出版社 : ハーパーコリンズ・ジャパン
貧しい給仕係サーシャはパーティで大富豪アポロに見初められ、めくるめく熱い夜を過ごすが、翌朝、事態は一変する。ギリシアの神のごとく尊大な彼の不興を買い、部屋から叩きだされたのだー純潔を捧げたというのに。数カ月後、彼女は事故に遭い、病院のベッドで目を覚ました。傍らで見守る男性は夫だという。あれは…アポロ?それ以外のすべての記憶を失ったままサーシャは退院し、アポロの屋敷へ赴くが、なぜか彼も使用人たちもよそよそしい。私はほんとうに彼の妻なの?サーシャは不安に身を震わせた。
海辺の村に育った素朴な娘コーデリアは、嵐で転覆したボートから落ちて溺れた男性を助け、彼が意識を取り戻すまでの数日間、懸命に看病をした。目覚めた彼はルカと名乗り、イタリアから休暇で来たと言う。褐色の肌と逞しい体、セクシーな瞳。コーデリアは恋に落ち、彼にすべてを捧げた。やがて去っていく人と知りながら…。ところが、ルカがイタリアへ帰ったあと、妊娠が判明する。意を決して彼を訪ねるが、待っていたのは残酷な仕打ちだった。実はルカは億万長者で、ずっと前から婚約者もいるというのだ!
田舎町で生まれ育ったコリーは、地元の青年に失恋し、傷心のあまり転職して故郷をあとにした。ロンドンの一流企業に社長秘書として採用されたはいいが、初日から社長のマックス・ハンターに釘を刺されてしまう。「僕に対して、仕事の邪魔になる感情は抱かないでくれ」と。たしかに彼は恐ろしいほどハンサムだけれど、傲慢すぎるわ。仕事はやりがいに満ち、マックスはボスとしても有能だった。そんなマックスと1週間、二人きりの海外出張が決まる。初日の夜、緊張していたコリーに、なんと彼はキスをしてー。
私を妊娠して捨てられてもなお、父を想い続けて一生を無駄にした母。そんな母を見てきたので、シャーロットは恋愛に臆病になっていた。ある日、父の突然の事故死で、莫大な遺産を継ぐことになり、シャーロットのもとに警備会社経営の大富豪ジェイスが派遣されてきた。たくましくて男らしい、黒い瞳と髪を持つ端整な彼に、思わず胸が高鳴る。だが、働きながら大学院に通い、苦学の末に社会に出た芯の強い彼女には、護衛は必要なかった。疎遠な父の遺産なんて放棄するつもりだから。一方ジェイスにとっても、守るべき相手との特別な関係は禁忌だった。惹かれ合うはずのないシャーロットとジェイスだが、相続の話し合いのためNYへ向かう機上、唇と唇が触れ合い…。
ある日、事故で頭を打って救急搬送されてきたイタリア人を見るなり、看護師のジーナは凍りついた。なぜ、マルコがロンドンに?3年前、出張先のフィレンツェで医師の彼に出会って強く惹かれ、めくるめく6週間を過ごしたのに、あっさり別れを告げられたのだ。その後、ジーナは娘をーマルコの子を産んだが、彼はそれを知らない。妊娠を伝えようとしたが、電話でも手紙でも連絡がつかなかった。そこまで嫌われているのなら…。そう思い、あきらめたのだった。今、病室で意識を取り戻すも、記憶喪失に陥ったマルコの言葉に、ジーナはうろたえる。「なぜか、君とは親しい仲だった気がするが?」娘のことは言わないわ!冷たい彼にもう傷つけられたくないから。
テムズ川沿いの高級アパートメントで一人暮らしをするハナが、結婚より自立を望んだのは、子供時代、裕福ではなかったから。だがある日、上司のセクハラで退職を余儀なくされてしまった。幸い、大企業で職を得ることができ、ほっとするが、現れた黒髪の社長サイラスを見て、目をみはる。故郷の村の役所で会った、場違いなほどゴージャスな男性だわ!あのとき、生まれて初めて胸の高鳴りを感じた人が、まさか上司になるなんて!仕事に支障が出たらどうしよう?けれど、恋心を抑えようとするほどに思いはつのり…。
「社長から、電話を取り次ぐなと言われておりますので」ギリシア大富豪クリストの秘書の返答に、エリンは愕然とした。クリストと同棲していたのに、理由も告げられずに突然捨てられ、エリンは気まずくなって、彼が所有するホテルでの仕事も辞めた。すべて忘れよう…。そう思った矢先、妊娠しているとわかったのだ。収入もないので、せめて援助を、と必死で彼の実家にも連絡したが、息子はもうすぐ結婚するから関わるなと釘を刺されたのだった…。3年後。困っていたエリンに働き口をくれた現在のボスに呼ばれ、オフィスの中へ入ると、そこにいたのはーエリンの仕事場であるホテルを買収しにやってきた、クリストだった!
両親亡き後、エレナーは老婦人の付添人としてつましく働いていたが、ある日突然、婦人の親戚ラヴェナム伯爵からプロポーズされる。ハンサムでやさしい彼を密かに慕ってはいたけれど、話が合う君となら、ベッドで飽きてからも穏やかに暮らせるだろうから、などという理由で結婚なんて。ショックで逃げ出したエレナーは、ひょんなことから、さる公爵未亡人の町屋敷で世話になることに。事の顛末を聞いた公爵未亡人は面白がり、伯爵の追跡をかわすため、エレナーを豪華なドレスと宝石で飾り、架空の国の王女に仕立て上げた。変装の成果を試したい夫人に、あらゆる夜会や舞踏会に連れ出されるが、そこには必ず、怒りにたぎるまなざしのラヴェナム伯爵がいるのだった。
誕生日の夜、ロス侯爵グレイは社交界の集まりから屋敷へ戻り、書斎に足を踏み入れたとき、ただならぬ気配を感じて身構えた。そこには、薄汚い服を着たひどい身なりの少年が一人。少年は銃を構えて叫んだ。「妹の純潔を奪って孕ませた責任をとれ!」世間から罪作りな男と呼ばれてはいるが、まるで身に覚えがない。グレイは隙をついて銃をたたき落とし、少年を床に組み敷いた。よく見れば、艶やかな肌に、丸みを帯びた頬、豊かなまつげ…。少年のだぶだぶの上着の下に手を入れ、体に触れるーこれは、女だ!だが次の瞬間、銃を取り返そうとする“少年”ともみ合った勢いで弾丸が飛び出し、体を貫かれたグレイは、崩れるように気を失った…。
スカーレットが秘書として仕えていた億万長者が亡くなった。その遺言書が開示される日、彼女は絶体絶命の状態だった。今日は遺族の一人として、スペイン富豪ハヴィエロも現れる。かつて私は自分の想いを抑えきれず、彼に純潔を捧げた。でもハヴィエロは私を、亡き父親の愛人だと疑っていた。だから別の女性と婚約したのだ。私になんの感情もなかったから。そんな人に言えるの?おなかの子はあなたの子だと。いいえ、言うのよ。スカーレットは化粧室の個室で涙をこらえた。たった今、破水したからだ。もうすぐ赤ちゃんが生まれるー。
両親の死後、ヘスターは親戚の家で不幸な生活を強いられていたが、晴れて独立し、トリスカリ国王女のアシスタントに抜擢された。ある日、王女の兄であるアレクから結婚を申し込まれる。「礼金は弾むから、1年限定で僕の妻になってくれないか?」亡父の跡を継いで国王になるには、妻を娶る必要があるという。なぜ私なの?親戚の家で爪弾きにされて育った私が王妃?訝りながらも、慈善活動の資金を必要としていたヘスターは、“ベッドはともにしないこと”を条件に、しぶしぶ承諾する。だが、黒い瞳のセクシーな夫の魅力には抗いようもなくて…。
アンジェリーナは、二十歳になったばかりで結婚を決められた。相手は、イタリア貴族の末裔ベネデット・フランセッシー莫大な富を持つ、孤島にそびえる“黒い城”の城主だ。アンジェリーナは破産寸前の没落貴族の末娘で、父親が金銭的援助を受ける代償として、ベネデットに売り渡されたのだった。彼と初めて会った夜、その恐ろしいほどの美貌に心奪われ、アンジェリーナは熱いキスと、それ以上の行為を許してしまう。彼には6人もの前妻にまつわる、恐ろしい疑惑があるというのに。
ターンは里親夫婦の娘イーヴィと本当の姉妹のように育った。あるときイーヴィが、ひどい失恋をして寝込んでしまう。キャズという金持ちの男に弄ばれ、婚約破棄されたというのだ。ターンはいても立ってもおれず、その男に会おうと決めた。妹の絶望を知れば、彼は思い直してくれるかもしれないわ。ターンは素性を伏せて、キャズが経営する会社に職を得たが、意外なことに彼は有能で人望も厚く、すばらしい男性だった。しだいに募るキャズへの想い。こんなはずではなかったのに…。何も知らない彼はターンを熱く見つめ、囁いた。僕は本気だ、と。
イゾベルは、親友が3年ぶりにかけてきた電話に茫然とした。なんてこと!暴力的なパートナーから守るため、生後3カ月の赤ん坊を億万長者ジェイクの経営する高級ホテルに預けたですって?6年前、イゾベルはジェイクの不実に傷つき、別れを選んだのだった。あなたとジェイクとで赤ちゃんの面倒をしばらく見てほしいと頼まれ、やむなくイゾベルはロンドンのメイフェアにあるホテルに駆けつけた。赤ん坊のいる最上階のスイートルームに案内してくれたジェイクは、さらにたくましさを増し、輝くような魅力を放っている。胸の高鳴りを懸命に抑えるイゾベルに、突然ジェイクが提案した。「赤ん坊のためにしばらく一緒に暮らさないか?」
二十歳のマリークレールは、傷心旅行でスイスまでやってきた。ホテルに着いたとき、ちょうど出てきた男性とぶつかってしまう。精悍な顔だち、冷たさすら感じるようなグレーの瞳をした彼は、このホテルのオーナー、リー・ハーパーだった。男性とはもう関わらないと心に決めていたのに、苦しいほど胸が高鳴る。それもそのはず、マリークレールがまだ学生だった5年前、リーに車で轢かれかけたときに優しくされ、密かに恋をしたのだった。まさかこんなところで…もう二度と会うこともないと思っていたのに。ところが、リーは彼女を覚えていただけでなく、熱い誘惑を仕掛けてきた。「マリークレール、きみは逆らえはしないんだ。逆らわせはしない」
看護師のエミリーは姉に頼まれ、双子の赤ん坊の世話をしながら、経済的にも体力的にもぎりぎりで暮らしていた。仕事ぶりは一流だが、小太りで地味な看護師ーある日、医師たちのそんな話を耳にし、エミリーはうつむいた。“小太りで地味”と言ったのは、みんなの憧れ、ユレス・ロメイン教授。オランダから来たハンサムで優秀な外科医だけれど、ひどいわ…。だが病院のパーティで、パートナーに袖にされて落ち込む彼女を助け、家まで送ってくれたのは、ほかならぬユレス・ロメイン教授だった。しかも、教授から思わぬ申し出を受ける。彼の患者のつき添いとして、エミリーに一緒にオランダまで来てほしいというのだ!
ホテルの客室を清掃するメイドとして働くジェシカは、ある日、担当するスイートルームの宿泊客が誰かを知り、凍りついた。父の会社を奪った億万長者、アレックス・バホーラン!屈辱をこらえ清掃を始めると、急に戻ってきた彼と鉢合わせしてしまった。いたたまれず慌てて作業を終え、ジェシカが部屋を出ようとした瞬間、思いがけず声をかけられた。「今夜、ぼくと食事をしないか?」まさか私の正体に気づいたの?彼の無慈悲な仕打ちを忘れてはだめ。だけど、彼の端整な顔とアイスブルーの瞳は、なんて美しいの…。1年後、アレックスはオフィスの会議室で捨て子の赤ん坊を見つけ、驚く。添えられた置き手紙の差出人は、“ジェシカ”-
大学生のシェリーは春休みに訪れたフロリダで、シルバーグレーの髪をした年上の銀行家フォークナーと出会い、ひと目で惹かれた。しかし、学生を相手にする気はないし、つきまとわれるのも迷惑だと言われる。なんて傲慢な人!縁がなかったと思うシェリーだったが、たまたま溺れていた少年を助けると、なんと彼の息子で…(『汚れなき花嫁』)。リンドハースト一族の当主アンソニーは目を疑った。そんなはずがない…寝室に、4年前に失踪した新妻のジョージーがいるとは!当時、妻が不貞に及んだと思った彼は、離縁するかどうかは自分が決めると言い渡した。だが彼が不在の間に、妻は忽然と消えたのだった。今、怒れるアンソニーは要求したー跡継ぎを産むようにと(『舞い戻りし花嫁』)。リアは実業家のジェラードの妻となり、夢のような新婚生活を送り始めた。けれどほどなく、夫の愛の言葉は嘘で、都合のいい妻に仕立て上げるために選ばれたと知り、深く傷ついて家を飛び出した。半年後、自活するリアの前に、ジェラードの双子の弟と名乗るギャレスが現れる。夫とは正反対の性格の彼に惹かれてしまうが…(『花嫁の反抗』)。
清掃のアルバイトをしながら自活する苦学生イジー。ある朝、受け持ちの高級アパートメントに合鍵で入ると、バスルームからエキゾチックな男性が半裸で出てきた。気づいたときには、ラフィクと名乗る彼とベッドの中ーだが夢のようなひとときのあと、冷たく追い出されてしまう。1カ月後、あろうことかイジーは妊娠していた。調べると、ラフィクはなんと中東の国の皇太子だという。必死の思いで訪ねていったイジーが子を宿していると知るや、彼は一方的にイジーを妻にすると宣言した!
アレッサンドラは仕事先で偶然出会った世にも美しい男性、イタリア富豪ヴィンチェンツォと恋に落ち、すぐに求婚された。めくるめく情熱の夜に続く、二人きりの結婚式。すべては完璧に思えたが、思いがけず彼の真の姿を知ってしまう。私は愛されてなどいない。財産を狙われ、弄ばれただけ…。耐えきれずに逃げだしたアレッサンドラは数週間後、急死した母が残した幼い異父弟を目の前に呆然としていた。この子を引き取り、家族になりたい。でもそれには夫が必要だ。悩んだ末、彼女はヴィンチェンツォの元へ戻り、懇願するが…。夫婦となった二人の葛藤。既刊の『紳士が野獣に変わる時』、『大富豪と砂糖菓子の花嫁』でもおなじみ、ブルネッティ家の面々も登場!