出版社 : 小学館
「この子はわたしたちの子よ」品川のタワーマンションを起点にレールガン・テロを試みていた妻・沙織から、通島武志は、千秋に関しての思いも寄らぬ話を聞いてしまう。その後、レールガンの発射を身を挺して止めたことで都内の病院に極秘搬送されていた千秋だったが、ある日、忽然と姿を消してしまった。沙織がポリスに深く関わっていることが拭いがたい事実となったことを受けて、武志は一度空中分解しそうになっていた未犯調査室の面々と共に彼女のルーツを辿り直す事を決意する。行方を眩ませた千秋は?そして、ポリスとは何だったのか?完結篇。
同棲中の谷村有子と葛西信は、売れない役者同士。ある日有子は偶然、人気女優の新藤美由紀の運転免許証を拾う。新藤の本名が「谷村侑子」なのを見て、免停中の谷村はその免許証で運転し警察に捕まってしまうが、新藤の計らいで、罪に問われることもなく済んだ。プロデューサーの推薦で、谷村と葛西に夫婦役での連続ドラマ出演が決まって、二人はロケ地に向かった。しかし、京阪宇治線沿いでの撮影初日に有子とドラマスタッフが行方不明となり、死体で発見されたのだ。そして、東京では国務大臣の白石幸次郎が爆殺される。十津川の捜査中に、さらなる被害者が!
新人警察官アリ=ソウルの赴任先は、アイスランド北端の小さな町、シグルフィヨルズル。「ここらじゃどうせ何も起きない」と、着任早々上司は言った。だが二か月後、老作家が劇場の階段から転落、死亡する事件が起きる。上司は事故を主張したが、アリ=ソウルは殺人を疑った。さらに雪の中で半裸の女性が倒れているとの通報がー彼女は瀕死の重傷を負っていた。捜査を進めるアリ=ソウルの耳に、住民の不穏な過去ばかりが届き始める。町の外へ通じる唯一の道は雪崩で塞がっている。犯人は町の中にいる!北欧ミステリの超大型新人、日本初上陸シリーズ第1弾。
家族と本をこよなく愛する3人の子どもの母アリス。パート編集者として書評を書き、親友スザンナの経営する書店に通う平穏な暮らしのなか、弁護士の夫ニコラスが失業、突然フルタイムで働くことに!就活の末、拾われたのは巨大ショッピングモールで成功した新興企業。ニューヨークに新形態の書店を出店するという。「未来の書店」というコンセプトに、アリスは大きな希望を抱く。スザンナには大反対されながらも、夫と子どもの応援を受けて働き始めるアリス。最先端の職場では聞き慣れない略語が飛び交い、24時間指示メールを受け取る嵐のような日々。家事はおざなり、育児もシッター任せとなり、夫はイマイチ頼りにならず、子どもとの間も微妙に…ある日、アリスのなかで何かが切れる。
女性カメラマン夏川えりは、故郷である飛騨高山へ向かった。高山から足をのばし、世界遺産の白川郷、さらにその奥の無人の村・R村へたどり着いた。太平洋戦争末期、従軍看護婦として満州に渡っていた、えりの祖母夏川勝子が一時帰国し、R村で行方知らずになっていた。今、改めてこの村のことを調べてみようと思って訪れたのだ。ところが、えりもR村で姿を消してしまった…。一転、東京三鷹で独居老人浅野真治が殺された。現場へ駆けつけた十津川は、驚くべき証言を得た。溯ること七十数年前、浅野の父親である浅野真太郎が唱え、敗色濃い日本軍がとったとされる「永久戦争」のことを知ることとなる。歴史の闇に葬り去られようとしていた悪魔の戦術が、現実によみがえろうとしていたのだ。そして、その要の地が、夏川勝子やその孫の夏川えりがたどったR村だったのだ。十津川警部は、二つの事件の背後にうごめく「戦争の亡霊」の行方を追い始めた。
帰りの遅い父を待ちながら優しく甘い夢を紡ぐ孤独な少年の内面を、ロマネスクな文体で描いた表題作「夢見る少年の昼と夜」。不可思議な死を遂げた兄の秘密が自分の運命にも繋がっている事実を知った女性の生を見つめる「秋の嘆き」ほか、「死神の馭者」「鏡の中の少女」「夜の寂しい顔」「未来都市」「鬼」など、意識の深い底に横たわる揺らぎを凝視した福永ワールドの短編14作。初版単行本『心の中を流れる河』『世界の終り』より編纂した一冊。
事故でこの世を去った美術教師は、ひとりの女性の絵を残していたー。姉の自殺の真相を訊くために、美術教師で義兄のアトリエに通う栞。学費を捻出するために、JK産業に手を出してしまった愛。小学生の頃にいじめていた幼馴染みと、思わぬ所で再会した恵。愛する人の近くにいられる場所を、ひたすら探し求める誓。大切なものをすべてなくし、生きる意味を見いだせなくなった了。叶わない恋、追い続けた夢、崩れ去る覚悟…。儚くて切なくて残酷だけど胸に響く、五人の男女の青春の日々。
業界大手の音楽会社に勤める吉山朗美(28)は、大物ロック歌手の絹川空哉が、社長に契約解除を宣告され、事務所に乗り込んでくる姿を目にする。空哉は十年前、朗美と同じ高校に通う同級生だった。同じ日、極度のあがり症にも関わらず全社報告会で発表を任された朗美は、壇上で気を失ってしまう。目を覚ますと、なぜか高校時代の制服を身に着けた朗美を、あの絹川空哉と、世界的ヴァイオリニストになった深山蓮、そして死んだはずの父親が心配そうに見下ろしていた。いったいどうなってるの?思わず本を抱きしめたくなる、突き抜けるラストに乞うご期待!!
通島武志は、朝の通勤で混み合う地下鉄のなかでかつての部下、枝田千秋に出会った。しかし、それは偶然でもなんでもなかった。由あって一線を退いていたこの元刑事にとっての新天地が、警察庁の外郭団体、犯罪史編纂室であり、千秋はそこの室長を任されていたのだ。東京・吉祥寺の古ぼけたビルの一室に居を構えるこの編纂室に招集された他の人員も皆、一度は辞職願を出したほどの訳あり揃いの輩たちだった。そして、警察庁情報通信局長の岩崎から、本当の密命を告げられた武志は愕然とする。その任務とは、これから起こる犯罪を未然に防げ、というものだったー。
室長の枝田千秋を触媒にした「繭」システムを使って、ネット空間などに溢れるデータのなかから犯罪の兆候を嗅き取り、その抑止を任とする未犯調査室。東陽銀行の支店長を狙った凶悪事件から、謎の集団ポリスの存在に辿り着くことに成功した。だが一方で、警察の本来の職分を逸脱したその活動内容が上層部で問題となり、2か月の活動休止に追い込まれる。さらに追い打ちをかけるように吉祥寺にある調査室のある古いビルに謎の隕石が落ち、全壊してしまう。時を同じくするように、病院に長期入院していた通島武志の妻・沙織が忽然と姿を消してしまった。
神田川病院に勤務する医師の早坂ルミ子は末期のがん患者を診ているが、患者の気持ちがわからないのが悩みの種。ある日、ルミ子は病院の中庭で不思議な聴診器を拾う。その聴診器を胸に当てると、患者の“心の声”が聞こえてくるのだ。「もし高校時代に戻れたら、芸能界デビューしたい」-母に反対されて夢を諦めた小都子が目を閉じて願うと、“もうひとつの人生”へ通じる扉が現れる。念願の女優になった小都子だが…。聴診器の力で“あの日”へ戻った患者達の人生は、どんな結末を迎えるのか。夢、家族、結婚、友情。共感の嵐を呼んだヒューマンドラマ。
若きカリスマ経営者の戸鹿野智貴は、女と旅行に行った異国の地で、薬物密輸の疑いで逮捕された。会社は破綻し資産は没収される。なぜ自分ははめられたのか?事件の真相を探るべく、彼は名前も顔も変えて調査に乗り出す。一方、イギリスで麻薬捜査をするジャッド・ウォーカーは、ユーロポールへの出向を命じられ、イタリアでマフィア幹部の惨殺事件に遭遇。さらに第二の事件が…。日本、イギリス、イタリア、アメリカ。舞台は目まぐるしく動き、予想もしなかった真相が立ちはだかる。世界スケールで展開するサスペンス巨編。この真相を見抜けるか!
シリーズ累計八百万部突破大人気コミックス『アイアムアヒーロー』(花沢健吾・著)の映画化を記念して執筆された小説集。豪華執筆陣によるゾンビ小説が待望の文庫化。背筋も凍る恐怖と戦慄の物語が全6編。
中年女性の屈折した心理を描く「蟹」他6篇 外房海岸を舞台に、小学一年生の甥と蟹を探し求めて波打ち際で戯れる中年女性の屈折した心理を描き、第49回芥川賞を受賞した「蟹」。 ほかに、知人の子供や道端で遊ぶ子供に異常な関心を示す、子供のない女性の内面を掘り下げた「幼児狩り」。 夫婦交換による男女の愛の生態を捉えた「夜を往く」、「劇場」など、日常に潜む欺瞞を剥ぎ取り、その“歪んだ愛のカタチ”から、よりリアルな人間性の抽出を試みた、筆者初期の短篇6作を収録。
八十年代。都内で働いていた青子は、二十五歳で会社を辞め、栃木の実家へ帰る決意をする。その日、彼女は送別会をかね、上司に連れられて銀座の高級鮨店のカウンターに座っていた。彼女は、そのお店で衝撃を受ける。そこでは、職人が握った鮨を掌から貰い受けて食べるのだ。青子は、その味にのめり込み、決して安くはないお店に自分が稼いだお金で通い続けたい、と一念発起する。そして東京に残ることを決めた。お店の職人・一ノ瀬への秘めた思いも抱きながら、転職先を不動産会社に決めた青子だったが、到来したバブルの時代の波に翻弄されていく。
元料理人の僕は、奇妙な仕事を紹介される。それは古い屋敷で、一人暮らしのマダムのために毎晩一杯のスープを作ること。報酬は破格だった。屋敷で、僕はマダムの孫娘の千和に出会う。両親を事故で失くした千和は心を閉ざしていたが、母の遺した料理本を愛読し、膨大な料理の知識をもっていた。幼い頃に母と離れ離れになった僕は、千和と心を通わせていく。無理難題のようなリクエストに隠された“謎”を解きながら、ついに僕はずっと探してきた「母の想い出のスープ」の手がかりを見つけるが…。悲しみから再生し、明日へと歩む力をくれる六皿のスープの物語。
「このまま年だけ重ねて、どうなさるおつもりですか」付添い屋稼業でその日暮らしを続ける浪人秋月六平太の行く末を案じる人間は、少なくない。一年前に姿を消した情婦、音羽の髪結いおりきは海を望む神奈川宿にいると知れたのだが、六平太の腰は重かった。一方、伝助店の住人で下馬売りの太助の母親おていが失踪、二日後箱崎の川岸で死骸が見つかった。おていはこのところ他人の家に入り込んだり、店の物を盗んだりするような不行状をみせ、太助は手を焼いていた。おてい殺しを巡って奔走する六平太の前に、史上最強の敵が現れる。日本一の王道時代劇、第三部完結!
大手銀行に勤める高梨あすかは結婚して「専業主婦」になることが夢。人気アナウンサーの名波竜は「絶対に結婚したくない男」。結婚に対する価値観が全く合わない男と女が出会い、知れば知るほど強烈に惹かれ合ってしまう。やがて、元恋人や新たな異性の登場で、二人の状況はより複雑さを増していくことにー。宮園いづみの人気コミックを原作に、最旬のラブストーリーとして話題のテレビドラマを小説化。様々な登場人物たちが、互いの「恋愛観」「結婚観」「人生観」をぶつけ合い、リアルな恋愛模様を繰り広げる。果たして、あすかと名波の恋の着地点はいかに!?
経営不振で取り壊し寸前のムーン劇場。支配人でコアラのバスター・ムーンは、劇場の再起をかけた歌のコンテストを開催することに決めた。オーディションの結果、最終候補者は6名にしぼられた。ギャングファミリーを抜けて歌手になりたいジョニー、傷心のパンク少女のアッシュ、毎日家事と育児におわれる専業主婦のロジータ、お金、権力、派手なものが大好きなマイク、ハイテンションなダンサーでシンガーのグンター、そして極度のあがり症のミーナ。笑いあり、涙あり、人生を変えるオーディションが、今、始まる!!