出版社 : 小学館
モンスターを生む人類の脅威・ダンジョン。その破壊を専門にする最強の探索者ー“迷宮殺し”のレクトはある日、国から一方的に探索者の資格を剥奪されてしまう。そんな中、ダンジョン教習所の教官にと誘われ、レクトは次世代を担う探索者を自ら育てることに。しかし、ダンジョンでは最強のレクトも、教室では生徒たちの指導に悪戦苦闘する。一方、天敵不在でダンジョンが活性化し、生徒の一人である公爵家のお嬢様・アリスにも陰謀の影が迫る。レクトは生徒を守ることができるのか!?規格外の力を持った英雄による前代未聞の授業開始!!
希代の詐話師が2軒の浴場をきりきり舞いに クルマに当て逃げされた自称“松平”陣太郎は、その犯人を捜す過程で三吉湯の主人・猿沢三吉には大学生の愛人がおり、小説家・加納明治が当て逃げ犯だったことを知る。一方、三吉湯に押され、捲土重来を期す泉湯の長男と三吉湯の長女は恋仲だった。 こうした人間関係を利用し、巧みな弁舌で脅したり焚きつけたりして利益を得ていた陣太郎を、当て逃げの現場を目撃した浅利圭介は「君がそこらをうろちょろすると、その度に、そこらに波紋がおこって、あぶなくて仕様がない。まるで君は春先のつむじ風みたいだ」と評する。 はたして、三吉湯と泉湯の争いの行方は? 陣太郎の正体は? 名作ユーモア小説の完結編。
元女性教師と教え子の恋の結末はーー。 「わたしはね、善ちゃんのお嫁さんになりたかったんだ、これでも」 女学校を出たばかりの教師・伸予は、教え子で中学三年生の善吉に恋心を抱いていた。卒業後は交流が途絶え、伸予は許嫁との結婚と死別を経験し、最近は趣味に没頭する日々を送っていたが、教師仲間からの情報で善吉の消息を知り、再会を果たす。 中年になってなお、少女のような純粋さを保っている伸予と、どこか冷めた雰囲気を漂わせている善吉。二度目の逢瀬でついにふたりは結ばれるがーー。 第79回芥川賞を受賞した表題作のほか、第37回文學界新人賞受賞作「ぽぷらと軍神」、「清吉の暦」の全三編を収録。
ロメリア二十騎士団、難攻不落の要塞へ。 アンリ王の死から二年ーー。 人類最強国と目されるヒューリオン王国の号令により、打倒魔王軍を掲げた連合軍が結成された。 連合軍には連合の盟主であるヒューリオン王国を筆頭に、フルグスク帝国とホヴォス連邦、ヘイレント王国にハメイル王国という名だたる列強国が参加を表明する。 ライオネル王国も連合軍に加わり、聖女となったロメリアが「ロメリア二十騎士」を率いて、魔王軍に支配された難攻不落のガンガルガ要塞攻略に挑む。 だが、一致団結したはずの連合軍では、保身と打算、歴史的な因縁からくる対抗心、そして手柄の奪い合いが横行して足並みが揃わない。 さらに連合各国は、ロメリアのことを成り上がりで聖女になった女と見下しており、全く相手にしない。連合各国は代表として、王子や王女も参陣させているが、各国の王族達もロメリアとは一定の距離を置いている状況だ。 しかしロメリアは逆風を気にもせず、自ら考えた秘策でガンガルガ要塞の攻略に挑む。 一方魔王軍の本拠地ローバーンでは、二年前に起きたセメド荒野の戦いを生き延びた魔王軍特別参謀のギャミが、打倒人類連合軍のために策謀を開始する。 ここにロメリアの新たな戦いが始まる。
総理官邸と電力開発会社、建設会社が描いた巨大ダム建設をめぐる錬金の仕組みは、入札時にリーズナブルな額を提示した業者を失格させることで完成。突出して高い額を入札した竹田建設が請け負うことになった。その結果、官邸には巨額のカネが献金という名目で還流し、関係者らは歓喜の声を上げたが、突然総理が病に倒れてしまい、歯車は逆回転を始める。無頼派の国会議員・神谷直吉は、政財界の裏情報を握る石原参吉、政治新聞社の古垣常太郎の協力を得て、国会の場で不正を暴こうとするが…。実際の事件を題材として社会派作家・石川達三が描いた名作の完結編。
金の亡者たちの滑稽な争いを描いた傑作 クルマに跳ね飛ばされたらしい、ちょっと変わった青年・松平陣太郎を自宅に連れ帰った浅利圭介。失業中で妻から尻を叩かれっぱなしの圭介は、目撃したナンバープレートを手掛かりに一発逆転を狙っていた。しかし、ボーっとしていると思われた陣太郎が意外としたたかで、徳川家の末裔を名乗り、賠償金を巡る工作の主導権を握りはじめる。 加害者として浮上したのは、公衆浴場の主人と流行作家の2名。そこに浴場同士の争いや作家の美人秘書、浴場主人の愛人らが絡んできて……。 渥美清主演で映画化もされたユーモア小説の前編。
忠死よりも全生を大切にした悲姫の物語。 時は江戸時代、元禄年間。 広島三次藩から播磨赤穂藩の浅野内匠頭に輿入れした阿久利は呆然としていた。 内匠頭が江戸城中松の廊下で、勅使饗応の指南役である高家筆頭・吉良上野介へ刃傷に及び、切腹となったのだ。 国を失った藩士たちは、生き残った吉良にはお咎めなしという将軍徳川綱吉の裁きに抗議すべく、籠城討ち死に、もしくは全員切腹と、真っ二つに割れていた。 さらに、主君の無念を晴らすべく、堀部安兵衛を筆頭に、仇討ちを志す者たちも現れる。 一方、夫の遺言もあって、仇討ちも籠城も、切腹も望んでいない阿久利(瑤泉院)は、忠死を覚悟する浪士たちを思い止まらせようと、綱吉の生母桂昌院へ御家再興の嘆願をはじめる。 国家老だった大石内蔵助も、赤穂遠林寺の僧祐海を通じて、周旋を図る。 だが、阿久利と内蔵助の努力も虚しく、御家再興はならず、吉良邸に討ち入る浪士たち。 吉良の首級を挙げた「義士」たちの助命を乞うべく、阿久利は再び力を尽くすが……。 広島県三次市出身の大人気時代小説作家が筆を揮う、新しい「忠臣蔵」! 【編集担当からのおすすめ情報】 話題沸騰のシリーズ「浪人若さま新見左近」「公家武者信平」「春風同心十手日記」で、盤石の人気を誇る時代小説作家が描く、広島三次藩の「忠臣蔵」です!
大阪で独りカレー屋を営む三宅紘二郎のもとに、絵葉書が届いた。そこに書かれた漢詩が、封じ込めていた記憶を呼び覚ます。愛した女、その娘。五十年前兄は彼女たちを惨殺したー老境を迎え全て忘れようとしていたが、もう止められない。半世紀、抑えていた殺意が紘二郎の背中を押す。兄のいる大分に向かう途中、ひょんなことから、金髪の若者・リュウを交代運転手として雇うことに。祖父と孫ほど年の違う二人の、不思議な旅が始まった。
緊急出版!「神様のカルテ」著者、最新作 「この戦、負けますね」 敷島寛治は、コロナ診療の最前線に立つ信濃山病院の内科医である。一年近くコロナ診療を続けてきたが、令和二年年末から目に見えて感染者が増え始め、酸素化の悪い患者が数多く出てきている。医療従事者たちは、この一年、誰もまともに休みを取れていない。世間では「医療崩壊」寸前と言われているが、現場の印象は「医療壊滅」だ。ベッド数の満床が続き、一般患者の診療にも支障を来すなか、病院は、異様な雰囲気に包まれていた。 「対応が困難だから、患者を断りますか? 病棟が満床だから拒絶すべきですか? 残念ながら、現時点では当院以外に、コロナ患者を受け入れる準備が整っている病院はありません。筑摩野中央を除けば、この一帯にあるすべての病院が、コロナ患者と聞いただけで当院に送り込んでいるのが現実です。ここは、いくらでも代わりの病院がある大都市とは違うのです。当院が拒否すれば、患者に行き場はありません。それでも我々は拒否すべきだと思うのですか?」--本文より 【編集担当からのおすすめ情報】 現役医師としてコロナ禍の最前線に立つ著者が 自らの経験をもとにして克明に綴ったドキュメント小説。 2009年に第十回小学館文庫小説賞を「神様のカルテ」で受賞し、シリーズ(既刊5冊で累計337万部)を書き継いでいる夏川草介氏は、現役の内科医でもあります。コロナ禍の最前線で多くの患者さんと向き合う日々が、一年以上続いています。本書は、著者が2020年末から21年2月にかけて経験したことを克明に綴った、現代版『ペスト』ともいえる記録小説です。
財部は一種の硬骨漢であった。…最後の思い出に、大臣と官房長官とを向こうに廻して、断固として竹田建設を叩き落としてやろうという意慾が、彼の心のなかで静かに疼いていた。-総理大臣の金策のため、巨大ダム建設に絡んで政界、財界、官界を巻き込んだ大掛かりな不正が画策されていた。成否の鍵を握る“電力建設”の総裁・財部は、汚職に手を貸すことを断固として拒否するが…。1960年代に起きた九頭竜川汚職事件を題材として、芥川賞作家・石川達三が鋭い視点で描いた話題作の前編。
「歓喜をともなわない仕事をして、どんな仕事ができよう…いつはてるか知れない命のある間、生命を歓喜にもやすような仕事をしたい」日本での役所勤めを辞め、パリの大学で社会科学の研究にいそしんでいた“私”。指導教官にも恵まれ、帰国するまでに学位を取得できるはずだった。ところが、結核に感染していることがわかり、療養生活を送ることに。気分を萎えさせる言動を繰り返す妻、一進一退を繰り返す病状に、“私”は重大な決心をする…。「離愁」「故国」と続く三部作の第一作。
地図の空白地帯を埋めろ! 人はみな「自分の道」をゆく英雄である。 友情、青春、仕事、人生。 俺たちは、ただ前だけを見て歩いてきたーー。 地図会社キョーリンの調査員・合志俊介。彼の仕事は日本各地を歩き、家の表札を一軒ずつ書き留めること。 俊介には一平と湯太郎という幼馴染みがいた。三人は十五歳になる年、裏山のクスノキで誓いを立てた。 一つ、友のピンチは助けること、二つ、友の頼みは断らないこと、三つ、友に隠し事はしないこと。 その日から、男たちはそれぞれの“道”を歩き始めた。 地図づくりに生涯を捧げた男たちの熱き物語!
執事探偵×令嬢刑事のミステリ、新章始動! 本屋大賞第1位&シリーズ累計420万部突破の国民的ユーモアミステリ、待望の新章スタート!! 宝生麗子の後輩に天然キャラの新米刑事・若宮愛里が加わり、警視庁に栄転した風祭警部は大きなミスを犯して国立署に舞い戻り、新たなメンバーで難事件に挑むがーー!? 富豪の家で”無人だった”はずの部屋から発見された長男の首吊り死体の謎。鍵のかかった土蔵で見つかった骨董好きの老人の遺体と血文字のダイイング・メッセージの謎。雑居ビルの裏で発見された墜落死体とそのポケットに入っていた血の付いたナイフの謎。シェアハウスで殺された看護師と5つの目覚まし時計の謎。アパートで殺害されたイケメン大学生と建設作業員が”煙草を吸っている間に”目撃したという怪しい男の謎。 執事探偵・影山の推理と毒舌が冴えわたる、本格ミステリ全5編。 【編集担当からのおすすめ情報】 相変わらずマイペースで空気を読まない上司の風祭警部と、天然でドジっ娘な後輩の若宮刑事の間で捜査にあたる麗子の奮闘を、ぜひ応援してください。影山と風祭警部がたびたび披露する、華麗なる”トリックの実演”にも注目です!
わたしはなぜここに連れてこられたのだろう?中流家庭の一人娘として育った13歳の「わたし」は、それまで両親と思っていた人たちから突然手放され、理由も知らされぬまま、貧しい実の家族のもとに帰された。母親は冷たく、父親と兄たちの暴力が絶えない家のなかで、自我を覆された「戻ってきた娘」が唯一感情を分かちあえたのは、奔放な妹のアドリアーナだった。世界28か国で翻訳、2021年映画化。心を鷲掴みにする少女たちの成長の物語。カンピエッロ賞受賞。イタリアで30万部のベストセラー。
多度津から大歩危へ。二つの死亡事件と極秘技術開発に隠された謎を十津川警部が暴き出すー秘境を行く観光列車で美人秘書はなぜ狙われたのか。
お姉さんに囲まれた魔王軍ライフはいかが? 六英雄が一人で、歴代最強の勇者と呼ばれた少年レイン。 彼はある日、任務の途中で魔王軍の女幹部であるエレノアと対峙する。物心がついた頃から休みなく人類のために戦わされ、報酬も貰えない。レインの境遇を見かねた彼女は、手を差し伸べ言うーー。 「一緒に来てください。必ず幸せにしてみせますから……!」 魔王軍で待っていたのは、ふかふかのベッドに、甘いお菓子に、優しいお姉さんのいる生活!? これは、『ブラック』な人類から離脱して、魔王軍で『ホワイト』な日常を送る勇者のお話。異世界系ヒモライフ、ついに開幕!! 【編集担当からのおすすめ情報】 小説家になろうにて日間総合ランキング1位を獲得した、異世界系ヒモライフ! イラストは、『シャドウバース』をはじめ多数の有名ゲームを担当する高峰ナダレ氏!! 個性豊かなお姉さんたちと繰り広げる、ハーレムでコメディな物語にご期待下さい!!!
JR御茶ノ水駅でOL・玉恵がおじさんと運命的な出会い。玉恵のストーキングから始まったふたりの恋の終着駅は…?妄想界の最高顧問、辛酸なめ子がついに解禁!リアルな恋愛を凌駕するプラトニックラブストーリー。
愛される快感と、「人」を想う難しさーー。 バンコクからの帰国子女である高校1年生の漣は、日本の生活に馴染むことができないでいた。そんななか、高校の渡り廊下で見つけた先輩に、漣の心は一瞬で囚われてしまう。漣は先輩と距離を縮めるが、あるとき、彼が好きになってはいけない人であることに気づく。それでも気持ちを抑えることができない漣は、大好きな家族に嘘をつくようになり……。忙しない日本でずっと見つけられずにいた、自分の居場所。それを守ることが、そんなにいけないことなのだろうか。過ぎ去ればもう二度と戻らない「初恋」と「青春」を捧げ、漣がたどり着いた決意とは。 三浦しをんさんも大絶賛!!気鋭の作家が挑む傑作長編、満を持して刊行! バンコク在住の著者だからこそ描けた、国境を超えた名作!! 「影を帯びながらも、なんてまばゆい小説だろう。痛みを抱えて生きる私たちに寄り添って、「きっと大丈夫」とささやきかけてくれるようだ。」 --三浦しをん 【編集担当からのおすすめ情報】 大人でもハッとさせられるシーンの連続に、ページをめくる手が止まらない。主人公の漣が感じている純粋な疑問や違和感に、気づけば一緒になって悩んでいる。読むたび自分が丸裸にさせられ、無垢な部分を呼び起こされ、読み終えたころにはたくさん成長した気がする。それも読むたび何度でも。こんな読書(ゲラ読み)経験は、これまでもなかなかありません! 忙しく過ごす大人のあなたに、絶対に読んでほしい一冊です!!
大正時代の北海道を舞台に、貧しい家庭に育った“私”が、少年から青年になるまでの紆余曲折を描いた自伝的小説。幼いころからひそかに恋心を抱いていた「姉や」のシモがなぜか家を出ていき、やがて父の子を出産する。ショックでしばらく疎遠になっていたが、やはり気持ちが抑えられずに会いに行くと、シモは“私”を心身ともに受け入れてくれるー。“私”と家族の性生活や厳しい暮らしを、赤裸々に、かつ独特の歯切れのいい筆致で綴る傑作長編。第9回日本文学大賞受賞作。