出版社 : 小学館
ロメリア、最後の戦い。 ギレ山砦の攻防は、ギャミの策により連合軍の戦略的敗北が決定。 ロメリア達はガリオスの凱旋をただ見送るしかなかった。 だが、ガリオス達がローバーンに撤退しようとしたまさにその時、魔族のゲラシャが突如裏切り、ガリオスの軍勢に攻撃を加えた。 予想外の展開に驚くロメリアだったが、この好機を逃すことなく、ガリオス達を追撃する。 一転して窮地に立たされたガリオス達は、諦めることなく命懸けの反撃に出る。 最強のガリオスが吠え、特務参謀ギャミの策が光る。ガリオスの息子であるガオン、ガダルダ、ガストン、そしてイザークが、仲間を守るため力の限り戦う。 対するロメリアは最大の好敵手と決着をつけるため、カシューから付き従うアルやレイ、ロメリア二十騎士を率いて戦いに挑む。 最後の戦いが、ここに始まり、そして終わりを迎えるーー。 【編集担当からのおすすめ情報】 アニメ化も決定している『ロメリア戦記』がついに完結! ガリオスたち魔族との戦いの決着は? そして、世界の中心を作るというロメリアの計画の行方は? ロメリアの最後の雄姿、その目に焼き付けてください!
恋多き男・岡倉天心の愛の軌跡をたどる評伝 「二人のあいだのこの素晴らしい出来事が、ほんとのこととはまるで思えません。私という人間は、結局のところ、一場の夢ではないのですか。」 「私は今あなたをより近く感じますが、奇妙な気恥しさがしのびよってきて、私がどう感じているかを言えないのです。言わなくても、私の言いたいことを察してくださいますでしょう?」 東洋美術史家・フェノロサとともに古美術調査を行ったり、東京美術学校(現東京藝術大学)の校長として活躍したりして美術史家、思想家として名をはせた岡倉天心。だが、不倫騒動を起こし東京美術学校校長をはじめとする役職から退くことになる。 失意のなか、ボストン美術館の顧問としてアジア諸国を回ることになった天心は、インドで声の美しい女流詩人・プリヤンバダ・デーヴィーと出会い、急激に惹かれていく。一方、夫と息子を亡くし、ふさぎ込んでいたプリヤンバダも、天心と出会って心が癒されていくーー。 そんな二人の往復書簡を中心にしながら、「放埒で、利己的で、頑迷で、いやらしい獣で……」と自らを評する天心の愛の軌跡を綴った傑作評伝。
現代社会の矛盾を鋭く衝く傑作SF超短篇集 「ぼくが書きたかったのは、ショートショートという形式のなかに、“組織化された社会の一員としての個人”というものを、どう浮かび上がらせるかということだった」(あとがきより) 万博会場のある国のブースで、うまい話に乗せられてしまう「特訓」、時代に乗っていた男が、時代の変化を読み切れず没落してしまう「有望な職業」、ほとんどの人間が、ものごとの判断をコンピュータにゆだねてしまった時代を揶揄する「ヘルメット」、倹約のため昼食には毎日カレーを食べていた実直なサラリーマンが、昇進したがために味わった悲劇を描く「ミスター・カレー」、そして、この世のものとは思えない妙な客が乗車してきたのに、誰も関心を払わない表題作「C席の客」--。 著者があとがきで記したように、SFという形式に仮託して、現代人の思考力低下、都会の冷たさ、管理社会の恐ろしさなどをあぶりだした名篇。
本屋大賞受賞作家が描く、戦国巨編 「二〇一九年七月、取材を本格化。『村上海賊の娘』以降、遊んでいたわけではありません。この小説を書いていました。 この丹後一色氏最後の男の物語を。」 和田竜 「信長か。珍しゅうもない。ざらにいる男よーー。」 織田信長による天下布武の軍団が日本全土を侵略していくなか、その怪物は戦場にあらわれた。名を丹後の守護大名、一色義員(いっしき・よしかず)の嫡男・五郎(ごろう)と言った。 17歳の青年は、父が倒された圧倒的不利な状況下で、凄惨な戦闘を繰り広げ、その場にいた全ての人間を恐怖に陥れる。 【編集担当からのおすすめ情報】 直木賞候補作で映画化もされた『のぼうの城』や、本屋大賞受賞作『村上海賊の娘』--。 数々の名作を生み出してきた著者に筆をとらせたのは、戦国時代の若き武将・一色五郎。17歳で戦場に立ち、織田信長の前に突如現れた“怪物”が、いま令和に蘇る! 戦国時代でも最も混沌とした天正七年から三年間における、戦場の迫力、人間の情熱と野望、その全てが本書につまっています。 日本人すべてを熱狂させる傑作として、令和最大の話題作になること必定。 新たなる歴史エンターテインメントの扉が開かれます。
本屋大賞受賞作家が描く、戦国巨編 織田信長に丹後を支配するように命じられた智将・長岡(細川)藤孝、猛将・忠興親子は、決死の覚悟で一色五郎と戦う。 味方にも秘策を明かさぬ一色五郎が進もうとする先は、果たして織田家の壊滅か、一族の破滅か。 戦国時代最後の怪物が覚醒する。 【編集担当からのおすすめ情報】 直木賞候補作で映画化もされた『のぼうの城』や、本屋大賞受賞作『村上海賊の娘』--。 数々の名作を生み出してきた著者に筆をとらせたのは、戦国時代の若き武将・一色五郎。17歳で戦場に立ち、織田信長の前に突如現れた“怪物”が、いま令和に蘇る!戦国時代でも最も混沌とした天正七年から三年間における、戦場の迫力、人間の情熱と野望、その全てが本書につまっています。 日本人すべてを熱狂させる傑作として、令和最大の話題作になること必定。 新たなる歴史エンターテインメントの扉が開かれます。
パレスチナ移民たちの心情を描く傑作短篇集 力によって追放され、世界のどこにいようと「よそ者」として日常を引き裂かれ続けるパレスチナ人たちは、あなたのすぐ隣にもいるかもしれない。--安田菜津紀氏(Dialogue for People副代表/フォトジャーナリスト)推薦! 2022年アトウッド・ギブソン・ライターズ・トラスト・フィクション賞最終候補作 母国について教えた恋人が救済活動に目覚めていく姿に戸惑う医師 かつて暮らした国への小さな投稿によって追い詰められていく数学者 ルームメイトたちに溶け込むために架空の恋人をでっちあげる大学生 正規採用と引き換えに違法なミッションを引き受けてしまう司法修習生 妻と娘のために禁断の取引に手を伸ばしてしまうプログラマー…… 安住の地となるはずの国で心揺らぐパレスチナ移民たちの日々が、珠玉の9篇に。瀬戸際に追い詰められながら自らのアイデンティティを探る姿を多彩な筆致で綴る、カナダ発傑作短篇集。 【編集担当からのおすすめ情報】 2023年秋以降ガザ地区の惨状が世界中に発信されていますが、パレスチナの人々の苦難は1948年の「ナクバ」(イスラエル建国に際して70万人以上のパレスチナ人が難民化)に端を発しています。本作に登場するのも、祖父母や父母、あるいは本人が故郷を失いやむにやまれずカナダに移り住んできたという人たちです。しかし安住の地を得たと思いきや、ふとした局面で差別や偏見、居づらさを感じ、身を小さくする思いで暮らす人々。そんな移民たちの九つの物語です。パレスチナの苦難の歴史とともに、海外からの移住者が増えている今の日本で、彼らの心の内にも思いを馳せるきっかけとなれば幸いです。
新たな韓国文学はここから始まる 人は人を愛せるのか?--新しい韓国文学はこの問いから始まる。 韓国を代表する文学賞「第69回現代文学賞」受賞作にして、文芸誌「GOAT」掲載で話題となった「未来のかけら」も収録! 自分たちの許されぬ関係を本にしたいのだけどーー「僕たち」 破局を迎えた知人夫婦、その家に住むとーー「明日の恋人たち」 どうやら伯母はスイスで安楽死をするようだーー「より人間的な言葉」 親友の赤ちゃんを落としてしまった僕はーー「平穏無事な現代生活」 父と母の不幸な夫婦生活の終わりーー「二人の世界」 自殺しようとした母の人生はどう描かれるべきかーー「未来のかけら」 韓国文学の新星チョン・ヨンス、初邦訳短編集。 6つの物語の揺らぎがあなたの心を未来へ誘う。 ここには私の隣人が描かれているーーカバー裏には、金原ひとみさんの書評も掲載! 【編集担当からのおすすめ情報】 2019年「若い作家賞」、2024年「現代文学賞」受賞した若き才能チョン・ヨンス、待望の邦訳短編集です。韓国文学はここ数年、翻訳小説のなかでも大きな注目を集めてきました。しかし本作は、社会性やポップさを前面に押し出す近年のK-文学とは趣を異にします。派手な事件は起こらず、そこに書かれているのは、人と人の交わりだけ。それゆえ、かえって静謐で滋味深い文章が心を捉え、読者の心に深くしみ入り、やさしい読後感をもたらします。韓国文学の新たな地平を拓く一冊、ぜひご高覧ください。
日本の小説作品として異例の大ヒット! 恋人から突然、「他の女性と結婚する」と告げられた貴子は、深く傷つき、ただ泣き暮らす毎日をおくることになった。 職場恋愛だったために会社も辞めることになり、貴子は恋人と仕事をいっぺんに失うことに。そんなとき叔父のサトルから貴子に電話が入る。叔父は妻の桃子に家出され、ひとり神保町で「森崎書店」という古書店を経営していた。 親類の間では変人として通っていた叔父からの連絡は、「店に住んで、仕事を手伝って欲しい」というものでーー。 50の言語で翻訳オファーが殺到し、世界的大ヒットを遂げたヒーリング小説の傑作が新装版で遂に登場。巻末には書き下ろしの掌編、「午後の来訪者」も収録。
新妻エルフと旅する、異国情緒な新婚旅行譚 「--お前の婚約は解消になった」 かつてそんな一言から始まった、婚約破棄されたハーフエルフの底辺姫ミスラと錬金術師の青年アスランとの即席夫婦生活。 「遊牧エルフ」の土地を離れ人里に来たミスラが、初めて見る辺境都市、そして何かと甘やかしてくる夫との暮らしにも慣れたころ……とある事情で、夫アスランが王都へ赴くことに。 「ついでに新婚旅行をしてきなさい」という姉と義母の圧力に背中を押され、夫の出張に同行した若妻・ミスラだったが…… そこで目にしたのは時には王とも言葉を交わす、「錬金術師」としての夫の姿。 惚れ直すミスラをよそに、王はアスランとミスラにとある「お願い」??夫の師匠を見つけ出すための旅を命じるのだった。 かくして、ささやかな小旅行になるはずだった新婚旅行は、王都を出発し、ハイエルフの帝国を越えて、さらにその先?? ミスラにとっては因縁の地である故郷「遊牧エルフ」の領域へと至る。 それは、エルフの花嫁と人間の花婿が出会う、きっかけが生まれた土地。 そしてミスラにとっては、もう帰ることはないと思っていた因縁の土地。 じれったくもやさしい異文化交流新婚旅行の終わりに、新婚夫婦が得る新たな絆はーー。
ふれる春。咲く恋。 「おかえり、ヴェラ」 ヴェラの前に姿を現した春の精霊フリューリン。彼はヴェラの出生の秘密と不思議な力の正体を明かす。その真実は、王国の歴史でも類をみないほどの大スキャンダルで!? そして、フリューリンに背中を押され、アランからの愛の告白にも向き合うと決心するヴェラ。そんなヴェラの前に、元夫のカロル王子が再び現れる。「きみが傍にいてくれたらよかったのに」それは予想だにしない、自らの過ちを認めたカロルからの未練の言葉だった。 二人の王子からの想いを受けて、幸せをつかむためにヴェラが踏み出す新たな一歩とは!? シリーズ累計100万部突破の大人気作品ノベライズ、第二幕!
私たち、入れ替わってる!? 目が覚めると、夫と身体が入れ替わっていたーー。 入れ替わりをきっかけに、ヴィルから愛されていることを知ったミア。冷酷だと思っていた彼は、ちょっと天然で不器用な、一途な夫だったのだ。繰り返し起こる入れ替わりを隠しながら、少しずつ関係性を深めていく2人。だがそんなある日、何者かによってミアは誘拐されてしまう。果たしてヴィルは愛する妻を救えるのか……? 入れ替わっても、変わらない想いがある。 元・戦争の悪魔と可憐な令嬢。正反対の2人が紡ぐ、ピュアでスイートな入れ替わりラブストーリー。 【編集担当からのおすすめ情報】 なろうやカクヨムで大人気、shiryu先生の新作!新感覚の入れ替わりラブストーリーをお楽しみください!
夫唱婦随に疑問を抱いてしまった女性の結末 ──現在のわたしには、狭い門と思われるものが二つあるのです。第一の門は、敏と同宿人のように暮して、わたしは絵に精進しながら、肉体の枯れるのを待つのです。第二の門は、名実ともに敏と離婚して、独りになって絵に精進しながら、新しくわが子の授かるような境遇をつくるのです。── 病院を経営する祖父から逃れるように、郷里を出て建築設計技師の原川敏と結婚した美子。画家の卵だった経験を生かし室内装飾家として夫を支える美子だが、子どもが欲しい美子と、子どもには興味がなく、自分のつくる建築物が二人の子どもだ、といわれ続けることに釈然としない気持ちが募っていた。 しかし、亡くなったと聞かされていた父の足跡を訪ねる旅に出たことで、平凡だった日常が変わりはじめる。夢に出てきた父に叱咤され、再び絵筆を持つ決心をし、何事にも中途半端だった自分を変えるべく努力を始めるのだ。果たして、美子はどちらの狭き門にたどり着くのか──。 舞台は日本だが、随所にフランスを感じさせる佳作。
日韓国際結婚の難しさを描く私小説の名篇 裕福な家庭に育ちながら、朝鮮戦争で父が殺されたり、姉が北側の軍隊に連行されたりして人生がくるってしまった韓国人女性と、新聞社の韓国特派員を務める〈私〉。「一種投げやりに不安定な心の匂い」に惹かれて、日本に帰国後も海峡を挟んで連絡を取り合っていたが、結婚する決心はついていなかった。「国のちがい、習慣のちがい、父親がどういう仕事をしていたのかはわからないがかなりぜいたくに育ったらしい彼女との生活程度のちがい──生まれてくるはずの子供の将来のこと」を考えると不安になるし、友人や家族まで反対したからだ。 ともあれ、婚姻届けを提出し、日本でふたりの生活を始めたものの、来日三、四日目には「きつい表情で黙りこんだあと、彼女の感情は不意に激しく渦巻き始めて、自分でもどこに向うのか見当のつかぬつむじ風のように荒れ出す」という激しい性格があらわになる。はたして、大波にもまれるような結婚生活の行方は──。 平林たい子賞に輝いた、私小説の名篇。
命を削り今を生きる「止観の道士」たち 時に精神は現実を凌駕するーー 織田信長が天下統一へ向け着々と歩みを進めていた元亀元年(一五七〇年)、京の街でこれまで交わることのなかった「止観の道士」たちの運命が交錯する。 「水観」の円四郎、「炎観」の平助、「月観」の桂月。 現実と幻想の狭間で揺れる自己矛盾、その道士という生き方にあえぎながらも、厳しい修行の末に彼らが得た止観の力は、やがて到来した織田家との戦いに大きな影響を与えていくーー。 歴史上一切語られることのなかった儚き者たち。 その生の輝きと熱情が、乱世の闇を鮮烈に切り裂く! 『ヒートアイランド』 『ワイルド・ソウル』 『室町無頼』に連なる 垣根ワールドのエンターテインメント最高到達点!! 「25年小説を書いてきて初めて、全てをエンタメに振り切った物語を書いた」(著者)
ネタバレ厳禁。驚愕体験の本格ミステリ! 小石探偵事務所の代表でミステリオタクの小石は、名探偵のように華麗に事件を解決する日を夢見ている。だが実際は9割9分が不倫や浮気の調査依頼で、推理案件の依頼は一向にこない。小石がそれでも調査をこなすのは、実はある理由から色恋調査が「病的に得意」だから。相変わらず色恋案件ばかり、かと思いきや、相談員の蓮杖と小石が意外な真相を目の当たりにする裏で、思いもよらない事件が進行していて──。 【編集担当からのおすすめ情報】 『ノウイットオール あなただけが知っている』で松本清張賞を受賞し話題をさらった新鋭・森バジルさんの、衝撃体験を約束する本格ミステリが誕生しました。予想を木っ端みじんに打ち破る華麗な推理の数々がとにかく気持ちいい! 伏線もキャラの魅力も恋愛も大仕掛けもてんこ盛りの傑作ミステリを、絶対に、絶対に事前情報なしでお楽しみください。
酒からSFまで……バラエティ豊かな短篇集 [──何だね、これは? 水を呉れと云つたぢやないか。 ──あら、ソオダ水の方がいいと思つたものですから。 ソオダ水を三杯お替りしたマノ氏は、何やら日頃の気難しい顔は椅子の下に捨ててしまつたのか、たいへん上機嫌な赤い顔をして一人の女と話をしてゐた。 ──先生のお髭、素敵ね。 マノ氏は八字髭をひねくつて満更でも無い顔をした。] 酒も煙草もたしなまず、女性にも縁のないマノ氏が、酒と女性にはまっていく様をユーモラスに描いた表題作のほか、あらゆることにだらしのない元妻に脅迫される気の弱い男性が主人公の「乾杯」、飲み仲間の男性3人が、若くて楚々とした女性をめぐって争うものの、みな手玉に取られてしまう「不可侵条約」、SFチックなテイストの「女雛」「焼餅やきの幽霊」など、バラエティに富んだ10話からなる短篇集。
結末に涙する、仕掛けに満ちたひと夏の物語 ノイズに溢れたこの世界で、 「大人になる」とは一体どういうことなのだろうか。 「子どもの土地」で永遠の子どもだった「その子」は、心に曇りが生まれ、ある日飛べなくなってしまった。だから、地上に堕とされた……自らの代わりとなる子を一人、連れ去るために。 夏休みの始め、青森のボーイスカウトで、スナメリが座礁した熊本の海岸で、埼玉から繋ぐオンラインゲーム内で、悩める子どもたち3人に奇妙な出会いが訪れる。いなくなる子は、誰なのか。自由と不自由のあいだでもがく少年少女、それぞれの決意とは。 誰もが経験し、忘れてしまう、「あの頃」の怒りと光にいま向き合う。 意外なその結末にきっと涙する、仕掛けに満ちたひと夏の物語。 最後の2行に込められた意味を 理解できる「大人」でありたいと思いました。 ……青山美智子氏 人が生きる底の底から、子どもという存在を見詰めれば こんなにも不思議で美しく、残酷な物語が生まれる。 ……あさのあつこ氏 【編集担当からのおすすめ情報】 本作に顔を覗かせるのは、イギリスの名作「ピーター・パン」。 1人を「子どもの土地」へ連れ去るためにやってきた「その子」、 それぞれの出会いによって変化や成長をすることになる5人の子、 計6人の少年少女のひと夏を、 2022年に小説現代長編新人賞を受賞しデビューした新進気鋭の作家が描きます。 自分の中に閉じ込めてきた怒りや絶望、いつのまにか忘れていた煌めきや希望。 それらを怖いほど鮮やかに蘇らせてくれる1冊です。 「その子」は一体誰なのか?考えながらお楽しみください。
救いと慈愛に満ちあふれた、感涙医療小説 奈緒(40歳)はシングルマザーの看護師として涼介と寄り添い生きてきた。その涼介も高校生、進路を考える年齢に。そんな折、大きな転機が訪れる。敬愛する医師三上の誘いもあり、思い切って東京の緩和ケア病棟で働くこととなる。死を間近に見つめる毎日の中、その瞬間まで幸せに生ききり希望を持てる最期を模索し続ける奈緒。一方、涼介は強く大きい夢を抱く。それは奈緒の夢でもある。母子の夢の行方、そして三上と奈緒のこれからは・・・・・・。 緩和ケア病棟を舞台に、綿密な取材と著者自身の看護師経験に基づく圧倒的リアリティ、温かな視線で人々の生き様、死に様を丁寧に紡ぐ。懸命に生きるすべての人々に送られる慈愛のエールに癒やしの涙は必至です。 【編集担当からのおすすめ情報】 6年前他界した母は晩年情緒不安定でした。そんな母が本作の前身となる医療小説『満天のゴール』を読み終えて、穏やかな声で私に言いました。「この本を読んで、死ぬのが怖くなくなったわ。ありがとう」--「小説は人を救えるんだ」と心から実感した瞬間でした。 現役看護師として長年多くの看取りを経てきた藤岡さんが描く死は、温かく、そして尊い。本作品に貫かれている「死は決して敗北ではない。懸命に生き抜いた先のゴールとして幸せな死がある」という考え、想い。それは、この作品を読んだ誰の心にも微かな灯となると思うのです。そして、生きている「今」を希望に変えてくれる。この作品に出合えて、本当に私は幸せでした。 目次 1 朝凪 5 2 暗影 13 3 永訣 42 4 蛍火 96 5 星原 131 6 明星 159 7 秋空 180 8 涙雪 237 9 邂逅 270 10 決戦 302 11 積雪 321 12 満天 351
奥多摩湖の秘史を綴るノンフィクション小説 「一日にたった五時間しか日が当らない。僕はこの村に日蔭の村という名をつけているんです。大木の日蔭にある草が枯れて行くように小河内は発展する東京の犠牲になって枯れて行くのです。都会の日蔭になってしまうと村はもう駄目なんです」 昭和初頭、爆発的に増加する東京の水需要にこたえるべく、奥多摩の地にダムが計画された。住民たちは大局的見地に立って、立ち退きを了承したが、水没するエリアが二転三転し、そのうちに神奈川県から水利権をめぐる横やりもあって、なかなか話が進まない。 すぐに支払われるはずだった立退料も宙に浮き、養蚕などの生業を中断してしまっていた住民たちは、今日食べるものにも事欠く事態に陥っていた……。 観光名所として人気の奥多摩湖だが、その裏で当事者たちが味わったやりきれない思いを丁寧につづったノンフィクション小説。
スマホに支配された現代に通じる近未来物語 娯楽も、ニュースも、労働も、そして食事までもコンピュータシステム「イミジェックス」よって提供されている第八都市。イミジェックスから絶えずもたらされる情報に身を任せていれば、人々は幸せに人生を送ることができるーーと思わされていた。 イミジェックスによる洗脳は非常に効果的で、そこに存在しないものを“ある”と思わせたり、不都合な存在は見えないようにすることさえ可能にしていた。しかし、偶然にもイミジェックスのしがらみから逃れたラグ・サートは、コンピュータに支配される暮らしからの脱却を目指す革命団の一員と出会い、仲間に加わる決心をする。 打倒するべきはイミジェックスだけではなく、じつはその背後に“虫”の存在があった。ラグたちは限られたリソースのなかで、“虫”とイミジェックスを倒すすべを探っていくーー。 あたかもスマホに支配されてしまったかのような現代とオーバーラップする、眉村卓、渾身の長篇。