ジャンル : 外国の小説
〈大広場〉(グレート・フィールド)と呼ばれるキャンプ場に訪れた語り手兼主人公「僕」を通して、そこに到着した様々な人々の出会いと事件を語った中編小説。入れ替わり立ち替わりやってくる諸集団に翻弄された「僕」を含むキャンプ場の住人たちの趨勢を描いた寓話的物語。 グレート・フィールド年代記 訳者あとがき
セロニアス・エリスン(通称モンク)はアフリカ系アメリカ人で、大学で教鞭をとりながら小説家として文学的な作品を書いている。彼の目からみると黒人を売りにしたレベルの低い作品が世間ではベストセラーとなっていた。モンクは三年ぶりにロサンゼルスから実家のワシントンに帰り、医師の姉や高齢の母に会う。姉からは母は物忘れが目立つようになり、金銭的にも困りそうだと告げられる。ロサンゼルスに戻ったモンクは教授昇進が決まったことを知るが、小説は十七社から出版を断られていた。エージェントからは「黒人らしさが足りない」などと言われる。 その後、姉が事件に巻き込まれて再度ワシントンに飛んだモンクは、兄が離婚して多額の借金を抱えていることを知った。モンクは母と家政婦が住む家に引っ越して休職する。エージェントに電話をすると、小説はさらに三人の編集者から断られていた。 モンクは亡き父の書斎に入り、父が使っていた古いタイプライターで小説を書き始める。一気に書き上げたその中編小説は、モンクにとって到底発表できないような低俗極まりない作品だった。しかし、別名スタッグ・リーで書いたその原稿をエージェントが大手出版社に送ったところ絶賛され、多額の契約金で出版されることに。モンクは、やりとりは基本的にエージェント経由とし、決してばれないようにスタッグ・R・リーを演じようと考えるが、作品は非常に大きな注目を集めていき……。 2024年アカデミー賞脚色賞を受賞した映画『アメリカン・フィクション』原作小説。 (ERASURE by Percival Everett) 【著者略歴】 パーシヴァル・エヴェレット Percival Everett 1956年米国ジョージア州生まれ。アフリカ系アメリカ人作家。南カリフォルニア大学卓越教授。『ジェイムズ』(木原善彦訳、河出書房新社)で2024年全米図書賞、2025年ピューリッツァー賞などを受賞。著書にブッカー賞最終候補作『赤く染まる木々』(上野元美訳、早川書房)、ピューリッツァー賞最終候補作『Telephone』ほか。本書を原作とした映画『アメリカン・フィクション』が2023年に公開され、アカデミー賞脚色賞を受賞。 【訳者略歴】 雨海弘美(あまがい・ひろみ) 翻訳者。訳書にミシェル・ザウナー『Hマートで泣きながら』(集英社クリエイティブ)、クレア・ノース『ハリー・オーガスト、15回目の人生』(角川文庫)などがある。
テムズ川で溺死体が発見された。ボーシャン警部の捜査により、30年前、企業年金を横領して姿を消したCEOの事件との関連が浮かび上がる。さらに少女失踪事件も抱える彼は、排他的な上流階級に苛立ちながら聞き込みを続ける。エドガー賞最優秀長篇賞受賞作
マジックリアリズムで描くひとりの少女がたどる、カナダ先住民の喪失と再生の物語 ハイスラ族の居留地を舞台に、先住民の伝説と現代が交錯する── イーデン・ロビンソンの傑作長編デビュー作 1970〜80年代、カナダ・ブリティッシュコロンビア州西海岸、先住民ハイスラ族の居留地。ある日、19歳のリサは、弟ジミーの乗った漁船が行方不明になったことを知らされる。船が消えた夜、リサは夢の中で、ジミーが思い出の地、モンキービーチにいるのを目にしていた。弟を捜す旅は、やがて彼女自身の、そして先住民の記憶とアイデンティティに向き合う旅となる。 「描写が美しく、心に残る。鮮烈なデビュー作だ」──『タイムズ』紙 「驚くほど完成度の高いデビュー作だ」──『ワシントンポスト』紙 原書名:Monkey Beach(2000)エセル・ウィルソン・フィクション賞 受賞、ギラー賞/カナダ総督文学賞 最終候補作
お正月が題材になっている絵本が知りたい 熱帯雨林が登場する絵本を探している 図形が出てくる絵本が知りたい お風呂で楽しめる作品を探している そんな読者の要望を叶える、「テーマ・ジャンル」から引ける絵本の索引。 1990年に日本で刊行された絵本1,054作品を編纂。
あきらめ、もどかしさ、喪失感…… イタリアの境界都市・トリエステの歴史と現在を縦横無尽に横断し、そこに生きる人びとを描きつづける現代イタリア文学の巨人による最新短篇集(原書2019年刊)。初めて著者を知るには絶好の1冊。「管理人」「音楽のレッスン」「クレムスの曲がりくねる時間」「文学賞」「ロザンドラ谿谷ーー外・日中」の5作品を収録。詳細な「訳者あとがき」を付す。 定価=2200円+悪税 管理人 音楽のレッスン クレムスの曲がりくねる時間 文学賞 ロザンドラ谿谷ーー外・日中 訳者あとがき
サスペンス作家に転身した自動車ジャーナリスト「サム三谷」待望の米ベストセラー作! 日本にルーツを持つ青年が、世界を舞台に戦うサスペンス&アクションスリラー大作 全米 次世代インディーブック賞 スリラー部門金賞 全米 レーサークリエイターアワード受賞作 カーデザイナー 中村史郎氏 翻訳監修 概要 ストックトン・クレイーー野心的な自動車ジャーナリストでありゲーマーでもある彼は、極秘プロトタイプ・スーパーカーのワールドプレミアへの謎めいた招待を受ける。しかしその後、彼の命を狙う企てが起こり、CIAと、世界のパワーバランスを崩しかねない狂気じみたロシア人科学者との銃撃戦の渦中に巻き込まれていく。 生き残りをかけて戦う中で、彼は自分自身の知られざる事実、そして自らの真の正体を知ることになる。 著者サム三谷は、国際自動車ジャーナリストとしての20年にわたる経験を、この初のフィクション作品に注ぎ込んだ。アクション、陰謀、そして数々のどんでん返しに満ちたデビュー小説。 「アクション満載で、スリルが尽きない小説である。サム三谷は彼の深い自動車知識を活かした素晴らしい物語を描き出している。必読! 」 山内一典(『グランツーリスモ』シリーズ クリエイター) 著者紹介: サム三谷 米国生まれの日系2世の作家・ジャーナリストで、日本のルーツは東京都の三宅島。 5歳から柔道を学び、段位は6段、カリフォルニアでは自身の道場を持つ。 カリフォルニア大学バークレー校でジャーナリズムを専攻し、自動車雑誌『Road & Track』の国際編集者として活躍。緻密な取材とダイナミックなストーリーテリングが特徴。 20年以上にわたり自動車ジャーナリストとして活躍したのち、サスペンス作家に転身。白人の多い業界の中で、日本にルーツを持つ作家として、アジア系の主人公にこだわり執筆活動を続けている。 旅行書「Fielding's Malaysia & Singapore」や「Best Motoring」DVDシリーズのゲストホストとしても活躍。 「The Prototype」シリーズは自動車とアクションが融合したスリリングな3部作で、2作目の「RED MIST」3作目の「KISS TO THE EMPIRE」へと続き、米国で高い評価を受けている。
Lafcadio Hearn's Kwaidan (which means "ghost story" in Japanese) is the first and most famous collection of Japanese yokai stories ever published. This unforgettable collection of 17 eerie tales and 3 original cultural studies by Hearn are based on traditional oral tales passed down for generations. They are fresh reminders of the dark and mysterious corners of the Japanese psyche, from popular representations in anime, manga and video games to Masaki Kobayashi's Oscar-nominated horror film Kwaidan. This new edition includes over 20 full-color woodblock prints that showcase the rich visual tradition of Japanese Yokai. A new foreword by Michael Dylan Foster, the leading Western expert on Yokai literature, places the stories in context and explains the lasting importance of Hearn's pioneering look at Japan's bewitching spirit world. This new edition includes over 20 full-color woodblock prints that showcase the rich visual tradition of Japanese Yokai. A new foreword by Michael Dylan Foster, the leading Western expert on Yokai literature, places the stories in context and explains the lasting importance of Hearn's pioneering look at Japan's bewitching spirit world.
成熟した短篇にみるベロー文学の真髄 生き生きした《笑い》と、いっぷう変わったユーモア、タッチの軽妙さで人間を描くノーベル文学賞作家ソール・ベローは、優れた肖像画家である。世俗的で宗教的な問いを読者に投げかける本書収録の10篇のうち、「セント・ローレンス川のほとりで」「銀の皿」「遠い親類たち」「ゼットランド」「足を口にくわえた彼」「覚えていてほしいこと」の6篇は本邦初訳! 創作の魔術師ベローの果てしない才能を味わってほしい。 == 【収録内容】 「ジャニス・ベローによる序文」(鈴木元子 訳) 「ジェイムズ・ウッドによる推薦の言葉」(上田雅美 訳) ----- 「セント・ローレンス川のほとりで」(林日佳理 訳) 「銀の皿」(渡邉克昭 訳) 「古い道ーーユダヤの血縁関係」(鈴木元子 訳) 「グリーン氏を探して」(池田肇子 訳) 「遠い親類たち」(本田安都子 訳) 「ゼットランドーー性格の証人による」(外山健二 訳) 「黄色い家を遺す」(大場昌子 訳) 「モズビーの思い出」(岩橋浩幸・鈴木元子 訳) 「足を口にくわえた彼」(鈴木元子・山内圭 訳) 「覚えていてほしいこと」(篠直樹 訳) ----- 「ソール・ベローによる短い付録アペンディクス」(井上亜紗 訳) 解説(鈴木元子) 【収録内容】 「ジャニス・ベローによる序文」(鈴木元子 訳) 「ジェイムズ・ウッドによる推薦の言葉」(上田雅美 訳) ----- 「セント・ローレンス川のほとりで」(林日佳理 訳) 「銀の皿」(渡邉克昭 訳) 「古い道ーーユダヤの血縁関係」(鈴木元子 訳) 「グリーン氏を探して」(池田肇子 訳) 「遠い親類たち」(本田安都子 訳) 「ゼットランドーー性格の証人による」(外山健二 訳) 「黄色い家を遺す」(大場昌子 訳) 「モズビーの思い出」(岩橋浩幸・鈴木元子 訳) 「足を口にくわえた彼」(鈴木元子・山内圭 訳) 「覚えていてほしいこと」(篠直樹 訳) ----- 「ソール・ベローによる短い付録アペンディクス」(井上亜紗 訳) 解説(鈴木元子)
まだ幼い娘の命を助けてほしい。 あの子は、あなたの娘だから。 マリーはほろ苦い記憶を胸に、巨大なオフィスビルを見上げた。 3年前、豪華客船のウェイトレスだった彼女は、 船のオーナーで美貌の大富豪ホールデンと恋に落ちた。 だが夢のような日々に思わぬ邪魔がーー彼の母がマリーに釘を刺したのだ。 「あなた、まさか本気じゃないでしょうね」 そこからホールデンとマリーの関係はぎくしゃくし始め、 ふとした誤解で幸せはあっけなく壊れてしまった。 ホールデンとは二度と会わないつもりで生きてきたマリーだったが、 今、どうしても彼と再会しなくてはならない理由があった。 密かに産んだ娘が白血病で、命を救うには父親の彼にお願いするしか……。 大人気作家キャシー・ウィリアムズが描いたシークレットベビー&シンデレラ・ロマンスの決定版です! 早くに両親を交通事故で亡くし、貧しい暮らしをしてきたヒロインの初恋物語でもある本作。初版タイトル『偽りのウエディング』を改題してお届けします。
光り輝くプレイボーイ富豪に、 人知れぬ過去の影が……。 サマンサはウェイトレスの仕事をしながら独りで子育てをしている。 そんな苦境を見かねた友人が、いい仕事を紹介してくれた。 事故で脚を骨折した大富豪ザンダー・スターンの住み込みの世話係だ。 プレイボーイで有名な彼のもとで働きだしたはいいが、 男の色気に気持ちを乱され、サマンサは内心仕事どころではなかった。 この人なら、松葉杖をつきながらでも女性をベッドに誘いこめるわ! 尊大な態度の一方で優しさも見せる彼に、さらに心を揺さぶられる。 もう男性に惹かれちゃだめ! どうせまた傷つけられるだけよ。 私だけならともかく、娘を傷つけるわけには絶対にいかないのだから。 だがそんな彼女の決意も、ザンダーの圧倒的な魅力の前には無力で……。 光と闇のように対照的な双子の富豪兄弟のドラマティックな恋物語2部作2話目。超絶プレイボーイの弟ザンダーがヒーローを務める本作では、事故で一時的に不自由な生活を送る彼を手伝いに、里子育ちで苦労人のサマンサが幼い娘を連れて彼の邸宅へやってきます。
全世界を手にするよりも、 わたしはあなたの心がほしい。 親から愛されずに育ったネルは愛情に飢えていた。 9年前、たった一度だけ恋をしたことがあったけれど、 不幸にもその相手から乱暴されて男性恐怖症に陥ってしまった。 以来、ネルは男性の視線を避けるため、だぶだぶの服で体を隠している。 そんな彼女の牧場を手伝いに、テキサスからひとりの男性がやってきた。 上流階級出身で洗練されたその男性タイラーはなぜか、 ほかの男性たちと違ってネルの心をときめかせ、華やがせた。 タイラーの身の回りの世話を一生懸命にするネルだったが、 ある日、彼の酷い言葉を偶然立ち聞いてしまい、ショックを受ける! 「恋に恋するおてんば娘にまつわりつかれるのはごめんだ」 初版がシルエット・ロマンス400号記念作として刊行された本作は、大作家D・パーマーの1980年代の大ヒット作です! 酸いも甘いも噛み分けた年上ヒーローとうぶで内気なヒロインの純愛物語。ロングセラーシリーズ〈テキサスの恋〉の初期作をお楽しみください。
孤独なシンデレラが招かれたのは、 謎めいた伯爵邸。はたして彼の正体はーー? 孤児の三つ子姉妹の長女アンナは、出自こそ不明ながらも良縁に恵まれた 妹たち夫妻と共に、スコットランドでのハウスパーティーに出席するべく ガーヴァルド伯爵邸へと向かっていた。青い瞳のハンサムで無口な伯爵は、 アンナの密かな想い人。城に着いたアンナは不思議な懐かしさを感じた。 本棚そっくりの隠し扉。屋根裏にある誰も知らない部屋。記憶が次々甦る。 ここは、5歳のころ母や妹たちと身を寄せていた“おとぎ話の城”だわ! だとすると……彼はガーヴァルド伯爵ウィリアム……アレクザンダー・ エドワード・ヘンダーソンーー「ウィル、あなたは“ザンザン”なのね?」 アンナは思い出した。彼が遠い日、共に過ごした幼なじみの男の子なのだと。 ウィルと二人、過去の真実を追い始めたアンナは、まだ知る由もなかった。 伯爵家の招かれざる客が、ふたたび運命を狂わせようとしているとはーー。 RITA賞受賞作家キャサリン・ティンリーの『子爵と出自を知らぬ花嫁』『プリンスに見初められたメイド』に続く三つ子姉妹の恋物語3部作、完結。数奇な運命に翻弄された家族の驚くべき過去とは? ベールに包まれていた謎が最高の幸福を導きます!
妹の代わりに嫁いだ先は、 凍りついた心を持つ侯爵の屋敷ーー。 賭博好きの父と気ままな双子の妹がパリへ出かけ、 心配していたシャーロットは、悪い知らせを受け取った。 父がイギリス人の侯爵ニコラスとの賭に大負けし、 借金のかたに妹を差し出す約束をしたというのだ。 もし契約を守らなければ父は監獄に連れていかれ、 一家は住む家も失って、路頭に迷ってしまう……。 ところが侯爵と一度顔を合わせた妹は、 高慢で冷酷な彼を嫌い、姿を消してしまった。 残されたシャーロットに許される選択肢はただひとつ。 妹になりすまして、見知らぬ侯爵に嫁ぐことだけだった。 父と妹のために、見知らぬ侯爵の花嫁になるほかなく……。家族のために身を捧げた、悲運の乙女の運命やいかに? 2004年に英国ロマンス作家協会〈スウィート・ロマンス部門〉新人賞、ベティ・ニールズ・トロフィーを受賞した名作家の珠玉作!
キスだけは許さない── それは名ばかりの花嫁のプライド。 子供の頃からの恩人である老夫人の介護のため、ローズは彼女の 邸宅に住み込むことになった。ただ、ひとつだけ問題があった。 老夫人の孫息子で、ローズとは犬猿の仲のディアスも同居するのだ。 あるとき、二人の不仲を見かねた老夫人から「結婚して安心させて ほしい」と懇願され、ローズとディアスは彼女を喜ばせようと、 形だけの結婚式を挙げた。1年後には離婚する約束で。 だが老夫人の死後、慰め合ううちに二人はベッドを共にしてしまう。 翌朝、ローズの隣にディアスの姿はなく、彼女は深く傷ついた。 私を愛してくれない人に純潔を捧げてしまうなんて。 やがて思いがけず双子を身ごもったローズの心は千々に乱れて……。 無垢で健気なヒロインを描いて人気のミシェル・スマート。ヒロインの妊娠を知り、父親としての責任は果たすと宣言したヒーローを信じ、彼女は同居後に無事出産します。双子の育児に奔走するヒロインは、ある理由から、彼のキスだけは拒み続けますが……。
結婚式まで顔も知らなかった富豪の花婿に 一度の口づけで心を奪われて……。 ヴァイオレットはウエディングドレス姿で震えていた。 今日、私は無慈悲な祖父の命令により、イタリア富豪トーレに嫁ぐ。 でも、彼は私の双子の姉と結婚するつもりでいる。 ヒールの高い靴をはき、分厚いベールとウィッグをかぶっていても、 二卵性なので髪の色も身長も違う姉でないとばれるのは時間の問題だ。 当然、トーレは花嫁の姿形が異なっているのに気づいて激怒した。 この結婚がだめになったら、病気の母の治療費は払えない。 やっぱり、美しい姉の身代わりになるなんてどうかしていたんだわ。 どんな女性も放っておかない魅力の持ち主である富豪が、 赤ん坊をかかえた生活苦の女を妻にするわけがないのに……。 HQロマンスの頂点に君臨する作家リン・グレアムのミニシリーズ2部作の始まりです! 双子の姉妹ヒロインはそれぞれ赤ん坊を抱えて愛なき結婚に向き合いますが、そこに真実の愛は生まれるのでしょうか? 珠玉のシンデレラロマンスをお楽しみください!
誰もが恐れる醜い野獣の王子に、 なぜこんなに惹かれるの? ベルはエーゲ海の小国オリンピオスにある古城へ向かった。 そこに王子アダムの怒りを買ったベルの父が囚われているのだ。 悲惨な事故で一瞬にして顔に大怪我をし、妊娠中の妻をも亡くした アダムは、以来城に引きこもり、荒んだ生活を送っているという。 病気の父の解放と引き換えに自分が囚人になると申し出たベルに、 彼は冷酷に告げた。「愛人になるなら父親を自由にしてやろう」 近く表舞台に戻らざるをえないアダムは、彼の醜悪なイメージを 払拭する広報と愛人を兼ねる女性をまさに必要としていた。 ベルは震えながらも彼の黒い瞳にきらめく澄んだ光に魅入られ、 うなずいた──それが恋の始まりだとも気づかずに。 人気のメイシー・イエーツが紡ぐ、『美女と野獣』を彷彿とさせる珠玉のロマンスをお贈りします。心身共に傷ついたヒーローに寄り添い励ますヒロインは、やがて彼にとってかけがえのない存在に。そしてついに交わしたキスから運命の歯車が動き出して……。
最愛の夫の手酷い裏切りに絶望した、あの日。 でもーーもう私は18歳の幼な妻じゃない。 フリスは巨大企業の御曹司レオンと出会い、夢心地で電撃結婚した。 若く未熟な彼女にとって、レオンが世界のすべてだった。 だが、彼は違った。フリスは復讐の駒として選ばれただけだったのだ。 真実を知った彼女は、短い結婚生活に別れを告げ、家を出た。 深く傷ついた心を癒すように、彼女は懸命に働いた。 不幸な結婚を一日も早く忘れたくて。 そして4年後、フリスの勤める会社が経営難に陥るなか、 社長から合併先の代表を紹介される。 そこには、冷たい目をした忘れえぬ元夫、レオンが立っていた! 1994年の今作での日本デビューから長きにわたり、ファンに愛されてきた王道ロマンスの大家、ダイアナ・ハミルトン。ピュアな幼な妻と傲慢な大富豪という超人気テーマで描かれる本作の筆致の美しさと心理描写の巧みさは、今なお色褪せることがありません。
*伊・ストレーガ賞受賞 *仏・メディシス賞受賞 *日本翻訳文化賞受賞 *BABEL国際翻訳大賞 *日本翻訳出版文化賞受賞 国内ミステリ・ランキング第1位 全世界で5000万部超の大ベストセラー 中世北イタリア、迷宮構造を持つ文書館を備えた修道院で 「ヨハネの黙示録」の記述に沿って、 次々に修道士が不審死を遂げる。 事件の鍵は文書館に隠されているらしい……。 世界の読書人を驚嘆させた 知の巨人エーコの問題小説 [完全版]刊行! これは、中世の老修道士アドソが、見習修道士時代の体験を回顧して綴った手記である。そこに記されていたのは、彼が訪れた、北イタリアの修道院で起きた連続殺人事件の顛末だった。アドソが付き従っていたのは、理知的て論理的で誰もが驚嘆する推理力の持ち主であるイギリス人修道士、バスカヴィルのウィリアム。彼とともにアドソは、修道院の誇る、迷宮構造を持つ謎めいた文書館に足を踏み入れることになる。本書は、初版刊行以来、エーコ自身が加えてきた数々の訂正、削除等をすべて反映したものになっており、巻頭には、そうした修正について、2012年版に作者自身が寄せた付記も収めた。 【[完全版]について】 ◆エーコ自身が下描きした、文書館の図面、登場人物のスケッチ等を収録 映画監督がコンテ絵を描くように、エーコ自身も登場人物のイメージスケッチ、中世の生活関連のスケッチ、文書館の図面などを描いていました。著者の思考回路をたどれる、貴重な図版です。 ◆別巻として刊行された「覚書」を収録 『薔薇の名前』刊行直後『「バラの名前」覚書』として而立書房から刊行されていましたものを、河島英昭先生が用意していた訳文を元に河島思朗先生が見直し収録。現行のイタリア語版『薔薇の名前』は巻末にこの「覚書」が収録されていますので、これで日本語版も同じ形になります。(河島英昭先生は、翻訳の途中で病に倒れられ、2016年に逝去されたため、ご子息の河島思朗先生に引き継いでいただきました) ◆刊行後、折々に加えられた訂正を元に修正 現行版の刊行までに長い期間がかかったため、現行版刊行時にすでに訂正されていたものも含む形で、最新の内容に合わせて修正しています。 ◆古典語がご専門の河島思朗先生による、ラテン語部分の見直し、並びに本文の訂正を加筆 【原著について】 今回の[完全版]の底本は、Il nome della rosa(La nave di Teseo刊の2020年版)となります。 2010年に訂正箇所を赤い文字で示したPDFが送られてきました。それによって確認作業を進めましたが、その後に、2012年版として、さらに訂正の加わったものに「覚書」が加えられた版が刊行されました。2015年には版元がLa nave di Teseoに移り、2020年版に至りました。