出版社 : 双葉社
放っておけば国民を滅亡の危機に落とし入れるかもしれないエイズ。その撲滅のための特別権限を執行できる東京保安官に任命された、叶大陽と大田蹴鞠子、そしてアシスタントの大和ローラの三人は乱れた性の現場に突入し、エイズ感染防止のために奮闘する。風俗営業のあらゆる形態-、S・Mホテル、ホモ旅館、レズ・バー、幼児クラブ、ボディーピアス協会、ポルノビデオ研究会など、変形された性愛の全ての世界で水際作戦を展開する。
バレンシア大陸は二極に割れていた。すなわち、荒ぶる魂の神ドーマと大地母神ミラ。あるいはやさしさといつくしみの支配する王国ソフィア、戦いこそが人を育むと信じる帝国リゲル。その敵対する二極が最悪の戦乱をひきおこした。両端のユニティたちはそれぞれの神を信ずるが故、それぞれの祖国に忠誠を誓ったが故、互いに争い血を流した。来る日も、また来る日も…。この物語の主人公はアルムとセリカ、そして無数の若きユニティたち。誰もが目指すはバレンシアの統一。だが、その進むべき道はあまりに異なる。そこに、大いなる愛と憎しみの物語が大きくうねりはじめていた。
大いなる戦乱の只中にあるバレンシア大陸。数多のユニティが命を落とし、そして新たなる出会いの物語があった。解放軍をひきいてソフィア王国を復興させた王侯軍大将アルム。若き神官セリカはまさに悲願であるミラ神復興を達成せんとしていた。しかし、運命は未だ2人を異なる方向へと導いていた。冷酷非情なるリゲル皇帝ルドルフの黒き企みが、再びその姿をもたげ始めている。…ソフィア王国の壊滅。何ゆえ彼はそこまでの狂気に走るのか?アルムは血の宿命すら知らず、剣をかざす。はたして2人の愛はまっとうされるのか?バレンシアに平和は訪れるのか?ここに物語は完結する。
僕は殺されることにも慣れてしまったが、同時にまた憎まれることにも慣れていた。子供の頃から、まわりの誰もが僕を憎み、そのうちの何人かが僕を殺そうと決心するまでにその憎悪を募らせたのだ。僕が自分でも気づかずにいるちょっとした目つきや小さな仕草だけでも人が僕を殺したいほど憎むことを、何度も殺されて僕は知りつくしてしまっていた。
あたし、健康な女子高二年生。固肥りだけど、体臭が強くて、肌がところどころ、ざらついてるのが悩みなんです。一年のときから美術の先生が好きになって、ずっと、思いつづけていて、先生が結婚してから、とうとうガマンできなくなって、「一度、外で会ってください」と言ったんです。そして、とうとう先生にせがんで第三京浜ぞいのモーテルに連れこんで、もらったんです。先生ははじめ迷惑そうだったけれど、でも、あたしとベッドに入ると、先生、すぐ熱心になってきて…。
17歳の女子高生が自宅で保健所の医師と名のる男にインフルエンザの予防注射を打たれたあと、その男の車で連れ去られた。客の急訴にハマの県警本部は色めきたつ。誘拐か。が、1日たち2日たっても犯人側からは何の要求もない。不気味だ。4日目、ついに公開捜査に。折も折、シティホテルの支配人から「強盗傷害で指名手配中の男が女連れで宿泊している」と。待機中の特捜星班が出動し包囲作戦をとったが、男はなんと…。-臨場感あふれる著者渾身の警察小説。
プロ棋士・真城寺欽弥は金沢支部の大会出席後、新聞記者・苗場とカメラマンの瀬能を誘って越前岬の老舗旅館に冬の名物カニを食べに寄る。その夜、真城寺を訪ねて、おでん屋の女将・睦美がやってくる。睦美を一目見て、瀬能は以前見た覚えがあると洩らす。翌日、気になることを調べたいという瀬能を残して真城寺と苗場は東京へ帰る。だが、二日後、瀬能が小松のホテルで殺されたとの報が入る。事件後、睦美もプッツリ姿を消す…。冬の北陸を舞台に描く書き下ろし旅情ミステリー。
新興宗教団体「闇の光」の狂信者立花冽子は兄弟と共謀し内縁の夫を“悪魔祓い”儀式の生贄にする。逮捕された彼女らは長期懲役の判決を受ける。しかし、それを不服とする三人は護送車から脱走、琵琶湖の遊覧船ミシガン号を乗っ取って、船上での“やりなおし裁判”を要求する。応じなければ五分間に一人ずつ乗客を射殺するという脅迫に、赤かぶ検事は決死の覚悟を決めるが…。
上原厚子は愕然とした。それは27年間の人生で初めての衝撃だった。虎の子の貯金2000万円が押し入れから消えていたのだ。盗んだのは木野昌広。証券会社のセールスマン、彼女の財テクの相談役だった。が、やっと追いついめた木野はすでにカネは持っていなかった。そして揉み合っているうちに彼を殺してしまった厚子。その厚子の手に意外や2000万が。
慶長5年、豊臣・徳川「天下わけ目の関ケ原」は東軍・徳川に凱歌があがった。豊臣の将・石田三成は加茂の河原に首をさらされ、小西行長はしかし、京の遊廓に美女を求めたー。何故か?敗けても夢は咲かせたいのだ。この戦いは、数多の豪傑・怪士を渦にまきこんだ。その「豪傑繚乱」の道なき道を岩見重太郎は辿った…。茶々を偲びつつ。
山崎英世を刺したのは水町圭子だった。小道具の出刃包丁が本物と取り替っていたのだ。誰が取り替えたのか。撮影現場は衆人環視の中にあった。そして直後に「かいじ」に乗って松本へ向った水町圭子の姿は掻き消されたかの如く消えてしまった。捜査の手が彼女の身辺に迫るころ、信州・諏訪湖の冷たい湖面に彼女の水死体が浮いた。いったい誰が。
慶長5年、美濃大垣城、三層総塗りの壮麗な天守閣の奥座敷に、3人の武将が絵図面をひろげ談合していた。「決戦場は関ケ原になろうな」とけわしい面付きで低くつぶやいたのは石田三成であった。その関ケ原に日本六十余州の大名が持てる軍勢凡てを結集した天下わけ目の大決戦、豊臣・徳川の戦いが始まったのだ。絢爛豪華な水滸伝である。
金沢発の寝台特急「北陸」の個室で首なし死体が発見された。被害者は東京に支店もある加賀料理店の経営者・関谷通利で、近く三度めの結婚をすることになっていた。現場には犯人のものと思われる毛髪が見つかり、その主は事件の翌日、上野に近い公園で死んでいた。容疑者の死に方に疑問を感じたその妹の奥山未知は、仲間と独自の捜査を開始すると、被害者の複雑な人間関係の中から意外な糸口が見つかった…。