出版社 : ハーパーコリンズ・ジャパン
18歳のシャーロットは、セクシーなリカルドと恋に落ちた。すべてを捧げ、二人の甘い将来を夢見てすらいた。リカルドの実家を訪ね、彼がイタリア屈指の名家の御曹子であり、一夏の情事を楽しんでいただけと知るまでは。しかも彼の母親には品位に欠ける女と蔑まれ、追いだされたのだ。破局ののちに妊娠が発覚して、子供をひそかに出産し、8年。いまは不動産会社に働く彼女は大富豪の客のもとへ向かっていた。「これは驚いた」そこにいたのは紛れもない、リカルドだった。平然とした彼の声に、シャーロットの胸はねじれるように痛んだ。
長年敵対してきた2つの国、イクシアとシティア。両国はいま、支配欲に駆られた悪しき集団“結社”の手に落ちようとしており、最高司令官さえも操り人形と化していた。いまだ魔力の戻らぬ中、イレーナは未来を、大切な人たちを守るため最後の闘いへと向かうーヴァレクら残されたわずかな仲間と共に。死刑宣告を受けながらも毒見師として生きながらえたイレーナの壮絶サバイバル、堂々完結!
海面が上昇し、陸の大部分が海に沈んだ2130年。マイラは小舟で島を転々としながら、生き別れの娘ロウを捜している。7年前、身重のマイラを置いて、夫は娘だけを連れて逃げた。あるとき、その娘が北の辺境で生きていることが判る。そこは武装集団の支配下にあり、年頃になった少女達は一斉に“繁殖船”に乗せられるのだという。マイラは一路北の果てへ向かったーすべてを賭け、娘を救うために。
イギリスの片田舎でひっそりと暮らすジャスミンのもとに、かつて恋仲にあった砂漠の王子ズハールが突然現れた。2年前、身分違いを理由に私を追い払った人が今さらなぜ?訝りながらも、秘密を抱えている彼女は内心びくびくしていた。そのときだ。奥で赤ん坊ーズハールの息子が泣きだしたのは。ジャスミンを愛人のように弄ぶつもりだった彼は驚き、妊娠も、出産していたことも知らせなかったと激高する。「この子は王家の血を引き王子として、我が国で育てる」息子を奪わないで!ジャスミンは狼狽し、許しを乞うが…。
フローラは姉夫婦を亡くした痛手から立ち直る暇もなく、その遺児を育てていたが、親代わりは想像以上に大変だった。しかも、引き継いだ姉夫婦の宿泊施設には借金もあった。嵐の夜、フローラは唯一の宿泊客だったイーヴォに、赤ん坊をあやしながら泣いている姿を見られてしまう。そして彼のやさしさに、初めて胸のときめきを経験した。ところが翌朝、イーヴォの正体を知って愕然とする。彼は亡き義兄の裕福な弟で、城と広大な領地を持つ大富豪だった!母になれない私を母にしてくれたこの子と離れたくない。ばかな私。彼の目的は甥だったのに、心を奪われるなんて…。
14歳のとき、ルリはその完璧な美貌を妬む実母に、遠い異国へ借金のかたに売られた。以来、自由も友達もなく、気難しい老女性実業家の秘書として懸命に仕え、孤独に耐えてきた。だが8年後、雇い主が亡くなると、ルリは途方にくれた。私にはもう帰る家などない…。そこへニューヨークから雇い主の孫ガブリエルがやってきた。黒髪の長身でハンサムな彼は、冷酷と悪名高い大富豪実業家だ。その彼が告げた祖母の遺志は、あまりに衝撃的だったー私があなたと結婚する、ですって?
夫を亡くし、2歳の息子を女手一つで育てるジョージアは、クリスマスを前に車で実家に帰る途中、吹雪で立ち往生していた。渋滞を避けて入った脇道で、目の前に古い屋敷がかすんで見える。あれは、十代のころ恋人のセバスチャンとよく忍び込んだ空き家。生涯を誓い合ったのに、彼は二十歳を過ぎると人が変わったように我が事ばかりに夢中になり、彼女は寂しさから別れを告げたのだった。9年後の今、富豪となった彼は屋敷を買い取り、住み始めたと聞いている。ずっと疎遠にしていたけれど、このままでは息子が凍死してしまう!ジョージアはすがる思いで車の外に飛び出し、助けを求めたー思い出の屋敷から向けられるであろう、冷たい視線に怯えながら。
「そんなに莫大な遺産を、この私に?冗談でしょう?」学費を貯めるためウエイトレスとして働く苦学生のグレーシーは、亡くなった老友ハリーの遺言を聞いて、心臓が止まるほど驚いた。かつて向かいの建物に住んでいた彼が、世を忍ぶ大富豪だったなんて!全財産を世のため人のために使ってほしいとグレーシーに託したらしい。そうとなれば、彼の崇高な遺志に従うしかないわ。生前、身内の話をいっさいしなかったハリーだが、じつのところ、ハリソン・セージ世という名の有能な息子がいた。青い瞳と黒髪を持つ美貌の彼に会うなり、グレーシーは目を奪われるが、ハリソンの放った言葉が刃のように彼女に襲いかかった。「金目当ての女の手練手管か。このままで済ませるつもりはないからな」。
マリーサはリニューアル・オープンした高級ホテルで働いている。母は病気で動くこともままならず、弟も事故で障害を負い、マリーサが一家の大黒柱とならざるを得ない境遇だ。そんな彼女の職場に、青く鋭い目の長身の男性客が現れた。彼は無理難題とも言えるような要求を次々にしてきたが、マリーサは一生懸命そのすべてに応えてみせた。すると、マリーサは彼に呼ばれ、驚愕の事実を明かされる。この人が偽名でホテルの偵察に来たオーナー一族の御曹司、キャメロン?彼に見こまれたマリーサは、さらなる驚きに襲われる。“遺産相続のため、1年だけ妻になってくれないか”と言われたから。
ララは共同経営者に店の金を持ち逃げされ、借金苦に陥っていた。万策尽き、最後の頼みの綱として継父に助けを求めた矢先、不幸にも両親が事故死したと、継父の息子ウルフから知らされる。深い悲しみの中でも返済期限は迫り、ララは思い余ってウルフに相談した。すると、跡継ぎをもうけるために彼と便宜結婚するなら、借金を肩代わりしてもいいと言われ、言葉を失う。十代の頃、ララはウルフに夢中だった。たとえ冷たくされても。愛にもとづかない結婚はむなしいけれど、ほかにあてもなかった。けれども、夜ごと枕を重ねるにつれ、ララの中で、夫に心から愛されたいという思いが募ってゆきー
同僚たちが舞踏会に興じる中、事務員リリーは独り、残業に追われていた。慣れない仕事で人一倍時間がかかるのだ。そこへイタリアのプリンスの称号を持つCEO、アレッサンドロが現れ、舞踏会に同伴しろと言う。そして誘われるまま、彼の別荘で夢のような一夜を過ごしたのち、彼女を待っていたのはー突然の解雇通告だった(『シンデレラが見た夢』)。クロエは父の会社を救うため、ギリシア系大富豪アリストンと政略結婚をした。名ばかりの妻でも、彼女は夫を愛した。だが夫が離婚届を準備していると知ったとき、クロエは別れ話をされる前に自ら終止符を打った。2年後、元夫に再び会社の救済を乞うと、彼は言った。「子供を産んでほしい。但し、妊娠するまでは単なる愛人だ」(『結婚という名の契約』)。
アンは国内有数の若き実業家マットの個人秘書に採用された。前職で性的ないやがらせを受けた心の傷がまだ癒えない彼女は、プレイボーイと悪名高いマットの前では地味な服装に徹している。初日から「僕に恋をするのはルール違反だ」などと言う傲慢な彼は、きっと女性はみな自分に夢中になるとでも思っているのだろう。がむしゃらに働くアンは、すぐにマットからの信頼を勝ち得、二人は息の合った仕事ぶりで次々とプロジェクトを成功させていった。ある夜、アンはマットから高価な真珠のチョーカーを贈られた。彼は「感謝の印だ」と言うが、その目には激しい欲望の炎が見える。男性的な情熱におののいたアンは、思わず逃げ出してしまい…。
結婚して4年。ミランダは夫のダンテと幼い息子を心から愛していた。それが、こんなことになるなんて…。あの晩の記憶はない。なぜかミランダは裸で気を失っていて、帰ってきた夫にいきなり不貞をなじられたのだ。なんという濡れ衣。ダンテは幼い息子とミランダを強引にコモ湖畔に連れていき、そこでミランダは初めて夫の素性と華麗な出自を知る。ダンテはただの実業家ではなく、伯爵の称号も持つ資産家だった。彼はなぜ身分を偽っていたの?なぜわたしの浮気など疑うの?ミランダは、身分でなく彼自身を愛してほしいという夫の思いを知るが、彼女に向けられた嫌疑は晴れないままで…。
アマンダの人生は、大実業家ジョシュ・ローソンに掌握されていた。亡き父が遺した会社も、現状は彼が支配している。アマンダが引き継ぐには、25歳になるか、結婚することが条件だから。今も、父親を失って傷ついた心を癒やすためにとローソン家の別荘へ強引に連れてこられ、胸に切なさがよみがえった。ここは15歳の頃、ジョシュと恋人の睦み合いを見てしまった場所…。そのときから、年上の彼への憧れを胸の中でひっそりと育ててきた。二人きりになるたび、アマンダはずっと夢みてきた瞬間を期待したが、距離が縮まるとなぜか、ジョシュは頑なに一線を引いた。「純潔は、夫となる男に捧げるべきだ」と言って。
ふわふわの新雪、輝くショーウインドウー美しい冬のNYで、恋人もいないエヴァは仕事づけの毎日。イベント企画に携わる彼女への今日の依頼は、著名作家である大富豪の自宅にサプライズを仕掛けるというものだ。豪奢なペントハウスにエヴァが圧倒されていると、突然後ろから羽交い締めにされる。不在のはずの家主ルーカスに、泥棒と間違われたのだ。ハンサムな顔を不機嫌そうにゆがめる彼にエヴァはひるむが、一方のルーカスは、彼女を見て創作意欲がわき、しばらくそばに置こうと思い立つ。1カ月限りの同居生活の行方は…?
森のコテージで大切に育てられ、いまや美しく成長した孤児のアリー。ある日後見人スターリング卿に呼ばれ馬車で城に向かったアリーは、覆面をした黒ずくめの男に襲われる。最近世間を賑わせている、富豪から金品を盗んでは貧しい民衆に与えるという追いはぎだ。だが男は、恐怖に震えながらも果敢に立ち向かうアリーを面白がり、しかもなぜかアリーの名前を聞くとすんなりと彼女を解放した。謎めいた男のことが頭から離れないアリーだが、動揺に追い打ちをかけるように城に着いてまもなく、自分に婚約者がいることを聞かされ…。
クレオは大手金融機関の頭取ジュードの個人秘書として働き、冷徹で気難しいと評判のボスから厚い信頼をよせられていた。だが、そんなクレオに卑劣な罠が突然襲いかかる。元ボーイフレンドが執拗につきまとい、彼女の弱みにつけこんで、大金を差し出すよう恐喝してきたのだ。心臓に持病のある叔父には、絶対に心労をかけられない。かといって亡父の遺産にはある条件がつけられているため、容易に手は出せない。せめて、あの条件さえ満たせれば…。悩んだ末、クレオはボスに訴えた。「私と結婚してほしいんです」
看護師のジョアンヌとその弟は交通事故で両親を失って以来、心やさしい叔父から経済的援助を受けている。だが叔父の死により、それも打ち切られることとなった。弟にはなんとかするとうけあったものの、自分だけの稼ぎでは、彼の学費をとても捻出できそうもない。途方に暮れるジョアンヌは手術中もミスを重ねてしまう。見かねた形成外科医のダニエルは彼女に理由を問いただし、事情を知るや結婚を条件に融資を申し出ると冷たく告げたー君との取り引きは全くのビジネスだ。1年も続かないだろう、と。
妹たちと身を寄せ合って暮らす貧しいウィニーのもとに、ある日突然、ギリシア人大富豪イロスが現れた。「きみはなぜ、僕の子を産んだことを隠していたんだ?」2年前、専属シェフとしてイロスの屋敷に雇われたウィニーは、たちまち彼に魅了され、身も心もすべて差しだしてしまった。なのに、なんて酷い裏切り…彼に妻がいると耳にしたのだ。傷心のウィニーは黙って屋敷から姿を消したー身重の体で。幼子をかばって震える彼女に、イロスの厳しい言葉が飛んだ。「息子と暮らしたければ僕と結婚するんだ。口答えは許さない」