ジャンル : 外国の小説
最低限の食料しか与えず、幼い命を死に追いやり、自分たちだけ温かく安全な家に住む人間を追い出すため動物たちは謀反を起こした。 動物たちは文字を覚え、「動物農園」を営んで、自らのために働く喜びを手に入れる。 しかし一部の豚が君臨し始めると、動物たちが掲げた普遍の戒律は改竄され、恐怖と残酷な死が支配する世界に変わっていくーー。 非人間的な政治圧力を寓話的に批判したジョージ・オーウェルの世紀を超えた衝撃。発掘された名訳を描き下ろし装画とともに。 装幀・本文デザイン 名久井直子
元教師のレナは、旅先のインドで十歳の少女に出会う。少女は毎日働かされ、学校に通っていないという。「女に勉強はいらない」。この因襲に従う人びとから反対されながらも、レナは、少女たちのための学校をつくろうと動きだす。『三つ編み』に続く勇気の物語
フランス南東部に住む15歳のガランスは学校の人気者。町のモデルコンテストでも順調に予選を通過していたのに、ある日突然失踪した。警察が捜査に乗り出したところ、ガランスは動画流出が原因でネットリンチに遭い、全てのSNSアカウントを閉鎖していたーー。
《尹東柱に敬愛された詩人の決定版評伝。天才詩人の作品と生涯》 尹東柱(ユンドンジュ)などと並び、現代韓国で多くの支持を集め続ける詩人、白石(ペクソク)。 生涯にわたる詩・随筆とその作品世界の魅力を余すところなく伝え、波乱に満ちた生涯を緻密に再現した、韓国で最も定評あるロングセラー評伝。 1930年代、モダニズムの技法を取り入れつつも古語や方言を巧みに用い、植民地下にあっても人々の生活に息づく民族的伝統と心象の原風景を、美しい言葉遣いで詩文によみがえらせて一世を風靡した詩人、白石(ペクソク)。 南北分断後は北朝鮮の体制になじめず筆を折らざるをえなくなり、その消息は長らく不明のままとなった。 本書は、韓国を代表する抒情詩人である著者が、敬愛してやまない白石の生涯を丹念に追い、小説を読むように、また白石の作品世界を深く味わえるように再構成した、決定版といえる評伝である。詩のみならず、随筆や分断後の北朝鮮で書かれた作品を多く収録しているほか、同時代を生きた詩人・作家たちの足跡も辿ることができ、資料的価値も高い。 日本語版に寄せて まえがき:白石を書き写していた時間 ◎プロローグ 帰郷 ◎第一部 詩集『鹿』の誕生まで 平安北道定州郡葛山面益城洞/五山学校時代/素月と白石/青山学院に留学する/日本での文学修行/『朝鮮日報』との縁/光化門通りの三人組/詩人としての第一歩を踏み出す/百部限定の詩集『鹿』/『鹿』が文壇に投じた砲弾/統営、統営 ほか ◎第二部 咸興時代 咸興へ旅立つ/『鹿』に対する別の見方/白石の詩に影響を受けた詩人たち/咸興で出会った子夜/日中戦争の狭間で/僕とナターシャと白いロバ/崔貞煕と盧天命と毛允淑、そして鹿/優れた『女性』誌の編集者/画家の鄭玄雄 ほか ◎第三部 満州時代 満州へ旅立つ/倦怠と幻滅/測量も文書も嫌気が差し/白きかべがあって/鴨緑江が近い安東の税関で/雲隠れした詩人と詩 ほか ◎第四部 解放後 解放された平壌で/三十八度線を越えなかった理由/南新義州柳洞 朴時逢方/戦争と翻訳/童話詩の発見/児童文学論争の矢面に立たされる/生き残るために/赤い手紙をいただいて、館坪里の羊を育てる/平壌は何も変わっていなかった/南に送る手紙/こうして消えた名前/詩人の死 ほか 解説註 人名註 文献註 白石年譜 付録 白石詩抄 収録作品一覧 解説 評伝のかたちで再現した白石の生涯と文学……李東洵 訳者あとがき
交際中の恋人に、やっと純潔を捧げる覚悟ができたモーガンは、金髪美女をベッドに連れ込む彼を見てショックを受ける。隣室に駆け込むと、そこには彼の兄コンスタンティンが。ギリシア神のように逞しい美貌の彼こそ、本当は会った瞬間、惹かれるものを感じていた相手。モーガンは誘われるまま、魔法にかかったようにコンスタンティンに純潔を捧げてしまった。その翌朝、不幸にも恋人が自動車事故により帰らぬ人となる。5カ月後、モーガンは膨らみかけたお腹を抱え途方に暮れていた。コンスタンティンに打ち明けなくては。子供の父親はあなただと。だが彼は冷然と言った。「僕の子であるはずがない」
アナは富豪カイオと結婚した。1年間限定、寝室は別との約束で。放蕩者で知られるカイオは先を見据え、“堅実で家庭的な実業家”のイメージを必要としていた。そこへ狡猾なアナの父親が、ビジネスとして娘を差しだし、契約結婚を持ちかけたのだ。だが1年後の離婚成立直後、アナは思わぬ事態に巻きこまれる。誘拐犯に追われ、ひと晩だけカイオと別荘に身を隠すことに。本当はずっと彼に惹かれていた。もう二度と会えなくなるなら、せめて最後に純潔を捧げたい…。あふれだすアナの想いに、カイオは厳しい顔で応えた。これは愛ではなく情事なのだと。
7年前、ロージーの初恋は終わりを告げた。父が教育係をしていたコルソは、地中海を望む王国の皇太子。コルソの25歳の誕生日の舞踏会に招かれたとき、ロージーは18歳で、貧しい家から何とか出席した。そして、王宮で部屋が隣り合わせた女性が、電話で話す声を耳にする。コルソを誘惑し、彼の子供を妊娠するつもりだと。大変だわ!意を決してコルソに打ち明けるが、彼は信じない。幼い恋心を打ち砕かれ、ロージーは逃げ帰ったー。7年後、国王となったコルソが、美しく成長した彼女を訪ねてくる。
両親に捨てられ、掃除人として身を粉にして働くタビーは、里親の元で姉妹のように育った親友を看取ったあと、遺された生後6カ月の赤ん坊の後見人となった。だが、独身で貧しい彼女に福祉局が養育権を認めず、悩んだ末、タビーは会ったこともない遺児の共同後見人ーギリシア富豪アケロンに協力を仰ぐことにした。巨大なビルの最上階で対面した彼は、恐ろしいほどハンサムで、とてつもなく冷酷だった。「その薄汚い女をつまみ出せ」にべもなく追い返されたタビーだったが、なぜか数時間後、態度を急変させたアケロンにプロポーズされて…。
看護師のジェインは祖母の看護のために仕事を辞めたが、祖母が亡くなり、途方に暮れていた。屋敷は見舞いにさえ来なかった従兄が相続するうえ、遺された祖母の愛犬1匹と愛猫2匹を連れて、数日中に出ていくようにと言い渡されてしまったのだ!新しく勤め先が見つかれば糊口をしのげるけれど、以前働いていた病院には空きがなく、行くあてもない。目の前が真っ暗になったとき、祖母を生前診てくれたヴァン・ダー・ヴォーレンホヴ教授が弔問に訪れた。ジェインは気がつくと、彼の胸に顔をうずめて泣いていた…。
ギリシア、イタリア、スペインが生んだ美形ヒーローとの、もどかしい恋物語3選!美しきギリシア人のアレックスと仕事をして2年。美人の恋人がいると噂の世慣れた彼を愛してしまったリースは、大きな決断をしなければならなかった。職を辞し、彼にさよならを告げるのだ。振り向いてくれないのにそばにいるのはつらすぎるから。夜ごと涙で枕を濡らし、いよいよ決心したリースは、最後の仕事へと向かうが…(「愛のシナリオ」(レベッカ・ウインターズ))。失恋旅行でローマへ来たシャーロットがホテルのバーで嘆息していると、魅力的な長身男性が隣に座った。「君、大丈夫?」優しい言葉をかけてきた裕福なイタリア人のルチオに惹かれ、身も心もゆだねるが、眠っている間に彼は忽然と姿を消したー“すてきな夜をありがとう”と書き残して。数週間後、彼女は妊娠に気づき…(「トレヴィの泉に願いを」(ルーシー・ゴードン))。弟が作った借金に頭を抱えるリアの前に、半年だけ恋人だったスペイン人実業家のアレハンドロが現れた。1人の女性と長続きする関係を持てない彼を本気で愛するようになってしまったリアは、ぼろぼろになる前に自ら身を引いたのだった。しかし今、彼は借金を肩代わりする見返りに、またベッドを共にするよう要求してきた!(「情熱の取り引き」(トリッシュ・モーリ))
世界に冠たる高級ブランドの社長アレクセイは、セクシーな魅力あふれる、女泣かせのプレイボーイ。ケイトがそんなアレクセイの秘書に抜擢されたのは、ちょっと太めで冴えない彼女となら過ちを犯さずにすむからだった。だからずっと、ケイトは彼への密かな想いを隠しつづけてきた。ところが、事故に遭ったアレクセイが療養中に事態は一変。会社の経営権を奪おうとする者を退けるために、アレクセイが役員たちを味方につけようと一計を案じたのだ。見せかけの婚約劇を演じ、彼の私生活にまつわる悪評を返上するという。そして相手役として彼が選んだのは、なんとケイトだった!
ギリシア大富豪ニックと離婚協議中のベッツィ。もう引き返せない。夫のあんな秘密と嘘を知ったあとでは。ニックを心から愛していた。だから子供が欲しいと言った。なのに、まさか彼がもう何年も前に避妊手術を受けていたなんて!名もなきウエイトレスだった私に、ギリシア名家の跡継ぎを産ませるつもりなどはじめからなかったのだ。だが別居中のニックがふらりと屋敷に立ち寄ったある日、二人は離婚のことも忘れ、何度も激しく求め合ってしまう。尽きることのない情熱と、夫への愛に苛まれるベッツィは、2カ月後、信じられない体の変化に気づく…。
「あなたの子供をもう一人産ませて。私たちの娘を助けるために」イタリアにあるヴィンチェンツォの豪邸を訪れ、ローリは懇願した。忘れられていても、頭がおかしいと思われても当然だわ。ヴィンチェンツォにとって私は、5年も前のゆきずりの女なのだから。私にとってあの夢のような日々は、生涯忘れえぬ恋だけれど…。その後ひそかに独りで産み育ててきた娘が難病とわかり、適合するドナーが見つからない今、父親である彼にすがるしか道はない。震える声で人工授精の手順を説明しようとするローリの心を、ヴィンチェンツォの冷徹な声が切り裂いた。「僕の人生計画に子供は入っていない。今までも、これからも」
ファーストクラス?エコノミーで予約したはずなのに。休暇旅行へ向かうために訪れた空港で、イーデンは眉をひそめた。そこへ、デザイナースーツを着こなした高身長の男性が現れるースレイド!先日、私の昇進を阻んだ傲慢社長…。病気の母を楽にさせたい一心で仕事を頑張りたいだけなのに、彼は私のことを、野心ばかりが先走った未熟者だと思っているのだ。その彼がなぜここに?まさか、私の休暇を取り消すつもり?頭が混乱したまま、イーデンは豪奢な出発ラウンジへといざなわれ、スレイドから彼が彼女の予約を変更した驚きの理由を聞かされる!「これから何日か、ぼくの妻になってほしいんだ」
「警官たちの人間性も含め、捜査側の内幕を描く警察小説的な側面も面白い。円熟の域に達している人物描写、情景描写の妙が小説としての読み応えを支えていることは言うまでもない」(真田啓介「紳士が警察官を志すとき」より) ヨーク公階段の謎 訳者あとがき 解説 真田啓介
●ぼくが生まれた時、地球の自転はストップしていた。人類は太陽系で生き続けることはできない。唯一の道は、べつの星系に移住すること。連合政府は地球エンジンを構築し、地球を太陽系から脱出させる計画を立案、実行に移す。こうして、悠久の旅が始まった。それがどんな結末を迎えるのか、ぼくには知る由もなかった。「流浪地球」 ●惑星探査に旅立った宇宙飛行士は先駆者と呼ばれた。帰還した先駆者が目にしたのは、死に絶えた地球と文明の消滅だった。「ミクロ紀元」 ●世代宇宙船「呑食者」が、太陽系に迫っている。国連に現れた宇宙船の使者は、人類にこう告げた。「偉大なる呑食帝国は、地球を捕食する。この未来は不可避だ」。「呑食者」 ●歴史上もっとも成功したコンピュータ・ウイルス「呪い」はバージョンを変え、進化を遂げた。酔っ払った作家がパラメータを書き換えた「呪い」は、またたく間に市民の運命を変えてしまうーー。「呪い5・0」 ●高層ビルの窓ガラス清掃員と、固体物理学の博士号を持ち、ナノミラーフィルムを独自開発した男。二人はともに「中国太陽プロジェクト」に従事するが。「中国太陽」 ●異星船の接近で突如隆起した海面、その高さ9100メートル。かつての登山家は、単身水の山に挑むことを決意。頂上で、異星船とコミュニケーションを始めるが。「山」 流浪地球 ミクロ紀元 呑食者 呪い5・0 中国太陽 山 訳者あとがき 大森望