出版社 : 小学館
「下妻物語」から20年。気高き青春小説集 義足が可憐な乃梨子先輩を追いかけワンダーフォーゲル部に入った、筋金入りの可愛いもの好き男子・源治善悟郎は、乃梨子の親友で目つきの悪い里美先輩とすっかり意気投合。二人はクーデターを起こし「ピクニック部」を創部するが……。 礼節をもって、可愛く、爽やかに。卒業してもピクニック部の信念は色褪せない。 書き下ろし標題作他、『文学2024』(日本文藝家協会編)選出作品、フリマアプリを通じた友情を描く「ブサとジェジェ」、還暦でロリータに目覚める「こんにちはアルルカン」の全3編を収録。 押し通せ、自分自身を!この爽やかさが微塵もない世界で! 「下妻物語」から20年、気高き青春小説集。 【編集担当からのおすすめ情報】 「Jane Marple forever! この世界は、煌めきに満ちていたよ。」(「ブサとジェジェ」) 「可愛いって涙が出るものだったんだね。可愛いって胸が苦しくなるんだね。」(「こんにちはアルルカン」) 「可愛いを一杯、抱えておかないと、息苦しくて、こんな暴力的な世界に自分の居場所を見付けられないもの」(「ピクニック部」) 嶽本野ばらさんの小説が、約5年ぶりに刊行されます。 自分らしく着飾ることは、自分の人生を生きること……この世界を生き抜くための勇気や道標になってくれる言葉がぎゅうぎゅうに詰まった、バスケットのような一冊が完成しました。 20周年を迎え各地で盛り上がりを見せた「下妻物語」、映画化した「ハピネス」、「ユリイカ」での特集、畢生のエッセイ集『ロリータ・ファッション』の刊行と、まさに「野ばらちゃんイヤー」となった今年を締めくくるにふさわしい待望の青春小説集、ぜひご堪能ください。
最強勇者、死すーー リリスの父であり、かつて魔界に君臨した最強の大魔王サタン。 死んだはずの彼が復活を果たす。真偽も目的もわからぬまま、魔界と人界に戦争を仕掛け、瞬く間に掌握していく大魔王の軍勢。 それに対抗するべく、リリスは修行を開始し、アレンも自らの最強を証明するべく聖剣に秘められた真の力を解放する。しかし、最強勇者の力すら及ばぬほどの大魔王のチート級能力が二人を襲いーー。 アレンとリリスは最強最悪の魔王の野望を阻止し、世界征服の夢を実現することができるのか? 雇用系バトルファンタジー、神話級ラストバトルへ!
“海国日本”を夢見た志士の生涯 咸臨丸で太平洋往復を成し遂げた笠間藩士の息子・小野友五郎は、旗本・小栗忠順の後押しもあり順調に出世。ときの将軍家茂に謁見したほか、小笠原諸島の実測や、国産蒸気船の製造を主導するとともに、大型の国産船を建造すべく、横須賀製鉄所(造船所)の実現のために尽力していた。 続いて、幕府船の調達のために渡米していた友五郎は、帰国すると勘定奉行並に昇進。すべてが順風満帆に思われたが、将軍・慶喜の大政奉還、王政復古の発令で、忠順や友五郎の築き上げたものが音を立てて崩れはじめるーー。 幕府内部からの改革を推進してきた開明的技術官僚の生涯を、史実に基づきながら描き切った長編の完結編。
直木賞受賞作「ミミのこと」を含む名短篇集 病気や飢餓をともに乗り越えた戦友・朝日丸と〈ぼく〉。戦後、朝日丸は浪曲師として有名になり、11人の原爆孤児たちを引き取って新聞にも載るがーー。 「浪曲師朝日丸の話」と、耳が不自由で売春を生業としていたミミとの切ない純愛を描いた「ミミのこと」という第81回直木賞受賞作を中心に、夜の生活を拒否し、周囲にまったく気を使わない悪妻に嫌気がさして、かいがいしく世話を焼いてくれる女性との再婚を決意するが、その彼女が作った味噌汁の味に失望する「味噌汁に砂糖」、私小説的要素が強い表題作「香具師の旅」など、軽妙なタッチのなかにノスタルジーと深みを詰め込んだ珠玉の短編集。
親友が、シリアルキラーになった フリーライターの世良未散のもとに「女子中学生墜落死事件」の執筆依頼が入った。エロやお笑い記事を書きながら、いずれは社会派のルポをと願っていた未散には願ってもない仕事だ。 転落死した15歳の少女・清水萌香は、死亡時スマートフォンを所持しておらず、「あたしは一一七人に殺された」という遺書を残していた。周囲の人間の、萌香に対する評価もさまざまだ。深まる謎に翻弄されつつ書いた記事の「前編」が雑誌に掲載された日、未散のスマホに着信が入る。それは、高校時代、未散にフリーライターとしての基礎をもたらした、親友・古沢福子からだった。「記事、読んだぞ」「2-Aの神崎を思い出したよ」とだけ告げて電話は切れる。しかしその言葉は、萌香の抱えていた闇を明らかにするものだった。 事件の真相に迫る「後編」の記事は評判を呼び、未散はライターとしての知名度を上げる。しかしそれを福子に伝えることは叶わない。なぜなら、福子は4人の男女を殺害した容疑で指名手配中の身だからだ。どこにいるかも、連絡先もわからない。次第に、未散は福子からの電話を心待ちにするようになる。それが、前代未聞の事件の端緒になるとも知らずに……。 【編集担当からのおすすめ情報】 『死刑にいたる病』、「殺人依存症」シリーズ、「ホーンテッド・キャンパス」シリーズなど、ヒット作を次々に生み出す櫛木理宇さんの最新刊。 シリアルキラーとして追われる身となった親友との、ちょっと歪んだシスターフッド。その先に待ち構える、思いもよらない展開とは? 櫛木作品ファンも、初めて手に取る人にもおすすめな、ノンストップ・サスペンス!
吉田恵里香氏推薦!豪州発あの傑作の姉妹篇 「社会や環境、時に家族や出生時の性別が、ペギーの壁となり牙をむく。 弱き者にこそ味方となるべきものが敵となる社会で、どうしようもなく知識や学問に惹かれてしまうのは、これらが決して自分を裏切らないから。 それが、この物語が今の時代に必要である理由だと思う。」 ーー脚本家・吉田恵里香氏(連続テレビ小説『虎に翼』、アニメ『ぼっち・ざ・ろっく!』) 第一次世界大戦下の英国。オックスフォード大学出版局製本所で双子の妹とともに働く女工ペギーは、夜になると工場から密かに持ち帰った不良(ヤレ)本をむさぼるように読み、大学で学ぶことを夢見ていた。だが、労働階級の彼女にとって学問は決して手の届かない高嶺の花だ。 戦争は日に日に激化し、街にベルギー難民が押し寄せ、疫病が流行し、社会は変わっていく。ペギーは、障害のある妹への責任やベルギー負傷兵との恋に悩みながら、大学を目指すーー。 世界が恋した豪州発の傑作歴史小説『小さなことばたちの辞書』の姉妹篇が登場。前作同様オックスフォード大学出版局を舞台に、若く貧しい女工の挑戦、戦争と銃後のリアル、そして当時の製本工場を活写した紙の本への愛あふれる珠玉の物語。 【編集担当からのおすすめ情報】 本作はオーストラリア発のベストセラー小説『小さなことばたちの辞書』の姉妹篇です。前作では大辞典からこぼれ落ちた名も無き女性たちのことばを集めることに生涯を捧げた女性エズメが描かれましたが、本作では同じ時代のオックスフォード大学出版局を舞台に、製本所で働く女工ペギーの青春が描かれます。 幼い頃から父の勤める辞書編纂室に出入りしていたエズメとは異なり、両親はなく、運河に係留されたボートハウスに暮らし、製本所でも作業をしながらつい本を読んでしまい「あんたの仕事は製本することで、読むことじゃない」と叱られる労働階級のペギーは、そもそも学問へのアプローチすら許されない境遇にあります。 前作のキャラクターや同じエピソードも登場しますが、視点人物が異なることでこうも見え方が変わるのかと気づかされることもあります。そういう意味では、本作は『小さなことばたちの辞書』のサイドBの形を取りながら、「持たざる者」側を描いた作品とも言えます。他方でフェミニズム、シスターフッド、戦争といったテーマは前作からも引き継がれ、同様の感動を味わえる傑作小説となっています。 そして本作のもうひとつの大きな魅力は、何と言っても100年以上前の、ほぼすべてが手作業で行われていた製本工場の描写です。紙を折る、重ねる、縫い合わせるーー当時の製本工程が、著者の入念な取材によってリアルに再現され、製本に関わる全ての人々へのリスペクトと、紙の本への愛があふれています。 様々な魅力を持つ小説です。前作と合わせてぜひお楽しみください。
ジャンル、国境を越える豪華執筆陣の文芸誌 紙を愛してやまない《ヤギ》にちなんで名づけた、《Greatest Of All Time(=かつてない)》文芸誌が誕生! ジャンルや国境を越えて豪華執筆陣が集結しています。 ○特集「愛」 【小説】 西加奈子 小川哲 市川沙央 パク・ソルメ 島本理生 冲方丁 麻布競馬場 葉真中顕 芦沢央 チョン・ヨンス 長塚圭史 嶋津輝 戸田真琴 【対談】 Awich×細谷功 小池真理子×東出昌大 藤ヶ谷太輔×川村元気 【短歌】 朝吹真理子 小佐野彈 高瀬隼子 スケザネ 【 詩 】 最果タヒ 井戸川射子 大崎清夏 水沢なお 小原晩 青松輝 【哲学対話】 永井玲衣×『GOAT』編集部 【エッセイ】金原ひとみ アフロ(MOROHA) 塩谷舞 チョン・セラン 町田そのこ ワクサカソウヘイ 【インタビュー】 一穂ミチ ○『GOAT』×monogatary.com 文学賞 [選考委員長:加藤シゲアキ] 総応募数753作から大賞受賞作を誌上で発表! ○私の「GOAT本」 上白石萌音 けんご 斉藤壮馬 鳥飼茜 夏川草介 三宅香帆 ○出せなかった手紙 彩瀬まる 佐原ひかり ○短編小説 尾崎世界観 蝉谷めぐ実 安壇美緒 乗代雄介 八木詠美 大木亜希子 野崎まど 〇特集「読書バリアフリーをめぐる旅」 稲泉連 滝口悠生 その他、特大企画多数! 【編集担当からのおすすめ情報】 定価は「GOAT」(ゴート)の名にちなみ、510円(税込)。 読者プレゼントとして、野崎まど×GOATコラボの「ゴートくんブックエンド」も! 本書はアクセシビリティに配慮した本です。視覚障害・肢体不自由などの理由で必要とされる方に、本書のテキストデータを提供いたします。本書巻末よりお申し込みください。
現代社会に警鐘を鳴らす著者初の長編SF 「当社は現代科学の及ぶ範囲の事なら何でも致します。契約が成立しさえすれば、その日からあなたはやり直しの権利を持つのです。今すぐドリーム保険に入りましょう!」 合理主義一辺倒の会社に嫌気がさし、恋人も失ったシロタは、その胡散臭い広告の文句に全財産を賭けることにした。だが、それはエリダヌ人が仕掛けた罠で、彼は人体実験の対象にされてしまう。高度な科学力に圧倒されるシロタだが、やがてエリダヌ星も地球も滅亡の瀬戸際にいることを知り……。 豊かな精神性よりも、合理性や効率、利益を求める現代社会に疑問符を突き付ける、著者初の長編SF。
幕府船初の太平洋往復を成功に導いた男 --咸臨丸は蒸気を焚いて、午後三時三十分、浦賀を出航した。……しばらく木村も勝も甲板に立っていたが、風と揺れに耐えられなくなり、船室に降りていった。……友五郎と浜口が羅針盤をのぞいて針路を確認しあっているところへ、万次郎と福沢諭吉がやってきた。-- 数学や測量に造詣の深い笠間藩士の四男・小野友五郎は、開明的な旗本の子・小栗忠順と出会ったことをきっかけに、幕府の海軍伝習所に入所。やがて遣米使節団を乗せるポーハタン号に咸臨丸が随行することになった際は、その航海長として、幕府船初の太平洋往復を成功に導く。 勝海舟、福沢諭吉などの陰に隠れてスポットライトを浴びることのなかったテクノクラートに光を当てた大作の前編。
笑えて泣けてかっこいい青春学園ストーリー 「借金、100万円!?」 ある日突然、馴染みの焼き肉店「サンナムジャ」から“出世払い”で飲み食いしてきたツケを支払うように迫られたヤンキー高校生の春井戸貫太。 そんな貫太にいいアイデアを思いついたと伝えたのは同じく「サンナムジャ」の常連・殿上七海だった。貫太の高校で韓国語部の顧問を務める七海は、実は元K-POPアイドル。 七海はそんな自身の経験をいかし、貫太と韓国語部のメンバーでアイドルグループを組み、テレビ番組のコンテストで優勝し賞金を獲得しようと持ちかける。 しかし、貫太を含め韓国語部のメンバーは皆ひと癖もふた癖もある生徒ばかり。七海に巻き込まれ渋々歌とダンスの特訓を開始するが、もめないはずもなく……。 夢破れた大人と個性的な生徒たちの逆転劇、笑えて泣けてかっこいい青春学園ストーリー!
読んでるあなたも共犯者? 32歳無職、天草美晴は高額報酬につられ、ゴミ屋敷の掃除を引き受けた。チームを組んだ女性2人の挙動が明らかにおかしい。もしや強盗犯? と思うや、突如現れた謎の老人に投げ飛ばされる。目覚めた美晴は老人が、かつてキングメイカーとして恐れられた大物政治家であることに気づく。 「この国の未来のために、是非力を貸してほしい」 持ちかけられたのが、総理の孫・桐谷英俊を誘拐することだったーー。 世紀の大犯罪か、世直し一揆か。 映像化オファー殺到の最旬作家が放つ シン・誘拐ミステリ。 【編集担当からのおすすめ情報】 愉快!痛快!全開! いま最もキレッキレな作家の新作は、国家を盗むミステリです。世紀の大犯罪か、世直し一揆かーー。エンタメかと思いきや、痛烈な社会風刺もあり…この国の迷える宰相にもぜひ読んでもらいたい一冊です。 === 本書は、アクセシビリティに配慮した本です。視覚障害・肢体不自由などの理由で必要とされる方に、本書のテキストデータを提供いたします。本書巻末よりお申し込みください。 ===
プロポーズの翌日、恋人が盗撮で捕まった。 カメラマンの新夏は啓久と交際5年。東京駅の前でプロポーズしてくれた翌日、啓久が通勤中に女子高生を盗撮したことで、ふたりの関係は一変する。「二度としない」と誓う啓久とやり直せるか、葛藤する新夏。啓久が”出来心”で犯した罪は周囲の人々を巻き込み、思わぬ波紋を巻き起こしていく。 信じるとは、許すとは、愛するとは。 男と女の欲望のブラックボックスに迫る、 著者新境地となる恋愛小説。 わたしの心と体を通ってきた、無数の、犯罪の名前が付かないたくさんの傷のことを考えた。苦しかった。読めてよかった。 ーー高瀬隼子(作家) 僕はこの物語を、生涯忘れることはありません。 ーーけんご(小説紹介クリエイター) 女性が置かれている地獄のある側面が突きつけられる。 ーースケザネ(書評家) 【編集担当からのおすすめ情報】 第171回直木賞受賞(『ツミデミック』光文社刊)後、第一作。 全国の書店から過去最大級の反響が殺到し、発売即大重版! 自分だったらどうするだろう? 答えの出ない問いかけを、 何度も何度も繰り返して書きました。 ーー一穂ミチ
刺繍に秘められた魔法の力が幸せを紡ぐ 氷の伯爵に「キスで魔力をください」なんて言えません!? 契約結婚から互いを想い合うようになったサラとアレクシス。けれど大伯母マーガレットに新たな呪いが襲いかかる。 サラたちは呪いを解くため、伯爵家と因縁を持つ、森深くの魔女の隠れ里へ。だけどサラの《解呪》の魔法修得は難航。キスで魔力譲渡ができると聞いたけど、「白い結婚」継続中で氷の伯爵にそんなこと頼めません! その上、魔女の頭領エヴァンもサラに近づいてきて……。 全ての解決の糸口は、サラの刺繍に秘められた魔法と愛の力ーー 契約結婚からはじまる幸せな刺繍生活、第二幕。
著者23年ぶりの書き下ろし長篇恋愛小説 綾「私は初めて会った16年前から涼さんを愛し続けている」。涼「僕にかかわった者は、みんな死んでしまう。女も男も。僕が綾を愛しすぎているせいで」-- 音村綾(旧姓・上里)は30代半ば。現在は信州でペンション経営兼漫画家として活躍。夫・子ども・母と四人で暮している。 祥川涼。画家。40代後半。妻を失い、その後同棲していた女性とも別れ、現在は酒浸りの日々を送っている。 冒頭の「現在」では、綾のコミック発売記念サイン会のシーンの衝撃的事件から始まり、「1年前」「4年前」「8年前」「10年前」「12年前」「14年前」、そして二人が出会った「16年前」へと時をさかのぼり「現在」に戻る。謎とサスペンス、そしてストーカー小説の雰囲気も交えた〈究極の恋愛小説〉である。 この作品は、2001年に刊行された『もう切るわ』以来、23年ぶりの「書き下ろし」長篇!
独特の観察眼で心模様を描いた恋愛短編集 ジャルジャル福徳秀介の独特の観察眼で恋模様を描いた、きらめく万華鏡のような短編集。書き下ろしを含む全24話を収録。 読売中高生新聞での連載中、「福徳さん、私の学生時代に隣にいた?」などと読者から驚きと共感の声が多数寄せられるほど、10代の恋の微細な感情を照らし出してきた作品を収録しています。また、大学生から社会人の恋愛の機微を描いた作品や、大人になってからあの頃の恋煩いを振り返る作品など、様々な角度で恋する人の心模様に光を当てていく、万華鏡のような短編集です。 巻末には各話への著者あとがきもついており、読み応えもたっぷりです。 【編集担当からのおすすめ情報】 ジャルジャル福徳さんの描く物語は、なぜこんなにおもしろいのか。 どこかで感じてはいるけれど言語化されない心情と、日常のあるあるだけど見逃しがちな情景を、巧みに結びつけて物語にして見せてくれるからだろうか。短い文章ながら心の深いところに触れてくるからだろうか。この不思議な感覚をぜひ味わっていただきたいです。 十秒先の未来に ソフトクリームの置物 大好きと好き 耳たぷ 杖を持つ人がいないと杖は立たない キスヒーロー 父さん、母さんには内緒だよ 理由な彼女 作られた笑顔 寝転ぶ影 恋の教訓 大雑把な過酷 恋の非行行為 幸せな答え合わせ こんなオレとあんなマヨ 暑い廊下のせいで 美人 近づきたいのか、近づいてきて欲しいのか 私のことなんか言ってた? じょうろが不安定な<デンジャーな日> 飛行機雲を見る僕を見る君 赤いパーカの女 原宿を歩いていたらこうなった おもしろい女友達 あとがき
丸谷才一が問いかける「国家とは何か?」 日本でスーパーマーケットを経営しつつ、台湾の独立を目指す団体の代表を務める洪が、突然仲間を裏切り、台湾に戻ったという。友人の画商・梨田はその理由を探ろうとするが、確たる事情はつかめない。そんななか、洪の日本人妻が、衝撃的な話をもってきて……。 「民衆が、民衆を、民衆のために統治する民主主義は、結局のところ大衆社会といふものにゆきついてしまふでせう。大衆社会とは、一言で言へば、あくどい娯楽を民衆が待ち望んでゐる社会です」 「国家といふのは無目的に存在してるものなんでせう……株式会社なら、株主の委託を受けて利益をあげるといふ目的があるでせう。しかし国家にはそんなはつきりした目的、ないんぢやないでせうか」 洪と対立する中華民国の高官、梨田の元上官、無政府主義者のスーパーマーケット店長などさまざまな背景を持つ人が「国家論」をぶつけ合う。 圧倒的な筆力で綴られた長編の完結編。
人気の大寺さんもの2篇を含む秀作短篇集 〈--へえ、空襲だと云ふのに、暢気な奴もゐるものだ……。 一平叔父の指す方を見ると、土堤の下の石の上に立つて釣をしてゐる男がゐる。大寺さんは苦笑した。大寺さんもだが、一平叔父も着流しの儘で土堤の上に立つてゐる。 ーーわれわれも、暢気ぢやないとは云へませんね。〉 戦時中、疎開先でののんきな代用教員生活を描いた「古い編上靴」と、戦後、妻が亡くなってから、再婚と娘の結婚までを淡々とつづった「銀色の鈴」という、ファンのあいだで評価の高い「大寺さんもの」2篇に加え、子どものころによく訪ねた伯母の家のあれこれを記した「小径」、戦争で亡くなってしまった友人をしのぶ「昔の仲間」など、7篇の秀作を収録。
堂々たる「敗者」たちの、知られざる物語。 三条大橋、養浩館、江戸城、横須賀造船所、碧血碑。 現代にも残る所縁の地に宿る、堂々たる「歴史の敗者」たちの、知られざる物語。 時代を超え、魂震わす傑作小説集。 「総司、三条大橋で京娘と恋をしてこい」 近藤勇の命を受けた沖田は医師の娘と逢瀬を重ねるも、任務の真の目的を前に恋と大義の間で揺れ動く(「七分咲き」)。 「されば、御免!」 福井藩主・松平慶永との初引見で、突如池に飛び込んだ藩士こそ橋本左内。夭折の志士が、養浩館に残した秘密とは(「蛟竜逝キテ」)。 「これは女子(おなご)の戦いであらしゃいます!」 政略結婚のため江戸城に入った和宮。大奥は京風と武家風で激しく対立するも、和宮自身は夫の徳川家茂、そして義母の天璋院篤姫に惹かれていく(「おいやさま」)。 「日本人が、私の期待に応えられるか否かは知らないがね」 立身出世の野望を胸に横須賀へ来た、若きフランス人技師ヴェルニー。一本のネジを後生大事に持ち歩く風変わりなサムライ・小栗上野介との友情の行方は(「セ・シ・ボン」)。 「赤神氏は、隠れた人生の機微を「敗者」の歴史から掘り起こす天才だ」榎木孝明氏(俳優) 【編集担当からのおすすめ情報】 『はぐれ鴉』で大藪春彦賞を受賞した赤神諒氏が一話一話丁寧に描き切った、渾身の幕末小説集。 第二話、福井の養浩館を舞台にした「蛟竜逝キテ」は錚々たる編纂委員による『時代小説ザ・ベスト 2024』(日本文藝家協会・編)にも選出されています。 担当者のイチ推しは、第三話「おいやさま」。 大奥でのバトルをこわごわと面白がっているうちに、「いやや」が口癖だった和宮の成長や、徳川家茂とのふれあい、江戸城が危機に陥ったときの天璋院との女の友情に、胸を熱くし、思わず涙しながら編集作業をしていました。 現代にも残る全国の名所を舞台にしているので、本書を持って足を運んでみるのも楽しいかもしれません。 第一話 七分咲き (三条大橋・沖田総司) 第二話 蛟竜逝キテ (養浩館・橋本左内) 第三話 おいやさま (江戸城・和宮) 第四話 セ・シ・ボン (横須賀造船所・ フランソワ・レオンス・ヴェルニー) 結び 函館誄歌 (碧血碑・柳川熊吉)
何歳でも人生はやり直せる!ハートフル小説 銀治は、定年退職後に妻から離婚を言い渡され、孤独で怠惰な日々を送っていた。暇を持て余し、シルバー人材センターからの様々な仕事を担っている。ある時、保育園の草むしりの仕事が入り、担当することに。銀治は、人と接すること、特に女性と子どもは大の苦手。渋々保育園に向かうが、次々に巻き起こるハプニングに対応し、その活躍が認められた銀治は、熱烈なリクエストによりそのまま嘱託職員となるはめに。 当初は銀治を怖がっていた子どもたちもだんだん慣れてなつくようになり、人付き合いが苦手な銀治も徐々に保育士たちとも打ち解けていく。日々、子どもや周囲の人たちと接するなかで、孤独だった銀治の心には少しずつ変化が。そんなある日、定年退職後に離婚し離れて暮らす娘について、衝撃の事実を知るーー。そして銀治は、自分自身が蔑ろにしてきた「本当に大切なこと」に向き合うようになっていく。長い間蓋をしていた感情が蘇り、前向きに変わっていく銀治。勇気を振り絞って行動することや、あきらめないことの大切さ、いくつになっても後悔は取り戻せるということ・・・・・・。人生に大切なたくさんのことを笑いと共に教えてくれる、人生応援小説。 【編集担当からのおすすめ情報】 この小説は、タイトルから想像つく方もいらっしゃるかもしれませんが、松平健さんを当て書きして執筆された、渾身の書き下ろし小説となります。松平健さんと著者は以前、著者の作品がドラマ化された『PTAグランパ!』以来の仲。今回の作品もいち早く読んでくださり、「「感動した!生きる勇気をもらった。みんなで読み明かそう。オーレ!」という素敵な応援コメントをいただきました。その温かくて人間味のある主人公と、笑いあり涙ありの筆致でぐいぐいと読者を引っ張ります。 それだけではありません。特筆すべきはこの小説の保育園、療育園やそこに通う児童たちの様子、リアリティ。それもそのはず。著者は、この作品のために療育園、保育園で実際に嘱託職員として働きました。 著者の本気がいっぱい詰まった本作品。 人生は何歳からでもやり直せる。そんな重くなりがちなテーマを、笑いあり、ホロリありの軽妙な筆致で綴ります。読後、必ず元気になれる一冊です。 目次 夏 秋 冬 春
『正欲』から3年半ぶりとなる最新長篇 とある家電メーカー総務部勤務の尚成は、同僚と二個体で新宿の量販店に来ています。 体組成計を買うためーーではなく、寿命を効率よく消費するために。 この本は、そんなヒトのオス個体に宿る◯◯目線の、おそらく誰も読んだことのない文字列の集積です。 【編集担当からのおすすめ情報】 <著者プロフィール> 朝井リョウ(あさい・りょう) 1989年、岐阜県生まれ。小説家。 2009年、『桐島、部活やめるってよ』で第22回小説すばる新人賞を受賞しデビュー。2013年、『何者』で第148回直木賞、2014年、『世界地図の下書き』で第29回坪田譲治文学賞、2021年、『正欲』で第34回柴田錬三郎賞を受賞。 その他の著書に『少女は卒業しない』、『世にも奇妙な君物語』、『死にがいを求めて生きているの』、『スター』など。