出版社 : 双葉社
「娘さん、あんたには高貴な方の霊がついておる、闇の中の帝王が」みずきを見るなり高名な霊能者は叫んだ。見知らぬ土地の松の下に埋められたドクロが呼んでいる、みずきはそんな悪夢に毎晩うなされていたのだ。真偽を確めるべくドクロ探しに出掛けて驚いた、実際にそれはあったのだ。しかし警察は待っていたかの様に動き出しみずきを逮捕。五百年の時空を超えたドクロが暴く現代の殺人事件トリックとは?
慶長16年5月10日…、一人の嫖客が、江戸大橋の柳町を典雅な風情で歩く。豊臣・徳川の天下わけ目の戦いは東軍の勝ち。西軍の将は千々に身を処していた。岩見重太郎も、大坂城の茶々を偲びつつ諸国を歩き、やがて嫖客の歩みに合わせるが、その先にこそ。大御所・家康を睥睨する錬金術師と重太郎の不動剣が真田の六連銭とおり重なって時代に舞う。
宮崎県はイザナギ・イザナミ神話を初めとする神話伝説の王国である。海幸・山幸の物語もその著名なものだ。那須で起こったアパレル産業の女社長殺人事件解決の鍵はこの龍宮伝説の中に隠されていた…。「おれは、いま、薄笑いを浮かべながら、この手紙を書いている。だれも知らない犯人を、このおれだけが知っている。おれは見たんだよ。犯行が行われた瞬間を…」。脅迫者は犯人の指紋のついたオペラグラスを手に入れていた。しかし、それが何故か紛失する。
国際刑事警察機構の派遣職員の身分で警視庁から出向、CIAの助っ人として早や三年が経つ。中学三年生だった長男は大学受験の時期となった。父親の役割を演じてやらねばと思っていた。ちょうどそんな時、CIA長官から「国連直属の特殺隊長として世界中の悪の根を絶て」との命令を受けた。黒人娘マンディ、日本娘仁井本清美らの美女を部下に。
北山杉の茂る京都北郊の氷室で質素な身なりの十七、八歳の女性の死体が発見された。捜査本部の一員、魚津刑事は上司との折り合いが悪く、孤独な捜査と独自の勘で被害者の身元を探りだした。西沢奈々津は京都で就職しようとしていたが、その際すれ違った京都一のゼネコンの社長の連れと面識があるらしい-。魚津は相手がとても手に負えぬ大者がからんでいることから、かつて捜査合戦をして敗れた宮之原警部の登場を願わずにはいられなくなった。宮之原警部と魚津のコンビが明快な推理と積極的な行動で難事件を解決する書き下ろし長編旅情ミステリーの最高傑作。
三伸建設設計課一級建築士・田中浩一は、ある夜、中学高校が同窓で、今は東聖大学法医学教室の古屋一郎の訪問を受けた。「緊急に信用できる人間に会いたいのだ」と古屋は、緑色の百円ライターを机の上に置いた。その目の前のライターこそが、法医学者・古屋の研究成果であった。それは「原爆、水爆よりも恐しい科学兵器なのだ」という。その兵器とは。
三上量子は心の悩みの相談に乗り、的確な見立てをして、独自の方法で治療にあたる臨床心理士。このほど、西新宿のビルに『三上量子カウンセリング・ルーム』を開業した。数日後、隣に『四方晴彦探偵事務所』がオープンした。この四方晴彦こそ、量子が三年前に離婚した元亭主だった。その量子のもとに記憶喪失の悩みを訴える阿川美砂江と名乗るクライアントが訪れる。その女性の悩みの相談に乗ったばかりに、量子と元亭主の四方探偵は思わぬ難事件に巻き込まれる羽目に陥る。
ドライビング・ハイとは、ある一瞬、「スピード」という存在を、征した者のみが出会える、不思議で、劇的な感覚。映画「ドライビング・ハイ!」原作、女騒ぎのN1耐久レース小説。
14年前に失踪した美人モデル、ルビー・リーの白骨死体がシアトル市郊外で発見された。当時、彼女には日本人の婚約者・小渕泰明がおり、同市警捜査官が来日して事情聴収したが手掛りナシ。その小渕も7年前に自殺…。が、同市警は再度、警察庁に捜査協力を要請、兵庫県警の警部補・馬部晋作に白羽の矢が。事件概要を頭に叩き込み、再捜査にのりだした馬部は小渕の自殺に大きな疑問を抱く。他殺では。発奮する馬部の前にシアトルから金髪のグラマー捜査官が来日して-。
大坂夏の陣が終結して一年後の元和二年-。かつて伊賀一と忍びの技をたたえられた滝野右近のもとに、さる大名の使者が訪ねて来た。使者は右近の腕を見込み、徳川家康が所持している名物茶器初霜肩衝を奪って欲しいと頼む。そのころ、茶器は家康の亡骸とともに柩におさめられ、久能山の仮殿に安置されていた。徳川家に忠誠を尽くす服部一族との死闘の末、右近はついに家康の柩をさぐり当てる。だが、棺の蓋をあけた右近がそこに見たものは…。