小説むすび | ジャンル : 外国の小説

ジャンル : 外国の小説

涙が乾くまで涙が乾くまで

また、あなたに恋してしまう。 それがなにより怖くて……。 2年前に別れた夫マイケルが事故に遭ったという一本の電話ーー それは、エイミーをつらい過去へと引き戻すものだった。 事故で記憶を失った彼の面倒を見てほしいと彼の姉に頼まれたが、 できれば、二度とマイケルには会いたくなかった。 まだ赤ん坊だった愛娘の死にも涙一つ流さなかった冷たい彼には……。 けれど放っておけず、気づけばエイミーは元夫のもとに駆けつけていた。 元妻のこともあの悲劇のことも忘れ、明るさを取り戻したマイケルに、 エイミーは愚かにもすがりたくなってしまう。 彼の記憶が戻れば、耐えがたい絶望と孤独に慟哭した、 あの時の涙がまた流れるというのに。 北米ロマンス小説界の最高峰、RITA賞を受賞した実力派、カレン・ヴァン・デア・ゼーの名作をお贈りします。自分が離婚した妻だともし告げれば、マイケルに追い返されるだろうと思い、エイミーは今も妻としてふるまいます。やがて真実に気づいたとき、彼はーー。

あなたにお熱あなたにお熱

はねつけられ、遠ざけられても、 この想いだけは止められない。 サラは親同士の再婚で家族になった義兄と二人で暮らしている。 ある日、義兄に付き添って出席したパーティで、 サラはハンサムで洗練された名門銀行の頭取ニックに出会った。 一瞬で惹かれるが、どうしたことか彼の態度は刺々しい。 義兄との仲を勝手に誤解し、ふしだらな女と言わんばかりに サラを非難すると、強引に唇を奪ったのだ。 私のことなど何も知らないくせに、なぜそんなに傲慢なの? さらにニックは自信満々に、サラを必ず手に入れると言い切った。 無垢なサラは動揺するばかりで、気づきもしなかったーー ニックの瞳の奥に揺らめく、隠しきれない嫉妬と情熱の炎に。 歴代ハーレクイン・ロマンス作家の中でもとくに、稀代のストーリーテラーとして愛され、今もなお語り継がれるシャーロット・ラム。素直になれないヒーローと無垢なヒロインが織りなす、せつなくももどかしいクラシック・ロマンスをお楽しみください。

怪談怪談

「聞いていただこう、ホーイチ・ジ・イヤーレスの物語を──」円城塔 作家・円城塔が、小泉八雲ことラフカディオ・ハーンの名著「KWAIDAN」を直訳! ダン・ノ・ウラの戦いの物語を──最も悲哀の深いくだりであるから(「ミミ・ナシ・ホーイチの物語」) オ・ジョチューは振り返り、そうして袖を下ろすと手で顔を撫でてみせ──(「ムジナ」) スライド式のスクリーンを開け、そうして彼は見たのだったが、ランタンの光に照らし出された五人の寝姿には──首がなかった!(「ロクロ・クビ」) 日本という未知の国の物語を、英語読者に向けて語るハーンの流儀を再現すると、日本の言葉はただのアルファベットの連なりで得体のしれない音となり、読み手の前に呪文のように放り出され、全てが説明されるわけでもない。当然これは、英語読者にとって「読みやすい物語」ではなく「驚異の書」として受け止められたことだろう。(「訳者あとがき」) 1904年に英・米国で発表された「KWAIDAN」には、遥かかなたの異国「JAPAN」の物語が描かれた。 当時、本書を手にした読者は何を感じたのだろうか。 円城塔が白日の下に晒す、小泉八雲ことラフカディオ・ハーンの名著「KWAIDAN」の真の姿! 序 怪談  ミミ・ナシ・ホーイチの物語  オシドリ  オ・テイの物語  ウバザクラ  かけひき  鏡と鐘と  ジキニンキ  ムジナ  ロクロ・クビ  葬られた秘密  ユキ・オンナ  アオヤギの物語  ジウ・ロク・ザクラ  アキノスケの夢  リキ・バカ  ヒ・マワリ  ホーライ 虫の研究  蝶  蚊  蟻 解題 訳者あとがき

すべての瞬間が愛だったすべての瞬間が愛だった

70万部突破のベストセラー 『すべての瞬間が君だった』の ハ・テワンによる3年ぶりの新作! 「読み終えて涙が出ました。いつも暖かい慰めになってくれてありがとうございます」 「今日の私の姿がそのまま文の中に込められています。大きな力をもらいました」 …感動の声続々!! あなたの心の奥底をゆさぶり、やがてあたたかさに満たす一冊。 偶然出会ったたった一行の 心のこもった文章が、 時にその瞬間を、 一日を、 これからの人生を乗り越える 力を与えてくれる。 人生のさまざまな瞬間に寄り添い、 ささいな日常をきらきらと輝かせる そんなことばがぎっしりつまったエッセイです。 本書の中には、 誰かを思うたくさんの心が込められています。 辛いのではないか。 痛いのではないか。 どうすれば慰めになるのか。 どうすれば愛をこめた言葉をかけることができるのか。 もっと勇気を与えたくて、 力になってあげたくて、 一歩近寄ろうとする気持ち。 ハ・テワンが読者に向けて発信する文章には、 このような愛に満ちています。 前作が70万部超えるほど長く愛されているのも、 彼に感謝の気持ちを表す読者たちの返事が毎日のように殺到するのも、 そのため。 本書は、多くの人が忘れかけていた 「愛」や「優しさ」を日常のなかにとり戻す一冊。 読めば、心の奥がゆさぶられ、涙と笑顔にあふれ、 やがて、心がふわっとやわらかくなることでしょう。

小さなことばたちの辞書小さなことばたちの辞書

ことばに生涯を捧げた女性を描く珠玉の一篇 「生きるということは、ことばを集めることだーーべつに辞書編纂者でなくても。エズメがそれを教えてくれる」--国語辞典編纂者・飯間浩明 19世紀末の英国。母を亡くした幼いエズメは、『オックスフォード英語大辞典』編纂者の父とともに、編集主幹・マレー博士の自宅敷地内に建てられた写字室に通っている。ことばに魅せられ、編纂者たちが落とした「見出しカード」をこっそりポケットに入れてしまうエズメ。ある日見つけた「ボンドメイド(奴隷娘)」ということばに、マレー家のメイド・リジーを重ね、ほのかな違和感を覚える。この世には辞典に入れてもらえないことばがあるーーエズメは、リジーに協力してもらい、〈迷子のことば辞典〉と名付けたトランクにカードを集めはじめる。 大英語辞典草創期の19世紀末から女性参政権運動と第一次世界大戦に揺れる20世紀初頭の英国を舞台に、学問の権威に黙殺された庶民の女性たちの言葉を愚直に掬い上げ続けた一人の女性の生涯を描く歴史大河小説。 2021年豪州ベストセラー1位(フィクション部門)、NYタイムズベストセラーリスト入り。「ことば」を愛するすべての人に贈る珠玉の感動作。 【編集担当からのおすすめ情報】 皆さんは、被選挙権を含む女性の参政権が世界で初めて実現したのは、オーストラリア(南オーストラリア州)だったとご存じでしょうか。 本作は、そんなオーストラリアで昨年、ベストセラー1位(フィクション部門)となった小説です。翻訳者の最所篤子さんから本作をご紹介頂いたとき、「そんな国だからこその1位だろう」と納得しました。その思いは、原稿を読み終えた後、このような小説が一番読まれているオーストラリアを、心の底から羨ましいと思う気持ちに変わりました。ジェンダーギャップ指数が世界156か国中120位(2021年)という日本でこそ、男女を問わず広く読まれてほしい小説です。 女性の権利を求め闘った先人たちの努力をつぶさに知ることが出来る一方で、「小さなことばたち」を掬い上げ続けることで、女性参政権運動にすら加われない弱い立場の女性たちにそっと寄り添った一人の女性の生涯に胸打たれる作品です。日頃何気なく使っている「ことば」についても、改めて深く考えさせられます。そしてエズメと彼女を取りまく人々との友情、家族愛、仕事仲間との絆、恋愛、数々の別れに何度も泣きます。 ぜひ、お愉しみ頂ければ幸いです。

真夜中の密室真夜中の密室

わが名は〈解錠師〉。  いかなる鍵も錠前も僕の敵ではない。  名探偵ライム、3年ぶりの新作。  ボーン・コレクター、コフィン・ダンサー、ウォッチメイカー、スキン・コレクター、そして……。  名探偵ライムに頭脳戦を挑むのは、密室に煙のように忍び込む怪人〈解錠師/ロックスミス〉。  怪人VS名探偵の興奮に満ちた現代謎解きミステリの新傑作。 〈ロックスミス〉と名乗る男が夜のニューヨークに跳梁していた。厳重に鍵のかかった部屋に侵入し、住人に危害を加えることもなく、破った新聞紙に書いたメッセージを残して去った。犯人はいかにして短時間で錠を破ったのか。犯行は無差別なのか、それとも被害者を結ぶ線があるのか。この奇怪な犯人の真の目的は何か。ニューヨーク市警からの依頼で、四肢麻痺の科学捜査の天才リンカーン・ライムが捜査に乗り出した。だがライムは警察内部の政争にまきこまれ、別件の裁判での失態を機に契約を解除されてしまった。このまま捜査を続行すれば逮捕される危険すら……。  密室を破る怪人〈ロックスミス〉VS現代の名探偵リンカーン・ライム。警察も敵に回り、犯罪組織に命を狙われながらも、名探偵はあくまで知力で戦いに挑む。そしていくつもの事件と謎と犯罪がより合わさったとき、多重ドンデン返しが華麗に発動する!  --ウォッチメイカーを思い出してるでしょ。  --この二人は似た者同士だ。どちらも利口で、戦術に優れている。いわば闇の芸術家と呼べる点も似ている。それにどちらも機械式の装置に妄執を抱いている……。  '怪人VS名探偵“の興奮に満ちた現代謎解きミステリの新傑作。

九人の偽聖者の密室九人の偽聖者の密室

伝説の「さまよえるユダヤ人」を名乗るアハスヴェルが主宰する教団「光の子ら」を糾弾すべく準備を進めていたカルト宗教の研究者ウルフ・ハリガンは、ひょんなことから知り合った作家志望の青年マット・ダンカンの協力を得、二人は「光の寺院」で開かれる教団の集会に参加する。その集会の場で、全身に黄色い僧衣をまとった教祖アハスヴェルは、信者たちとともに「ナイン・タイムズ・ナイン」の呪いを唱え、ウルフの死を予言する。 その翌日、ハリガン家の家族とクロッケー場でゲームに興じていたマットがふとウルフのいる書斎を見ると、ウルフの机に身をかがめている黄色い僧衣を着た人物の姿が目に入る。窓は施錠されており、邸内の扉から書斎に入ろうとするものの、やはり鍵がかかっていて中に入れない。再び外に出て窓から中をのぞくと、ウルフは顔面を撃たれて床に倒れており、存在したはずの黄色い衣の人物は消え失せていた……。 この不可解な密室殺人の謎に直面したダンカンは、探偵小説嫌いのマーシャル警部補と共に「密室派の巨匠」ジョン・ディクスン・カーの《密室講義》を参照しながら推理・検討をするのだが、なんと《密室講義》のどの分類にも当て嵌まらないことが判明する。困惑する捜査陣を前に、難事件の経緯を知った尼僧アーシュラは、真相究明のために静かに祈りを捧げるのだった……。果たして異色の尼僧探偵の祈りが通じ、神をも畏れぬ密室犯罪の真相が看破されるのだろうか⁉ ジョン・ディクスン・カーに捧げられ、エドワード・D・ホックが主催する歴代密室ミステリ・ベストテンにも選出された、都市伝説的密室ミステリが新訳によって半世紀の時を経てここに甦る! 装訂・シリーズロゴデザイン=坂野公一(welle design) 【炉辺談話】 『九人の偽聖者の密室』 九人の偽聖者の密室

フォルモサに吹く風 オランダ人、シラヤ人と鄭成功の物語フォルモサに吹く風 オランダ人、シラヤ人と鄭成功の物語

出版社

東方書店

発売日

2022年9月22日 発売

ジャンル

17世紀、オランダ統治下の台湾。ハンブルク牧師が原住民族シラヤの集落に家族を連れて赴任した。娘のマリアは父が建てた学校の仕事を手伝いながら、年の近いウーマと友情を育むが、やがて大陸出身の漢人やオランダ東インド会社幹部などとの交流を重ねるなかで、政策のひずみが年々増しつつあることを知る。その頃台湾海峡の対岸では、清軍との戦いで劣勢を強いられている鄭成功が、台湾に活路を見出そうとしていた。 オランダ人から漢民族へと為政者が変わる激動の時代を、オランダ人マリア、原住民族シラヤの女性ウーマ、鄭成功麾下の漢人・陳澤という三者の視点から描き出す歴史小説。「あとがき」では鄭成功の死因について、医師の視点から興味深い考察がなされている。 序 日本の読者へ 凡例/登場人物紹介 第一部 一六四六年 生 第二部 一六四九〜五一年 望 第三部 一六五二年 絆 第四部 一六五三年〜五五年 疫 第五部 一六五六年〜六〇年 祈 第六部 一六六一年 交戦 第七部 一六六一年 包囲 第八部 一六六一年 決別 第九部 一六六二年 運命 注 エピローグ あとがきーー私はなぜ『フォルモサに吹く風』を書いたかおよび医師の視点から論じる鄭成功の精神分析と死因について 訳者解説(大洞敦史)

不在不在

20世紀イタリアの「最も美しい声」ともいわれる作家、ナタリーア・ギンズブルグ。その人生をたどり現前させる珠玉の37篇で編まれた決定版選集。初公開の記事・ノンフィクションも収める。 屈託なく闊歩する女優さながらの女性、内気でひっこみ思案の女性、どんな女性でも時おり暗い井戸に落ちることがある。その傍らには、相手の目を見られず、内面が崩壊した、でも放っておけない男たち……。17歳のデビュー作から、少し悪意のある子どもの視線で語るような文体は「従来にない言語感覚」と評される。 不器用で孤独で、ことばが一種の「魔法」であった子ども時代。ファシズムにもナチスにも抗って活動したレオーネとの結婚と流刑地での暮らしと夫の獄死、革命が夢であった時間から、社会が反転する戦後の渦の中へ。パヴェーゼやカルヴィーノと働いた出版社での仕事。生活の現場や工場のルポルタージュ。やがて長男カルロは稀代の歴史家になった。 人生は勝手に進み、人はそれを眺めるしかない。そして運命はときに不意打ちをする。「フェミニズムは嫌い」と表明しながら、ナタリーアは共闘し、悲痛を生きのびる多くの女性たちの物語を書き続けた。 編者と訳者による本格的作家論・解説を付す。 I 物語 不在 九月 子どもたち ジュリエッタ 裏切り 帰宅 海辺の家 元帥 わたしの夫 ドイツ軍のエッラ通過 娘たち 冒険の日々 荷馬車に乗って 母親 日曜日 II 記憶とクロニクル 思い出 アブルッツォの冬 ある村の年代記 農民 破れ靴 夏 マテーラの空をカラスが飛ぶ 南の女性たち 子ども時代 女性について アッルミニウム社の工場では百年まえの生活 身障者 フェッリエーリ社訪問 家 恐怖 怠慢 私の精神分析 子ども時代 白い口ひげ パッリダッシの月 パッラマッリオ街 やさしい花 編者解説──ひとつの声の変遷  ドメーニコ・スカルパ 訳者解説 望月紀子

このエントリーをはてなブックマークに追加
TOP