出版社 : 小学館
その少女の歌を、聴いてはいけないー。神奈川県警少年捜査課の高尾が謎の高校生「オズヌ」と難事件に挑む!神奈川県内で薬物売買や売春などの少年犯罪が急増。一連の事件を洗い始めると、「ミサキ」と呼ばれるカリスマ的人気の女性ボーカルが浮かび上がってきた…!?
すぐには、死ねないぜ。 窃盗の罪で横浜刑務所横須賀刑務支所に収監されていた利根太作は、身柄引受人の保護司が見つかったことで仮釈放された。社会復帰後は、保護司の娘・小海友紀が営む辻堂のレストランを住み込みで手伝うことになる。 友紀の同居人である阿久津晴也は、窓際警官“ごんぞう”として鳩裏交番に勤務する傍ら、立件しづらい家庭内暴力や性虐待の加害者を、“毒”をもって殺さず粛清していた。利根が見込まれたのも、窃盗のスキルを期待してのことだったのだ。 「盛り盛りの毒が全開!」 ーー相場英雄氏(作家) 「現代の黙示録」 『震える牛』の著者が震えに震えた 危険極まりない悪童警察小説! 【編集担当からのおすすめ情報】 ●本書に登場する毒 ドクゼリ、トリカブト、ベラドンナ、チオペンタール、ローレルジンチョウゲ、ギンピーギンピー、マンチニール、アセビ、アヤメ、オシロイバナ、イラクサ、ボツリヌスキシン……
「私にとっては、霧島家の貧寒で乱雑な空気だけが身を置くべき場所となっていた。泥水の中でなければ落ちついて棲むことのできないある種の魚たちのように…」大学生の“私”は、学校にも学友ともなじめず、下宿していた叔父一家ともしっくりいかずに、貸間と貼り紙のあった霧島家の6畳間を借りることになった。ところがその主人・嘉門は自分勝手な暴れ者で、幼いふたりの子を抱えたクリスチャンの妻・まつ子を泣かせてばかり。しかし“私”はなぜか嘉門を嫌いになれずー。原節子出演で映画化もされたベストセラー作品。旧制高校の同窓会を通じて、戦後の現実をシニカルに描いた「アルト・ハイデルベルヒ」を併録。
著者の青春の軌跡を辿る短編集 「遠き地平」は、老境を迎えた著者が、ふとした拍子に思い出す若き日の一シーンを、臨場感たっぷりに描いた自伝的連作小説。 樺太で経験した“強制労働”、思想容疑者として満州に逃避行した話、満州での会社員生活、出征中に妻子が戦災で亡くなったことなど、いずれも味わい深い9篇の短編で構成されている。 また、満州で働いた経験から書かれた「劉広福」は、出征先の中国で芥川賞受賞の知らせを受けた秀作で、周囲から馬鹿にされていた一人の満州人が奇跡を起こす痛快な物語。
個性的なお姉さん、増えました。 魔王軍のヒモとしての生活にも慣れ、勇者レインは充実した毎日を過ごしていた。 キャンプやパジャマパーティー、海水浴、エレノアとの2人きりのデート。 人類を守るため、英雄として必死に戦っていた頃では考えられないほどに、穏やかな日常。 しかし、あらたな7人組も加わり、トラブルに次ぐトラブルが発生する。極めつけには、聖剣ミカが美少女の姿に変身してしまい……!? 勇者のことが大好きな魔王軍のお姉さんたちと送る、異世界系ヒモライフ第二弾!
魔王ルシファー降臨。 城塞都市グランデンで巻き起こった大規模な戦闘は、テオドールらの活躍によって収まるかに思えた。 だが、城塞都市の西方付近の上空に生じた次元の裂け目から現れた不気味な化け物たちと巨大な繭がさらなる混乱を生む。 いち早く現場に駆けつけていたクラリス率いる小と、異変を察知して竜王国から侵入してきた竜騎兵たちは化け物たちを相手取って一時的に共闘を果たすが、 突如、空から落下してきて巨大な繭が事態を一変させることになる。 城塞都市での戦闘を終わらせた大英雄デュラス将軍が愛馬とともにクラリスたちのもとへ駆けつけると、目の前には凄惨な光景が広がっていた。 一方、街中での後処理をしていたテオドールもまた次元の裂け目から現れた存在の気配を察し、愕然とする。 それは遥かな昔、自分たちの前から忽然と姿を消したサタンのものだった。 すべてを顧みずかつての盟友のもとへと駆けつけたテオドールは、暴れる盟友を鎮めるため、デュラス将軍の目の前にもかかわらず、ついに真の姿を曝け出すーー。
『江花病院』に長期入院している閉じ込め症候群の女性患者・岸部愛華が深夜に体調を崩した。当直中の産婦人科医・水瀬真理亜が診察すると、愛華は妊娠していた。寝たきりの愛華は誰に妊娠させられたのか?病院は騒然となり、事件はマスコミに報道されて批判の嵐が巻き起こる。真理亜は真相を探るべく、話すことができない愛華のまばたきを通して彼女の“声”を聞くがー!?
民主化とは、戦後とは何かーを問う意欲作。GHQの「民主化」政策により左翼運動は盛り上がりを見せるが、戦前から和平工作に携わっていた石射康子には、その盛り上がりが、かつて日本が戦争に突入したときの高揚感と重なって見えてしまうー。1945年10月10日、釈放された共産主義者を迎える式典「出獄自由戦士歓迎人民大会」が開かれた朝から、1947年の二・一ゼネストが頓挫するまでの生々しい「戦後」の現実を、元国策通信社の管理職とそのスタッフ、元特攻隊員、元特高警察らの視点で描く。戦争末期のカオス状態を見事に活写した『記念碑』の続編。
高名な詩人の父が亡くなると、利に敏く目端の利く叔父や、その姉妹たちに虐げられ、財産を奪われてしまった嫩(ふたば)。真面目そうな古賀和夫との結婚で、安アパート住まいながらも平穏な暮らしが始まると思っていたが、生まれや肉体的特徴などに深いコンプレックスを持つ夫とのあいだには、次第に亀裂が生じていく。子どもが生まれ、小さな家を建てることができたものの、お互いの心は離れていく一方でー。詩人・萩原朔太郎の長女・葉子の実体験から書かれた自伝的小説で、「蕁麻の家」の続編。
二度のSPドラマ化で熱狂!「教場」最新作 ●第1話 硝薬の裁き 益野紳佑の妻才佳は、半年前、車にはねられ亡くなった。事故の唯一の目撃者は娘の麗馨だった。警察は幼い麗馨の証言を採用せず、犯人とされた男は不起訴となっていた。 ●第2話 妄信の果て 大学四年生の戸森研策は、地元新聞社から内定を得た。ゼミ論文の単位が取得できれば卒業も確定する。前途洋々の戸森のもとへ、担当教授から突然の連絡が入る。 ●第3話 橋上の残影 経理事務の仕事をしている篠木瑤子は、十年前に恋人を自死により失っている。その死の原因となった男は刑期を終え、娑婆でのうのうと暮らしていた。 ●第4話 孤独の胎衣 短大生の萱場千寿留は工芸家の浦真幹夫と関係を持ち、妊娠した。浦真は中絶費用を渡し、海外に旅立ったが、千寿留は新しい生命の誕生を待ちわびていた。 ●第5話 闇中の白霧 名越研弥は、闇サイト経由で違法な薬物や商品を仕入れ、莫大な冨を得た。そろそろ足を洗いたいのだが、相棒の小田島澄葉を説得できずにいた。 ●第6話 仏罰の報い 著名な有機化学者である清家総一郎は実験中の事故で両目に劇薬を浴び、一線を退いた。隠棲生活を送る清家の悩みの種は、娘・紗季の夫の素行だった。 【編集担当からのおすすめ情報】 二度のスペシャルドラマ化で 日本中を熱狂させた 「教場」シリーズ最新作にして最高傑作! 「捜査では、犯人のみならず刑事も追い詰められる。導きと成長の物語をぜひご堪能あれ」--長岡弘樹 犯人(ホシ)を落とせないなら、 警察学校からやり直せ。
夏の夜、若い男が鉄道の高架から転落し、猛スピードで走る車に衝突した。自殺か、他殺か。戸惑う所轄署の刑事課長は、飲み仲間である検事・久我周平に手助けしてほしいと相談を持ちかける。自殺の線で遺書探しに専念するが、このセールスマンの周辺には灰色の影がちらついた。ペーパーカンパニーを利用した輸入外車取引、ロッカーから見つかった麻薬と現金ー死んだ男は何者なのか。交番巡査、新人の女性検事とともに真相に迫る。心に泌みる本格検察ミステリー。第3回警察小説大賞受賞作。
古代種ウロボロスを倒したことで、精霊界にしばし滞在することになった最強の運び屋、アクセル。そんな彼に、精霊界の精霊ギルドマスターから依頼が来る。この都市を治める姫の命を助けてほしいと。そして、その為には『神の試練』を乗り越える必要があるらしい。精霊界の者にとっては、非常に困難なものである『神の試練』。しかし、アクセルは試練を軽々と乗り越えていく!最強の運び屋、異なる世界でも頼られまくる!元竜騎士の最強運び屋が駆け抜ける、トランスポーターファンタジー第6弾!
映画「いのちの停車場」著者、最新作! 二子玉川グレース病院で看護師として働く堤素野子は、31歳になり今後のキャリアについても悩みながら忙しい日々を過ごしていた。患者に感謝されるより罵られることの方が多い職場で、休日も気が休まらない過酷なシフトをこなすが、整形外科医である恋人・翔平と束の間の時間を分かち合うことでどうにかやり過ごしていた。 あるとき素野子は休憩室のPCで、看護師と思われる「天使ダカラ」という名のツイッターアカウントを見つける。そこにはプロとして決して口にしてはならないはずの、看護師たちの本音が赤裸々に投稿されていて……。心身ともに追い詰められていく看護師たちが、行き着いた果ての景色とは。 映画「いのちの停車場」やNHK連続ドラマ「ディア・ペイシェント」など、数々の話題作を送り出してきた、現役医師でもある著者の最新作!終末期の患者が多く入院する病棟で働く女性看護師の目を通して、医療現場の現実や限界をリアルに描いたエンタメ長編! 患者さんに、最期まで笑顔でいてほしいからーー 【編集担当からのおすすめ情報】 推薦コメントも続々届いています! 「過酷な看護の現場に光を当てる緻密で鮮烈なカルテです」 ーー夏川草介(医師・作家) 「人の死を最も間近で見る仕事、それはナース。読んでいて叫びたくなる。切ないのに、ページをめくる手が止まらない」 ーー中山祐次郎(外科医・作家) 「生々しいまでに看護師の苦しさが伝わってきました。読み終えればわかります。この作品は医療従事者へのエールです」 ーー大塚篤司(近畿大学医学部皮膚科主任教授)
太平洋戦争のさなかに書かれた一家族の物語 「中隊長殿……いっぱい、いかがでありますか」伸太郎は腰の瓢箪をとった。微笑をふくんでさしだした。別盃のつもりであった。 「ありがとう」礼三はうけとって、瓢箪に口をつけたーー。 とある商家・高木家の三代目・伸太郎は、初代・友之丞から受け継いだ乃木希典の赤瓢箪を懐に、中国戦線からフィリピンへと転戦。そこへ偶然にも養子に出ていた実弟の礼三が上官として赴任してくる。久しぶりの再会を喜び合う二人だが、間もなく米軍との戦闘は激しさを増していき……。 自らの戦争体験や従軍作家としての経験を生かして、末端の兵士の姿を活写した戦争文学の極致。
1986年以降に発表された10作品を収録する“無頼派作家”最晩年の短編小説集。作者以上の無頼派である棋士・芹沢博文との交流と最期を綴った「男の花道」、中年男が嫁探しをする悲喜劇「男の十字路」、あるいは亡くなり、あるいは落ちぶれてしまったかつてのギャンブル仲間の姿を描いた「男の旅路」、無口だが芯のある男らしい男を描出した遺作「オールドボーイ」といった“男シリーズ”のほか、単行本未収録作品である「赤い靴」「青年」「蜘蛛太夫」「道路の虹」などをまとめた、色川ファン垂涎の一冊。
童話×ミステリ!容疑者は、シンデレラ!? 幼い頃に父親を亡くし、継母や義理の姉たちとともに暮らすシンデレラ。 ある日、シンデレラは怪しい魔法使いに「ガラスの靴」を渡され、言葉巧みに王城で開かれる舞踏会へと誘われる。 お城に到着するやいなや、美しいシンデレラはさっそく王子様の目にとまる。「ガラスの靴では踊りにくかろう」と王子様から靴を借り、シンデレラは王子様とダンスを踊る。 ダンスが終わり、ガラスの靴を返してもらうため王子様の私室へと赴くシンデレラ。 しかし、いくら待てども王子様が姿を見せない。心配になったシンデレラが部屋の奥へと顔を出すと、先ほどまで生きていたはずの王子様が死体となって横たわっていた。 そして、入れ違いで部屋にやってきた兵士によって、シンデレラは王子様殺しの現行犯として捕まってしまいーー。 前代未聞の王子様殺し。その容疑者は、シンデレラ!? 自身の無実を証明するため、シンデレラが真犯人に“推理”で挑む。魔法と謎が共鳴する、超本格ファンタジーミステリ!
誰かの“特別”でありたいすべての人へ 画家である父のモデルをしている、小学5年生の亜耶は、常に自らの美意識と神秘性に特別なものを感じていた。そんな彼女は相棒の彩といつも行動を共にしていた。歳を重ねるにつれ、次第に自分に宿る神秘性が損なわれていっていると焦りを感じるようになる亜耶。11歳の誕生日を迎えた当日、その感覚はより一層強くなっていく。学校に大勢いるただの凡人になり下がりたくないと、彩と共に「特別な」何かをしようと決意。いつもと少し違う日常を模索する。亜耶たちの前に、「学校にナイフを持ってきた」と騒ぐ男子が。そこに着想を得た相棒の彩が、「ナイフがほしい」と言い始め……。 渡辺優だからこそ描ける少女の心の深い闇。大人と子供の狭間で複雑に揺れる十代のリアルを鋭く紡ぎ出す! 【編集担当からのおすすめ情報】 自分に自信がない、でも、誰か一人でもいいから自分を特別だと思ってほしい……。大人でも折り合いをつけるのが難しいこの気持ちを、小学生で抱えてしまった女の子が主人公です。彼女の切実さ、そしてその先の結末をぜひ見届けてください。
漫才師が挑む笑いと涙と戦慄の起死回生物語 崖っぷちの中堅漫才コンビ、リンゴサーカスのボケ担当、加瀬凛太は、冬の寒空の下、絶望していた。年末の漫才日本一を決めるKOM(キングオブ漫才の略)敗者復活戦で敗れ、決勝進出の一縷の望みを絶たれてしまったのだ。 おまけに相方は、今年ダメなら実家の生業を継ぐと公言していたため、コンビも解散となった。 なんとかして漫才を続けたかった凛太の前に、先輩KOM王者からある情報が寄せられる。死神の異名を取る謎の作家ラリーがコーチに付けば、KOM優勝も可能だ。事実、自分もそうして王者になれた、というものだった。半信半疑でラリーの元を訪れた凛太は、来年決勝に残れなければ芸人を辞めろ、と告げられる。
パリの片隅に日本人留学生の集まるアパート「達磨館」があった。そのヌシ的存在である松岡範平は国粋主義的人物で、隣の部屋に住む中上川亘は国際主義者。範平に義理がある中上川は波風立てないようにしているが、自分の考えを押しつけようとする範平には辟易していた。そんなある日、中上川が川に身を投げようとしていた若いフランス人女性を助けてきて同棲を始めてしまう。夜な夜な漏れてくる甘美な物音に、範平の怒りは頂点に達するがー。1920年代にパリに留学した経験から書かれた「達磨町七番地」のほか、映画化もされた二人の若者の悲喜劇「青空部隊」、デパートの女性店員たちの恋愛模様を描いた「青春売場日記」など、戦前に書かれた5作品を収録。