出版社 : ハーパーコリンズ・ジャパン
エリーは、国を追われた元大公の父のもとに駆けつけた。だが父が家族と身を寄せているのはロンドンの最高級ホテルで、エリーは訝しんだ。いま父は無一文のはずなのに、なぜ?妹によると、ギリシアの富豪レオン・デュカリスが賄っており、見返りとして、妹との結婚をほのめかしているらしい。元王女を妻にすることで、自らの成功を誇示しようというの?妹に、そんな愛のない結婚をさせるわけにはいかないー憤慨したエリーはレオンに直訴するが、彼は傲然と言い放った。「妹には興味がないよ。僕が結婚したいのは君なんだ」夜ごとの晩餐会や諸国の王族との会合で、完璧な妻を演じるー。偽りの結婚なのに、レオンの優しさや情熱を知るにつれ、エリーは次第に夫を愛し始めてしまい……。
まさか、妊娠していたなんて。濡れ衣を着せられた父の逮捕によりすべてを失ったアリシアは、途方にくれ、起業家ジェイクのもとを訪ねた。彼こそが父を破滅に追いやった人物ーそして、この子の父親。あの夜アリシアは、ジェイクの胸の内など知るよしもなく、ハンサムで情熱的な彼の誘惑に負け、熱い一夜を過ごしたのだ。ジェイクは妊娠を知ると、子供のための便宜結婚を提案した。アリシアがつけた条件はひとつーベッドは共にしないこと。二人は合意し、結婚した。賢明な選択をしたと信じこんでいた。互いへの欲望を抑えきれなくなる、その瞬間までは。2011年にディザイアから刊行された名作の復刊。
病院の救急科で働くベッキーの夢は、看護師長になること。振り返れば、これまでの人生は苦労の連続だった。若くして結婚し、つらい流産と離婚を経験したあと、二度と同じ轍は踏むまいと、恋を遠ざけ、仕事に打ちこんできた。だが、パーティで偶然逢った情熱的なスペイン人、レアンドロに惹かれ、めくるめく一夜を過ごす。今宵だけ…たった一度だけなら…。そして翌朝、眠る彼を残し、さよならも告げずに姿を消した。仕事に戻っても、レアンドロとのつかのまの幸せの余韻が頭の隅に漂い、同僚が噂しているハンサムな新任医師のことさえ、大して気にならない。ところが、休憩室に入ったベッキーがそこに見たのはーレアンドロ!
「僕は国王になる。ついては、君と結婚したい」レイチェルは耳を疑った。少し前に職場を辞めたマテオが、実は王子だった?それに、私にプロポーズですって?ハンサムな顔立ち、力強い長身、エーゲ海と同じ色の瞳をした彼に、レイチェルは何年も友人として接してきたー片想いは胸に秘めて。マテオから女性として見られていないのは、私がいちばんわかっている。当然、彼女は断ったが、マテオはなぜなのか理由をききたがった。屈辱で顔を真っ赤にし、レイチェルは涙をこらえた。身分の違いや、見劣りする容姿を口にして恥をかきたくはなかった。でも憧れの男性と結婚し、子供が持てると思うと心は揺れて…。
18歳のとき、ウィンは年上のハンサムな会社社長ジェイムズと電撃的な恋に落ち、周囲の反対を押し切って結婚した。幸せもつかの間、夫は生まれた息子チャーリーに愛情を示さず、同僚と浮気。二人は離婚し、ウィンが息子を引きとることに。だが10年が経った今、ジェイムズがこの町に戻ってくるという。まさか息子を連れ戻そうというの?不安な思いで帰宅すると、驚いたことに、息子と元夫が居間でくつろいでいるではないか。息子の気持ちを思うと、元夫をむげに追い出すに忍びなく、ウィンは家に泊めることに。ところがその夜からジェイムズは、まるでウィンの再婚を阻もうとするかのように干渉してきて…。
ある日、コリンはシチリア大富豪のラファエロに突然呼び出された。彼は亡き大親友の夫だが、用件すら告げず、どこか不遜だ。いぶかりながらも、指定された最高級ホテルへ出向くと、先日発見されたという、コリン宛てに親友が遺した手紙を渡される。そこには、幼な子を独りで育てるコリンの暮らし向きを気遣うとともに、なんと、一人親になった両家の子供たちのために、ラファエロと結婚してほしいと書かれていた!親友の思いやりと優しさにあふれた遺志に、涙が頬を伝った。でも、たとえ親友の望みでも、愛のない結婚なんてできない…。するとラファエロが冷然と言う。「これは感情抜きの、便宜上の契約だ」
母亡きあと、ネルはずっと父親とおばに疎まれてきた。寄宿学校から帰省するたびにいじめられ、慰めは、大好きな乗馬だけ。ある日、ガブリエル・ハンターという子爵が父を訪ねてきた。レディらしからぬ振る舞いで乗馬の腕を披露したネルは、案の定、おばにこっぴどく叱られた。子爵の目の前で。ネルは初めておばに楯突き、家を飛び出すと、寄宿学校に逃げ帰った。4年後。成人したネルは、父からの手紙で衝撃の事実を知らされる。なんと彼女は婚約しているというのだーかの子爵、ハンター卿と。まだ17歳だったあの日、ハンサムだが暗い影を落とす子爵の瞳に覚えた胸のざわめきが、ふいにネルの全身によみがえった。
家業を大規模に営むマクレーン兄弟には、そろそろ跡継ぎが必要だった。とはいえ結婚願望などない彼らは、ほうきから抜いた藁のくじを引き、“はずれ”を引き当てた兄のルークが、しぶしぶ花嫁候補を探すことに。多忙なので妻のご機嫌をとるつもりはないし、外見重視の美人もお断りだ。それよりも従順で、夫が外で働くあいだ家を守ってくれる女性がいい。そんなルークが目をとめたのは、6年前に父を亡くして以来、叔父夫婦の家の厄介者として家政婦同然に扱われるエレナーだった。影が薄く、物静かな十人並みの娘に見える彼女は、花嫁にうってつけだ!一方、魅力的なルークに密かに想いを寄せていたエレナーは、彼からの思いがけない求婚の真意も知らぬまま、喜びに胸を高鳴らせ…。
病身の母と2人の異父弟を養うため、介護施設で働くレティ。借金の取り立てに追われ、やむなく裕福な祖父に助けを求めると、金を出す気はないが、代わりにある男に連絡するよう勧められた。レオ・ロマノス?ギリシアの大富豪がなぜ私に会いたがるの?じつは彼は妹の幼い遺児4人を抱え、途方に暮れていたのだ。「ナニー代わりの妻が必要だ。体は求めない。愛人で満たす」婚前契約書を手に事務的に求婚するレオに、レティは驚愕した。お金のため、受け入れるしかない。でも愛されない妻でいいの?すでに彼の官能的な魅力の虜になりかけているというのに…。
マルク・ウベルトー傲慢なシチリア貴族がなぜここに?ロンドンの百貨店で働くモネは突然職場に現れた彼を見て驚いた。モネは母とともにウベルト家の屋敷に身を寄せていたが、マルクにひどく心を傷つけられ、イギリスへと渡ったのだった。あれから8年、やっとつらい記憶も薄れかけたのに、彼の亡妻が遺した子どもたちの休暇中の世話を私に頼むなんて!マルクの身勝手な振る舞いにモネは唖然としたが、権力と金に物を言わせる彼の手で城のような館に連れてこられた。熱い想いが再び燃え上がり、報われぬ愛に身を焦がすとも知らず。
アイラは旅先のシチリアで、ミステリアスな輝きを放つ瞳の、漆黒の髪のホテル王、ラファエル・アンジェリーリと出会った。彼に熱烈に惹かれ、夢のような2カ月が過ぎたときー妊娠に気づく。そしてラファエルの出張中、彼のヴィラを出た。彼に責任感から求婚されることを恐れ、一人で子供を産み育てると決めたから。アイラは故郷に戻り、ホテルの清掃係の職を得た。3カ月が経ったその日、スイートルームの清掃をしていると、ラファエルが現れた!「僕のベッドの脇で待つとは、どういう風の吹き回しかな?」
セリーナが店で歌を歌い始めたのは、16歳で高校生のころ。借り物のドレスを着たおどおどした少女だった。やがて、美貌の実業家アシュレイと出会って熱い恋におち、プロポーズを受けて結婚した。だがその後、理由もわからぬまま突然、夫に告げられた別れ…。あれから3年。引く手あまたの売れっ子となったセリーナは、ある朝、新聞を見て青ざめる。飛行機事故で乗客は全員死亡ーその中に元夫アシュレイの名前があったのだ。ところがその夜、ステージに立った彼女は、観客の中に誰あろうアシュレイの顔を見つけ、気を失った!
ベスは決心した。亡き妹の娘を引き取って1年近く、不運続きの人生にようやくかすかな光が見えてきた。白血病とわかった姪の命が、ひょっとしたら助かるかもしれない。独りで子育てをしていた妹の日記に、姪の父親とおぼしき、アダムという名の医師の連絡先をついに見つけたのだ。姪を邪魔者扱いしたフィアンセとも別れ、ベスは看護師として田舎町の診療所に転職し、その2階に姪と住める部屋も見つけた。あとはアダムが娘を認知して、骨髄ドナーになってくれれば…。妹との約束とはいえ、彼に娘がいると知らせなかった私の頼みを、はたして聞いてもらえるのだろうか。電話を取るベスの手が、震えたー。
シルヴィは幼い甥の面倒を見るため、ギリシアに降り立った。家庭を顧みずに夢を追う身勝手な姉に頼まれてのことだったが、アテネの空港で待ち受けていたのは、甥の伯父のアンドレアスだった。端整な身なりをした長身でハンサムな大富豪だが、はるか年上のアンドレアスの冷静さには畏怖の念さえ感じる。到着したのが姉でなかったことで、彼はシルヴィを痛烈に責めた。彼女はそこで初めて、姉の夫が重い病に臥していると聞かされる。「君の姉が責任を果たさないなら、君が代わってそれを果たすべきだ」衝撃冷めやらぬなか、半ば強引に屋敷へ連れていかれたシルヴィは、アンドレアスの敵意を一身に受けるはめになり…。
私は子供たちを守ろうとしただけなのに、“猛女”ですって?子守りのデボラは、突然現れた雇主の兄ギデオンに立腹した。ハンサムで優雅な身なりの彼は教授らしいが、態度が尊大なのだ。魅力的な笑顔にほだされちゃだめ。こんな失礼な人、もう会いたくない。ところがある日、デボラが雇主一家の休暇先に同行すると、なんとそこには、またしてもギデオンの姿が…。驚き、とまどうデボラだったが、一緒に過ごすうち、赤ん坊や子供に優しい彼の意外な一面を知り、急速に惹かれていった。デボラの淡い恋心はしかし、ギデオンの不意の言葉に振り回される!
デイジーは、初恋の男性で今や有名実業家のジャスティスと再会した。事故で記憶の一部を失い、彼はデイジーを覚えてはいなかったが、これまでの空白を埋めるかのように、二人は情熱を分かち合った。その直後、ジャスティスは突如記憶を取り戻し、デイジーを責め立てた。「君のせいで、僕の人生はめちゃくちゃになった!」あの夏、若き二人は惹かれ合って一線を越えた。それはデイジーの知らぬ間に、彼女の厳格な両親の知るところとなり、ジャスティスは進学の夢もあきらめ、町を追われたのだという。真実を知ったデイジーは罪悪感に苛まれ、逃げるように部屋を出た。だが1年半後、彼女はジャスティスを訪ねるー娘の誕生を告げるために。
テキサスの実業家コート・グリヤは美女たちと浮き名を流してきたが、金目当ての女性に辟易し、身分を隠して親戚の家で休暇を過ごすことに。そこで隣家のミーナと出会う。化粧もしない地味な彼女をからかうとたちまち犬猿の仲となり、コートはつい不機嫌な態度をとって…。引っ込み思案なミーナは学校ではいじめられ、家では悪母に虐げられた。化粧しない習慣は、母の男たちの気を惹かぬようにしていた当時の名残だ。なのに、隣家に滞在しているコートときたら、無礼で傲慢で頭にくる。ハンサムで魅力的だけれど、「君は男を望めない」なんて言う人は嫌い!だがある晩、親友に化粧を施され髪を下ろしたミーナを見たコートはー。
ギリシア富豪ドラコンの突然の来訪に、ルーシーは驚いた。彼の別荘で夢のような3日間を楽しみ、純潔を捧げたものの、その後いっさいの連絡が途絶え、遊びだったと諦めていたのだ。「ぼくと結婚して、兄の遺児の母親になってくれないか」ルーシーは耳を疑った。なぜわたしなの?彼が求めているのは妻ではなく、無償の愛を注ぐナニーだった。その点、元助産師のルーシーはうってつけだという。愛のない結婚なんていや。でも家族を持つという夢は叶う…。病気で子を望めぬ体であることを隠し、彼女は求婚を受け入れた。