出版社 : サンライズ出版
天保年間、相次ぐ大飢饉。大坂でも奉行所の無策、商人の金儲け主義などにより餓死者が続出した。元東町奉行所与力の大塩平八郎は、民の窮状を救うべく、自身の磔・獄門や親族の累刑をも覚悟で、徳川の絶対体制に立ち向かった。大塩と彼を取り巻く者たちの葛藤、生きざまを描く歴史小説。 一 この世の地獄 二 天保飢饉 三 再びの大飢饉 四 東町奉行所与力 五 陽明学者の顔 六 剛腕にして、人情あり 七 若隠居となる 八 東町奉行、跡部山城守 九 噴出する怒り 十 決起への葛藤 十一 巧妙な作戦 十二 強硬な反対者 十三 秘かな準備 十四 密訴者出る 十五 泣いて馬謖を斬る 十六 決起の強行 十七 あっけない結末 十八 惨めな逃避行 十九 執拗な探索 二十 潜伏 最後の時 二十一 苛烈な処分 大塩事件のその後 大塩平八郎「檄文」
幕末・北越の長岡藩で家老を務めた河井継之助は、若き日、江戸、松山、横浜で見聞を深める。そこで出会った多くの知見が、北越戦争を大きく揺さぶる。横糸にキリスト教的倫理観を織り込んで半生を描く新たな継之助像。
甲賀忍者の末裔が秘話を小説化。長篠・設楽原の戦いの影に甲賀大原!!神君甲賀・伊賀越えにも…。古代から伏見城の戦い…徳川家との歴史的な関係…賛成多数による組織運営と個人尊重の強みと弱みが、甲賀の運命を決した!
北近江の遠藤喜右衛門、美濃を奪った竹中半兵衛。国境を背に競った両知将が知恵比べの末に選んだのはどちらの「長」だったのか?小谷落城四百五十年を経てお市輿入れの謎を解明する戦国近江の傑作歴史小説!
平安・江戸・明治、そして現代の琵琶湖畔に生きる男女の愛の形。江戸時代の近江追分を舞台に、大津絵と豊臣残党狩りを題材にとった表題作「鬼の念仏」(滋賀県文学祭芸術文化祭賞受賞)ほか、平安時代の秘めた逢瀬を映し出す「笛の音」、明治の琵琶湖・淀川改修工事にまつわる「洗堰物語」、現代の大学ボート部での青春群像を描く「明日に架ける橋」の4篇を収録。
滋賀県南部を横切って琵琶湖にそそぐ「近江太郎」の異名を持つ野洲川は、ほぼ10年に1回の割合で大氾濫を繰り返す暴れ川だった。 水害を被るたびに流域の村々が堤防を積み増しした結果、下流では川底が周囲の地面よりも高い天井川となり、危険この上ない状態となっていた。下流部で分かれた北流と南流の改修は、流域住民の悲願だったが……。 『京都インクライン物語』で第1回土木学会著作賞を受賞した田村喜子が、改修事業に関わる流域住民のさまざまな心の動きを活写。