出版社 : ハーパーコリンズ・ジャパン
17歳のリンデンの毎日は薔薇色だった。家にジョスがいるから。 山道で事故を起こした彼を車から助けだし、家へ連れ帰って以来、 リンデンとジョスは親子ほども年が違うのになぜか気が合い、 人間嫌いの父も、彼を気に入っているようだ。そんなある夜、 パーティへ出た彼女は、同じ年頃の少年など誰一人目に入らず、 ジョスをーージョスだけを愛していると気づいてしまう。 月光を浴びて泳ぎながらふと岸を見やると、ジョスがいた。 彼は水の中に入ってきて、裸のリンデンを抱きすくめ……。 だが翌朝、彼の姿は既になく、父親から驚愕の事実を知らされる。
見覚えのある姿が目に入った瞬間、心臓が止まりそうになった。 3年前、ターリアは裕福な実業家アレックスと激しい恋に落ちた。 まだ若かった彼女は身も心も捧げたが、アレックスは違った。 ターリアを裏切ったばかりか、自分の秘書と密会していたのだ。 傷心のままターリアはアレックスの前から姿を消すが、 そのときはすでに、彼女のおなかに小さな命が宿っていたーー よるべないターリアがどれほどの辛酸を舐めて息子を育てたか、 アレックスには興味もないだろう。だが、彼女はすぐに思い知る。 彼が全てを調べあげた上で、ある狙いをもって会いに来たのだと。
富豪の老人に嫁いだ友人から、エミリーは奇妙な依頼を受けた。老人の後継者に指名されている男性が形だけの妻を探しており、エミリーに、その役目を引き受けてほしいというのだ。結婚は2年間という期限つき、対価は莫大な報酬ーお人よしだが、澄んだ目と心を持つエミリーは見抜いていた。友人はその後継者の若い男性に心を奪われているのだろう。地味な私を彼にあてがっておけば、他に取られることもない、と。借金をしている恩人を救う手立てとしてエミリーは引き受けた。美貌のルークを愛してしまうことになるとは、予想だにせず。
出張中のはずなのに、なぜ彼がここへ……。 ルイーザはいま、丘の上で、別れたあの日以来、 一度も会っていなかった夫、アンドレアスに抱きしめられていた。 それはわずか2歳で世を去った息子の墓参りのための帰郷だった。 17歳の夏。光射すギリシアの地に赴いたルイーザは、 大富豪の御曹子アンドレアスと身分違いの恋に落ち、妊娠した。 だが、彼が他の女性とベッドにいるのを見てから、 二人の幻のような愛は揺れ始め、やがて完全に立ち消えたのだ。 それなのに、なぜいま、熱い腕で私を搦めるのーー
リーアにとって人生は完璧だった…あの事故に遭うまでは。酷い傷を負ったリーアは女としての自信を喪失していた。どんな男性にも心そそられるつもりはなかった。それなのに、新しく就任したやり手の社長ジェイソンの目に留まってしまう。誰もがその美貌に目を奪われ、足を止め、振り返るほどの、美しい彼が近づいてくるだけで、目眩がし、胸が高鳴る。しかし彼には、愛人にしかできないと言われているのだ。もし私の体に残る傷跡を見たら幻滅するに違いないと思うとーリーアの胸はねじれるように痛んだ。
1963年11月、ニューオーリンズ。暗黒街で生きる男ギドリーは、ケネディ大統領暗殺の報に嫌な予感を覚える。数日前に依頼された仕事はこの暗殺絡みに違いない。ならば次に死ぬのは自分だ、と。仇敵を頼って西へ向かう道中、夫から逃れてきた訳ありの母娘と出会ったギドリーは家族連れを装いともに旅するようになる。だが組織が放った殺し屋はすぐそこに迫っていたーMWA賞受賞作家が放つ、傑作犯罪小説!ハメット賞受賞作。
記憶を吸い取る“ポラロイドカメラ”を手にした謎の男が現れる『スナップショット』、森林火災が迫る町で起きた不可解な銃撃事件を追う『こめられた銃弾』、スカイダイビング中に不思議な雲に迷い込んだ男の追憶『雲島』、奇妙な雨が降り、あらゆるものが命を奪われていく『棘の雨』の4篇収録。デビュー作にしてブラム・ストーカー賞に輝いたモダンホラーの奇才が放つ、怪奇幻想文学中篇集。
婚礼を明日に控え、ジュリエットの思いは千々に乱れた。政略結婚の相手は、野獣とあだ名されるスペイン富豪ハビエル。公爵家の血筋の妻が欲しい彼に、わたしはお金で買われたのだ。それにしても、どんな女性でも買えるはずの彼がなぜ?赤毛の不器量なわたしを見たら、きっと落胆するわ…。危険なオーラを放つ、黒髪のハンサムな花婿と対面した瞬間、ジュリエットは震えた。そして、結婚の理由を尋ねた彼女に、ハビエルは不敵な笑みを浮かべるが早いか、身も心も奪わんばかりに貪欲なキスをした!
高級百貨店のショーウィンドウの飾りつけをしていたイーディはある日、こちらをじっと見つめる男性の姿に気づいた。4年前、彼に心奪われ、勇気を振り絞って話しかけた彼女を、君に用はないと追い払った、銀行家セヴァスティオだった。その彼が泊まり込みで自宅を飾りつけてほしいと依頼してきた。彼とひとつ屋根の下、実らぬ恋と承知で、今を精一杯生きたくて純潔を捧げたイーディ。だがやがて妊娠に気づき、愕然とする。結婚願望のない彼に、お腹の子の存在を打ち明けたら、きっと私はこの子も彼も、同時に失ってしまう…。
すべては演技とわかっていても、 溢れる想いは止められなくて……。 イタリアからやって来るホテル王の恋人のふりをしろですって? しかも24時間、片時も彼から離れてはいけないだなんて……。 上司から突然そう命じられ、刑事のリディアは動揺していた。 噂では、富豪アントン・サンティーニは美麗な遊び人らしい。 彼の到着を待つ間、ホテルのプールで泳いでいたリディアは、 水しぶきを上げて現れた男性がアントンだと気づき、驚いた。 もう“演技”を始めるの? 戸惑う彼女に甘い言葉を囁くと、 アントンは巧みにキスへと導いた。陶然としながらリディアは 自分を戒めた──これは仕事。愛も恋も持ちこんではだめよ。 キャロル・モーティマーがお好きな方にぜひともお勧めしたい、スター作家キャロル・マリネッリの意欲作! ヒーローを愛することを許されない立場と、抑えきれない熱い想いとの狭間で葛藤するヒロイン。そのせつない心情に、共感せずにはいられません。
あなたの記憶が戻る前に、 この愛が本物だと伝えたい。 エレナは意を決し、スペイン富豪カレブの会社を訪れた。 カレブとは大学時代に出会い、激しく惹かれ合いながらも、 予測不能で奔放な彼との恋が一時の情熱で終わると思うと、 怖くなって自分のほうから逃げ出してしまったのだった。 この心は、あれからもずっとカレブを求めてきた……。 そして今、仕事の協力を願いにやってきたが、 再会したカレブは取りつくしまもなく、彼女の望みを拒絶した。 その直後、あきらめず会社の前に立つエレナに気づき、 追い払おうと道路に踏み出した瞬間、彼はバイクにはねられてしまう。 病院で目を覚ましたカレブは、エレナとのすべての記憶を失っていた! 付き添いのエレナが誰かもわからないまま、カレブは本能に導かれるように彼女の唇をむさぼります。一縷の望みを抱いたエレナは、精いっぱい看護することで愛と真心を伝え、彼が自分との記憶を取り戻したときに、気持ちまで変えてくれることを願いますが……。
二人で見つけた小さな天使。 でも、心を一つにはできないの……? 病父と3人の弟妹を抱えるイービーは、看護師になる夢をあきらめ、 できたばかりの子供病院で受付事務をしている。 ある日、イービーは開院の祝賀パーティの準備に追われ、 夕方慌ててドレスを車に取りに行ったとき、美男美女が歩いてきた。 女性とぶつかって派手に転び、男性に助け起こされたイービーは、 会場へ向かう華やかな彼らと自分を比べ、意気消沈してしまう。 結局パーティには行かなかった彼女が、帰ろうと再び駐車場へ行くと、 先ほどの美男が待っており、新任の外科医のライアンだと名乗った。 こんなにすてきなドクターが、いったい私に何を……? その疑問が解ける前に、突如どこからか小さな泣き声が聞こえてきた。 見ると、段ボールに入れられた赤ん坊が置き去りにされていた! イービーが転んだときに落とした母の形見のネックレスを、拾っていたライアン。それを渡さないうちに赤ちゃん騒動が起き、小さく弱々しい天使を二人で病院へ運びます。やがてイービーはその子に深い愛情を持ち始めますが、医師のライアンの心は複雑で……。
秘書のアビーが高名な富豪弁護士グレイの下で働き始めて1年。ボスは傲慢で実に扱いにくい半面、とても優秀で魅力的な男性だ。そんな彼が求める秘書であろうと、アビーはしかつめらしい服に眼鏡とひっつめ髪のスタイルで、有能な仕事ぶりを見せていた。だがある日、ボスの予定帳に書かれた取引相手の名に、激しく動揺する。二度と会いたくないと思っていた、卑劣で薄情な元恋人…。やむをえずグレイに事情を話し、もうここにはいられないと告げると、ボスは僕たちが公然と同棲すれば、相手は手出しできなくなると言う。二人で寝食をともに…?戸惑いを見せるアビーに、彼は釘を刺した。「ベッドの心配なら無用だ。君は僕の好みじゃないから」
両親に捨てられたヤスミンは、祖父に引き取られ、育ててもらった。その恩もあり、亡き祖父から受け継いだ小さな会社を経営難から救おうと、彼女はやむをえず見合い結婚に踏み切ることにした。大事な会社を守るためなら、どんなことにも耐えるつもりで。しかし結婚式当日、初対面の花婿を見て、ヤスミンは呆然とした。あれは…同業の大手企業を経営する大富豪、イリヤ・ホルヴァート!祖父が快く思っていなかった、いわば敵対する一族の人間だ。いざ式が始まると、イリヤは誓いのキス一つでヤスミンを陶酔させ、そんな自分に戸惑っている彼女を見て、面白がる様子を見せた。だがその夜、彼は妻を独り寝室に残し、翌日はキスすらしなくなり…。
ナースのリアノンは2週間前、亡き親友から忘れ形見を託された。 赤ん坊の父親は、世界的に有名なギリシア富豪、ルカス・ペトラキデス。 陰のある美貌、洗練された立ち居振る舞いだけでなく、 誠実さと責任感の持ち主という評判を知り、リアノンは心を決めた。 親元のほうがこの子は幸せなはず。愛着が湧いてしまう前に渡さないと。 ところが、電話をしても取り次いでもらうことさえできず、 やむなく彼の高級リゾートで開かれるパーティー会場へ向かった。 勇気を振り絞り、話を聞いてほしいと告げたリアノンを ルカスは冷たく一瞥して、警備員に彼女をつまみ出せと指示した。 満座の注目が集まるなか外へ連れ出されながら、リアノンは叫んだ。 「あなたの赤ちゃんがいるの!」 ウェールズの郊外でつましく暮らすリアノンは、給料の半月分もの大金をはたいてルカスのホテルの一室を予約したのでした。でも、無慈悲な大富豪はリアノンの訴えを真っ向から否定して……。HQイマージュの代表作家、ケイト・ヒューイットの秀作をどうぞ!
美しいドレスを着て、完璧な大富豪の夫に寄り添うジアンナは幸せに見えたが、真実は違った。この結婚は、巨大企業を盤石にするための見せかけ。十代の頃から夫のフランコに恋している彼女は、それでもいいと心に言い聞かせてきた。昼は冷たくとも、情熱的に愛される夜だけをよすがに。そんなある日、夫の元恋人が現れて…(『まやかしの社交界』)。父が決めた結婚を余儀なくされた17歳のアリダ。相手はキプロス一の資産家の御曹司ダリウスだというが顔さえ知らない。必死の抵抗も空しく、1週間後に式が挙げられ、初夜を迎えた。だが、夫に所有物のように扱われて傷ついたアリダは、翌日、隙を見て逃げ出した。その身に、子を宿したかもしれないという不安を抱えて…(『キプロスを逃れて』)。
両親亡き後、遺された農場をひとりで守るレイチェルは、 元有名モデルの姉からとんでもない頼みごとをされる。 密会現場を記者に撮られ、写真を夫に見られてしまったが、 あれはレイチェルだったことにしてほしいと言うのだ。 かくて彼女は明らかに場違いなパーティに出かけていき、 件の男性、イタリア人大富豪ラファエロに事の次第を説明した。 姉が人妻だったと知って激昂した彼は、なぜかレイチェルの唇を奪い、 自分の屋敷に連れて帰ると、姉の代わりに婚約者のふりをしろと言う。 「このままここに住み、ぼくのベッドで寝るんだ」彼はそう宣言するや レイチェルの指から安物の指輪を抜き取り、豪華なダイヤを取り出した。 HQロマンスのトップ作家としてゴージャスなロマンスを数多く描く大スター、ミシェル・リード。キャロル・モーティマーがお好きな方に特におすすめです。あれよあれよという間に、ラファエルの手管に絡め取られてしまったレイチェルの運命は?
ルイーズは祖父母の遺灰を埋葬するため、シチリアを訪れた。 10年前、18歳だった彼女はこの地で忘れ得ぬ過ちを冒したーー 1400年続く公爵家の若き当主、シーザー・ファルコネリと。 二人は愛し合っていると信じ、ルイーズは彼に純潔を捧げたが、 翌朝、司祭から当主を誘惑したと断罪され、村を追われたのだった。 彼からの連絡はなく、だからルイーズもその後のことは伝えていない。 もう二度と会うことはないと思っていたのに、まさか、 遺灰の埋葬に彼の許可をもらわないといけないなんて……。 10年ぶりに会うシーザーは、鋭い眼差しと言葉で彼女を凍りつかせた。 「ぼくたちの息子も、連れてきているのかい?」 大スター作家ペニー・ジョーダンは、ミステリアスな大人の男性に翻弄されるヒロイン像が多くの読者の共感を呼びました。『純愛の城』は、2011年に亡くなった作家の遺作。深く繊細な心理描写で描く、シークレットベビー・ロマンスです。
スペイン屈指の富豪で、公爵の称号を持つアレハンドロが、 裕福で美人のいとこではなく、貧しく平凡な私を選ぶなんて。 喜びに酔いしれたレナはひと夏を彼に捧げたが、 愛を告げたとたん、アレハンドロは無情にも去っていった。 身ごもっていると知ったのは、その後のことーー 彼と連絡が取れないまま、失意のレナはたったひとりで出産した。 だがつましくも平和な母子の生活は、ある日突然終わりを告げる。 「その子は本当に僕の子か?」アレハンドローーなぜここがわかったの!? ひどい仕打ちをされたのに、レナの胸はまだ彼への思慕に疼く。 彼の目的はレナではなく、跡継ぎとなる息子だとわかっているのに……。 HQロマンスを代表する大スター作家ペニー・ジョーダンがお好きなら、新女王の呼び声も高いジェニー・ルーカスは見逃せません。情熱的なジェットコースター・ロマンスをお楽しみください。
別々の道を選んだ二人を、運命の嵐が再び引き寄せ……。 愛の痛みを知るすべての人に捧げる、著者渾身の感涙作。 「離婚しましょう」妻のヘイリーは涙を流し、そう告げた。一人息子を白血病で喪い、悲しみに打ちのめされた彼女は、息子と瓜二つの夫サムを見ることすら耐えられなくなった。愛ゆえに別れを受け入れたサムだったが、3年後、突然ヘイリーから電話がかかってくる。ハリケーンで建物に閉じ込められ、数日が経っているという。負傷して救助も期待できず、サムを頼ってきたのだ。あのとき放してしまった愛する者の手を、再びつかむチャンスが与えられたーーしかし、同じ建物には逃走中の凶悪犯が潜み、彼女の身に危険が迫っていて……。