出版社 : 国書刊行会
32世紀。高度な科学技術的発展を成し遂げた人類は、史上初の太陽系外有人探査計画に着手、地球に最も近い恒星であるケンタウルス座α星へ向かう決定を下した。かくして選りすぐりの遠征隊員を乗せ、巨大探査船ゲア号は未知の空間へと踏み出していく。旅路の果てに彼らを待ち受けているものとは?-レムの幻の長篇がついに邦訳なる。
ドイツ文学の翻訳として〓外の訳業に比肩する名訳と絶賛される石川道雄訳ホフマンを集大成。『くるみ割り人形』『砂鬼』『ブラムビラ姫』『廃屋』ほか、幻想文学の巨匠の傑作20編が絢爛たる訳筆で甦る。鬼才クービン、シュタイナー=プラーグ、谷中安規の挿絵も多数収載。
ノルウェーの雪に閉ざされた田舎町。ある時、11歳の少女シスが通う学校に、同じ年の少女ウンが転入してくる。ふたりは探り合うように距離を縮め、まもなく運命的な絆で結ばれるが、ウンは森深くの滝の麓につくられた神秘的な“氷の城”へ行ったきり、姿を消してしまう…特別な関係、孤独、喪失からの回復を、凛とした文体で幻想的かつ象徴的に描き上げたヴェーソスの代表作。1965年度北欧理事会文学賞受賞作。
笑いの大博覧会、完結!名翻訳家浅倉久志のライフワークである“ユーモア・スケッチ”ものを全4巻に集大成。最終巻は傑作展姉妹篇『すべてはイブからはじまった』とオンデマンドのみの刊行だった『ミクロの傑作圏』をカップリング。
長篇小説を執筆中の作家ポール・オレロンは古い貸家に引越すが、忽ち創作は行き詰まり、作家は周囲に何者かの気配を感じ始める。邪悪なものの憑依と精神崩壊の過程を鬼気迫る筆致で描き、ブラックウッド、平井呈一らが絶賛した心理的幽霊譚の名作「手招く美女」。沈没寸前のガレオン船の前に霧の中から現れた謎の船の正体とは…超時間的な幻想譚「幻の船」。シチリアの富豪の娘が旅先のチュニスで英国青年と恋に落ち、同時に神秘的な人格の変容を経験する。エキゾティックな舞台に古代幻想が交錯する中篇「彩られた顔」。第一次大戦で顔貌を損傷した英国人がフランスの田舎の城館に隠棲するが、相次ぐ怪異現象と迷信深い土地の人々の視線に次第に追い詰められていく…陰鬱な雰囲気に満ちた「屋根裏のロープ」など全8篇と、作者がその怪奇小説観を披露したエッセーを収録。英国怪奇小説の黄金時代において、精緻な心理主義と怪異描写を追求し、斬新なアイデアで新しい地平を拓いたオリヴァー・オニオンズの怪奇小説傑作選。
豚飼いマニュエルは金髪碧眼の美丈夫、母の教えに従っておのれの理想の姿を土の人像に映すべく、日々土をこねては人像作りに精を出す。そこへ怪しき老人が「邪悪な魔法使いに拐かされた姫君を救って妻となせ」と、マニュエルに一振りの魔剣を与えた。いざ魔法使いを打ち倒さんと旅立ったマニュエルだが、途中で出会った男装の乙女に恋をして、魔法使い成敗はそっちのけ、肝心の姫君には目もくれず、乙女と手に手を取って意気揚々と帰還する。めでたしめでたしーと思いきや、あらわれた死神が愛しい乙女を冥府へと連れ去って…
いまから二十年か三十年か四十年くらいまえ、ぼくがまだほんの子供だったときのこと、小さな田舎町に住んでいたぼくはミセス・ニュージェントにやったことが原因で町のやつらに追われていた。1960年代初頭のアイルランド、飲んだくれの父と精神不安定な母のもとで、フランシー・ブレイディーは親友のジョーと共に愉快な日々を送っていた。そう、ミセス・ニュージェントから「あんたらはブタよ!」という言葉を浴びるまでは…あらゆる不幸に見舞われて、やがて“肉屋の小僧”となったフランシーが狂気と妄想と絶望の果てに見い出したものとは何か?この世の美しいものなんてどれもこれもすべて嘘なんだ。センセーショナルな内容ゆえに物議を醸し、アイルランド版“ライ麦畑でつかまえて”+“時計じかけのオレンジ”と称され映画化もされた伝説の問題作がついに邦訳。ブッカー賞最終候補、エア・リンガス文学賞受賞。
名翻訳家のライフワークである「ユーモア・スケッチ」ものを全4巻に集大成。第2弾は『ユーモア・スケッチ傑作展2』(全32篇)+単行本未収録作品12篇。
地球上の兵器システムをすべて月に移し、軍拡競争をAI任せにした人類であったが、月面での兵器の進化がその後どうなっているのか皆目わからない。地球から送られた偵察機が一台も帰還することなく消息を絶つに至り、泰平ヨンが極秘の偵察に赴くが…レムの最後から二番目の小説にして、“泰平ヨン”シリーズ最終話の待望の邦訳。
笑いの大博覧会、復活!名翻訳家浅倉久志のライフワークである“ユーモア・スケッチ”ものを全4巻に集大成。第1弾は『ユーモア・スケッチ傑作展1』(全25篇)+単行本未収録作品20篇。
着陸後に消息を絶ったコンドル号の捜索のため琴座の惑星レギス3に降り立ったインヴィンシブル号が発見したのは、廃墟と化した“都市”と、砂漠にめり込んでそそり立つ変わりはてた姿のコンドル号であった。謎に満ちたこの惑星でいったい何が起こったのか!?-ファースト・コンタクト三部作の傑作『砂漠の惑星』のポーランド語原典からの新訳。
新シリーズ登場!!ウッドハウスの全小説中、否、世界文学史上、もっともナイスで、ハチャメチャで、イカレた性格のフレッド伯父さんが、あのブランディングズ城で空前の大暴れ。英国ウッドハウス協会の人気投票でもトップを獲得した『ゆけゆけ、フレッド伯父さん』もあわせて収録。
真夏のニューヨーク、ハリエットは同居するクロードと仲違いしてアパートを追い出される危機に陥る。身を守るために悪戦苦闘する彼女を待ち受けていたさらなる地獄とは…速射砲のように放たれる、宗教・人種・セックス・フェミニズム等々のあらゆる問題を無差別攻撃した過激なセリフ、知的で過剰なユーモアにあふれた筆致で描かれる一人の女の残酷物語。『ロリータ』の版元オリンピア・プレスでポルノ作家として活躍し、スーザン・ソンタグをして「彼女は最先端(ヒップスター)」と言わしめた伝説の作家の鮮烈な第一長篇がついに邦訳!(1973年作)。
『ボートの三人男』で知られるジェローム・K.ジェロームによる異色作品集。心和ませる幽霊小説、冷たく怖い怪奇小説、優しく美しい幻想小説、不思議な現代ファンタジイ、数千年の時を跨ぐケルト・ファンタジイ等々、多彩な味わいの奇譚17篇を収録。
1516年、ドイツ“黒き森”。嵐が吹きすさび、あたり一面を異様な轟音が覆いつくす漆黒の夜、老醜の境にあるヴァグナーは見知らぬ人物の訪問を受け、奇怪なる契約を交わす。それは、若さと美貌、富と不死の命を手に入れる代価として狼に変身する運命を背負うというものであった。それからおよそ5年後、フィレンツェでも指折りに大きな城館の、贅を尽くした家具調度の揃う一室で、リヴェロラ伯爵アンドレアは死の牀にあった。父に寄り添う二人の姉弟ニシダ姫とフランシスコに伯爵は、自らとリヴェロラ家にかかわる秘密を明らかにしてくれるものが収められているという秘密の衣裳室の鑰を渡し、フランシスコが婚姻を果たすその日に扉をあけるよう遺言を残して息絶える。父の死を看取り二人はそれぞれの寝所に戻るが、ほどなくして、艶やかな黒い瞳に不吉とも言える異様な光を宿らせたニシダ姫は、フランシスコの部屋に忍びこんで鑰を盗みだし、秘密の衣裳室へ歩を進めていく。数日後、伯爵の葬儀が執り行なわれ、そこに若さを取り戻したヴァグナーの姿があったー交錯する愛憎と怨恨、野望と戦乱、フィレンツェ、コンスタンチノーブル、エーゲ海のロードス島、さらには地中海のいずことも知れぬ孤島を舞台に繰り広げられる、ゴシック・ロマンスの後裔ともいうべき波瀾万丈の物語がここに開幕!