ジャンル : ノンフィクション > 文庫(ノンフィクション)
9歳のさきちゃんと作家のお母さんは二人暮し。毎日を、とても大事に、楽しく積み重ねています。お母さんはふと思います。いつか大きくなった時、今日のことを思い出すかなー。どんな時もあなたの味方、といってくれる眼差しに見守られてすごす幸福。かつて自分が通った道をすこやかに歩いてくる娘と、共に生きる喜び、切なさ。やさしく美しいイラストで贈る、少女とお母さんの12の物語。
駅のホームで起きた殺人事件が、寂しい二人を引き合わせた。犯人として追われるアキヒロは、ミチルの家へ逃げ込み、居間の隅にうずくまる。他人の気配に怯えるミチル。奇妙な同棲生活が始まった?。書き下ろし小説。
「賭け事をする男とだけは一緒になるな。それが母の遺言でした」いけない、とわかっていても、幸せになれない、とわかっていても、どうしても好きになってしまう相手がいる。自分の気持ちもわからぬまま、寄り添っていくこともある。いつかせつない思いを抱えることになると予感していても…。港のある地方都市を舞台に、夜の街で働く秋子の、やるせなくも静かな日々を描いた、いとおしい恋愛小説。
くまにさそわれて散歩に出る。川原に行くのであるー四季おりおりに現れる、不思議な“生き物”たちとのふれあいと別れ。心がぽかぽかとあたたまり、なぜだか少し泣けてくる、うららでせつない九つの物語。デビュー作「神様」収録。ドゥマゴ文学賞、紫式部文学賞受賞。
我らがプリズンホテルに冬がきた。雪深い宿にやってくるのは今宵も事情ありなお客人。五千人殺しの鬼婦長、天才アルピニスト、切羽詰まった編集者……。雪に涙がしみわたる。(解説・雨宮塔子)
今宵、我らがプリズンホテルへ投宿するのは警視庁青山署と大曽根組のご一行。そしていわくありげな売れない元アイドル歌手とその愛人。愛憎がぶつかる温泉宿の夜は眠らない……。(解説・安藤優子)
七十七歳の卯木督助は“スデニ全ク無能力者デハアルガ”、踊り子あがりの美しく驕慢な嫁颯子に魅かれ、変形的間接的な方法で性的快楽を得ようと命を賭けるー妄執とも狂恋とも呼ぶべき老いの身の性と死の対決を、最高の芸術の世界に昇華させた名作。
バブル崩壊で会社も金も失い、妻子とも別れたろくでなしの中年男城所安男。心臓病を患う母の命を救うため、天才的な心臓外科医がいるというサン・マルコ病院めざし、奇跡を信じて百マイルをひたすらに駆けるー親子の切ない情愛、男女の哀しい恋模様を描く、感動の物語。
大橋賢三は高校二年生。学校のくだらない連中との差別化を図るため友人のカワボン、タクオらとノイズ・バンドを結成するが、密かに想いを寄せていた美甘子は学校を去ってしまう。愛と青春の第二章。
うっかり動作を中断してしまったその瞬間の子猫の頭のカラッポがそのまま顔と何よりも真ん丸の瞳にあらわれてしまい、世界もつられてうっかり時間の流れるのを忘れてしまったようになる…。猫と競馬と、四人の若者のゆっくりと過ぎる奇妙な共同生活。冬の終わりから初夏、そして真夏の、海へ行く日まで。
殺人。不正。容疑者の失踪ー。浅見光彦は、事件の背後に見え隠れするヤミ米市場の実態を追って、新潟そして山形県酒田市へ。だが、事件の重要な鍵を握る遠藤という老人が殺害され、竹村警部が捜査を続ける長野県でも新たな犠牲者が…。二大名探偵の行く先々で立ちはだかる食管制度の光と影。基幹農作物を巡る巨大な利権の正体とは?そして、日本の社会システムの根幹を揺るがす事件の結末は?「米神話」の崩壊を予見し、日本人の文化、生き方までを深く問うた内田文学の金字塔。
中江在は変わり者の父親と二人暮らし。高校入学後ほとんど単身赴任状態の父が在のためにお手伝いさんを雇い入れた。やってきた家政夫・赤羽江東寺はいたれりつくせりで変態でなければ文句なしのお手伝いさん。だが、過剰なスキンシップを図る東寺に在は戸惑いつつも、なぜか本気で拒絶できない。それどころか、過度のスキンシップを淋しさの裏返しと思いこみ、東寺をしあわせにしてやると決意するのだが。
明良は幼いころからまーくんが大好きで、何をするにもあとをついていっていた。大きくなって、呼び方がまーくんから政孝に変わるころ、明良の気持ちも幼なじみのものから変化してきた。だが、その気持ちを政孝に知られて今までの関係をこわしたくない明良は、だんだん政孝をさけるようになった。ところがある日、明良に黙って政孝が引っ越してしまった。ショックを受けた明良は結局、春から政孝と違う高校に通うことに。このまま政孝を忘れることができるのか!?そんな時、同窓会のハガキが舞い込んできて。