出版社 : 作品社
深い孤独に絡みつかれながら、荒漠たる異国の地を彷徨するパリの日本人たち。いくつもの狂気に取り巻かれ精神の牢獄に囚われた男女が幾重ものドラマを織りなしていくー『フランドルの冬』に続く、第二長篇。
ベンチャーズの衝撃で世界が変わった。四国の田舎町の高校生たちが繰り広げるロックと友情、淡い恋と笑いに満ちた永遠の青春・音楽小説。受賞作の2倍=800枚を完全収録!完全オリジナル版!
承久の乱に勝利し、治天の君と称された後鳥羽院らを流罪とした「逆臣」でありながら、たった一枚の肖像画さえ存在しない鎌倉幕府二代執権・北条義時。謎に包まれたその姿を、小説・戯曲・論考から明らかにする。 2022年NHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」視聴者必読! 彼は筋を通した。歴史の動きを見誤まらず、一つの、しかし多分に危機を伴うかもしれぬ決定を敢えてした。政治とはそういうものではないだろうか。東国内の主導権争いは政治以前の問題である。が、日本の政治家たちは、いつの時代にも主導権争いに明けくれて、そのことが政治だとさえ思ってしまう。(…)義時がここで西国のトップと取引きせず、御家人の利益をまず前提に考えたところに、私は東国そのものとぴったり密着した彼の姿勢を感じる。ふつう権力を握れば、たちまちそれを支える階層からは遊離してしまうものだが、義時が東国武士団の利害を直接吸いあげることができたところに、彼のすぐれた政治的資質がある。もちろんこれは個人の資質だけの問題ではない。旗揚げから三十年、内部に諸問題を抱えてはいるものの、東国はまだ若い。生命力も溢れているし、自壊作用も起してはいない。その若さが、組織のトップに健康な判断を下させた、ということであろう。(永井路子「承久の嵐 北条義時の場合」より) 海音寺潮五郎「梶原景時」 高橋直樹「悲命に斃る」 岡本綺堂「修禅寺物語」 近松秋江「北条泰時」 永井路子「執念の家譜」 永井路子「承久の嵐 北条義時の場合」 三田誠広「解説 北条義時とは何ものか」
愛する両親を喪い、悲しみに暮れる乙女エミリーは、叔母の夫である尊大な男モントーニの手に落ちて、イタリア山中の不気味な古城に幽閉されてしまうー。刊行から227年を経て、今なお世界中で読み継がれるゴシック小説の源流。イギリス文学史に不朽の名作として屹立する異形の超大作、待望の本邦初訳!
北フランスの荒涼とした低地帯にある精神科病院を舞台に、若き日本人精神科医とその仲間たちが繰り広げる魂の群像劇。自らの留学体験をもとにした長篇デビュー作。芸術選奨新人賞受賞。
聖徳太子千四百年遠忌記念出版。稀代の歴史小説作家の遺作となった全集未収録長篇小説『聖徳太子』に、“悪人列伝”シリーズの劈頭を飾る「蘇我入鹿」を併録。海音寺古代史のオリジナル編集版。
バロネス・オルツィの「隅の老人」、ジャック・フットレルの「思考機械」と並ぶ“シャーロック・ホームズのライバル”「マーチン・ヒューイット」。本邦初訳作品も多数!初出誌の挿絵165点を完全収録!初出誌と単行本の異同もすべて記録!原書4冊に収録されたシリーズ全25作品を1冊に集成!詳細な訳者解説付。
戦争回避に全力を尽くしたアメリカ人の妻を持つ日本人外交官。そして日米の血を受け継いだ子どもたちー歴史の激流に翻弄された外交官一家の過酷な運命を描いた歴史長篇。
太陽神ヘリオスと女神ペルセの間に生まれたキルケ。父のように力があるわけではなく、母のように美しくもなく、人間のような声を持つ。きょうだいにいじめられ、周りからは除け者にされるキルケは、しだいに神の世界よりも人間の世界に惹かれていく。ただ、彼女は“魔法”を使うことができる。その力を警戒する神々によってアイアイア島に追放されるのだが、そこで人間のオデュッセウスと恋に落ちるー。ホメロスの『オデュッセイア』を反転し、女神であり、魔女であり、そして一人の女性であるキルケの視点からギリシア神話の世界を再話する、魔法のような物語。女性小説賞最終候補作、「ガーディアン」ほか各紙でブック・オブ・ザ・イヤーに選出。
足尾銅山鉱毒事件の被害を受けた渡良瀬に生まれ、38歳で満州の地に没した逸見猶吉。“日本のランボー”と称された夭逝の詩人の生涯を描く、書き下ろし長編小説。
洒脱にして剣呑、静謐にして囂囂たる、“僕”と“おじさん”と“おじいさん”の夢幻の如き日々は、どこに辿り着くのか。ランボー、アルトー、ジュネ、ヴィアンの翻訳者が満を持して放つ、破格の書き下ろし長篇小説!
第一次大戦後の英国。国民を知力でランク分けするという大胆な政策を打ち出す脳務省に務めるキティは、脳務大臣のニコラスと密かに愛を育んでいたが、脳務省の権力が増大していく中、二人の愛は迷走する…百年の時を経て蘇ったフェミニスト・ディストピア小説!
自らの祖先に関心を寄せ、島を調査に訪れる研究者フェルサン。彼と同じ血脈の末裔に連なる、浮浪者同然に暮らす男ドードー。そして数多の生者たち、亡霊たち、絶滅鳥らの木霊する声…。父祖の地モーリシャス島を舞台とする、ライフワークの最新作。ノーベル文学賞作家の新たな代表作!