ジャンル : 外国の小説
けなげでいじらしいヒロインの心に小さな恋が芽生え、ゆっくりと時間をかけて大きな愛へと昇華する“癒やしのロマンス”。大人気ベティ・ニールズの甘く切ないシンデレラ・ストーリーをはじめ、温かな読後感をお約束する珠玉の短篇集をご堪能ください。
母さんに“平凡なパートナー”をみつけて、“普通の幸せ”を手に入れてほしいのに。シングルマザーに育てられた17歳の少年ノウル。「今からでも幸せになってほしい」と願っていた母の恋人候補として急浮上したのは、親友の兄、やっと就職が決まったばかりの若者だった。「“平凡”ってそもそもなんなの?」と親友ソンハにたずねられ、その問いについて考え続けることで、ノウルがみつけたものとはー。寒い冬の空の下、少年が次の季節へ歩き出すまでの物語。
虚空の闇に浮かぶ魔法使い養成学校〈スコロマンス〉。入学した生徒たちは絶え間なく襲ってくる怪物たちから身を守りつづけなくてはならず、例年、卒業式まで生きのびる生徒は四分の一にも満たない。そして、最大のサバイバル試練の場となる卒業式では、飢えた怪物たちで満たされた卒業ホールを脱出し、現実世界に戻らなくてはいけない。 最凶の怪物〈目玉さらい〉を倒して怪物駆除装置を仲間たちと修理し先輩たちを卒業させたガラドリエルとオリオンも、いよいよ最終学年。三年生まで孤高のはぐれ者だったエルにも、今やアアディヤとリューという心強い卒業チームの仲間がいる。初めての友情に心を熱くしながら力を合わせて卒業式をサバイブしようと鍛錬の日々を重ねる中で、エルは自分たちさえ生き残ればいいというスコロマンスの常識に疑問を抱くようになる。母に釘を刺されたオリオンとの恋も進展、次第に仲間たちと想像を絶する計画を打ち立てていく…。
敵を欺き、罠を躱せ。冷戦下のニューヨークで繰り広げられる〈ゆっくりスパイ劇〉! 「どこを読んでも面白さ文句なし!」『New York Times』書評より。 平和を愛したスパイ 訳者あとがき 解説 小野家由佳
1726年にロンドンで刊行された『ガリバー旅行記』は、アイルランド出身の聖職者でジャーナリストのジョナサン・スウィフトが書いた4部構成の諷刺小説です。現在にいたる300年のあいだ、世界中の子どもと大人に読み継がれてきました。次々と起きる出来事、たっぷりの諷刺、理屈抜きの面白さ!本書は定評と実力をそなえた米文学者の柴田元幸が、「お茶の間に届くこと」を意識して、朝日新聞に好評連載した翻訳の書籍化です。夏目漱石は『ガリバー旅行記』の諷刺の特質を論じて「古今の傑作」と高く評価し(『文学評論』「スウィフトと厭世文学」)、20日世紀の傑作諷刺小説『動物農場』や『一九八四年』を描いたジョージ・オーウェルも「飽きることなどまずあり得ない本」と賞賛しました(「政治対文学ーー『ガリヴァー旅行記』論考」)。物語は嵐にあって船が難破、必死に泳いで辿り着いた島が小人国のリリパット。そして次には巨人国のブロブディングナグ、空飛ぶ島のラプータ、支配される島のバルニバービ、フウイヌムと呼ばれる馬たちが暮らす理想郷へと……4部構成で縦横無尽にすすみゆきます。訳者解説では『ガリバー旅行記』の出たとこ勝負で縦横無尽に進んでいくストーリの面白さの特質が分析されています。作品を創造的に描きこんで連載時より好評を博した挿絵の平松麻による口絵4頁つき。◯目次出版者から読者へ 第1部・リリパット国渡航記 第2部・ブロブディングナグ国渡航記 第3部・ラプータ、バルニバービ、ラグナグ、グラブダブドリブ、日本渡航記 第4部・フウイヌム国渡航記 ガリバー船長から縁者シンプソンへの手紙 告 解説
川の中洲で共食いを繰り返す異常繁殖した白兎たち、 耳から生えてきた肢に身体を乗っ取られた作家、 レストランで供される怪しい肉料理と太古の絶滅動物の目撃譚、 死んだ母親から届いたフェイスブックの友達申請…… 今、世界の文芸シーンでブームの渦中にある〈スパニッシュ・ホラー〉の旗手による、11篇の鮮烈な迷宮的悪夢が本邦初上陸!!! 現実と地続きに現出する奇怪な歪み、底知れぬ不安と恐怖を、 生理的嫌悪感を催すような濃密で冷たい筆致で描き切った、 現代スペインホラー文芸の旗手による11篇の鮮烈な傑作怪奇幻想短編集! *〈スパニッシュ・ホラー文芸〉とは* マリアーナ・エンリケス、ピラール・キンタナ、サマンタ・シュウェブリン、フェルナンダ・メルチョール、グアダルーペ・ネッテルーー今、スペイン語圏の女性作家が目覚ましい躍進を遂げている。作家によっては三十か国以上で翻訳され、世界中で好評を博すなど、現代文芸シーンにおける一大ブームとなっている。中でも、社会的なテーマを織り込みながら、現実と非現実の境界を揺るがす不安や恐怖を描いた作品群である〈スパニッシュ・ホラー文芸〉は、特に高く評価され、全米図書賞などの著名な賞の候補にも作品が上がるなど、今、最も注目すべき熱い文芸ジャンルの一つである。そして、このほど本書で初めて邦訳紹介するスペインの新進作家エルビラ・ナバロも、その代表的な書き手として数えられる。 作者エルビラ・ナバロは世界最大の文学誌Granta誌(英)のスペイン語圏ベスト若手作家にも選出された気鋭の作家。 本書の英訳版(2021)は、ニューヨーク・タイムズ紙、ロサンゼルス・タイムズ紙などの各紙誌でも絶賛され、同年の全米図書賞翻訳文学部門ロングリストにノミネートされた。 「この作家は生まれながらの文学的才能に恵まれている」エンリケ・ビラ=マタス 「不安を掻き立てる、カフカ風ですばらしい語り口」マヌエル・ジョレンテ La isla de los conejos, 2019 【目 次】 ヘラルドの手紙 ストリキニーネ 兎の島 後戻り パリ近郊 ミオトラグス 地獄様式建築に関する覚書 最上階の部屋 メモリアル 歯茎 占い師 謝辞 訳者あとがき ヘラルドの手紙 ストリキニーネ 兎の島 後戻り パリ近郊 ミオトラグス 地獄様式建築に関する覚書 最上階の部屋 メモリアル 歯茎 占い師 謝辞 訳者あとがき
2017年7月、売れない犯罪実話ライターのキャシーはひとつの記事に目をとめた。テキサス州南部の地方紙が、1986年8月に起きたアルゼンチン人男性銃殺事件の背景を探っていた。二人の男と重婚した女性ローレ、彼女の夫によるもう一人の夫の殺人。全ての原因となったローレは取材を拒否していた。もし彼女の視点で事件を書けたら? キャシーはローレに接近し、事件当時のことは話さない条件で取材権を得た。共に秘密を抱えた二人の女性の対決はやがて……。フーダニットを巡って手に汗握る実録系サスペンスの怪作!
「これから話す物語は、おれの全く知らない男の死から始まるーー」 前人未到の記録を次々打ち立てている、アンソニー・ホロヴィッツによる9つの短編集。 その主人公は、すべて中・高校生……! アンソニー・ホロヴィッツ Anthony Horowitz イギリスの作家。1979年、冒険小説『Enter Frederick K Bower』でデビューし、YA(ヤングアダルト)作品「女王陛下の少年スパイ!アレックス」シリーズ(集英社)がベストセラーとなる。ドラマ『刑事フォイル』の脚本、コナン・ドイル財団公認の「シャーロック・ホームズ」シリーズの新作『シャーロック・ホームズ 絹の家』(KADOKAWA)なども手掛ける。アガサ・クリスティへのオマージュ作『カササギ殺人事件』は、日本でも「このミステリーがすごい!」「本屋大賞〈翻訳小説部門〉」の1位に選ばれるなど、史上初の7冠に輝く。続く『メインテーマは殺人』『その裁きは死』『ヨルガオ殺人事件』(以上、東京創元社)も主要ミステリランキングで首位を取り、4年連続制覇を達成した。 田中奈津子 翻訳家。東京外国語大学英米語学科卒。『はるかなるアフガニスタン』が第59回青少年読書感想文全国コンクール課題図書に、『アラスカの小さな家族 バラードクリークのボー』『橋の上の子どもたち』が厚生労働省社会保障審議会推薦児童福祉文化財に選ばれている。翻訳は他に『こちら「ランドリー新聞」編集部』『ぼくたち負け組クラブ』『天才ルーシーの計算ちがい』『わたしのアメリカンドリーム』(以上、講談社)など。 1 恐怖のバスタブ 2 殺人カメラ 3 スイスイスピーディ 4 深夜バス 5 ハリエットの恐ろしい夢 6 田舎のゲイリー 7 コンピューターゲームの仕事 8 黄色い顔の男 9 猿の耳
1830年秋、七月革命の熱狂が冷めやらぬパリで、前途洋々たる代議士の息子が、盛大な夜会のさなか、二階の窓から身を投げた。死の直前、その青年は魅せられたように鏡に見入っていたという。父の遺志を継いで化学者から警官に転身したパリ警視庁の若き警部ヴァランタン・ヴェルヌは、突然の異動とともにこの事件の担当を命じられる。元徒刑囚にして元治安局長の探偵ヴィドックの助けを借り、新政権を揺さぶる奇怪な謎を解くため奔走するが…。科学の知見を武器にしたヴァランタンの活躍を描く傑作歴史ミステリ!
1932年、ミネソタ。教護院に暮らすオディは、ある日、暴力を振るう職員を殺してしまう。彼はおばに会うため、兄や親友、竜巻で母親を失ったばかりのエミーと施設から逃げ出し、一路カヌーでミシシッピ川を目指すがーー。少年たちのひと夏の冒険と成長の物語。
アガサ・クリスティらと、1920〜30年代の〈探偵小説の黄金期〉を牽引した女性作家ドロシー・L・セイヤーズーー探偵らしさと男らしさの狭間で存在の不安に揺れ動く男性探偵の危うさに焦点を当てた、〈ピーター・ウィムジィ卿〉シリーズの重要な転換期となる奇妙な探偵小説。
日常に忍びこむ幻想。戦慄の人間心理。 奇妙な出来事が人々を翻弄するーー。 その、巧みな一撃。 戦後ドイツを代表する女性作家の名作を集成した、 全15作の日本オリジナル短編集! ある日突然、部屋の中に巨大な鳥が現れる「ロック鳥」、旅行から帰ったら、自分が死んだと知らせてきた女がいたという話を聞く「六月半ばの真昼どき」、見た夢と現実が区別がつかなくなっていく少女を描く「ジェニファーの夢」、間違えて違う船に妹を乗せてしまった兄のもとに、常軌を逸していく妹の手紙が届き続ける「船の話」。日常に幻想が忍び込み、人間心理の恐さが背筋を震わせる。戦後ドイツを代表する女性作家の粋を集めた、本邦初訳7作を含む全15作の傑作短編集! ■目次 「白熊」 「ジェニファーの夢」 「精霊トゥンシュ」 「船の話」 「ロック鳥」 「幽霊」 「六月半ばの真昼どき」 「ルピナス」 「長い影」 「長距離電話」 「その昔、N市では」 「見知らぬ土地」 「いいですよ、わたしの天使」 「人間という」
流浪のヒロインが物語る波瀾万丈の人生 わたしの名はエバ。生命を意味しているー南アメリカの或る独裁制国家、密林の捨て子だった母親と先住民の庭師との間に生まれた娘エバは、人間の剝製法を研究する博士の屋敷を振り出しに様々な家を転々としながら大きくなる。天から与えられた彼女の才能はお話を語ること。世話好きな黒人の料理女、街の不良少年、娼婦の元締めの女将、夜ごと羽飾りに身を包み絶世の美女と化す語学教師、辺境の町で商店を営むアラブ人、ゲリラの指導者、高級将校、オーストリア移民の若き報道カメラマンなど、流浪のなかでエバは多くの人々と出会い、やがて愛を知り、物語の語り手としての人生を切り開いていく。20世紀の歴史を背景に展開する波瀾万丈、奇想天外な挿話と、エバの語る物語の数々。『精霊たちの家』で世界中を虜にした〈現代のシェヘラザード〉アジェンデが、驚異のストーリーテリングで読者を魅了する傑作長篇。
エイミーが社長ジェイクの個人秘書になって2年、 女性を大勢泣かせてきた彼の犠牲者にならぬよう慎重にふるまってきた。 そんなわけで、エイミーは不実な恋人に捨てられてどん底にあっても、 ボスの前では弱った姿を見せるわけにいかなかった。 なのに、秘書が失恋したと知ったジェイクはすかさず、 甘く優しい誘いをかけてきた。警戒を怠らないエイミーだったが、 元恋人が不意に現れ、あてつけのためジェイクとの親密さを見せつけた。 そしてとうとう、長年避けてきた事態を迎えてしまうーー甘美な一夜を。 でも、職場で気まずくなりたくない。この関係は続けられない。 そうボスに告げたエイミーはやがて、彼の子を妊娠したことに気づく……。 世界中のロマンス作家やファンに惜しまれつつこの世を去った名作家、エマ・ダーシーとミランダ・リー。天才姉妹を偲んで、珠玉作を選りすぐってお届けいたします。本作は姉エマ・ダーシーが描いた、悩める秘書の物語です。
深く傷ついた初恋のせいで男性を信じられなくなったモデルのヘザー。24歳になった今も、彼女が恋愛未経験であることは誰も知らない。その証拠に、ヘザーには、美貌を武器に次々と恋人を作っては容赦なく捨てる女だという評判がいつもつきまとっていた。そんな彼女に、またも言い寄る男がひとりー女性との噂が絶えない、危険な魅力をたたえた会社重役のレイス。「僕はきみが欲しい。きみも僕を求めるようにさせてみせる」高らかに宣言する彼に恐れをなしたヘザーは、ロンドンを出てスコットランドにある知人の別荘へ逃れた。翌朝目覚めると、驚愕の光景が待っていた。なぜ…レイスがここに!
娘を見るたび、まぶたに浮かぶ彼の姿。 ある日、本当に彼を目にするとはーー! 乗馬中にぶつかった男性が顔を上げた瞬間、メリッサは息をのんだ。 シルバーグレーの瞳。傲慢そうな顎。間違いない。ローレンスだわ。 この20カ月、かたときも頭を離れなかった男性ーー ファーストネームしか知らなかった娘の父親が、目の前にいる。 「メリッサじゃないか! その子はいったい──」 「ローレンス……」腕のなかの娘を強く抱きしめ、一歩後ずさる。 都会に憧れる世間知らずの男爵令嬢が、使用人の姿で訪れたロンドンで 素性の知れない男と恋におち、身ごもった。家名に泥を塗ったと 激怒する両親の反対を押し切って、メリッサは娘を産み育ててきたーー。 「とても美しい子だね。君の夫は幸せ者だ」 「夫はいないわ」その言葉に“ウィンチカム伯爵”は顔色を変えた。 メリッサが自分の子を産み育ててきたことに責任を感じてローレンスは、彼女に求婚。彼が裕福な伯爵と知って大喜びする両親をよそに、メリッサは哀しみに沈みます。彼が欲しいのは私ではなく娘だけだから……。リージェンシーの切ないシークレットベビー物語!
私を鳥籠に閉じ込めた張本人に、 ふたたび心を奪われるなんて。 かつて憧れだった10歳年上のドラムが、伯爵となって帰ってくる。 レベッカはその知らせに動揺した。今や彼は誰より憎らしい相手。 7年前、出征を明日に控えたドラムが別れを告げに来たとき、 無断で彼の愛馬を駆ったレベッカはひどく叱られ、お仕置きされた。 そして彼の提案によって、牢獄のような寄宿学校へやられたのだった。 いよいよ再会の瞬間、昔とは違う熱いまなざしを向けられて戸惑うが、 あの時の仕打ちを忘れられず、レベッカはよそよそしくふるまった。 ところが後日、親代わりの祖父が旅で不在にすることになり、 ドラムの後見のもと、伯爵邸での同居を余儀なくされる! レベッカは震えた。大嫌いな彼にまた惹かれてしまうのが怖くて……。 子供の頃、兄と慕うドラムにお尻を叩かれたことを根に持っているレベッカ。大好きの裏返しで、ドラムなんて大嫌いと意地を張りますが、彼に魅了されるのも時間の問題でーー。元気いっぱいで天真爛漫なヒロイン像に定評のあるアン・アシュリーの名作です!
獣医師のフランチェスカは愛犬とともに現れたヴィンチェンツォ王子をひと目見るなり、激しい恋に落ちた。しかし王子には婚約者がいたうえ、フランチェスカには秘密があった。実は私はあなたの婚約者のいとこだと、どうしたら言えるだろう?事情があって違う姓を使っているから、気づかなくても当然だけれど。それでも愛する男性に嘘はつけず、彼女は正直に告白した。ヴィンチェンツオはその勇気に感動し、婚約は先日破棄されたので問題はないと言って、それからも二人は会いつづけた。魅力的な彼と過ごせて、フランチェスカは天にものぼる心地だった。まさか、王子の元婚約者が妊娠したと言ってくるとは夢にも思わず…。