出版社 : 小学館
これは、あなたを魂ごと持っていく物語 姉・貴子は、矢田のおばちゃんの遺言を受け取り、海外放浪の旅に出る。一方、公私ともに順風満帆だった歩は、三十歳を過ぎ、あることを機に屈託を抱えていく。 そんな時、ある芸人の取材で、思わぬ人物と再会する。懐かしい人物との旧交を温めた歩は、彼の来し方を聞いた。 ある日放浪を続ける姉から一通のメールが届く。ついに帰国するという。しかもビッグニュースを伴って。歩と母の前に現れた姉は美しかった。反対に、歩にはよくないことが起こり続ける。大きなダメージを受けた歩だったが、衝動に駆られ、ある行動を起こすことになる。 【編集担当からのおすすめ情報】 解説は又吉直樹さんが執筆くださいました。
シマザキセツナの自殺を発端とする被造物の現界。彼女を救えなかったことを悔やむ颯太は、世界を憎むアルタイルを阻止することを決意する。そして、アルタイルを閉じ込める“鳥籠”の作成、さらにセレジアたちの強化を図る大プロジェクトが始動。世界のため、自分の場所に帰るため、過去に向き合うためー各々の思いを胸に士気を高める被造物たち。しかし、観衆の“承認力”を糧に自らの力を増幅させるアルタイルに苦戦を強いられ、彼女の悲願である「大崩潰」は目前に迫る。現実VS物語。二つの世界の存亡をかけた戦いは、ついにクライマックスへ!!
受験を控えた岸本杏は、弓道部部長の座を超イケメンな後輩・三神曜太に譲ることにした。三神は学校中の女子を虜にする容姿を持ち、その上弓道ではインターハイへいくほどの実力者。そんな三神から一途に想われていたことを知った杏は戸惑うものの、自分の全てをぶつけて愛してしまう不器用な三神を、気付けば杏も好きになっていて…。加賀やっこ作、累計100万部突破の大人気恋愛コミックスを完全ノベライズ!互いに好きなのに素直になれない、史上最高の偏愛・ラブストーリー!
飛ぶ鳥を落とす勢いの新鋭作家・浜名湖安芸は、「ポリティカル・コレクトネス」をコンセプトにした警察小説という“意識高い”依頼を受けた。パワフルでエキセントリックな編集者を相手に、ハマナコは超大作を書き上げる!?(「政治的に正しい警察小説」)大学生の僕は、偶然通りかかったカレー店で思い出の味に再会した。幼いころに生き別れた母の味だ。女店主にその「秘密の隠し味」を訊ねると…。(「カレーの女神様」)そのほか、児童虐待、将棋、冤罪、尊厳死など、多彩なテーマの六編を収録するブラックユーモア・ミステリー集。著者初の文庫オリジナル作!
波瀾万丈な人生を送ってきたドラマの主人公のような人物ではなく、どこにでもいる普通の男子の物語を書いてみようー。作家との話し合いの末、編集者が連れてきたのは三十代前半の会社員。しかし、話を聞いてみると、彼の半生はちょっと普通とはいいがたいものだった。暗黒面に落ちた中学時代、悪友とのおバカな高校時代。美容師の女性と初めて交際をした大学時代を経て、紆余曲折の後、憧れの全国映画館チェーンに就職が決まる。しかし、そんなある日、彼は余命2か月、末期がんであることを告げられてしまう。
大手文具メーカー「あねちけ」に勤めるうだつが上がらないサラリーマン・富岡兼吾は、日頃から自分に厳しい絵に描いたような体育会系上司・下永良一に不満を抱いていた。ある日、珍しく下永から酒に誘われた兼吾は、酔った上司を家まで送る羽目に。しかし、兼吾はそこで憎き敵の妻とはとても思えない美しい女性、秀子と出逢ってしまう。「上司の妻を寝取ってやる!」兼吾の心に芽生えた復讐というにはあまりにも突飛な企み。その企みを実行に移す時、物語は誰も想像がつかなかった衝撃の結末に向け加速する。果たしてこの小説は、「官能」なのか、「純愛」なのかー。
二〇二一年、新宿。少年院帰りで、住む家も仕事もない沢村新次。吃音障害と赤面対人恐怖症に悩み、他者との関係を築くのが苦手な二木建二。ある日、対照的な二人の若者が、プロボクサーを目指し、さびれたジムで奇妙な共同生活を始める。やがて二人は友情を育み成長を遂げていくが、その一方で、母親との離別、父親からの暴力、仲間の裏切り…、それぞれが抱える問題に向き合うことになる。新宿という都会の荒野の真ん中で孤独と戦い、誰かと繋がりたいと渇望する人々を描いた、魂を揺さぶる青春物語。寺山修司唯一の長編小説を現代に甦らせた映画版をノベライズ。
姉エルからの突然の電話は母親の訃報だった。三歳で叔母に預けられて以来、二十九年ぶりにスコットランドの生家にわたしは帰った。幼い頃、両親や叔母は姉妹の接触を禁じたが、エルはいつも唐突にわたしの前に現れた。そのたびにむらっ気で攻撃的な態度に傷つけられ、わたしはエルを避けるようになっていた。生家は思っていた以上に裕福だったが、父親が放ったのは「おまえは来るべきじゃなかった」という一言だった。なぜわたしは屋敷と両親から引き離されたのか。なぜわたしだったのかー。読む者を釘付けにする見事な語り口。必読サイコ・スリラー!
東京グランド・バレエ団の創立15周年記念公演の演目が「ジゼル」に決定し、如月花音は準主役のミルタに抜擢される。このバレエ団では15年前、ジゼル役のプリマ・姫宮真由美が代役の紅林嶺衣奈を襲った末に死亡する事件が起き、「ジゼル」はタブーとなっていた。そんな矢先、目撃された真由美の亡霊。公演の準備を進める中、配役の変更で団員の間には不協和音が生じ、不可解な事件が相次いで…。これはすべて真由美の“呪い”なのか?『ジゼル』の封印を解いた時、悲劇的な死を遂げたプリマの想いが甦るー!!
天職は最下位職の『低級魔道士』だが、軍師としての天才的な視点と恐るべき成長速度を備えた少年、ルーク。祖国ウェルリアの陰謀により、ルークは冥府の迷宮へと流刑されてしまう。その後彼の持つ圧倒的才覚と剣神ロイの助けにより無事迷宮を脱出。かつての敵国へと身を寄せるルークの前に、ユメリアと名乗る謎の女が姿を現すのだが…。“最下位職”から“天才軍師”へと成り上がっていく少年の栄光の物語。「小説家になろう」発超話題の王道ファンタジー!
一九七八年のニューヨーク。ヤンキースタジアムでピーナッツ売りをする作家志望の三十代・独身男テッドは、ある夜病院からの電話で、母の死後は疎遠になっていた父が末期がんと知る。久しぶりに実家に帰ったテッドは、レッドソックスが試合に勝つと、父の具合が良くなることに気づく。父の悪友たちを巻き込み、快復のために大芝居をうつテッド。ついに、同率首位のレッドソックス対ヤンキース、最終決戦の日がやって来た。『Xファイル』のモルダー捜査官による、まさかの小説第二弾。不器用な父と息子の関係に笑って泣ける、唯一無二のドゥカヴニー・ワールド!
二ッ坂高校に入学した東島旭は、元美術部で運動音痴。先輩の宮路真春の強さに憧れて“なぎなた部”に入部すると、過酷な稽古の日々が始まった。インターハイ予選で、二ッ坂はノーマークの國陵に敗北。なかでも一年生エースの一堂寧々の強さは圧倒的だった。山奥の寺で地獄の夏合宿を経験し、成長を遂げた二ッ坂。しかし秋の大会で宿敵の國陵と対戦し、まさかの出来事で真春は部活動に姿を見せなくなってしまう。精神的な支柱を失った二ッ坂を一つにするため、旭は動き出すが…。“なぎなた”に全てをかける女子高生の青春を瑞々しく描いた映画を完全ノベライズ!
彦根藩士の子、賀川玄悦の生みの親は、おなかの子が出てこられずに亡くなってしまう。医者を志したが許されず、独力で鍼や按摩の技術を習得し京都に出る。ある日、お産で苦しむ隣人の女性を自らの技術で救った。その技術は評判となり回生術と名付けた。その後、玄悦は難産でひどい扱いをされている商家の妾・お糸を引き取った。次第に、お糸に特別な感情を抱くようになる。三人の子供との関わりや妻のお信とお糸のことに悩みながらも、多くの命を救った。山脇東洋を始め、一流の医者たちからもその技術を認められた男。
真紀と未央と佳乃は大学時代の同級生。結婚を経て自由に生きる未央、田園調布の一戸建で温かい家庭を築いている佳乃。三十五歳独身の真紀は幸せそうな二人が羨ましい。真紀は、結婚を決断してくれない新宮との未来に不安を抱きながらも、彼と身体を重ねる日々。そんな真紀の趣味は、新築マンションのモデルルールめぐり。素敵な家で暮らす自分を想像しながら揺れる気持ちを落ち着かせる。ある日、大地震が起こり、女友達が置かれている厳しい現実や悩みが露呈する。女の幸せってなに?真紀が最後に下した決断は…?
ペックランド人民党中央委員会委員長・ジョンウィンは、ミサイル実験の発射ボタンを押す作業に日々勤しんでいた。そんなある日、ヤップランドから取り寄せたお話しAIロボットが届く。まるで樽のような体型のそれは、いきなりなれなれしい口調で話し出した。聞けば、自分は、暗殺された彼の異母兄、ジョンナムールだという。一体これはなんの冗談か?と怒りを露わにしたジョンウィンだったが、次第に彼との会話を頼みにするようになっていく。だがもちろん、何事もない日々がそんなに長く続くはずはなかったー。
家賃代わりに短篇小説を差し出す書き手と、それに対して辛辣コメントを浴びせ続ける読み手。やがてコメントは書き手の精神を抉るような質問状となり、青春を共に過ごした二人の中年女性の愛憎が垣間見える展開にー。現実世界と小説世界が入り交じる斬新な手法で描いた異色作。
戦後間もない時代の若者たちを描いた“自伝的青春文学”旧制中学から新制高校へと移行する時代、高校2年生の倉沢明史は、通学途中に出会った中学3年生の美少女・棗に惹かれていく。文学に憧れ、政治にも熱い関心を寄せる明史だが、幼なじみの慶子との接吻もあって心は千々に乱れる。武蔵野の美しい四季を背景に、物資は満足にないけれど心豊かに生きる若者たちの甘く、ほろ苦い思春期の恋愛を叙情的に描いた青春小説の傑作。“内向の世代”を代表する著者が、今回あとがきを特別寄稿。
勤王と佐幕の間の謀略に翻弄される志士たちの悲劇から、冷酷な政治と熱い志の葛藤を描いた「地獄の門」。長州の志士を斬った嫌疑がかかってしまった鞍馬天狗は、これは仕掛けられた罠では…と疑念を抱く。新選組と見廻組も絡んで二転三転する展開の末、隠れていた裏切り者は意外な人物だった「宗十郎頭巾」。名作時代小説「鞍馬天狗」から、評論家・鶴見俊輔が厳選した傑作シリーズの第二弾。解説も鶴見俊輔が特別寄稿。