小説むすび | ジャンル : 外国の小説

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ブリス・モンタージュブリス・モンタージュ

出版社

白水社

発売日

2025年3月3日 発売

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全米批評家協会賞受賞作品 本書は、中国出身の米国作家リン・マーの長篇『断絶』に続く第一短篇集。前作は、移民の女性が米国のミレニアル世代の一員として根無し草的な生活を送るなか、パンデミックとゾンビという物語形式を借りて、グローバル資本主義の制度に組み込まれた人生の虚無感、今世紀の米国社会の空気を巧みに切り取ってみせた。 同様に若い女性を主人公とする本書においても、移民にとっての「ホーム」はどこなのかという問いや、醒めた距離感を保つ一人称の語り口など、マーの作風は前作から連続している。ただし本書では、人間関係における暴力や、存在の孤独という、マーの中核的主題がより前景化され、人と時代に対する鋭い観察眼と、物語を組み立てていく手腕の凄みが際立っている。 本書の評価は非常に高く、〈全米批評家協会賞〉と〈ストーリー・プライズ〉を受賞、『ニューヨーク・タイムズ・ブックレビュー』では、「予測不可能な展開を見せ、読了後も心に残る」と評され、短篇の名手としてもマーの才能を確かなものとしている。「ロサンゼルス」「オフィスアワー」「明日」ほか、不可思議な語り口と冷徹な観察眼が冴える8編を収録。 [目次] ロサンゼルス オレンジ G イエティの愛の交わし方 戻ること オフィスアワー 北京ダック 明日 謝辞 訳者あとがき

ユリウス・カエサル氏の商売ユリウス・カエサル氏の商売

劇作家、演出家、詩人である「異化」の作家ブレヒト流のジュリアス・シーザー(小説です)。 古代ローマを舞台に、偉人・貴族・財界・市民・奴隷たちが、商売と政治、勝利と敗北、英雄譚と経済指標に踊る三文稗史劇(ヒストリー)。 物語は、ある歴史学者が英雄ユリウス・カエサルの伝記を執筆する準備で、カエサルを担当していた元銀行家を訪ねるところから始まる。元銀行家が所有する、カエサルの秘書であった奴隷の手記を調べることが目的であった。やがて歴史学者は、元銀行家たちとの対話や奴隷の手記を通じて、商売という視点をまったく忘却した、経済史観をふまえぬ自分の立場の誤りを次第に思い知らされていく。 1938、39年デンマーク亡命中に執筆され、ユリウス・カエサルを主人公に、ガリア戦記まで構想されたが、ガリア戦記は書かれないまま、未完となっている長編小説。『ローマ人の物語』(塩野七生著)でも言及され、ストローブ=ユイレにより映画化。1973年河出書房新社新社発行版を底本に復刊、書き下ろしの解説を追録。 第1部 名門出の一青年の栄達 第2部 われらのC氏 第3部 以って範とするに足る属州の行政 第4部 三頭の怪物 訳者解説 解説 『ユリウス・カエサル氏の商売』のアクチュアリティ

二人の富豪と結婚した無垢二人の富豪と結婚した無垢

継母を妻にしたギリシア富豪は 彼女が無垢だとまだ知らない。 ジョリーは40歳年上のギリシア富豪と7年間形だけの結婚をしていた。 その夫が亡くなったときはこれで自由になれると思った。 しかし、遺言には信じられないことが書かれていた。 遺産を相続するためには、夫の前妻の息子との結婚が条件だったのだ。 自分を金めあての女と毛嫌いする、冷酷な目をしたアポストリスと。 ジョリーにはどうしてもお金が必要だった。 まだ十代のいとこの生活は彼女一人の肩にかかっていたからーー。 誓いのキスをするときも、アポストリスは花嫁をにらみつけていた。 だが唇が重なると胸が高鳴り、ジョリーは自分の恋心に気づいて……。 USAトゥデイのベストセラー作家C・クルーズの意欲作をお届けします。名ばかりの結婚を2度したヒロイン。昼は理想的な夫を演じるが、夜は嫌悪感をむき出しにするヒーローに、彼女の想いは届くのか? 最後の1ページまでドキドキ&ハラハラすること確実です!

大富豪は華麗なる花嫁泥棒大富豪は華麗なる花嫁泥棒

花嫁泥棒に心まで盗まれるなんて、 いったい私はどうしてしまったの? 挙式当日、フランチェスカは密かに胸を弾ませていた。 ようやく暴君のような父親の支配から自由になれるのだ。 たとえ、愛のない契約結婚の花嫁であったとしても。 だが礼拝堂へ赴く寸前、花婿の異母弟アリスティドが突然現れ、 「今日、きみを兄から盗んで僕の花嫁にする」と宣言して、 強引にフランチェスカを連れ去った。花婿が誰であれ、 父親から救い出してくれるのならと彼女は承諾し、その日のうちに 二人は結婚した。意外にも新婚生活は順調で、フランチェスカは 日ごとアリスティドの魅力に惹かれ、心が揺れ動いていた。 悩みはひとつ。なぜ彼は盗んだ花嫁に指一本触れようとしないの? 『路地裏で拾われたプリンセス』で華々しい日本デビューを果たしたロレイン・ホールが、イタリア富豪と無垢な乙女の切ないロマンスを描きます。本作はケイトリン・クルーズ作『身重の花嫁は一途に愛を乞う』の関連作としてもお楽しみいただけます。

ボスの愛人候補ボスの愛人候補

失恋の傷を癒やす最良の薬は、 セクシーな富豪との秘密の情事!? 婚約者に裏切られ、会社を辞めて失意の日々を送るビビアン。 そんな彼女に、以前から仕事で取引のあった会社社長ジャックが 突然、依頼を持ちかけてきた。彼がひと目惚れで購入した 屋敷のインテリアデザインをビビアンに任せたいという。 とびきりのハンサムだけれど、傲慢で仕事中毒のジャックは苦手。 でも、気がまぎれるならいいわ。彼女は軽い気持ちで引き受けた。 ところが、ある出来事がきっかけで二人の関係は一変する。 屋敷のバルコニーから転落しかけたビビアンは彼に抱きとめられ、 ふいに熱い感情が高まり、そのまま一夜を共にしてしまったのだ。 しかもあろうことか、この関係を続けたいと口走ってしまい……。 一方的に婚約を破棄されて、すっかり女性としての自信を失ってしまったヒロイン。ずっと苦手で遠ざけてきたはずのヒーローのことが、なぜか気になり始めて……。男女の心の機微を描かせたら右に出る者なしの人気作家ミランダ・リー、渾身の逸作です!

捨てられた娘の愛の望み捨てられた娘の愛の望み

この身に宿ってくれた子を、 私と同じ目に遭わせたくない……。 シャロンは9歳で母と死に別れ、半年後に父も蒸発した。 人形を抱きしめ、何日も待ち続けたが父は戻らず、幼い心は傷ついた。 やがて看護師になったシャロンは、 バルセロナで医師のアグスティンと出逢って恋におちた。 しかし、ブロンズ色の肌で男らしく魅力的な彼は明言した。 「君とつき合う気はないし、先のことは何も約束できない」 大丈夫。実の父に捨てられた私は、永遠の愛なんて信じてないから。 名前以外は何も知らないまま、気丈に別れたシャロンだったがーー 5カ月後、転職先の病院に初めて出勤する朝、妊娠に気づく。 しかも職場の上司はなんと、おなかの子の父、アグスティンだった! シャロンはアグスティンの子を身ごもっていることを彼に告げます。医師と看護師として一緒に働くうちに互いへの尊敬と愛が深まっていきますが……。日本デビュー作『声なき王の秘密の世継ぎ』が大ヒットを飛ばしたエイミー・ラッタンが描く、予期せぬ妊娠物語!

ハートブレイカーハートブレイカー

「空涙はやめるんだ。僕は騙されない」 冷たい刃が、彼女の胸に突き刺さった。 カロラインが暴力的な夫のもとを離れて3年が経った。 幼い娘を守りたい一心で家を飛び出し、 郊外の小さな隠れ家に落ち着いたものの、今も夫に怯えている。 そんなある日の夜、ふいに誰かが玄関のドアを叩いた。 現れたのは、夫のいとこで会社社長のニック! なぜここがわかったの? こちらを蔑むように、彼の目が光る。「君の夫は事故で死んだ……」 君のせいだと言わんばかりなのは、ニックは誤解しているからーー カロラインのことを、よそに男を作って夫を捨てた酷い妻だ、と。 さらに、夫の衰弱した母を預かっていると告げたあと、彼は宣言した! 「君は僕と一緒に帰るんだ。たとえ引きずってでも連れて帰る覚悟だ」 ニックは自分のいとこが酔うと暴力を振るう男だったとは知らず、カロラインに同情するどころか、ことごとく冷たく接してしまいます。そんなニックに、僕の会社で働けばいいと言われたカロラインは、彼の下で働くなんて絶対にいや、と心の中で叫びますが……。

紳士で悪魔な大富豪紳士で悪魔な大富豪

幸せの絶頂も、不幸のどん底も、 あなたに出逢ってしまったから……。 22歳のキャリーは半年の間に母を病で、大好きな義父を事故で亡くし、 まだ悲しみも癒えないなか思いがけない事実を知らされる。 義父がじつは名門一族出身で、莫大な財産が彼女に遺されたというのだ。 キャリーは気が進まないながらも、面会を望む一族の屋敷を訪れた。 だがそこに待っていたのは、よそ者に対する冷たい侮蔑のまなざしと、 彼女に財産を渡さないための、当主の冴えない息子との結婚話だった。 そんななか、あるパーティーに出席したキャリーは、 上質なスーツを着た背の高い美貌の紳士と出逢い、たちまち心を奪われた。 ローガンと名乗ったその男性がくだんの名門一族の一員で、 彼こそが、キャリーと当主の息子の結婚を画策した張本人とも知らずーー 英国女王エリザベス2世のお墨付きの作家による名作を集めた《キャロル・モーティマー・コレクション》より、天涯孤独のヒロインと傲慢富豪の恋物語をお贈りします。出逢ってから婚約するまでは非の打ち所のない紳士だったヒーローが、クリスマスを境に悪魔に!

鏡の家鏡の家

鏡よ鏡、いちばん美しいのはだれ? 私じゃないことは、わかってる……。 あきらめかけていた初恋の人が帰ってきた。 16歳のときからずっと、リズは12歳年上のグラントに恋していたが、 彼は美しい恋人とともに町を出ていき、外科医になった。 リズの想いはそれから長い間、胸の奥底で秘められたままだった。 そして今、奇跡が起きた。事故で負傷して戻ってきたグラントが、 献身的に彼の世話をするリズに「結婚してくれないか?」と言ったのだ! だがグラントの言葉は本当の愛からではないと、リズにはわかっていた。 事故後、恋人に逃げられて心身が傷ついた今の彼は、抜け殻なのだ。 それでもリズは愛する人のために一心に尽くした。 いつかきっとグラントが彼女への愛に目覚めてくれる日を願って……。 南アフリカが生んだ偉大な作家Y・ウィタルによる、若きヒロインの一途な愛と献身を描いた1982年の名作です。愛されていないという不安を抱えたまま結婚するリズの前に、グラントの元恋人が現れて……。紙書籍限定の再版です!

子爵と出自を知らぬ花嫁子爵と出自を知らぬ花嫁

生まれをさがす孤児が愛したのは、 傲慢なほど優しい子爵。 父を知らず、10歳で母も亡くした出自不明の三つ子姉妹は、 学校卒業を機に、後見人のつてで英国社交界にデビューしたーー 生前、語られることのなかった母の、そして自分たちの出自を知るために。 社交が得意ではない末の妹ローズは子爵のジェームズと出逢い、 上から物を言う彼を傲慢だと思いつつも、いつしか強く惹かれていた。 人見知りの私が、なぜかジェームズには言いたいことが言えて楽しい! 三つ子という珍しさから、たちまち社交界の華になったのもつかの間、 父も母も身元がわからない三姉妹に、上流貴族から蔑みの目が向けられた。 ジェームズも家名を汚さない理想の花嫁を求めていると思うと、 ローズはしょんぼりと肩を落としてしまうのだった……。 快進撃を続けるRITA賞受賞作家キャサリン・ティンリーのシンデレラ・リージェンシー3部作がスタート! 出自不明の三つ子姉妹“ベルたち”を描くシリーズ第1話は、末妹ローズことロザベルの物語。今後ヒロインとなる姉のアナベルとイゾベルにもご注目あれ。

伯爵との一夜伯爵との一夜

伯爵を愛したい。たとえ片想いでも。 涙の波瀾万丈リージェンシー! 颯爽とした軍服に身を包んだ美貌のアレックスをひと目見ただけで、 ヒービーはなぜかひどく落ち着かない気分にさせられた。 はじめこそアレックスは彼女に対して無口で冷淡だったが、 たがいを知るほどに親しくなっていき、舞踏会の夜に急接近。 器量が十人並みで恋愛に縁のなかったヒービーは幸せの絶頂を味わう。 だが翌日、アレックスがついに結婚の申し出をしようとしたそのとき、 一通の手紙がーー彼がかつて求婚した女性からの承諾の返事が届いた! そんな……アレックスに、故郷に愛する人がいたなんて……。 ヒービーの中で何かが壊れた。もう限界。「おめでとう。よかったわね」 今にも流れ落ちそうな涙をこらえ、彼女は祝福の言葉を贈ったーー。 今まで大勢の士官が来ては去っていくのを見てきたけれど、あなたは特別だったーーそう伝えるのが精一杯で、身を引いたヒービー。ところが、ほどなく思いもよらない事態に見舞われ、アレックスと二人きりで極限状態に置かれた彼女は、予期せぬ妊娠をして……。

オリーヴァ・デナーロオリーヴァ・デナーロ

理不尽と闘った一人の女性の勇気の物語 1960年代、シチリアの保守的な小村。「女は水差しだから、割った人のところにもらわれていくもの」と母親に擦り込まれた少女オリーヴァは、初潮を迎えてからは「純潔を守るため」に、地元の風習と母の教えに従い男子との交流を避け、学校も辞め家のなかで過ごしていた。しかし裕福な菓子店の息子に目をつけられ、16歳の誕生日に誘拐され性暴力を受けてしまう。当時の刑法第544条により、加害者の男はオリーヴァと結婚することで罪が放免されることになる。結婚を迫る男や周囲からの圧力に追い詰められるオリーヴァ。やがて友人や支援者との励ましに自分の本心に気づき、法廷でこの理不尽に「ノー」を突きつけることを決意する。 『「幸せの列車」に載せられた少年』のベストセラー作家が実話に想を得て描いた、一人の女性の勇気と尊厳の物語。 【編集担当からのおすすめ情報】 南イタリアには「償い婚」という因習があり、長い間、性暴力が起きても加害者が被害女性との結婚を申し出れば、罪には問われませんでした。そのことは、1981年に当該条文が廃止されるまで、イタリア刑法にも明記されていたのです(刑法第544条)。そこには「魂の殺人」によって自分を踏みにじった相手と結婚しなければならない女性側の視点が、完全に欠落していました。 本作は、この因習に従うことを拒否して初めて裁判で勝訴し、イタリアのフェミニズム運動のアイコン的存在となったシチリアの実在の女性フランカ・ヴィオラにインスパイアされた著者が、フィクションとして2021年に発表した小説です。舞台は約60年前の南部の村で、このような法律はもちろん現代の日本にはありません。ですが、性暴力によって尊厳を傷つけられた上に、声を挙げた後も「被害者にも落ち度があった」と心ない言葉を投げかけられる光景は、現在も起きている性暴力の事件に驚くほど似ていて、愕然とさせられます。性暴力は絶対に許されない人権侵害であること、それをいま一度噛みしめるとともに、踏みにじられても立ちあがろうとする少女の勇気に胸を熱くさせられる必読の書です。

不便なコンビニ2不便なコンビニ2

韓国発の大ベストセラー小説、待望の続編! 狭くて品揃えも悪く、近所の人から「不便なコンビニ」と呼ばれるALWAYS。深夜バイトの独孤(トッコ)が店を去ってから6つの季節が過ぎた。オーナーのヨムさんは体調を崩し、折り合いの悪い息子ミンシクに経営を、古株のソンスクに店長を任せ、ソウルを離れていた。独孤から仕事を引き継いだ元刑事のクァクも故郷に帰ることになり、ソンスクは愛想はいいが要領の悪そうな中年男性クンベを深夜バイトとして採用する。今日も悩みを抱えた人たちが、ALWAYSを訪れる。一方、クンベにはある秘密があった……。 2024年本屋大賞翻訳小説部門第3位。韓国でシリーズ累計150万部超、台湾で15万部超。ソウルで上演される舞台はロングランとなり、ドラマ化も進行中の世界的ベストセラー「Kヒーリング」小説、日本に待望の続編が上陸! 【編集担当からのおすすめ情報】 韓国で社会現象を生み出し、世界的なベストセラーとなったKヒーリング小説『不便なコンビニ』。日本では2024年本屋大賞翻訳小説部門第3位にランクイン、大きな反響のなか、いよいよ待望の続編を邦訳刊行します。 作中では前作の終わりから約1年半が経過し、コロナ禍のALWAYSにも変化が。続編も、さまざまな人間模様を通して、困難な時代を生きるヒントをたくさん与えてくれます。 どこか私たちに通じる悩みを抱く登場人物たちに共感し、ユーモア溢れるフレーズにニヤリとさせられ、人と人の絆にほろりとさせられ、コンビニグルメに垂涎し、ソウルをはじめ町の描写に旅情をかき立てられ……。とにかく読みどころ満載です。よりパワーアップした続編を、ぜひお楽しみください。

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