ、さもなくばー敵は養父・フェルナン伯爵を盾にした露骨な脅迫にでたのだ。大義か?ペールゼン侯爵の専横に屈するのか?苦渋の選択を迫られたウォルは逆転を賭して、バルドウの娘に伯爵救出を託したのだが。
焼跡にはじまる青春の喪失と解放の記憶。戦後を放浪しつづける著者が、戦争の悲惨な極限に生まれえた非現実の愛とその終りを“8月15日”に集約して描く万人のための、鎮魂の童話集。
男は剣を揮っていた。黒髪は乱れ日に灼けた逞しい長身のあちこちに返り血が飛んでいる。孤立無援の男が今まさに凶刃に倒れようとしたその時、助太刀を申し出たのは十二、三と見える少年であった…。二人の孤独な戦士の邂逅が、一国を、そして大陸全土の運命を変えていくー。
明治四一年、自然主義の文壇を一撃、魅了した短篇集。シアトル着からNY出帆まで、文明の落差を突く洋行者の眼光と邦人の運命が点滅する「酔美人」「夜半の酒場」「支那街の記」-近代人の感性に胚胎した都市の散文が花開く。『ふらんす物語』姉妹篇。
ドタバタとは手足がケイレンし、血液が逆流し、脳が耳からこぼれるほど笑ってしまう芸術表現のことである。健康ファシズムが暴走し、喫煙者が国家的弾圧を受けるようになっても、おれは喫い続ける。地上最後のスモーカーとなった小説家の闘い「最後の喫煙者」。究極のエロ・グロ・ナンセンスが炸裂するスプラッター・コメディ「問題外科」。ツツイ中毒必至の自選爆笑傑作集第一弾。