出版社 : ハーパーコリンズ・ジャパン
生まれつき数字にまつわる事柄を予知できてしまうせいで、母親にも疎まれ不幸な幼少期を送ったローナ。今はカジノを転々として稼ぎ生計を立てているが、ある日、高級カジノ・ホテルを経営する富豪ダンテに詐欺の疑いで捕らわれてしまう。彼はローナの能力を即座に見抜き、あろうことか彼女の心を読もうとし始めた。この男はいったい何者ー?得体の知れぬ力を前になす術もないローナだが…。
ベッドで目覚めたとき、フィリッパはすべての記憶を失っていた。ふと顔を上げると、見知らぬ女性が心配そうにこちらを見ている。女性は叔母だと名乗り、フィリッパが結婚式の直後に車で失踪し、事故を起こして怪我をしたのだと説明してくれた。混乱するフィリッパの心をさらにかき乱したのは、叔母の横に立つ謎めいたセクシーな男性。この人が私の夫?名前すら思い出せないのに、なぜ体が熱く反応するのだろう?ほどなく、記憶の戻らぬ妻と夫との奇妙な新婚生活が始まった。お互いに欲望の炎を心の内に秘めたままで。
田舎町で幼い娘を育てながら、小さな宿を切り盛りするアナ。酒に溺れる母親を抱え、その苦労は計り知れない。そんなアナの慰めは、3年前に一夜を共にした男性の思い出だ。翌朝彼は姿を消したが、アナはニュースを見て卒倒しかけた。ディミトリ・キリアコウ。彼はギリシアの富裕な銀行家だった。そして今、彼が現れたのだ。幾度となく夢に見た姿そのままに、ゴージャスな魅力を振りまいて。だが、ディミトリの口から出た言葉は残酷そのものだった。「一刻も早く僕と結婚しろ。さもないと娘の親権を取りあげる」
幼くして両親を失い、厳格な祖父のもとで育ったエマは、不動産王クリストに一目惚れし、結婚することになった。祖父亡きあと、彼だけが頼りだった。だが披露宴の途中で、エマは花婿と親友の会話をもれ聞いてしまった。クリストが興味があるのは従姉のほうで、私にはー地味で平凡な私には、愛情を抱いてはいないと。ショックのあまり逃げ出した彼女を、クリストは追ってきた。そして離婚を主張するエマに、氷の瞳で結婚の継続を迫った。今や君は無一文なのだから、と言って。初夜に花嫁に拒絶され、形だけの白い結婚に甘んじざるをえないプレイボーイのヒーローだったが、一度自分とベッドをともにしさえすれば、妻は離婚の意思を翻すはずだと算段して…。彼がそうまでしてヒロインを手に入れたいのはなぜなのか?
星が大好きで、大人になった今も星に夢中のフラン。アメリカのホテルでニックと名乗る美貌の警備員と出会い、あっという間に恋に落ちて、親密なデートを重ねる仲になった。だが、祖父危篤の一報でフランはイギリスへ戻ることになり、二人の絆は儚く消える。数カ月後、彼女はあるパーティで、イタリアのホテル王ニコロ・ファルコーネを紹介されて驚いた。ニック!なぜ身分を偽っていたの?傷ついたフランは思わず詰め寄り、感情的に言い返すニコロと揉み合いながら、よみがえる情熱に身を投じてしまうー妊娠するとも思わずに。ドラマティックな展開と、純粋で愛らしいヒロイン。身ごもったことをヒーローに告げたものの、彼からの愛のない求婚は虚しいだけで…。
モリアナはあまりのことに言葉を失った。8歳のときに決められた隣国の王との婚約が、彼に幼い娘がいたとわかり、突然破棄されてしまったのだ。傷心に沈む彼女のもとに、その直後、求婚の手紙が届いた。送り主は、もう一つの隣国の王テオ。昔、犬猿の仲だった彼も王となり、花嫁が必要なのだろう。家族を失い、この10年放蕩三昧だったと噂のテオが、白いタキシード姿で現れた瞬間、モリアナは目を奪われた。テオは獲物を狙う鷹さながら、彼女を熱い瞳で射抜き…。
道に迷い、たどり着いたスコットランドの小さな村のパブ。店で働く女性を見て大富豪トーマスは目を疑った。「ロージー?」半年前、車ごと川に落ち、行方不明になった妻ロザリンドだ。思わず抱き締めたとたん、トーマスは突き飛ばされた。過去の記憶をなくし、ロンドンの屋敷に住んでいることも、5歳の娘がいることも、まったく覚えていなかったのだ。トーマスが家族や経営する会社について詳しく話すと、彼女は不安そうな様子ながらも、一度家に戻ってみると言った。実は彼女が失踪したとき、すでに結婚生活は暗礁に乗り上げ、離婚寸前だったとは知るよしもなくー
アニッサはスイスの高級スキーリゾートで働くメイド。ある日、スキーで転倒し、通りかかったレオに助けられる。彼の優しさに感激し、一夜限りと知りつつ身を任せた彼女だが、数日後、彼に偶然再会してしまうー今度はメイドと客として。レオがとんでもない億万長者だと知ってアニッサは臆するが、NYでクリスマスを過ごそうと誘われ、戸惑いながらも受け入れた。昼はともに観光、夜は彼のペントハウスで夢の時を過ごしてーでも、これはシンデレラの夢。もうすぐ12時の鐘が鳴るわよね…。そして、予感は的中した。ある日レオはクレジットカードを投げつけ、ドレスでも買えと言うなり、彼女を置き去りにしたのだ。
ケイトは兄代わりの大富豪ギャレットにずっと想いを寄せてきた。でも、数多の女性と浮き名を流す彼をそばで見るのも、もう限界だった。一方、ギャレットはケイトを守ることこそ我が使命としてきた。彼が10歳のとき、ボディガードだった彼女の父親が彼の身代わりとなって銃弾に倒れ、“娘を頼む”と言い残して死んだのだ。だがある夜、ケイトが高熱を出したギャレットを見舞うと、朦朧とした彼に押し倒され、情熱が堰を切ったようにあふれ…。夢のまた夢と思っていた瞬間を迎え、幸せをかみしめるケイトの心に、彼が不意に放った言葉が突き刺さるー別の女性との結婚話がある、と。ショックのあまりギャレットの家を飛び出した数週間後、彼の子を宿しているとわかり、ケイトは途方に暮れた。
大学生のソフィはシチリアで12歳年上の大富豪マックスに恋をした。世の女性が放っておかない彼のような魅力的な男性に求愛され、ソフィは天にも昇る思いで純潔を捧げた。しかし、二人のあいだで結婚の約束まで交わしたというのに、ほどなく彼と長年噂のある女性との親密な会話を立ち聞いてしまう。ショックを受けたソフィは、即座に別れを告げたのだった。7年後、とあるパーティで二人は再会を果たす。ソフィの父親の会社が窮地にあると知ったマックスは、負債を引き受ける代わりに、君を愛人として囲うと言い放ったーかつて一方的に離れていった彼女を、飽きるまで楽しむつもりで。ソフィは幼い義弟を路頭に迷わせないために、マックスとの屈辱的な取り引きに応じざるをえなかった。けれど、いざヴェネチアの屋敷での同棲生活が始まると、ソフィの中にあった情熱の残り火が今にも再燃しようとして…。狂おしいほどにもつれる愛の物語。
いったいどうして老伯爵は、天涯孤独の貧しい私に全財産を譲ったの?しかも相続の条件は、年内に結婚することだなんて…。「うまくやったものだな、ミス・ワイルディング」新伯爵ベインに蔑むように見据えられ、メアリは体じゅうが熱くなった。つまり、読み上げられた遺言書の内容は聞き間違いではないのだ。あまりの出来事に呆然とするメアリにベインは愛なき結婚を迫り、この世のものとは思えないほど甘美で情熱的なキスをした。「さっさと私を殺せば、あなたの問題はすべて解決するのに」胸の高鳴りを懸命に押し隠すメアリに、ベインは冷たく告げた。「その方法についても、考えなかったわけじゃない」愛に背を向けた伯爵と、愛を夢見る貧しい娘。出会うはずもなかった正反対の二人がなす術もなく惹かれあうとき、過酷な運命が幕を開けて…。ミステリアスで情熱的な珠玉のシンデレラ・ストーリー。
司祭だった父が急死し、19歳のマリアンと一家の生活は困窮していた。周囲に立派な結婚相手を探してやると言われても気後れしてしまうのは、プライドの塊のような高慢な貴族たちを嫌っているから。たとえ爵位や財産がなくとも、彼女の両親のように、心から愛し愛される関係でいられる人との出逢いを夢見ているのだ。そんなある日、マリアンは体調を崩した大叔母を見舞うため遠くの地へ向かう途中、こちらを熱く見つめる青い瞳の男にでくわした。不躾な視線に怒りを感じてもいいはずなのに、なぜか体の奥が疼く。この気持ちは何…?戸惑うマリアンは知る由もなかったーよもや彼が11代目マールベック侯爵ドルーで、跡継ぎを産む従順な妻を求める、愛を知らない男だということなど。大叔母を気遣ってしばらく滞在することになった地で、マリアンは吸い込まれそうなほど深く美しい瞳のドルーと偶然再会。彼女の人生で初めて芽生えた恋心はさらに膨らむが…。社交界の貴婦人に退屈していた侯爵は、彼女をどう見るのか?
カリーナが事故に遭い、記憶を失ってから1年が経った。実業家であるフォードの豪奢な屋敷で暮らしているが、彼がフィアンセだということは、いまだに思い出せない。こんなにもハンサムで、優しくて、お金持ちな人が婚約者だなんて。事故以前のように愛し合いたいと情熱をあらわにするフォードには強く惹かれているが、いつも記憶のない罪悪感のほうが勝ってしまう。そんなある日、カリーナに瓜二つの女性が現れ、激しく非難される。「私がフォードの婚約者。あなたは偽者のなりすましよ」このとき初めてカリーナは悟り、そして打ちのめされた。フォードを愛している。けれど彼が愛したのは、私ではなかった…。
ビリーは8歳のとき、母とギリシアに移り住んだ。よそ者扱いされていた彼女をいつも救ってくれたアレクセイは、5歳年上の少年で、代々その土地を治めてきたドラコス家の継承者だ。時が経ち、アレクセイは若くして大成した実業家となり、ビリーは彼の個人秘書として、恋の後始末までも引き受けている。秘め続けた彼への想いには、永遠に蓋をしたつもりだったのに…アレクセイの両親が事故で急死した夜、二人は衝動的に結ばれた。ビリーにとっては、悲嘆に暮れる彼を慰めたい一心だった。生まれて初めて愛を捧げたこの一夜に彼女は妊娠するが、アレクセイを襲ったある事故によって、告げることができなくなる。
幻ではない。目の前にいるのは、本当にジオだわ!酔っぱらいに襲われたイシーを助けてくれたのは、たしかにあのジオージョバンニ・ハミルトンだった。子供のころ、イシーの母が家政婦をしていた公爵家の御曹司だ。高貴でありながら、不良っぽい陰のある彼はイシーを夢中にさせたが、17歳の誕生日の夜、幼い恋心は粉々に打ち砕かれた。君の純潔など重たいだけだと、冷たく拒まれてしまったのだ。再会に戸惑う彼女を、彼は10年前よりセクシーになった瞳で見つめた。「大人になったな、イシー。そろそろ仲直りしないか?」そう言うと、彼は口もきけずに立ちすくむイシーの唇をふさいだ。
人けのない岬で、キラはらしからぬふるまいをした。見知らぬ男とマットと、出会って数時間でキスしてしまったのだ。無理やりだったとはいえ、キラには婚約者がいるというのに、ハンサムな彼に我を忘れかけた。だがあやういところで身を離し、自分には婚約者がいることを告げ、その場を立ち去ったのだ。2カ月後、キラは軽率なふるまいを後悔することになる。父から紹介された大実業家が、あのマットだったから…。しかも父の会社の借金の肩代わりをする見返りに、欲望に濡れた目で結婚をーキラの体で代賞を求めてきたのだ。
亡くなったばかりの母の形見のアンティークの指輪。その大事な指輪を、ルーシーの兄が何週か前になくしてしまった。華やかなパーティの最中にも、思い出すだけで胸に痛みが走る。いま、そんな彼女に熱い視線を這わせる大富豪ジャドがいた。男の見つめ方はどこかほかの人とは違っている。何かが…。席を立とうとした彼女は、ある女性を見て息をのんだ。その指に鈍く光るのは母の指輪。女性はジャドの連れだった。いてもたってもいられず、指輪を返してほしいと訴えると、ジャドは、この指輪をはめて婚約してくれるなら、と甘く囁いた。
幼くして両親を失った天涯孤独のナタリーにとって、隣人で、大牧場の所有者、キレイン家の人々は家族も同然だ。なかでもマックは、ある日を境にかけがえのない存在になった。友人を亡くし、涙にくれる17歳のナタリーの肩を抱き、甘い口づけでなぐさめてくれたあの夜から…。愚かにも彼に純潔を捧げる日を心待ちにしていたのに。あるとき、マックの妹の恋人を奪ったと誤解され、それを信じた彼の、冷たい言葉にナタリーの心は砕け散った。「二度とこの家に来るな」-彼女は誰にも告げず故郷を去った。
両親の死後、ずっと自分のことを後回しにしてきたカトリーナに、あるとき、美人で甘やかされた妹が泣きついてきた。地元の名士で幼なじみのルシアスにふられたという。カトリーナは妹のために彼の仕打ちを非難するが、何かと助けてくれる友人と仲違いするのは本意ではなかった。密かに落ち込むカトリーナに、何を思ったか妹は、今度はルシアスを姉に奪われたと吹聴し始めたのだ。うろたえる彼女に、さらなるルシアスの言動が拍車をかける。噂を本当にするために、これからきみと交際しよう、と…。